本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

THE COLLECTORS~さらば青春の新宿JAM~

2019-04-06 08:18:54 | Weblog
■本
31 マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学する/丸山 俊一
32 心の力/姜 尚中

31 哲学関連書籍としては珍しくかなり売れているということだったので読んでみました。NHKの番組の書籍化なので、マルクス・ガブリエルと日本各地を巡りながらのインタビュー(1章)やロボット工学で有名な石黒浩教授との対談(3章)など、映像も交えた方が理解しやすい内容が多いですが、2章の「戦後哲学史講座」はわかりやすく興味深かったです。マルクス・ガブリエルが取り上げる「新実在論」について、正確に理解したという自信はないですが、相対的な文化の違いでは片づけられない「子どもを拷問するべきではない」などの絶対的な道徳的真実への熱い思いは伝わってきました。先日読んだ「ファクトフルネス」にも通じる、事実を知る努力とその事実に基づく理解の大切さを力強く訴えている点が、「フェイクニュース」に溢れる現代社会でこの本や彼の思想が支持されつつある理由なのだと思いました。

32 夏目漱石の「こころ」とトーマス・マンの「魔の山」を題材に、「『心の力』をつけるとはどんなことなのか?」を姜尚中さんご自身の体験も踏まえつつ、考察された本です。「こころ」に登場する先生を慕う青年に河出育郎という名前を与え(ちなみにこの名前の由来がどこかで披露されるかと思っていたのですが、最後までその理由は明かされませんでした)、「こころ」の続編を姜さんが創作し、その小説を解説しつつ「心の力」について考察するという構成は、最初はトリッキーでなかなか読み進めるのに苦労しましたが、慣れると姜さんの主張が頭に入ってくるようになりました。かなり苦しい道のりになると思いますが、死や不幸を受け入れつつ、愚直に悩みながら踏ん張って生き続けることが「心の力」の源泉になるということだと私は理解しました。「魔の山」は読んだことがないので、読んでみたいと思います。


■映画 
27 ちはやふる-結び-/監督 小泉 徳宏
28 ブラック・クランズマン/監督 スパイク・リー
29 THE COLLECTORS~さらば青春の新宿JAM~/監督 川口 潤

27 映画版「ちはやふる」の完結版です。これまでの作品が結構面白かったので観ましたが、今回は少し尻つぼみな印象を持ちました。「3月のライオン」の映画版を観たときにも思いましたが、肝心のクライマックスを先んじて決められない、原作コミックが完結していない作品の宿命なのかもしれません。賀来賢人さん演じる名人など新キャラクターは、みんなどこかエキセントリックながらも魅力的でとても印象に残りました。後輩部員が先輩に何度も告白しては速攻で断られる、お約束のシーンなど会話も軽妙で楽しめました。

28 今年のアカデミー賞で脚色賞を受賞し、作品賞を取った「グリーンブック」に対する発言がいろいろと物議を醸したスパイク・リー監督の作品です。黒人刑事が白人に成りすまして、クー・クラックス・クラン(KKK)に潜入捜査するという設定や、予告編映像のタッチからコメディ要素の強い作品かと思ってましたが、ゴリゴリにメッセージ色の強い作品でした。気楽な気持ちで観に行くとしっぺ返しを食らいます。白人と黒人との対立だけでなく、ユダヤ人差別の要素も入れたことにより、「差別」についてのより根源的な問題提起をしていると思います。白人警官役のアダム・ドライバーが、その微妙な立場を飄々としつつも憂いのある素晴らしい演技で表現しています。トランプ政権に対する批判もかなり痛烈で、スパイク・リー監督の本領が発揮された作品です。

29 ザ・コレクターズは学生時代から30年近くのファンなので、劇場公開されているという情報を見つけて観に行ってきました。結成当初に出演していた、新宿JAMというライブハウスの取り壊しを受けてのライブ映像を交えながら、当時結成30周年を迎えたこのバンドの軌跡やモッズへの思いを描いたドキュメンタリー作品です。ファンとしては、普段あまりダイレクトには感じることのない、加藤ひさしさんと古市コータローさんの友情のようなものが強く伝わってきて感動しました。特に、加藤さんがパニック障害になっていたことは知らなかったので、それを長年支えた古市さんのさりげない優しさが印象に残りました。ファッションや生き方としてのモッズに対して、このバンドがここまでこだわっているということも詳しくは知らなかったので、一つのライフスタイルが人の人生に大きな影響を与えることが興味深かったです。ベスパとフレッドペリーのポロシャツが欲しくなりました。
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