つなぎ目に差し込まれる無音、演奏の一時解除──インターミッション。
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切れ目のない情動と行動の直列状態が自然なフロー、定常状態を維持しているかぎり、
そのこと自体を対象化する契機は生まれようがない。
しかし遷移する環境を生きるかぎり定常性はつねに破られる契機を孕んでいる。
さまざまな困難、矛盾、齟齬、停滞、不安、苦悩に出会うことになる。
このとき自然なフローに同伴し、支えたさまざまな記述命題──自己記述、他者記述、関係記述、世界記述は再点検の要請を受けることになる。
そのことは内なる経験の明証性──情動生起によって告げられる。
さまざまな困難の克服、解消による自然なフロー=定常状態の再獲得のめがけにおいて、
その方法、手段、選択肢があらかじめ明示的に存在するわけではない。
審議の位相──いったん統一的に調整され、整合されたフォーメーションは、
一時停止することで、思考の自由な展開スペースを生みださなければならない。
既定の定常状態を支える記述命題群、その自明性、正当性、妥当性は、
そこで留保され、再点検され、新たなフォーメーションへの移行が審議される。
新たな展開へ向かうためには、演奏の一時停止、ある休止符の挿入が必然化する。
転調、転回、拡張の契機を生みだすこと──
あらゆるゲームでルールの適用除外の特権が許されるのはゲーム参加者全員の合意に基づく。
この適用除外の位相を、自覚の有無に関わらず、それぞれの実存はその内につねにキープしている。