天燈茶房 TENDANCAFE

さあ、皆さん どうぞこちらへ!いろんなタバコが取り揃えてあります。
どれからなりとおためしください

ペルシャ猫、遥かなるオリエント、それに続く東欧…

2007-09-30 | 旅行
僕の実家で暮らしてる女王様猫“ふく”。
僕の妹が学生時代に「持て余した知人」から譲り受けて、京都から遥々やって来た。
我が家の先住者のもぐさんも長毛種のチンチラねこだが、ふくも見事なフサフサ毛のペルシャ猫。
でも、性格は強情で雌なのに粗暴。温厚な好々爺のようなもぐさんとは正反対の超我儘ねこ。ねこ大好き人間揃いのうちの家族も「成程、こりゃ持て余す訳だ」とすぐに納得したという曰くつきの困ったちゃんである。

何か気に入らない事があると独りで唸りながら近付く家人にガジガジ噛み付き引っ掻くふくも、見た目だけは純血種のペルシャねこだけあって優美で愛らしい。もぐもオヤジっぽい性格と齢のせいか雰囲気は醤油味の日本猫に近いような気がするが、ふくと同じペルシャの血を引いている。
もぐやふくの何十代か前のご先祖様は、悠久のオリエントで砂漠に沈む三日月を眺めて暮らしていたのかと思うと実に不思議な気分になってくる。
目の前でお手をしながら煮干をねだったり唸りながらチャーハンに入れるハムの欠片を齧っている我が家のねこ達に、そんなエキゾチックな血筋が受け継がれているとはとても信じられないのだが。
「おまえさん達も、何の因果で日出づる国の我が家で暮らすことになったんだろうねぇ。。。」

さて、そんな異国のねこたちの深い水面のような眼を見ていると僕もまた外国に行きたくなってきた。
ねこたちの故郷オリエントへと続く、東欧バルカンの国々へである。
昨年暮れから年始にかけての東欧バルカン旅行を終えるときにイスタンブールで「次はアンカラエクスプレスに乗ってオリエントへ行こう!」と心に誓ったが、実のところはまだ先に進みたくない。まだ僕はバルカンに未練があるのだ。21世紀に入り完全に分裂し消滅したユーゴスラヴィア連邦を引き継ぎ独立した国々、それらを見ていきたい。いまだ独立の騒乱の影を引きずるそれらの国々、日本ではあたかも「バルカンの火薬庫」とでもいうようなきな臭い雰囲気で見られている感すらあるユーゴからの新興独立国群は、実際のところどんなところなんだろう?僕はまだ、セルビアの首都ベオグラードしか知らない。
「よし、また行こうバルカンへ!」

今のところ、どういうルートで旅するか考えながら現地各国の鉄道会社のウェブサイトを巡回してダイヤを確認している段階だが、列車の運転本数が少なく路線も限られることから大体のルートはすぐに決まりそうだ。というか、限られた日数ではそのルートでしか周れないというスジに自ずと落ち着くだろう。
とりあえず、早めにピーク時のヨーロッパ方面行き格安航空券を押さえる必要があるので、航空券の到着地となる周遊ルートの出発都市は決めた。
マザー・テレサの出身地、マケドニア共和国の首都スコピエから旅を始めることにする。
明日以降、ネットを駆使して現地情報の収集を行わなくては…
一人旅は、地道な情報収集から始まるのだよね。

小惑星探査機「はやぶさ」情報:提供 JAXA宇宙科学研究本部
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「はやぶさ2を実現させよう」勝手にキャンペーン
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ねこと名月

2007-09-26 | ねことか
皆さん昨夜の中秋の名月は楽しまれたでしょうか?
僕は週末に茶道の観月会に参加したり、本番の昨晩は缶ビール片手に外に出て探査機「かぐや」に想いを馳せながら芋名月(しかし…凄い名前の付いた名月もあったもんだな)を見上げたり、それなりに満喫しましたよ。

でも、実際には中秋の名月は満月ではなく、明日27日が本当の満月なんだそうな。
明日も月を見ながら一杯やるかな(なんだ、結局飲みたいだけだ)。

さて、今日は久し振りに実家に野暮用があって寄ったのだけど、僕が中学生の頃から家族として一緒に暮らしている長老ねこ“もぐさん”が随分じいさんになって老いぼれていたので少々驚いた。
まあ、今年で御齢18歳になられる化け猫一歩手前の御老体だから無理もないのだが、暫く見ない間に「ヨボヨボ」っとした感じになっていたので流石に見ていて痛々しい。春先まではそれなりに元気で、蝶々やすずめを追いかけて庭先を走り回っていたのにな。
やはりこの夏の熊本地方の異常な猛暑が応えたのだろうか(何しろ今日も気温30℃を軽くクリアして9月中毎日真夏日の記録更新中だしな。。。もう勘弁してくれ~)

そんな訳で、元気だった頃は1年中朝から晩まで外で遊びまわっていて家には殆どいなかったもぐさんも、今では定年退職して悠々自適の僕の父と一緒に隠居を決め込んでしまったようで、一日中、父の座椅子の隣でゴロゴロしているそうな。

「もぐさんよ、明日は満月の晩だぞ。ねこ族は満月の晩に集会を開くんじゃないのか?明日はきっと幹事猫が呼びに来るぞ。出席しないと長老ねことしての威厳が保てないんじゃないか?」そんな事を話し掛けながら見上げる満月寸前の月の、あそこを目指しておまえさんやこの前逝ったDr,名前も刻んだメッセージを携えて、宇宙船「かぐや」は飛んでいるんだなぁ…

世界中の41万人の想いを、月に届けてくれる21世紀のかぐや姫(JAXA「月に願いを」キャンペーン)。
どうぞ、恙無き旅を。。。

小惑星探査機「はやぶさ」情報:提供 JAXA宇宙科学研究本部
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夜の街に往復はがきを求めて

2007-09-24 | 日記
突然ですが、皆さん「往復はがき」って使ったことありますか?
僕は今まで憶えている限りで4~5回しか使ったことがない、31年間生きてきた上でだ。

で、今日急遽往復はがきが必要になり、でも今日は振り替え休日、しかも僕は仕事で出勤。
仕方なく、午後7時過ぎに仕事を切り上げて市内の郵便局本局に買いに行った訳だ、
「本局なら毎日一晩中時間外窓口が開いてるもんね。学生の頃、締め切り前日に書き上げたレポを午前4時頃に時間外窓口に持っていって切手を買って教授に発送したことがあったなぁ…」
でも、「あれ?窓口が真っ暗?…何と、今日は営業17時までですかい!」

そうなのだ、何か世間では「郵政民営化」とかなんとかやっとるなと思ってたら、こういう事になってたんである。
「民営化すると前よりお役所的な営業になるって、どういうことだい!」と悪態をつきながら、
「でも今はコンビニでもハガキを売ってるもんね」と行ってみると「生憎、往復はがきは置いてなくて…普通のハガキと切手ならあるんですけど」あらら。
結局、ショッピングモールにも行ってみたがやっぱり往復はがきは無くて、つまりこの街では夕方に郵便局が閉まれば往復はがきは入手不可能になるという事が分かった。

まあ、実際往復はがきを使う機会なんて殆どないからね、誰も困らないんだろう。
しかし困った、普通のハガキ2枚をセロハンテープで繋げて使うか…いや、それだと違法になるのかな?
くそっ、もとはと言えばメールでも充分済む話なのにわざわざ往復はがきでの応募しか受け付けませんなんて言い出す某お役所のせいだぞ…

今夜は中秋の名月、芋名月ですね。
種子島から月に旅立ったかぐや姫は元気にしているだろうか。
小惑星探査機「はやぶさ」情報:提供 JAXA宇宙科学研究本部
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かぐや、Fly Me to the Moon…はやぶさ2も連れて行って!!

2007-09-23 | 宇宙
(画像提供:JAXAフォトアーカイブス/池下章裕)

H-IIAロケット13号機により2007年9月14日10時31分01秒に種子島宇宙センターから打ち上げられた月周回衛星「かぐや」(SELENE)は、以下の運用を正常に実施しました。(JAXA宇宙科学研究本部トピックス)

かぐや(SELENE)は今のところ正常に月への旅を続けているようだ。
打ち上げを見送る事は出来なかったが、まずはめでたい。
このまま無事に月周回軌道に乗って2つの子衛星を分離し、本格的な月の科学探査を開始して欲しいと心から願うばかりである。
それに何より“宇宙科学の語り部”こと的川先生の提案で実現する事になった史上初のハイビジョンが捉える月から昇る地球の出の映像、早く見たいぞ!

しかし、残念ながらそんな浮かれた気分に冷や水をぶっかけるようなニュースが飛び込んできた。
僕たちが応援している「奇跡の宇宙船」こと小惑星探査機「はやぶさ」の後継機「はやぶさ2」の状況が更に厳しくなっている様なのだ。

はやぶさ2が危ない (2) 「外国のロケットを使うよう指示されている」CommentsAdd Star(「はやぶさまとめはやぶさまとめニュースby hayabusafanさん)
日本が世界に誇る超高性能液体燃料ロケットH-IIA。
普通に常識で考えれば、「はやぶさ2」はこのH-IIAで打ち上げられる…と誰もが思っていた筈。ところが肝心要のJAXAはそう考えていなかったらしい。
これは一体どう解釈すればいいのか?
「はやぶさ2は勝手にやれよ。でもH-IIAは使わせてやらないからな。まあ精々外国のロケットを探してお情けで打ち上げて貰えや」と言われているのか!?

…正直、JAXAが何を考えているのか解からない。
誰も見たことも考えたこともなかった小惑星の世界に挑み、凄まじいまでの成果を上げた「はやぶさ」の後に続くものを、JAXAは疎んじて放り出そうとしているのか!?
世界を震撼させ熱狂させた「はやぶさ」の後継機が必ずや手にするであろう、既に約束され与えられるであろう栄誉を、みすみす外国に譲り渡そうと言うのか!?
我々「はやぶさ」を愛する者達の必死の応援は、一体なんだったのか…

中秋の名月も近付く今宵、僕は職場の茶道サークル主催の月見茶会に参加した。
満月にはまだ少し有余があるが、それでも初秋の夜空に浮かんだ膨らみつつある月を愛でながら雅な一刻を過ごすはずが、あの月に向かい旅を続ける「かぐや」(SELENE)の事を想いながらも僕の心は晴れなかった。

はやぶさプロジェクトはこれからどうなっていくんだろう?
それでも、僕に出来ることは草の根の応援だけだ。またJAXAにメールを送らなくては…
「はやぶさ2を実現させよう」勝手にキャンペーン
という訳で、「はやぶさ2」が日本の力で宇宙に羽ばたくその日が来る事を信じて、
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小惑星探査機「はやぶさ」情報:提供 JAXA宇宙科学研究本部
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かぐや姫を追いかけて ~種子島、2007年晩夏~ 後編

2007-09-22 | 旅行
(表紙写真:種子島宇宙センターの「寝転がったH-IIロケット等身大模型」近くの砂浜から望むH-IIA射場)

2007年9月15日

カーラジオの天気予報によると、台風11号は奄美を襲っているそうで、このまま北上すれば種子島屋久島地方も明日には暴風域に入る恐れがあるという。

今のところ、種子島の南種子町は雲が多く風が強いが雨は降っておらず、それでもこの空模様は「そろそろ暴れさせて戴きますぜ、フッフッフ」とでも言いたげな不気味な黒雲と突風も現れており、これは九州本土に帰るために予約している明日のフェリー「プリンセスわかさ」は欠航するんではないかなと心配になり予約センターに電話してみると「う~ん、明日の運行は今のところなんとも言えませんね。今日の便は予定通り出航しますが、途中で引き返すかもしれません」ええ~!?という事は明日はもっと状況が悪くなるかもしれないってことだよね?
「ええ、まあそうですね。」そりゃ大変だ。このまま明日まで待ってると本格的に本土に帰れなくなるかも知れん。ここは“引き返す勇気”が試される時だろう。「あの~今日の便に予約変更できますか?」「ええ、生憎今日の鹿児島行きの便は満席になってます。キャンセル待ちも一杯な状況でして…」畜生、みんな考える事は同じか。
それならと実家に電話して弟にネットで気象状況を確認させると「台風の進路は種子島からそれてるぞ。大丈夫なんじゃねーの?」とのこと。まあどっちにせよ今日は種子島から出られない訳だし、こうなったらあれこれ心配しても始まらん。予定通り、今日は種子島宇宙センターの宇宙科学技術館と施設案内バスツアーを楽しもう!

一晩世話になった某公園の水飲み場で顔を洗い、サッパリした気分でハンドルを握り種子島宇宙センターへと向かう。公園の近くの山中には秘密基地然としたパラボラが屹立する光学観測所が…


山道を登り、今日も種子島宇宙センターにやってきた。
宇宙科学技術館前にはNASDAのN-Iロケットがそそり立つ。「このロケットはH-IIと違って『立ってる』ね」
それにしても、陽が射してくると暑い!宇宙科学技術館の開館時刻9:30までまだ少しあるので、N-Iロケットの日陰で休憩。

宇宙科学技術館は元は宇宙開発展示館と称していたらしいが、所謂「宇宙開発3機関統合」以降は「宇宙開発のNASDA」のみならず、同じ釜の飯の仲になった宇宙科学研究所ISASの存在を意識したのか「宇宙科学」を盛り込んだ名称に変わっている模様。
開館と同時に館内に入ると、松本零士画伯の「銀河鉄道999」のヒロイン、メーテルを描いたキャンバスと小惑星探査機「はやぶさ」の大冒険を伝えるISASビデオの放映がお出迎え。もとはNASDAの施設なのに、なんか意外にISAS濃度の高い館内ですねぇ。


館内にはロケットエンジンやロケット模型が並び、それなりに見応えがある。しかも無料!
展示の目玉は地球観測衛星「だいち(ALOS)」の試作モデル。
「かぐや」もそうだが、巨大マシンのH-IIAロケットでの打ち上げを前提とした種子島から飛び立つ衛星はサイズがマイクロバス級で重量も余裕で数トンという巨人機揃いで、華奢なM‐Ⅴロケットで飛び立った宇宙研のコンパクトな科学衛星とは好対照である。

展示内容は何か全体的に「宇宙開発のお勉強をしましょうモード」なのだが、その中で一番楽しめたのが「ロケット打上げシアター」。
これはプロジェクターの大画面と音響でH-IIAロケットの打ち上げを体感できるというもので、目の前でH-IIAの固体燃料ブースターSRB-Aが切り離されフェアリングが開頭し地球に落ちて行く様子をおそらく実機に搭載したカメラで撮影したと思われる迫力満点の映像で見せ付けてくれる。純粋に「うおーーー!!!ロケットの打ち上げってカッコいいーーー!!!」と実感する事請け合い。

「かぐや」の打ち上げを見込んでか、月探査に関する展示もえらく気合が入っていた。それも数年前から展示され続けているらしく、JAXAの「かぐや(SELENE)プロジェクト」に対する期待とそれが長年の悲願であったことを感じさせる。
でも、こんな展示を見ると何とも複雑な気分になってしまうのである。


月探査などの「宇宙科学部門」の展示スペースは「宇宙開発展示館」が「宇宙科学技術館」に模様替えした際に増設されたのかも知れないが、かなり詳しく宇宙科学分野を紹介しているという印象。

宇宙科学の偉人達の並ぶパネルには、この人の姿もあった。
トランシルヴァニア出身のロケットの父、ヘルマン・オーベルト先生。
オーベルト先生の実家であるルーマニアのシギショアラに行った時のことを思い出す。結局、シギショアラの時計塔博物館に展示されているというオーベルト先生の遺物は見れなかったんだよなぁ…いつの日かまた見に行きたいが。
しかし、オーベルト先生以下、アメリカを月に導いたヴェルナー・フォン・ブラウンを取り巻く人々の肖像は網羅されていたが、フォン・ブラウンと共に月を目指したもう一人の男、ソ連のセルゲイ・コロリョフに関するパネルがなかったのは残念。ガガーリン少佐のパネルはあったんだけどね。(そういえば糸川英夫教授のパネルも欲しかったな…)

内之浦宇宙空間観測所に併設された宇宙科学資料センターは“学校の科学部で作った資料館”という雰囲気のアナクロな手作り感が魅力だったが、ここは充実した展示が魅力だ。という訳で詳しく見て周っていると、あっという間に正午になってしまった。なんかお腹が空いたなぁ。。。あ、よく考えたら昨日種子島に上陸してから水以外何も口にしてなかった。。。って、何やってるんだよ我ながら!昼飯食おう、宇宙科学技術館には食堂もあるんだよね。「ロケット定食」とかあるかな?
…そんなメニューはなかったが、何なのこの安さ。カレーが350円?社員食堂かよここは。という訳で海の向こうのH-IIA射場を見ながら大盛りカレー400円也を頬張る。何て贅沢なランチタイム!
しかし、お客はメーカーの制服来た職員さんばっかりで、なんだやっぱりここは種子島宇宙センターの社員食堂みたいなもんだったのか。

腹もくちくなったところで、お待ちかねの施設案内バスツアーの集合時刻となった。受付カウンター前に行くと、ツアコンに引き連れられた団体ツアーご一行様が参加するようでかなりの人だかり。今回のツアーは定員が埋まってしまい満席との事。
種子島観光ツアーのじっちゃんばっちゃんと一緒にJAXA差し向かいのバスに乗って、向かうは「大型ロケット発射場」!!の筈だったのだが、打ち上げ翌日ということで今日はまだ射場が作業の為に封鎖されており、替わりに昨日も行った「ロケットの丘展望所」へと向かう。
せっかくなので、バスガイド役の宇宙科学技術館のお姉さんに「この場所からロケットの射点移動が見れるんでしょ?」と確認してみる。
「ええ、ここは人気がある場所なので、射点移動の時は混み合いますよ」とのこと。早めに来ないといかんってことか…

次にバスは「大崎第一事務所」へと向かう。H-Iロケットの打ち上げまで使われていた朽ち果てつつある中型ロケット射点を見ながらバスが向かう先にある建屋はメーカーの事務所になってるらしいが、こんなポスターの貼られた廊下の先の扉を開けると…



そこにはロケットがいた。
実物大のモックアップではない。正真正銘の、宇宙に飛んでいく筈だったH-IIロケットの7号機の機体である。
先行して飛んだ8号機が打ち上げに失敗してしまい、その煽りを食らって永久に飛ぶ機会を失ってしまい、組み立てられることもなく分割されたままの姿で転がされているのだ。ああ、もったいない!
でも、おかげで本物のロケットの機体を間近でじっくり見ることができる。芝生広場に寝転がってる実物大模型のH-IIがいかにも作り物然としたツルッとした印象なのに比べて、この本物の7号機は全身から“機械の塊ッ!”というオーラを放っているようで独特の存在感がある。
ゴツゴツしてるんである。



ここにエンジンが据え付けられる筈だった。
あるべき筈の物がないのは、やはり寂しい。


機体脇に積み重ねられてるフェアリング。


この角度で見ると、0系新幹線に似ている。
高速と耐久性と軽量化を追求するとみんな同じ形に行き着くんだなきっと。


使われる見込みがなくなってしまった部品も、今でも厳重に管理されている。


本物のH-II機体の一番の特徴が、表面が塗装ではなく断熱材吹き付けになっていること。これのおかげで機体がザラッとした感じになって独特の質感を醸し出している。しかしこの断熱材、発泡スチロールのような軟いものなのでかなりデリケートらしい(スペースシャトル「コロンビア」にとどめを刺したのも外部燃料タンクから剥がれ落ちた断熱材だったなぁ)。だから断熱材の手入れも結構大変そうである。
ちなみに、この張り紙を見て某エ○゛ァンゲリオンのワンシーン(巨大コンピュータMAGIの筐体内部に「乗るな!へこむ」とか注意書きが貼ってあるアレねw)を思い出してしまった訳だが。。。

ところで発泡スチロールみたいな軟質のものを見ると爪を立ててむしってみたくなるのが人の常だと思うが(僕だけか?)、残念ながら本物のH-II機体には手を触れることは出来ない(当たり前だ)。でも、そんな欲求不満の溜まった見学者の為に気の利いたサービスが用意されている。
これ↓

本物の断熱材と同じ素材で作ったブロック。
これで思う存分爪をといで下さいという訳だ(ウソです。触るだけです。爪をといではいけません)。ちなみに実際に手で触ってみると、断熱材は発泡スチロールよりみっちり締まっていてウレタンに近い質感だった。


最後に総合指令棟を覗いて、1時間半弱の見学バスツアーは終了。
発射場に入れなかったのは心残りだが、無料でいいもん見させてもらい満足。

さて、宇宙科学技術館に帰ってきたがこれからどうするかね。何となく海の向こうが怪しい雲行きなので、暫くロビーの「宇宙メダカ」の稚魚を見たりして時間を潰してたら案の定、ザーッと雨が降り出したがものの10分もしないうちにカラッと上がって青空が広がる。スコールかい!?
まあ、一雨降って多少はしのぎやすくなったかも知れんので、冷房の効いた館内を出て砂浜に向かって歩き出す。向かうは、マスコミがロケット打ち上げを撮影したり記者会見が行われる「竹崎報道センター」。打ち上げ時はマスコミとVIP以外は入れない特等席となるが、普段は誰でも屋上に登ってH-IIA射場を眺めることが出来る。
「雨が降ったら涼しくなるどころか水蒸気が立ち込めて余計酷くなったな…」とぼやきながら、砂浜の中に延びる1本道を歩く。竹崎は昔は島だったそうで、以後ここを「種子島のモン・サン=ミシェルと呼ぶことにする。

さて、昨日は大いに賑わったであろう竹崎報道センターも今日はひっそりしている。でも、不思議な建物だな、1階はトイレとシャワールームか。これもJAXAが管理してるんだろうか、海水浴客やサーファーへのサービスかな?よく分からん。

竹崎報道センター屋上からの眺め。昨日はここにマスコミ各社がひしめき、ここで撮られた写真が今日の朝刊を飾った筈だ。



でも、撮影に使った後は綺麗に後片付けしようよ、場所取りガムテ放置しちゃいかんよ。

かくして1日かけて堪能した宇宙科学技術館と施設案内バスツアーに大満足。これらすべて無料というのがまた素晴らしい。閉館間際の宇宙科学技術館を後に、クルマで島の反対側にある島間港へと向かう。ここは名古屋の工場で製造されたH-IIAロケットが最初に種子島に上陸する場所。ここから射場まで、H-IIAは特大トレーラで一般道を陸送される。

おそらくH-IIAが運ばれるルートであろう道を辿り、島間港へ。「こんな細い山道をH-IIAは通って来るの?信じられん」
島間港は発着している屋久島航路のフェリーが時化で全便運休になっていてひっそりしていた。「明日、本土に帰れるかな…?それより、かぐやは無事に飛んでるんだろうか?」ずっとカーラジオを聞いてるけど、ニュースでもH-IIAロケット13号機打ち上げ成功の第一報を伝えたっきり、全然続報をやらないんだよな…

2007年9月16日

相変わらず風は強いが、嵐というには程遠い。これなら船も出るだろう。何とか帰れそうだ。
西之表港に向かう前に、前回H-IIAロケット12号機の打ち上げを見た長谷展望公園に立ち寄ってみる。

雨雲がかかった空間に幻想的に浮かぶ種子島宇宙センター。

3日間走り回ってすっかりカラになったガソリンを補給。レギュラーが1ℓ160円!?…ここではガソリンは貴重品だった。
とか何とか言いながら、途中で新種子島空港に寄ってみたりしながらのんびり西之表港に帰って来た。フェリーターミナルで確認すると、果たして鹿児島行き「プリンセスわかさ」は通常通り運行するとの事。ああ良かった!
午後1時半の乗船開始まで時間があるので、未踏破の種子島東海岸を少しクルマで走ってみる(ガソリンは貴重品じゃなかったのかよ~)。国道が通り集落が散在する西海岸と違い、東海岸は険しい山裾に荒波が打ち寄せる海の世界だった。


さて、今回の種子島ロケット紀行は到着前にかぐや姫に振り切られるというトホホな結果に終わったが、なあに次があるさという訳で次回のH-IIAロケット打ち上げ予定は今年度中の冬季!詳しいスケジュールはまだ未定だが、この冬に「超高速インターネット衛星 WINDS(ウィンズ:Wideband InterNetworking engineering test and Demonstration Satellite)」を打ち上げることになっている。
「僕はまたこの島に戻って来るぞ、今度こそ、またH-IIAロケット打ち上げを見るぞ!」と誓いながら、遠ざかっていく西之表の町並みを眺めたのだった。

(旅行記終り)

かぐや姫を追いかけて ~種子島、2007年晩夏~ 前編

2007-09-21 | 旅行
(表紙写真:種子島宇宙センター竹崎報道センター屋上から見る碧い海と白い雲)

三菱重工業株式会社および宇宙航空研究開発機構は、平成19年9月14日10時31分01秒(日本標準時)に、種子島宇宙センターから月周回衛星「かぐや」(SELENE)を搭載したH-IIAロケット13号機 (H-IIA・F13) を打ち上げました。 13号機は正常に飛行し、打上げ後約45分34秒後に「かぐや」を分離した事を確認しました。
(JAXAプレスリリース H-IIAロケット13号機による月周回衛星「かぐや」(SELENE)の打上げ結果について)

アポロ計画以来最大の月探査ミッションであるSELENE[SELenological and ENgineering Explorer]プロジェクト(JAXA)。
平安時代の日本で紡ぎ出された、謎と浪漫と雅に満ちた世界最古のSFラブロマンス「竹取物語」のヒロイン「なよ竹のかぐや姫」に因んで「かぐや」と名付けられた、縦・横: 2.1メートル/高さ: 4.2メートル/重量: 1.6トンの巨大衛星SELENE(セレーネ)は、日本が世界に誇る高性能液体燃料ロケットH-IIA-13号機によって打ち上げられ、無事に地球周回軌道に乗り、月へと旅立った。
「かぐや」には「月に願いを!キャンペーン」により公募された世界の約41万人の人たちの名前・メッセージを刻んだネームシートが搭載され、共に月へと旅をする事になっている。その41万人の中には僕と家族、僕の友人や大切な人のメッセージも含まれており、だから僕も皆と一緒に「かぐや」に乗って月へと旅立つような気分なのである。
そんな「かぐや」の旅立ちを見届けたい、僕と、僕の愛する大切な人たちの熱い想いを刻んだメッセージを携えた「かぐや」の旅立ちを祝福したい。そんな気持ちで、僕は種子島へと「かぐや」を追った。それは、夏の終りの狂おしい暑さの種子島に展開した滑稽な狂想曲となった。そんな「真夏の終りの夜の夢」の悲喜劇、徒然なるままに綴ってみたいと思う。

2007年9月14日
北上しつつある台風11号の影響で、時折突風が吹きつける鹿児島港南埠頭。
空にはどす黒い雨雲が流れ、桜島も雲に隠され裾野しか見えない。

僕は種子島行きのフェリー「プリンセスわかさ」にチェックインして愛車の13万キロ走破11年選手のヴィヴィオビストロをフェリーの船倉に押し込むべく、早朝のフェリーターミナルで搭乗手続き開始を待っていた。
当初、9月13日に予定されていた「かぐや」(SELENE)/H-IIAロケット13号機(H-IIA・F13)の打ち上げは、9月12日の時点で悪天候で1日延期されていた。
この延期の知らせを、勤め先で昼休みにネットをチェックして知った僕は秘かにほくそ笑んだ。
読みは当たった!…打ち上げは、延期された!
実は僕はヤマ勘で「打ち上げは雷と雨で“2日”延期される」と読んでいたのである。
9月13日の打ち上げが2日延期されると、15日土曜日の午前中に「かぐや」を載せたH-IIAロケット13号機は打ち上げられることになる。それなら、前日の14日金曜日に1日だけ有給休暇を取って種子島に渡ってしまえば、後は余裕で打ち上げの全容を種子島で見ることが出来ることになる。
「これで行きましょう!」
という訳で、既に9月14日の種子島行きフェリー「プリンセスわかさ」のチケットを取っていたのだ。

…ところが、途中まで当たったヤマ勘は後が続かなかった。
打ち上げ1日延期決定の後、いつまで待っても打ち上げ再延期の知らせは届かなかった。天気予報を見ると9月14日は種子島宇宙センターのH-IIAロケット射場のある南種子町の天候は「雨、雷」とあるが、JAXAの打ち上げチームはこの日に「かぐや」を何とか打ち上げてしまおうと肝を据えたらしく、結局前日の13日午後に「明日の打ち上げGO!」の決定が打ち上げ主任から下されてしまった。
「おいおい、そりゃないよ!」と泣き言を云ってみたところでどうなるものでもない。とうとうH-IIAロケット13号機に液体燃料の注入を開始することまで決定してしまった。

万事休す!

一旦ロケットに液体燃料を注入してしまえば、あとは打ち上げるしかない。ひとたび液体燃料を充填してしまえば、今更ロケットの打ち上げを中止しようとすると燃料抜き取りの膨大なコスト(数千万円かかると言われる)と機体再メンテの手間がまあ1週間はかかる。だからロケットに液体燃料を注入開始するということは相当の確率でこのまま打つということなのだ。
結局、JAXAから発表があったとおり、「かぐや」は2007年9月14日(金)の10時31分01秒に打ち上げることがほぼ決定的となった。
しかし、今更フェリーの予約を取り消して自宅で打ち上げのネット中継を見るのも虚しい。
文字通り「乗りかかった船」だ、このまま種子島へ行ってしまえ!運が良ければ船上から雲の切れ間を飛翔する「かぐや」(SELENE)/H-IIAロケット13号機(H-IIA・F13)の雄姿を拝めるかもしれない。
という訳で、深夜の国道3号線を南下して9月14日の早朝、鹿児島港に到着したのである。

種子島・西之表港行きのフェリー「プリンセスわかさ」。
3年前に新造投入されたばかりのきれいな船。瀟洒な青い船体がまるで外洋航路のクルーズ客船のようで美しい。
船内への車輌積み込みの手続きを済ませて、午前8時40分の出航までまだ時間があったので、冷房の効いたフェリーターミナルの待合室で休憩。テレビのNHKニュースを見ていると「かぐや」打ち上げ間近の現地中継が入った。
「種子島、快晴じゃん。。。ダメだこりゃ。打ち上げ主任のGO判断は正しかった、お見事!(涙目)」
種子島宇宙センターでH-IIAロケット射場をバックにレポートするアナウンサーの背後には、見事に晴れ上がった青空が映し出されている。
「こりゃまた見事な“打ち上げ日和”だね、とほほ。。。」
「プリンセスわかさ」の種子島・西之表港到着予定時刻は正午過ぎ。その時間には、予定通り打ち上げられた「かぐや」(SELENE)/H-IIAロケット13号機(H-IIA・F13)は既にロケットからの衛星分離と地球周回軌道への投入も完了し、宇宙を飛んでいることだろう。かくして鹿児島出航前に「かぐや打ち上げを現地で見る」という目論みは完全に瓦解した。

まあ、今更がっかりしても仕方がない。昨夜、ロケットに液体燃料の注入が始まるという事が分かった時点でこうなる事は折込済みだった訳だし。こうなったら開き直って今から種子島の旅を楽しんでやろう。何だかんだ言って、僕はまだ1回しか種子島に行ったことがないし、それもH-IIAロケット12号機の打ち上げを見てとんぼ返りしただけなので(でも種子島を徒歩で縦走したりしてるんだけどw)、あちこち見て周って今後のロケット打ち上げ見物行脚の為の情報収集をして来よう。
かくして、気を取り直して、出港準備を整えた「プリンセスわかさ」に乗り込んだのだ。

船内のエントランスホールでは、いきなりこんなオブジェがお出迎え。
「プリンセスわかさ」は流石に新造船だけあって船内も小奇麗で、離島航路の連絡フェリーとは思えないほど垢抜けている。
スタンダード船室はカーペットの大部屋以外にもブリッヂ前面部にプロムナードと称する展望サロン風の部屋や、ビデオ上映サービスが行われるミニシアターもあってサービスが充実している。

鹿児島港での荷役に手間取った関係で定刻より10分遅れて出航した船は、波静かな錦江湾内を南下する。
右舷側の薩摩半島には、秀麗な薩摩富士(開聞岳)の山容が。

そうこうしているうちに、時刻は既に10時半近い。
船の最上層甲板「スカイデッキ」で、種子島のある方向の空を見るも、厚い雲が垂れ込め空は全く見えない。
「現地は快晴なのに、何で周囲はこんなに雲が多いんだ?」
残念ながら、これでは宇宙へと飛翔するH-IIAロケット13号機の雄姿は拝めそうにもない。

デッキにはロケット打ち上げを見ようという乗客が集まったが、みんな「ダメだこりゃ」と諦め顔。

結局、船上からは「かぐや」(SELENE)/H-IIAロケット13号機(H-IIA・F13)の旅立ちは全く見えなかった。
それでも僕は、秒単位で時刻を合わせた高校生時代から愛用している腕時計、SEIKOのSUCCESS ALBAムーンフェイスで「かぐや」の打ち上げ時刻10時31分01秒をカウントした。
「日本標準時10時30分51秒…56秒…5.4.3.2.1、H-IIA・F13リフトオフ!」

21世紀の竹取物語、我らのかぐや姫セレーネは今まさに旅立った(筈だ)。
41万人の地球人のメッセージを携え、昇天していく「かぐや」。
どうか月まで良い旅を…

それからしばらく、雲間に眼を凝らしていたが、かぐやの痕跡は全く何も確認する事ができなかった。


船は九州最南端の佐多岬の断崖をかすめ、いよいよ外海へと出て行く。
種子島はもうすぐだ。
外海に出た途端、ローリングとピッチングが激しくなったが、それも束の間。定刻より若干遅れたものの、「プリンセスわかさ」は12:20に無事、種子島・西之表港に着岸した。

さて、半年振りの種子島上陸であるが、まずはフェリーの船倉から引っ張り出した愛車ビストロ君のハンドルを操って西之表市街を抜け、島内唯一の国道である58号線を一路南下。数時間前に「かぐや」とH-IIAロケット13号機が旅立ったばかりの、南種子町の種子島宇宙センターを目指す。
徒歩だと一晩かかる種子島縦断移動も、クルマだとほんの小一時間。途中、美しい海岸線沿いや妖怪“チョカメン”に追いかけられた峠道を走り抜ける快適なドライブだ。
「いや~やっぱりクルマがあると楽だわ!」まあ、大概の人は種子島の南北を歩いて移動しようなんて考えないかも知れんが…
南種子町に入り、そのまま「宇宙センター方面」の標識に従い一般道を進むと、道路脇に種子島宇宙センターを示すTNSCの看板が見えてきてそのまま宇宙基地の敷地内に入ってしまう。内之浦の宇宙空間観測所もそうだが、日本の宇宙基地は仰々しいゲートや検問所がある訳でもない、えらく開けっ広げなのだ。


種子島宇宙センターの敷地内に入るのは今回が初めてだ。
種子島南東部の広大な区画を占める、海と山に囲まれた「世界一風光明媚なロケット基地」については、本邦随一の「ロケット打ち上げ観望ガイドブック」である笹本祐一さんの「宇宙へのパスポート」シリーズを読み込んで頭に叩き込んできた筈だったのだが、実際には想像以上に広大なスペースと結構なアップダウン(山を切り削って造成した、文字通り『山中の秘密基地』然とした場所なのだ)のせいで全然土地勘が掴めない。それでもしばらく坂道と急カーブを走っていると、テレビのロケット発射中継で見慣れた砂浜に展開する射場風景が見えてきた。但し、流石に本番の打ち上げ直後とあって射場へと続く道は封鎖され関係者以外は近寄れなくなっているようだ(まあ当たり前だわな)。
そのまま道なりに走っていくと、「宇宙科学技術館」との表示があり、突如芝生の広がるスペースに出た。
宇宙センターの一般公開の拠点となる宇宙科学技術館近くには一見、リゾートホテルかゴルフコースのような手入れの行き届いた芝生が広がり、そこに鎮座というか横たわっていたのは…

実物大のH-IIロケット!
(そう言えば内之浦のM台地にもM‐Ⅴロケットのモックアップが寝っ転がってたなぁ。。。横たわるロケットは日本の宇宙基地には欠かせないオブジェなのかな?)



いやあ、でかい!こんな巨大なものが、ついさっきここから見えてるあの射場から炎と爆音を噴出し飛んでいったの?嗚呼~見たかった!!と、H-IIロケットの下の芝生に座り込んで悲しみを新たにしていると、友人Kから電話がかかってきた。
何でも今、秋葉原駅前のアジト兼仕事場(そんなレアな場所に潜伏するなよな~w)で自家用サーバーのメンテ中で、待ち時間が出来たので電話してくれたらしい。
「おおK、僕今どこにいると思う?フッフッフ、聞いて驚け。H-IIロケットのLE-7エンジンの下だっ!!」
「ふ~ん、まあ多分そうだろうと思った」
…さすが中学時代からの親友、僕の行動パターンを熟知している(笑)。
暫くその辺を散歩しながら、種子島―秋葉原で濃い話に花を咲かせる。

H-IIロケットの横たわる芝生広場から少し歩くと、太平洋の白波が打ち寄せる砂浜が広がる。海亀も産卵に訪れるという美しい砂浜の向こうには、つい数時間前にH-IIA13号機が打ち上げられたばかりの射点や組立棟VABが聳え立っているのが望める、素晴らしいロケーションである。
こんな気持ちの良い砂浜を歩きながら友人と何を話していたのかと云うと、
「予定通り来月の連休にはアキバに遊びに行くわ。もう0系こだまと500系のぞみの指定券も取ったし」
「おお待ってるぞ。行き付けのメイドカフェに連れてってやる」
「…お前さん、そんなマニアックな店に出入りしてるのか」
「いや、俺の仕事場から一番近い喫茶店がメイドカフェなんで仕方なくな」
「…さすが秋葉原。つうか、いいのかそれで!?」
「まあな、ここで暮らしてると、所謂『地元の話題』が全部アニメとかコンピュータとかの物凄いマニアックなネタばかりなんで、俺も戸惑ってるんよマジで」

…よく晴れた日の昼下がり、ロケットの見える海で野郎同士で何話してるんだか全く。

Kは仕事に戻るとの事だったので電話を切り上げ、その辺を歩き回ってみる。
「宇宙科学技術館」を覗いてみると、今日はH-IIAロケット打ち上げの当日という事で臨時閉館。
種子島宇宙センターの見学サービスの目玉「施設案内バスツアー」も休止の張り紙が出ていたが、宇宙センターの広報課に電話してみると「明日はツアー実施しますよ」とのことだったのでその場で午後の便を予約。これで明日の日程が決まった。1日中宇宙科学技術館に入り浸って、午後にはバスで社会科見学ツアーだ。

せっかくクルマで来ているので、広大な宇宙センター内を少し走ってみる。
さっき、「宇宙科学技術館」に来る途中で通った展望所らしき場所が気になっていたので引き返してみると、「おお、やはり!ここがロケットの丘展望所かぁ」

ロケット組立棟VABから射点まで、H-IIAロケットを立てたまま移動する「射点移動」を見る「お立ち台(ロケットでもこの呼び方するのかなぁ。。。?)」として有名な場所だった。クルマを寄せて降りてみると、先客の青年2人組から「あ、どうも」と挨拶される。こちらも会釈しながら「ロケット好きな人は気さくな人が多いね…でも、あなた方はきっと数時間前にH-IIAロケット13号機のリフトオフを堪能されたんでしょうなあ。。。うう、羨ましい。。。」と心中で煩悶しながら、これまた見事な景色を眺める。そして「この次の、冬の打ち上げの時は、何が何でもここから射点移動を見るぞ…勿論、打ち上げもだ!」と心に誓うのであった。



種子島宇宙センターから南側の集落である茎永へと向かう道を降りていこうとすると、道端にあった神社。
「ロケットエンジンか何かが御神体の『ロケット神社』かな?」と思い近付いて見るが、神社の縁起を示すものがないので由来はよく分からない。

神社の脇にあった碑文。
種子島宇宙センターを建設する際に移転に協力した集落を顕彰するものみたい。
九州新幹線の新八代駅にもこういう碑文があったなぁ。

すっかり傾いた陽に向かって島を南下。種子島の南端にある門倉岬を目指す。

断崖に太平洋の荒波が打ち寄せる門倉岬。
ここが名高い鉄砲伝来の地である。
天文12年8月25日(1543年9月23日)、この浦に漂着した南蛮船に乗っていたポルトガル人によってもたらされた火縄銃によって日本の歴史が変わったとされる、まさに歴史の現場。
しかし、こんな険しい場所に漂着してしまった船から重い銃器を担いで地上に上陸するのは大変だったろうなあ…
しかも実際には「友好的な日ポのファーストコンタクト」という訳にはいかず、連中船上から地上を銃撃したりしたらしいし…ここで繰り広げられた歴史の重さの上に、波の音だけがいつまでも重なってゆく。

岬は小さな公園になっていて、鉄砲伝来とポルトガルとの交流を記念する石碑などが並んでいる。茂みの中に小さな神社もあり、ロケット打ち上げの前にはJAXAやメーカーの関係者が参拝に訪れるとのこと。僕も二礼ニ拍手一礼して、次回のH-IIAロケット打ち上げを見に来れます様に、とお参り。

夕暮れの中、南種子の町へと戻る道を走っているとこんな石碑が。

明治27(1894)年に漂着したイギリスのドラムエルタン号の乗組員を地元住民が親切に世話したお礼に贈られた英国種の鶏が、現在の種子島特産「インギー鶏」のルーツだそうな。
物騒な鉄砲伝来と比べてなんとも長閑で心温まるいい話だ…って、種子島はそんなに難破漂流船が多いのか?

宇宙センター近くの「河内温泉センター」で一風呂浴びて、今夜は公園の駐車場に停めたヴィヴィオビストロ君の目一杯リクライニングを倒した助手席で車中泊。

(→かぐや姫を追いかけて ~種子島、2007年晩夏~ その2に続きます)

種子島から帰着

2007-09-16 | 日記
かぐやを追いかけ、見事に振り切られて置いてけ堀を食らった今回の種子島渡航。
まあ、かぐやは無事に軌道に投入され、その後も正常に作動しているようなので、まずはめでたい。
かぐやの後を追って北上してきた台風もそのまま種子島をパスして抜けて行ったし、おかげで戻り舟のプリンセスわかさも無事に通常運行で、僕も先程我が家に無事帰着。

明日は娑婆では敬老の日でお休みだというのに、僕の勤め先は通常営業。金曜日に有休取ってるし、明日は出社してお勤めしなくては。
今夜は早めにやすんで島の疲れを取っておかねば。

という訳で今回の種子島行きの顛末、明日以降ぼちぼちまとめてみます。

小惑星探査機「はやぶさ」情報:提供 JAXA宇宙科学研究本部
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「はやぶさ2を実現させよう」勝手にキャンペーン
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種子島にて

2007-09-15 | 実況
種子島に上陸するも既にかぐやは飛び去り、かわりに台風が近付きそうな気配。
今日は宇宙センターの科学技術館に入り浸って海を見ながらカレーを食べたり、無料見学バスツアーに参加してH2ロケットの亡骸や射場を見に行ったり一日中まったりモード。
あ~あ、あと24時間早く島に上陸出来てたら、あと1日打ち上げが延びてたら…
今度の冬の打ち上げでは絶対、組み立て棟から射場へのロケット移動を見てやるぞと天気晴朗なれど波高し種子島の海に誓うのであった。

ところで台風が気になるね。明日の鹿児島行きフェリー、欠航したりしないといいが。

かぐや、雨で出発延期です

2007-09-11 | 宇宙
H-IIAロケット13号機による月周回衛星「かぐや」(SELENE)の打上げ延期について(JAXAプレスリリース)

まあ、ロケットも天気には勝てません。仕方ないね。
天気予報のサイトで種子島・南種子町のピンポイント予想を見てみると、15日土曜日までず~っと傘マーク。
JAXAの「中の人」達、御苦労様です。

ところで僕は14日金曜日に有給休暇を取っているので(ロケットの打ち上げはかなりの確率で数日延期になるので、それを見越した賭けを張ったのだ)、明々後日の船で種子島入りする予定だったのだが、この様子だと錦江湾辺りの船上からかぐやの旅立ちを見送れることになりそうだ。さらに明日、打ち上げの再延期が決定するようなことがあれば見事大当たりで現地で打ち上げを見られるのだが…いやいや、予定通りかぐやを飛ばそうと頑張っておられる方々に申し訳ない、そんな破廉恥なことは言いません。打ち上げが成功してくれれば、遠くからロケットの飛翔をチラッとでも拝めれば大満足です。


今日の夕方、熊本県南部では雨上がりの空に見事な二重の虹がかかっていたよ。
きっと、かぐや姫の旅立ちを祝福する神様の贈り物でしょう。
という訳で月周回衛星「かぐや(SELENE)」とH-IIAロケット13号機の打上げまであと3日!

↑SELENEミッションマーク(画像提供:JAXA)をクリックしてJAXAの「かぐや/H-IIA13号機特設サイト」へGO!

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久しぶりに積ん読日々

2007-09-09 | 本を読む
ここんとこ、お出かけが多くてゆっくり本を読んでいなかったのだが、最近は久しぶりに自宅でのんびりする週末が多くなってきたので、本も読めるようになった。
以下、今読んでる&今後読む予定で積み上げている本リストの一部(ネタバレあるかも知れません)。

■「ロケットガール4 魔法使いとランデヴー」野尻抱介著:富士見ファンタジア

スキンタイト宇宙服に身を包んだ美少女女子高生が宇宙で大活躍するハードSFライトノベルの最新作。
今作は短編4作の詰め合わせだが、表題にもなっている第4話は地球帰還が不可能になった日本の小惑星探査機「はちどり」の救出ミッションに女子高生アストロノーツが大活躍!
…なんですが、「はちどり」ってアナタ。。。

どう考えても「はやぶさ」です。本当にありがとうございました(笑)

ともあれ、日本のハードSFをリードする野尻抱介さんの作品だけあって考証は完璧。一見、荒唐無稽で破天荒な設定とストーリーなのに、すべてに検証が行われすべて「事実であり実現可能」なのが凄い。宇宙研の相模原キャンパスや、はやぶさプロジェクトの川口先生(らしき人)も出てくるしw
エンディングでソロモンの樹海に舞い降りる「はちどり」には思わず涙が出たぜ…

しかし、作中では小惑星探査機「はやぶs…じゃなかった「はちどり」はバッテリーの故障により採取した小惑星地表サンプルを帰還カプセルに格納できず危機に陥る訳ですが、実際には「はやぶさ」は宇宙研スタッフの魔法のような手腕でこの問題を解決済みなんですよね~
…SFを軽く超越した奇跡の宇宙船「はやぶさ」、君はホントにどこまで凄い奴なんだ…

■「ロケットボーイズ(上下巻)」ホーマー・ヒッカム・ジュニア著:草思社

ガールの次はボーイ、という訳でもないが。。。
映画「遠い空の向こうに」の原作だそうですが、僕はこの映画知らなかった…まあタイトルに惹かれて購入したわけです。
スプートニク・ショック当時のアメリカの炭鉱町の少年が、自力でロケットを作ることを決意する!という、まあ分かりやすい爽やか青春モノなんだろうと思っていたら、何と後にNASAのエンジニアになった著者の実話だそうだ。
で、読み始めてみたらこれが面白い!アメリカにもエネルギーの石油転換当時の日本の筑豊や北海道の炭田のような「終わってしまう炭鉱の街」があったと言うのも知らなかった事実だし、そんな田舎の炭鉱町の閉塞空間の中でロケットを「作らざるを得なくなった」ロケットボーイズの奮闘と青春が生き生きと描かれる好作。
まだ上巻を読み終わっていませんが、久々に「早く読み終えてしまうのがもったいない」と思える作品に巡りあった。

涼宮ハルヒシリーズ 谷川流著:角川スニーカー文庫

アニメが大ヒットした(らしいが、僕の住む熊本県では放送してなかったんですよこれが)シリーズ作品。
昨年の夏、松浦晋也さんのL/D紹介されていたので何となく気になっていたのだが、夏休みのベトナム縦断鉄道旅行の時に列車内での暇つぶしにと思いネット書店で既刊を一括購入して持参した(文庫本でも8冊まとめるとかなりの重量になりますよ。おかげでベトナムの酷暑の中バックパックを担ぐのが厭になったぜ)。
そんな訳で、寝台車のベッドに寝そべり読み始めたのだが…何か既読感が…「これって…『究極超人あ~る』のオマージュだな!」
いきなりマニアックな喩えで申し訳ないが、「ハルヒ」の「一見日常、でも実際は超非日常的SF世界」という設定は、宇宙人や未来人や超能力者をアンドロイドやマッドサイエンティストに置き換えれば「あ~る」の設定と同じなんである。で、そんな物騒なメンツが揃って何をしでかすかと云うと、何となく学校生活や部活をして、みんなで集まって遊びほうけるだけ、という図式まで完全に一致する。やたらとエキセントリックな先輩やかわいい女子生徒、生徒会との仁義なき闘いまでやってることが同じだし。
そんな「ご近所感溢れる脱力SF青春ドラマ」は妙にリアリティがある分、読んでてとても心地良く楽しいのだ。僕ぐらいの齢になるとそこに「淡いノスタルジー」まで加わる訳だが。

■「コンタクト(上下巻)」カール・セーガン著:新潮社

これも以前から読みたかった作品。
幼稚園児の頃、母親からセーガンの「コスモス」のテレビ番組を見せられたりボイジャープロジェクトについてあれこれ吹き込まれたりしたせいで後に宇宙科学大好き人間になってしまった僕としては、是非とも押さえておきたかった作品。
ちなみにこの作品、人気絶頂の頃のジョディ・フォスター主演で映画にもなったが、僕が人生最初の海外一人旅から帰って来た翌日にこの映画をテレビでやっていて、見ているうちに「宇宙とは言わんが、僕も地球中あらゆる場所に自力で行ってやる!」とよく分からない決心をするに至るほどの感動をしたのを憶えている。

まだ読み始めていないが、多分来月の新幹線0系500系巡礼の旅の車中で読むと思います。

しかし、我ながらマニアックな読書しかしないね。。。何気にライトノベルにも嵌ってるし。。。
ベストセラー?話題の本?何それ??

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Beautiful Sunday

2007-09-09 | 日記
9月になっても残暑の日々が続く今日この頃、皆様良い日曜をお過ごしでしょうか?

最近、週末もあまり夜更かしと朝寝坊をせず、ウィークディと同じ時間に起きるようになってしまった。
齢を取ったせいでパワフルに遊ぶ(僕の場合は徹夜でネット情報を収集するという意味だが…不健康っ!)だけの体力が落ちてるせいかも知れんが、仕事をしなくてもよくて予定も白紙の日に早く起きて、まだ涼しい朝の空気の中で朝刊を読んでいる気分は中々のものである。
こんな爽やかな日曜の朝、悲劇は起きた。

僕は時間があるときは新聞をお手洗いに持ち込んで熟読する悪癖があるのだが、ついでに無闇やたらとトイレットペーパーを浪費するという悪癖もある。
この2つが重なったのが悲運の始まりだ。
ええ、まあ余り露骨に言うと品位が失われますので婉曲に言いますと、お詰まりになりやがったんです、我が家のお手洗い様が。

かくしてよく晴れた晩夏の日曜の午前は、トイレの詰まりを直すのに費やされた。
こういう時、ネットは威力を発揮するね。探したらあったんですよ、某巨大掲示板にこんな良スレが(笑)→http://bubble6.2ch.net/test/read.cgi/toilet/1138559783/l50

「なるほど、『スッポン』は押し出すのではなくて『引っ張り出す』ように使うのか…」とかアホみたいなことを真剣に確認して、スレにあった戦歴を参考にぬるま湯や洗剤まで投入して格闘数時間。
見事に開通したおトイレ様を前に勝利の余韻に浸りつつ「ネットの情報力、無敵なり!」とヘンな達成感を味わったのであった。
まあ、実際水道屋さんを呼ぶことにならなくて良かった、東京遠征0系500系新幹線巡礼の旅や種子島かぐや見送りの旅の旅費を払い込んだせいで今月は一文無しだったもんね。
皆さんもトイレを詰めて爽やかな日曜の午前中を台無しにするような事がないように御用心(´・ω・`)

という訳で月周回衛星「かぐや(SELENE)」とH-IIAロケット13号機の打上げまであと4日!

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去り往く夢の超特急

2007-09-07 | 鉄道
来月の体育の日を含む3連休に有給休暇を足して、4連休を取れる事になった。
丁度、何かのビジネスで東京に長逗留(単身赴任)している友人Kから「せっかくだから東京に遊びに来い」と誘いを受けていたので、この機会に上京することにしたのだ。

さて、せっかく上京するんだから、鉄道大好き人間の僕としては安直に熊本空港から飛行機で羽田まで一っ飛び…という行程は遠慮したい。どうせ遊びの旅だから道中も楽しみたい。
とは云え、ブルートレイン「はやぶさ」にはこの前の宇宙研相模原キャンパス一般公開の時に乗ったばかりだし、第一熊本を午後4時発なので連休の第1日目を無駄に潰してしまうことになる。
「う~ん、はやぶさも捨て難いが…今回は新幹線で行こうか?」

実は、以前から新幹線で気になる話題があった。
鳴り物入りで登場した東海道山陽新幹線の最新鋭車輌「N700系」には「効率を究極まで追求した結果、鉄道を超越した『輸送システム』となった画期的な道具(ツール)である」という感想以外、全く親しみを感じないので興味も何もないが、N700系に追い出されるかたちで今後は僕の大好きな「0系」と「500系」が消えて行くことになるというではないか!

「0系」は、云わずと知れた初代新幹線。
昭和39年、高度経済成長の朝陽を浴びて登場した超特急0系は以来「新幹線の象徴」として君臨し、日本人に愛され続けてきた。
当時としては最新鋭のハイテク車輌なのにどこか憎めない、可愛らしい丸顔がチャームポイント。
そのデザイン性の素晴らしさと独創性は近年再評価の声が高まり続け、つい先日、日本機械学会から「機械遺産」に認定されたばかり。
僕が子どもだった頃、新幹線といえば丸っこくて青いラインをまとった可愛い0系ひかり号だった。それは「日本の明るい希望」そのものだった。

「500系」はフランスのTGVに奪われた世界最高速鉄道の座を新幹線に取り戻すべく、JR西日本が心血を注ぎ総てをかけて開発した究極の超特急。
「日本で世界一速く走ること」、ただこのことのみを目指して産まれた孤高の怪物マシンである。
騒音基準や環境保全など、様々な制約を課せられる「日本の新幹線」という過酷な環境下を、開発当時世界最速の時速300キロで駆け抜ける500系には、ただ「世界一速く走る」という目標を愚直なまでに追求する崇高で悲愴な使命感すら漂っていた。
その雄姿は「走る」上での無駄を究極まで削ぎ落とした研ぎ澄まされた美しさで、最高速度300キロで山陽新幹線区間を疾走する姿は見る者総てを圧倒する壮絶なものである。

この2つの「夢の超特急」も、今後は追われ消えて行くことになる。
新幹線は今後ますます効率化を推し進め、より一層単なる輸送システムへと変貌を遂げていくことだろう。そこにはもはやワクワクするような夢の姿はない。
そのことについて、僕はとやかく言うつもりはない。鉄道の第一の使命は、安全確実な輸送機関たるべきことだ。そこに勝手に夢やロマンを見出すのは、暇人の鉄道オタクのわがままに過ぎない。

だから僕はあくまで一人静かに自己満足に、去り往く夢の超特急を追うことにした。
博多から東京まで、残り少なくなった0系と500系の列車を乗り継ぎ、直通の「のぞみ」1本で行くより4時間以上時間をかけて贅沢に上京するプランを立てて、電話で指定席券を予約した。
オペレーターの女性の「あの~、『のぞみ』1本で行く方が早く東京に着きますよ」という困惑の声に「いいんです…今回はじっくり行きたいものでね」と答えて。

小惑星探査機「はやぶさ」情報:提供 JAXA宇宙科学研究本部
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はやぶさ2があぶない!?

2007-09-05 | 宇宙
はやぶさまとめ」管理人hayabusafanさんの「はやぶさまとめニュース」をチェックしていたら、非常に気掛かりな記事が。

[はやぶさニュース] はやぶさ2の実現が非常に難しくなっている

うらにわ宇宙空間観測所さんによる、四日市市で開催されたはやぶさプロマネの川口先生の講演「はやぶさ-太陽系大航海時代にむけて-」のレポによると、
はやぶさ2のJAXAにおける優先度が低く,とてもこのままでは実現できそうに無いということなのだ。

宇宙塾~太陽系大航海時代にむけて~@四日市 レポ(うらにわ宇宙空間観測所)

「時期が来たら,また応援をお願いするかもしれない。」とのことなので、僕も自分に出来る範囲で精一杯「はやぶさ2」を応援したい。
脅威の成果をあげ世界を震撼させた奇跡の宇宙船「はやぶさ」の後を引き継ぐ「はやぶさ2」が、決してこのまま終わる事はない。
そう信じている。

「はやぶさ2を実現させよう」勝手にキャンペーン
「はやぶさ2」が宇宙に羽ばたくその日が来る事を信じて、
天燈茶房TENDANCAFEは「はやぶさ2を実現させよう」勝手にキャンペーン2007を応援しています


小惑星探査機「はやぶさ」情報:提供 JAXA宇宙科学研究本部
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オーロラロケット見えず…残念!

2007-09-02 | 宇宙
西日本の秋の夕空にリチウムで人工のオーロラを作り出す超高層大気の観測実験WIND (Wind measurement for Ionized and Neutral atmospheric Dynamics study)(:高知工科大学のページ)、今夜実行されました!

観測ロケットS-520-23号機打上げ日程決まる!(JAXA宇宙科学研究本部トピックス)
2007.8.30~ オーロラ出現!? S-520-23号ロケット実験を観察しよう薩摩川内市せんだい宇宙館ニュース)

我が天燈茶房WIND観測班(天燈茶房亭主mitsuto1976+亭主の弟@地元高専生)もこの夏の終りの特大花火を見るべく、実家裏の2級河川の河原で夕暮れの南南東の空を凝視していた。今日は夕方から雲が急速に広がったが、南の方角には雲の切れ間があり星も見えている。何とかなりそうだ!
打ち上げ予定時刻の19:20:00 JSTを過ぎ、内之浦の方角に観測ロケットS-520-23号機の上昇する軌跡が見えないかと目を凝らすも、
「…兄貴、何も見えないぞ」
「そうだな。。。」
まだまだ!第1回リチウム放出予定時刻の19:26:13 JSTにはきっと「満月並みの紅いオーロラ」が見えるはず!
「弟よ!現在時刻確認!」
「現在時刻19:26!」よし、もうすぐオーロラが見えるぞ!!
「兄貴、何も見えないが」
「そうだな。。。」
なんの!リチウムは合計3回放出される。19時半頃まで頑張るぞ!
「兄貴、もう19時半過ぎたがやっぱり何も見えないな」
「………」

という訳で、残念ながら熊本県南部からは赤い人工オーロラは確認することが出来なかった。やはり午後遅くから急速に雲が全天に広がったのが痛かったか。
天候ばかりは人間にはどうする事も出来ないからなあ。。。

尚、帰宅後ネットで確認したところによると観測ロケットS-520-23号機の打ち上げ自体は予定通り実施され、近畿地方では夜空にリチウムの赤い光を見ることが出来たようです(早速画像掲示板に観測写真がアップされていた)。

WIND実験の地上観測が成功して、実験が素晴らしい成果をあげることを期待します。

さあ次は月周回衛星「かぐや(SELENE)」とH-IIAロケット13号機だ、打上げまであと11日!

↑SELENEミッションマーク(画像提供:JAXA)をクリックしてJAXAの「かぐや/H-IIA13号機特設サイト」へGO!

小惑星探査機「はやぶさ」情報:提供 JAXA宇宙科学研究本部
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飛ぶか?オーロラロケットS-520-23

2007-09-01 | 宇宙
あれ?今日からもう9月?
…月日の経つのは光陰矢のごとし。。。

さて、そんな9月の秋の夕暮れ空にオーロラを描く超高層大気の観測実験WIND (Wind measurement for Ionized and Neutral atmospheric Dynamics study)ロケット実験(S-520-23号ロケット実験)(:高知工科大学の最新情報サイト)、
悪天候のために当初予定の打ち上げ日から2回の延期を経て今のところ最新の打ち上げ予定時刻は2007年9月2日(日) 19:20:00 JST!
いよいよ明日の夕方に打ち上げです。

観測ロケットS-520-23号機打上げ日程決まる!(JAXA宇宙科学研究本部トピックス)
2007.8.30~ オーロラ出現!? S-520-23号ロケット実験を観察しよう薩摩川内市せんだい宇宙館ニュース)


天気予報では明日の打ち上げ地点・内之浦宇宙空間観測所のある鹿児島県の天気は晴れのち曇り。微妙だ…
それに打ち上げ地点は勿論、西日本一帯で同時観測が行われるので、まあ要するに西日本晴れでないと打ち上げは難しいからね。
ちなみに僕の地元熊本県の明日の天気は。。。曇り時々雨!?
…orz
やっぱだめかな。。。
まあ明日は朝から好天を祈って打ち上げを待つさ。そう云えば明日は朝7時から町内会の河掃除があるから早起きしないとな…閑話休題

今日、自宅近くの河川敷で内之浦の方角である南東の空が見渡せる場所を見つけておいた。
もし明日の夕方天気が良くてS-520-23号ロケットが飛べば、WINDロケット実験の様子を観測してレポートします。

月周回衛星「かぐや(SELENE)」とH-IIAロケット13号機もがんばれ、打上げまであと12日!

↑SELENEミッションマーク(画像提供:JAXA)をクリックしてJAXAの「かぐや/H-IIA13号機特設サイト」へGO!

小惑星探査機「はやぶさ」情報:提供 JAXA宇宙科学研究本部
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