ことばは知らない、役に立たない
気づかず、見失い、ちがうものを
見当ちがいのものを指し示す
けれど、役立たずものを使うことで
それが触れることのないものの影が浮かぶ
「ちがうな」
粗い目からこぼれてゆくもの
心の視線はそっちへ向けられている
*
もっていかれる、心がさらわれる
なぜかわからない
理由を考えることはできる
けれど、それは祭りのあと
はじまりの発火があって
連続的な発火が起こり
ことばは追いかける
多くは追いかけ切れずに
それでいいと言い聞かせるように
ある〝断念〟によって決着をつける
ことばはいつも〝断念〟を連れている
けれど、そのことを忘れて突き進むと
もう別の場所に向かって
戻れなくなる地点を過ぎてしまう
どんどんちがうものへ
遠ざかっていく感覚が動いている
遠ざかりの感覚を
キープできるかできないか
はじまりの場所へ
帰還できるかできないか
唯一つ、それが最後の手がかりになる