われわれの実存における最大のテーマ、〝関係〟
生活世界の主題はほとんどすべては人と人との関係をめぐっている
関係にたいする〝かまえ〟、関係態度にしたがって
「関係価値」の方向はさまざまに分岐していく
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関係し合う存在それぞれを一つの人格として固定し
多様な駒が構成するチェスゲームのように捉えることもできる
いわば勝ち負けを決する陣地戦としての関係のゲーム
「友-敵」の区分、駒と駒の連携、敵対、かけひき、せめぎあい
この場合、関係価値はみずからの優位性を証明し、誇示すること
すなわち〝勝つこと〟に収れんする
これとは別に、相互の優劣、勝ち負けを決するのではなく
新たな関係価値の創発をめがける関係のゲームも存在する
たとえば、各種のコラボ、あるいは音楽におけるセッション
ここには、いまここに存在しない関係価値へのめがけがあり
そのことへの共通の了解と予期が〝関係〟を構成する
いわば〝非知的な関係価値〟に開かれた関係態度
暗黙の共通了解と予期的エロスにささえられた関係のゲームがある
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一対一、一対多、多対多、さまざまな関係世界を問わず
関係に対する〝かまえ〟、関係の本質の理解の仕方にしたがって
「関係価値」の方向はさまざまに分岐していく
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──G・ベイトソン『精神のコミュニケーション』佐藤悦子他訳
「精神医学が再帰科学であるかどうかを決めるのは、
精神科医の、医業に対する倫理的な態度にかかっている。
患者との関係、人間の相互作用についての見解、
患者の攻撃からの防衛欲求は、
自分を技術にたけた専門家と静的にみるか、
絶え間なく向上成長する人として動的にみるかによって違ってくる。
前者にとっては誤りはすべて脅威と映るだろうし、
後者にとってりの発見は未来の前進を約束するものだろう」