本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

すべては「好き嫌い」から始まる

2019-04-13 09:14:24 | Weblog
■本
33 すべては「好き嫌い」から始まる/楠木 建
34 ITシステムの罠31/安茂 義洋、栗谷 仁

33 いつもの楠木建さん節が炸裂していて楽しく読めました。「良し悪し」ではなく「好き嫌い」で物事を判断すべし、といういつもの主張ですが、論理的に整合が取れていて説得力がありますし、「好きにやっていいんだ」、という不思議な勇気が湧いてきます。「良し悪し」で判断することのメリットとしては、人間は結局好きなことしか頑張れないから、その頑張ることによってその分野の知識やスキルが高まりやすいということと、二元論になりがちな「良し悪し」と違って、「好き嫌い」は無限の評価軸があるので、差別化につながりやすいということだと私は理解しています。そこに、時系列での優位性構築の整合性が取れれば、楠木さんのおっしゃる、「ストーリーとしての競争戦略」が完成するのだと思いますが、その領域に至るにはまだまだ精進が必要そうです。仕事に行き詰まったときに読むと、いろいろなことが吹っ切れて、行動につながると思いますのでお勧めです。

34 タイトル通りITシステム構築時に陥りがちな罠について解説してくれている本です。この領域で仕事をしている人は、多かれ少なかれ肌感覚で感じていることがほとんどだと思いますが、それを網羅的に言語化してくれているので、日々の業務課題を明確化する意味では役に立つと思います。コンサルの方が書かれているので、経営側の立場でないと解決できない要素もたくさんありますが、そういう批判を想定してか、経営層、システム部門、ユーザー部門、それぞれの視点からそれぞれの罠についてどんな対策が取れるのかが書かれているのがユニークです。といっても、立場の異なるこの三者が整合性を持って対策にあたるには、経営層のコミットが必要なのだと思います。


■映画 
30 蜘蛛巣城/監督 黒澤 明
31 打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?/監督 武内 宣之

30 引き続き黒澤明監督の未視聴作品を観ています。本作はシェイクスピアの「マクベス」を日本の戦国時代に当てはめて描いた作品だそうです。今のスピード感なら30分程度で描ける内容を、多数のエキストラを用いた迫力ある映像と間をたっぷりと取った重厚な演出で、堂々と2時間弱の作品として仕上げている点はさすがです。物の怪っぽい謎の老婆の存在や能を思わせる主人公の妻の独特のメイク、そして古風な音楽など、東洋的な要素が満載で海外受けしそうです。俳優のセリフが聞き取りにくかったので、英語でもよいので字幕入りで観たかったです。左脳より右脳が勝った印象が強いですが、オリジナリティを追求しようとする鬼気迫る気迫が伝わってくる作品です。

31 こちらは名作と名高い1時間に満たない原作のテレビドラマを90分のアニメ映画にしたために、内容が薄くなったり、余分な要素が加わったりして失敗しています。「蜘蛛巣城」とは対照的です。原作テレビドラマは、大人になる前の不安定な美しさ、儚さ、無力感を描いた脚本と、奥菜恵さんを筆頭とする生身の俳優陣の存在感や演技とが見事に調和した奇跡のような作品でしたが、こちらはアニメにしたために、その美しくも幻想的な映像がかえって陳腐なものに感じられるという悪循環に陥っています。脚本の方も、異世界ものが流行っていることを意識したのかもしれないですが、マーケティングをし過ぎた故に本質を見失っている気がしました。エンドロールで流れる、大ヒット曲「打ち上げ花火」の印象が際立ちます。
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