本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

幸せな未来は「ゲーム」が創る

2012-01-23 05:55:10 | Weblog
■本
4 桃尻娘/橋本 治
5 幸せな未来は「ゲーム」が創る/ジェイン・マクゴニガル

4 昨年、橋本治さんの新書の評論本にはまっていたので、小説の方も読んでみようと思い手に取りました。怒涛のモノローグ中心の文体に慣れるまでは読みにくく、2話目まで読むのに2ヶ月かかりましたが、慣れ始めるとこの情報量が心地よく、最後は一気に読み終えました。情景描写はさすがに古びていますが、心理描写は今読んでも新しく、30年以上前に書かれたとは思えません。読者を選ぶ作品ですし、正直僕も完全にしっくりとは来ていませんが、才気溢れる作品だと思います。他の誰もこんな小説は書けないと思います。

5 ゲームに比べると現実は、ハマれないし、自分の力を発揮できないし、周囲ともうまくつながれない、のでゲームのノウハウを活かして、現実を変えて行こうという、刺激的な内容の本です。シナリオの作り方や参加者をうまく巻き込む方法など、ゲーム作りに用いられているテクニックの紹介だけに留まらず、環境問題、貧困問題といった地球全体の課題解決につなげていこうという志の高さを感じます。ヘロドトスの「歴史」に書かれている、飢饉対策としてサイコロゲームを普及させた国の話(ゲームに没頭することにより空腹を紛らわせて、食事の頻度を減らす)から、「ヘイロー」など現代の具体的なゲーム内容の紹介まで、筆者の教養と関心の幅広さに感心します。「テトリス」を例に上げて、人は失敗を楽しむためにゲームをしている旨の指摘がなされているのですが、人生にも通じる示唆に富んだ指摘で興味深かったです。ゲームや広告表現だけでなく、人の共同作業により課題解決していくあらゆる組織にも応用できる、とても有益な知見が書かれている本だと思います。お勧め。


■CD
1 color bars/東京事変

 メンバーそれぞれが曲を書いたということで、今ひとつ散漫な印象ですし、クオリティもまちまち。5曲ということで食い足りなさも残ります。ただ、「タイムカプセル」や「sa_i_ta」など椎名林檎さんのボーカル曲は、思わず引き込まれます。泥くさいものからハイセンスな曲まで、全て自分のものにする力量はやはり凄いです。コーラスワークも抜群で解散はやはり残念です。


■映画
5 カイジ 人生逆転ゲーム/監督 佐藤東弥

 借金を負った主人公が自分の人生をかけて、じゃんけんや単純なカードゲームに挑み、その緊迫した心理戦に勝利する話。原作は読んだことはないですが、自分の地下帝国を作ろうとするかなりぶっ飛んだ大金持ちのパトロンなど、リアリティのない極端な設定は漫画的で面白いと思います。ただ、ゲームの心理描写は単なるハッタリに留まっていて、大きな驚きはなかったです。それよりも、藤原竜也さん、香川照之さん、天海祐希さんといった大物俳優がこのチープなストーリーで、異常なテンションの演技をしていて、結果的に大滑りしているところが見物です。下手したらこれまでの評価を下げてしまいそうなリスクを負うだけの魅力がこの作品にあるとは思えませんが、何かしがらみでもあったのでしょうか? そんな中、松尾スズキさんのいつもどおりの異質感タップリの演技は逆に安心感がありました。



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