ASAKA通信

ノンジャンル。2006年6月6日スタート。

「経験の形成 ~自由度・差異・気づき・選択性~」(参)

2012-08-28 | 参照

(河本英夫『臨床するオートポイエーシス』2010年青土社)

「寝たきり老人と異なり、重度の発達障害者は頭の重さをいまだ一度も感じ取ったことがないのである。支えをあたえながら、重さの経験を作り出していかなければならないが、他の身体部位を支えながら、頭だけはごくわずかに自由度が残るようにして、この自由度のなかで障害者はみずからの重さを感じ取るのである。
この場合セラピストは、水に浮かんだ障害者にとっての水そのもののようになることが必要である。
こうした身体内感の差異が感じ取れなければ、およそ経験の違いを獲得する回路が形成されないままになる」

「結果として成功も失敗もある場面では、身体行為に選択的制御が必要になる。この選択性こそが、行為の組織化を促すのである。発達障害の治療の基本には、どのような小さな場面でも「選択性に直面する」という事態が含まれる。こうしてみると環境情報-運動系の線形記述は、おそらくロボットにしか当てはまらないのである」





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