本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

レ・ミゼラブル

2013-02-03 08:04:34 | Weblog
■本
8 ウェブで政治を動かす!/津田 大介
9 ラッシュライフ/伊坂 幸太郎

8 政治家のソーシャルメディア利用実態の解説に留まらず、我々一般市民がインターネットの双方向性を活かしつつ、どのように政治にコミットしていくかについて書かれた本です。筆者の高い志が伝わってきますが、政治家、行政、一般市民と次々に活用法の視点が変わりつつ語られていて若干散漫な印象がし、いいことが書かれているなあ、と読書中には思うのですが、不思議とあまり読後に得られた知見として残るものがありません。「アラブの春」での既存政治体制を打ち倒した後の各国の混乱を見ていると、決して「ウェブで政治を動かす」ことは万能ではないと思うので、変革のきっかけとしてウェブを使うことは正しいと思いますが、そのできることとできないことをもう少し冷静に考えるフェーズに来ているのかも、とも思いました。

9 伊坂幸太郎さんの最高傑作、との書評もあったので読みました。相変わらずキャラは立っていて、魅力的ですし(特に、父親を自殺でなくした登場人物のその父とのエピソードとサラリーマンがリストラにあった後ボディブローのように疲弊していく様子の描き方が巧みです)、広げるだけ広げた伏線を徐々にかつ効果的に回収していく手腕もさすがです。死体が勝手にバラバラになり、さらに再度元に戻って動き出す、といった非現実的な話の背景を、複数の登場人物の絡み合いからロジカルに解明していく一方で、迷宮入りの事件を解決し、超高額配当の宝くじを当てる現実離れした教祖を登場させているところは、個人的には場当たり主義的な印象も持ちました。ただ、読後感もよく、読んでいて楽しい作品だと思います。


■CD
5 Lost Sirens/New Order
6 Anthology/Muddy Waters

5 2005年に発売された「Waiting For The Sirens Call」のアウトテイク集です。8年前の作品のアウトテイク集なので音は古臭い(2005年にしても古臭くどちらかといえば1990年代風の作品が多いです)ですが、ここまで突き抜けると思わず聴いていて笑みがこぼれます。キャッチーな曲が多いですが、New Orderの影の部分に惹かれている人にとっては物足りないかもしれません。といっても1990年代以降のNew Orderの作品は大体こんな感じなので、特にこの作品だけが、劣っているというわけではありません。

6 Amazonで3枚組み900円と格安だったので買いました。エリック・クラプトンやキース・リチャーズなど、ロック界の大御所に影響を与えた、ブルース界の代表的アーチストです。通して聴くとブルースの世界にどっぷり浸れてお腹いっぱいになりますが、不思議と飽きることなくまた聴きたくなります。ブルースのCDにしては音が格段によい印象です。


■映画
6 めがね/監督 荻上直子
7 レ・ミゼラブル/監督 トム・フーパー

6 「かもめ食堂」とほぼ同じスタッフで制作された、ゆるーい感じの癒し系作品です。もたいまさこさんが不気味でかわいらしく神秘的で滑稽な役を好演されています。南の島のさびれた海岸に都会での生活に疲れた女性がやってきて、そこの住民や客のマイペースさに振り回されながら、影響を受けていく、という私好みの設定ですし、「かもめ食堂」は大好きな作品ですが、本作はウエルメイド過ぎるのか、あまり引き込まれませんでした。小林聡美さん演じる主人公の旅の動機(あえて描かなかったのだと思いますが)が不明で、あまり共感できなかったのもその理由の一つです。それにしても、薬師丸ひろこさんは、すごい存在感の役者さんになりましたね。友情出演の一瞬だけの登場なのに強烈なインパクトでした。

7 原作は子ども向け小説しか読んだことがなく、ミュージカルも見たこともないので、想像以上に複雑な構成をもった作品であったことに、まず驚きました。その複雑な構造を持つ作品を大胆に話を要約しつつ、ほぼ歌だけで描いて映画として成立させている、トム・フーバー監督の手腕に感心します(元ネタのミュージカル版が優れていたのだとも思いますが)。各楽曲のクオリティは本当に高く、また、それを歌い演じる俳優人の演技も素晴らしいです。ヒュー・ジャックマン、ラッセル・クロウ、アン・ハサウェイといったメインキャストはもちろんですが、個人的には、コゼットを虐待していたうさんくさい宿屋(この役を演じているヘレナ・ボナム・カーターも相変わらずの怪演で、悲劇に巧みにコメディ的要素を盛り込んでいます)の娘エボニーヌ役を演じたサマンサ・バークスの演技に最も惹き付けられました。舞台版でも同じ役を演じていただけあって、片思いにゆれる女性の心情を抜群の歌唱力で完全に自分のものにしました。この役を有名ハリウッド女優にあてなかったあたりも、トム・フーバー監督の見識を示していると思います。2時間半ほどの映画なのに、ダレることなく一気に観終えました。お勧めの作品です。オスカーもかなりの部門で取るのではないでしょうか。
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