天燈茶房 TENDANCAFE

さあ、皆さん どうぞこちらへ!いろんなタバコが取り揃えてあります。
どれからなりとおためしください

「はやぶさ2」実現のために、財務省に投稿

2006-10-26 | 宇宙
はやぶさプロジェクト」の第2弾として探査機「はやぶさ」の同型機である「はやぶさ2」を製作し、「イトカワ」とは異なるタイプの小惑星へ向かわせる計画があり、現在予算交渉中であることを先日の佐賀県立宇宙科学館での吉川真先生の特別講演会で聞いたが、これが非常に厳しい状況にあるらしい。

このまま予算が取れなければ「はやぶさ2」は作れない。
「はやぶさ」で獲得した世界最先端の小惑星サンプルリターン技術が、このまま埃をかぶって朽ちてしまうかもしれない。
なんとかならないものか?

科学ジャーナリストの松浦晋也さんがブログ松浦晋也のL/Dで「はやぶさ2」実現のために財務省ご意見箱への意見投稿を呼びかけておられる。

「はやぶさ2」が見せてくれるであろう、未知の小惑星の真実の姿。
それを見たいと思う。だとしたら「税金を払っている日本国民として、財務省に意見する程度は許されるだろう。」と松浦さんは述べておられる。

まったく同感である。

早速、拙いながらも自分なりに「はやぶさ2」の重要性を訴えるべく文章を綴り、投稿させてもらった。

探査機「はやぶさ」の見せてくれた未知の世界と、波乱万丈のミッションは僕に大いなる感動を与えてくれた。
次なるミッションである「はやぶさ2」は僕も出来る限り行動し、敢えて不遜な言い方をさせて頂くなら「ミッションを一緒につくっていきたい」と思う。


皆さんも賛同して頂けるなら、是非上記リンクより財務省への意見投稿をお願いします。



<平成18年12月3日追記>
「はやぶさ2を実現させよう」勝手にキャンペーン が始まりました。
皆さんのメールが「はやぶさ2」実現の後押しになります。詳細は上記バナーよりキャンペーンサイトを御覧下さい。
みんなの力で「はやぶさ2」を実現しましょう!

武雄温泉で「はやぶさ」と会う 佐賀県立宇宙科学館秋の特別企画展「はやぶさ」の挑戦

2006-10-24 | 宇宙
探査機「はやぶさ」が現在、九州に着陸している。

といってもこれは実物大の試作模型の「はやぶさ」くん。
7月の宇宙研相模原キャンパス一般公開で研究棟のロビーに鎮座ましましていたが、今は佐賀県の武雄温泉にある佐賀県立宇宙科学館で開催中の特別企画展「はやぶさ」の挑戦~「星の王子さま」への旅~で展示されているのだ。
九州では初めての本格的な「はやぶさ」企画で、期間中には「はやぶさ」運用チームの吉川真先生を招いての講演会もあり、さらに開催期間も「はやぶさ」の小惑星イトカワヘのタッチダウン成功1周年となる11月26日までという凝りよう。これは期待できそうですぞ。。。
という訳で、吉川先生の講演会のある11月22日に、武雄温泉まで「はやぶさ」くんに会いに行ってきました。

佐賀県立宇宙科学館はJR佐世保線の武雄温泉駅からバスでアクセス出来る…はずだが、バスは数時間に1本という超閑散運転だったのでやむなくタクシーに乗る。
山の上の湖の畔に立つ宇宙科学館の玄関に入ると、早速ロビーで「はやぶさ」くんがお出迎え。相模原一般公開以来だから3ヶ月ぶりか、懐かしいなあ。


展示室に入ると、相模原でも見た展示品の数々が並んでいる。
イトカワ地表に到達すれば世界最小の探検車となるはずだった「ミネルヴァ」の模型(上写真)。


世界中の88万人の熱い想いを刻み、イトカワヘと「はやぶさ」を導いたターゲットマーカの模型(上写真)。

他にもイオンエンジンなど「はやぶさ」の主要パーツの模型や試作品、それに実際に手にとって見ることのできる隕石の実物サンプルなど展示品は盛り沢山。「はやぶさ」の太陽電池パネルの働きを紹介する「動くはやぶさ模型」なんて物もあった。
そんな中で、凄い展示を見つけた!


宇宙科学館のある武雄温泉の隣町の嬉野温泉の銘酒「虎之児」。
宇宙科学研究所では衛星・探査機を打ち上げる度に「性能計算書」という重要書類が作成されるのだが、なぜか毎回その表紙が酒やタバコのラベルのパロディになっているのだ。
日本初の人工衛星「おおすみ」以来の伝統があるという楽しい「性能計算書」改造ラベルシリーズの、「はやぶさ」打ち上げの際に作成されたものの元ネタになったのがこの「虎之児」という訳。

ちなみにこちらが「性能計算書」表紙。
よく見ると「お酒は20歳になってから」が「回収は4年経ってから」に書き換えられていたり「製造年月」が「到着年月 2005年6月」になっていたりとかなり手の込んだ遊びが加えられている。
この改造ラベル、宇宙研の的川泰宣先生が山頭火の書に「虎之児」が出てくるのを思い出して採用したという由緒あるものだが、こんな宇宙ファンの心のツボを突いた逸品をさり気無く展示するなんて、佐賀県立宇宙科学館恐るべし!やってくれるじゃないですか!!

さて、佐賀県立宇宙科学館にはプラネタリウムもあるので、こちらも見てみる。
「はやぶさ」展に合わせてか、「Le Petit Prince 星の王子さま」というプログラムを上映していたが、原作に忠実でよく出来ていた。
サン=テグジュぺリの「星の王子さま」は高校生の頃に読んだが、今あらためて内容をみるとこれって恋愛小説だったんだな…

そうこうしているうちに、午後2時になり吉川先生の特別講演会「はやぶさが見た、星の王子さまの世界」が始まる。
講演会場はプラネタリウムでやるとのことなので、再びプラネタリウムの中へ。

吉川先生の講演会は、プラネタリウムの設備を生かして現在「はやぶさ」がいる方角であるふたご座の位置を案内したり、大きく映し出した武雄市の航空写真に同縮尺のイトカワの画像を重ねてみたり(macで作ったアニメで、武雄市内にイトカワが転がり落ちてくる楽しい趣向でした)、これまでの「はやぶさ」の旅路とその成果の解説の際も「はやぶさ」が撮影した多数の美しい写真を音楽にあわせて天蓋に映し出したりという楽しいものだった。
「はやぶさ公式アルバム」である甲斐恵美子さんの"Lullaby of Muses"のナンバーにのせてプラネタリウムで見るイトカワの画像は印象的で、講演会というよりは映画を見ているようで素晴らしかった。吉川先生、やるなぁ。。。こういう先生が教えてくれたら、日本中の子どもが宇宙と科学を大好きになると思うな。

講演会終了後はお待ちかねの質問タイム。
ええ、僕ももちろん質問させてもらいました。
Q:「はやぶさ」の後継機「はやぶさマーク2」に搭載する新しい観測機器はどのようなものを考えているのですか?
A:小惑星表面を壊さずそのまますくい取れるような採取器。複数の地震計を小惑星表面に設置、及び電波による測定。

Q:「はやぶさ」は地球に帰還してサンプル入りカプセルを投下した後はどこに行くのですか?
A:カプセルを地球に向けて放出した後、化学エンジンを噴射して地球を擦り抜ける予定だったが現在化学エンジンが壊れて使えない状態なので、地球帰還までに化学エンジンが復活出来なければそのまま地球に突入するしかない。その場合「はやぶさ」は大気圏で燃え尽きる。
えええーーーーっ!!!!
確か化学エンジンの燃料は全部漏れちゃってるんだよね?ということは、せっかくがんばって地球に帰って来ても「はやぶさ」は燃え尽きちゃうの?そんなぁ。。。

いやいや、「奇跡の宇宙船・不死鳥はやぶさ」と「努力と根性と執念の宇宙研」のことだ。きっと何とかして「はやぶさ」を救うに違いない!そう信じたい!!


講演会の締めくくりに全員で「はやぶさ」くんのいるロビーに降りて、吉川先生自ら「はやぶさ」の構造の説明をして下さった。
宇宙科学館スタッフの方がイオンエンジンの噴射を模したランプを点灯してくれたが、ここですかさず吉川先生から「イオンエンジンは1基は常に予備ですから4基全部噴かすことはありません」と指摘が入ったりする。さすが実際に「はやぶさ」を飛ばしてる人だなあ。

最後に宇宙科学館の来場者の応援メッセージで埋まった手作りの可愛い「はやぶさ模型」が吉川先生に贈られ、2時間に及んだ講演会は幕を閉じた。
ああ、面白かった!!

もう暫らく「はやぶさ」くんを見ていたかったのだが、4時過ぎにはJR武雄温泉駅方面行きの最終バスが出てしまうので残念ながら早々に佐賀県立宇宙科学館を後にする。
宇宙科学館の常設展示も面白そうだったが殆ど見る時間がなかったので、是非後日改めてもう一度見に来たいと思う。







<平成18年12月3日追記>
「はやぶさ2を実現させよう」勝手にキャンペーン が始まりました。
皆さんのメールが「はやぶさ2」実現の後押しになります。詳細は上記バナーよりキャンペーンサイトを御覧下さい。
みんなの力で「はやぶさ2」を実現しましょう!

八代港に「にっぽん丸」を見に行く。ついでに潜水艦も。

2006-10-16 | 日記
僕の地元にある「八代外港」は普段は貨物船しか入港しない地味~な港だが、年に1回程だけ豪華客船が入港したりする。
一昨年は初代「飛鳥」が入港したが、今年は10月15日に「にっぽん丸」が来るので見に行った。

この日は八代外港一帯で「港祭り」とかいうイベントが行われていて、出店やら「なんとかレンジャー着ぐるみショー」をやっていた。
受付で「にっぽん丸」はどこにいるの?と聞くと「潜水艦の奥のほうにとまってますよ」とのこと。潜水艦も来てるのか…



岸壁の方へ歩いていくとこの看板。
巡視船も来る予定だったのが、例の核実験強行気狂い国家のせいで中止になったとの事。
関係ないけど、巡視船の名前が昨日行った内之浦から打ち上げられた日本初の人工衛星と同じだなあ。。。



岸壁の奥のほうに進んでいくと、ガントリークレーンの向こうにいたいた「にっぽん丸」が…って、遠っ!!!
しかも岸壁の先は立ち入り禁止じゃないの!?
嗚呼、ナンテコッタイ。。。

警備してた兄ちゃんによると「午後3時に出港してここの前を通過していくから、その時見えますよ」とのこと。
仕方がない、出港まで待つか。



せっかくなので潜水艦を見に行く。
今日来ているのは海上自衛隊のSS-585「はやしお」という艦だそうだ。
潜水艦って間近で見るのは初めてだけど、クジラのようなスマートな流線型をしていてなかなかカッコいい。
潜水艦の近くに立っている自衛官も、海軍らしく真っ白い制服がきまっていてこれまたスマートだ。
セーラー服も凛々しい水兵さんとちょっと話したけど、潜水艦は人間関係が濃密になるから適性検査で選ばれた穏やかな人達が乗り込むそうな。
「プライベートな空間はベッドの上だけですよ。寝てる横がすぐ仕事場ですから」
大変ですねえ。
「潜水艦には80人程乗り込みますが、みんな家族のような関係です」
ちょっと楽しそうかも。



市民を乗せて体験公開に出ていた自衛艦「あまくさ」が帰って来た。
海風がかなり強く吹いているので接岸がなかなかうまくいかず、乗員が四苦八苦して船の位置を調整している。
もやい綱が喰い込んでしまったとかでとうとう数人がかりで岸壁に立って艦体を手で押し始めた。
大変ですなあ。



そうこうしているうちにタグボートがやって来て「にっぽん丸」を離岸させようとしている。
しかしこちらも強風のせいでなかなかうまくいかない。
それでも器用に1本の綱で客船の巨体を岸壁から引っ張り出してしまった。
何度見ても、タグボートの操船って上手だなあ。



「長三声」の汽笛を吹き鳴らし離岸した「にっぽん丸」はエンジンを唸らせどんどん加速していく。
客船の出港はブルートレインの出発風景と同じ位情緒があっていいなあ。。。

客船の出港を見送る度に「乗りたい…」と思うが、まだクルーズは一度も体験した事がない。あ~あ、豪華な客船でクルージングしてみたいなぁ…
でも数日間のショートクルーズでヨーロッパまでのエコノミー格安航空券と同じ位の値段だからなあ、やっぱ躊躇するわ。ショートクルーズで日本沿海を周るより格安チケットでもヨーロッパ行く方が数倍楽しいし(こういう考え方の人は最初からクルーズには向いていないっぽい)。

夕陽の中、八代外港を後にした「にっぽん丸」はもう一度「長三声」を吹き鳴らし不知火海に消えていった。
「う~ん、やっぱり乗りたい!」





内之浦宇宙空間観測所一般公開に行ってきました

2006-10-16 | 宇宙
JAXA宇宙科学研究本部内之浦宇宙空間観測所
観測所という名称で呼ばれているが、その実態は世界最大の固体燃料ロケットや各種観測ロケットを打ち上げる「ロケット発射基地」である。
昭和45年に打ち上げられた日本初の人工衛星「おおすみ」以来、日本の宇宙探査の歴史を築き上げてきたロケット基地の年に1日だけの一般公開を、10月14日に見に行きました。

内之浦に行くのは、先月23日の衛星「ひので」打ち上げ以来3週間ぶりだ。
あの時は夜中に高速道路と国道をノンストップで突っ走っても所要時間が4時間近くかかった。
今回の一般公開は朝9時からなので、朝一番で乗り付けるには自宅を午前4時頃には出ないといけない。
という訳で、前日は仕事を終えて帰宅後すぐに就寝して午前3時には起き出して出発の準備をする。夜明け前の高速道路を都城インターまで走り、そこから一般国道の269号線で鹿屋市経由で内之浦へ。
鹿屋から内之浦までは道路標識が非常に解り難くて迷った事もあるが、今回はさすがに3回目なのでスムーズに内之浦に到着。
スムーズすぎて予定より大幅に早く、午前7時過ぎには到着してしまった。

内之浦宇宙空間観測所の一般公開当日は事故防止のため観測所周辺の駐車は一切禁止で、見学客は町営グラウンドにクルマを置いてそこからはシャトルバスで送迎してもらうことになる。
送迎バスは午前9時からなのでまだだいぶ時間があるが、観測所まで1キロほどしか離れていないので山道を歩いて行くことにする。
山の中にあるグラウンドから隣の山にある観測所まで、朝の山歩きは気持ちがいい。

観測所に到着後、まずは一旦ゲートを出て「M台地」へと向かう。
Mロケットを打ち上げるための施設があるM台地、前回観測所に訪れた時は衛星「ひので」発射準備中で立ち入りできなかった。
初めて足を踏み入れるM台地へはゲート脇の「五運橋」(M5ロケットを運び込み為に架けた橋だから5運橋!らしいぞ)を渡って、坂道を下っていった所にある。

なんかまだ時間が早いので、あちこちで展示物の準備をしたりしているが、「あの~もう入っていいですか?」と聞くと「どうぞ御自由に」との事だったのでロケット格納庫に勝手に入っていく。

格納庫内の展示は7月の宇宙科学研究本部相模原キャンパス一般公開の時のものをそのまま持ってきたようで、見覚えのある展示がいくつもある。
あの時来場者に配られた記念品の「宇宙わ(うちわ)」もあったぞ。
上写真は御馴染の日本のロケットの始祖、ペンシルロケット。
ペンシルロケットの生みの親、糸川先生によって設立されて以来、日本のロケットの歴史と共に歩んだここ内之浦で見るとまた趣があるねぇ。


続いて「ポリイミド熱保護膜」。人工衛星や探査機の表面を覆っている金ピカの断熱材だが、これも相模原で見たなあ、懐かしい。。。
とか思ってると解説してくれてる研究者のお兄さんもあの時と同じ人のような。
「これってマジックテープで衛星に張り付けるんですよ~」「剥がれないんですか?」「大丈夫!」って、なんか身に憶えのある会話を交わす。

ちなみにこのポリイミド、一般の人でも発注すれば買えるそうな。
「どんな人が買うんですかね。宇宙機マニアとかかな?」
「いや、うちの研究所の何某さんって先生が買ってね、帽子を作ったんですよ。2重構造にしてね、夏は中に氷を入れて」
「アハハ、本当!?じゃあ夏に相模原キャンパスに行けば金ピカの帽子かぶった科学者がウロウロしてるんですね」
「ええ、いつもこれかぶって自転車に乗って出勤してますよ」
流石宇宙研、凄い科学者には事欠かないようだ…って、いいのか?


ロケット格納庫内では他にもランドサット画像を基に「さつまいもの生育管理と適正なイモ焼酎の生産・供給計画(だったかな?)」の研究をしている鹿児島大の院生さんの熱血解説コーナーや種子島のロケット基地から応援に来てパンフを配ってるロケット技師さんとか面白い人たちがたくさんいて、そういった人たちと話をしているだけで楽しかった。
そうこうしているうちに格納庫内にベル音が鳴り響く。尋ねると「もうすぐロケット整備塔の大扉を開いて、ロケットランチャを出します」とのこと。
これは絶対に見逃せない!
急いで整備塔の方へ向かう。格納庫と整備塔の間には、組み上がったミューロケットを運ぶための巨大クレーンが鎮座まします。


ロケット整備塔の周辺に三三五五と人が集まり始めた。
さらに場内スピーカーからは先月M-V-7ロケットが「ひので」を打ち上げた際の構内アナウンスの録音が流される。実際に打ち上げカウントダウンを放送し、それと同時にロケットランチャを引き出す趣向らしい。実に「マニア心」のツボを押さえた憎い演出だ。
あの日、秋の夜明けの空に最後のMロケットが飛翔した日と同じカウントダウンがM台地に流れる。
あの時、僕はここから2キロ離れた一般見学席でこのM台地を凝視していたなぁ…
カウントゼロと同時に、整備塔の大扉がゆっくりと開いた。「鹿児島県で県庁の次に高い(ランチャ班スタッフ氏談)」建物の側面が、唸りをあげてこじ開けられていく。
やがてすっかり露わになった整備塔内部には、背骨のように巨大なロケットランチャが貫かれている。
ランチャの傍らは現在空洞だが、3週間前まではここにミューロケット7号機がいたのだ。


大扉が完全に開ききると、いよいよロケットランチャが旋回されその姿を外界に晒す。
唸りを上げ、巨大な背骨が整備塔から牽き出される。
世界最大の固体燃料ロケットの、打ち上げの瞬間。
想像を絶する巨大で凶暴なエネルギーの大爆発を受け止め、人類にはそれを止めるすべのない暴れ猛り狂う噴射を寸分違わず適正な方位に向けて送り出す「偉大なる背骨」がその全身を現す。


ロケットランチャはM-V-7打ち上げ時と同じ方位角にセットされた。
ロケットランチャにはM-V-7打ち上げの際の煤がそのまま残っていた。
固体燃料ロケットの爆炎に炙られてもよくぞ耐えた、偉いぞ!と思わず褒めてやりたくなる、けなげなロケットランチャ。


ランチャの基部。リング状の台座の下にロケット噴射の跡がそのまま残っているのが分かる。
ランチャ下部のコンクリート製のデフレクターの表面はまるで火に晒されたプラスチックのようにドロドロに溶解していた。



M台地には他にもM-V-7打ち上げ時の壮絶なエネルギー大爆発の痕跡が残っていた。
整備塔から数十メートルしか離れていないフェンスはこの通り、爆風でねじ曲げられている。
今は応急処置でかろうじて立て直されているが、打ち上げ直後には完全に吹き飛ばされていたのは言うまでもない。


Mロケット発射の度に吹き飛ばされる可哀想なフェンスの向こうに横たわるのは、M-Vロケット1号機。
もちろん本物ではない(本物は宇宙に行ってしまいました)が、固体燃料が入っていない以外は本物と寸分違わず造られた試作品だ。
内之浦基地にはこのM-V以外にもあちこちに各種のロケット試作機が展示されている。



M台地の地下にある管制室も特別に公開されていたので早速入ってみる。
上部をコンクリートで覆われたシェルターの中に、何故か入り口で靴を脱いで上履きに履き替えて入っていくと、まさにSF映画に出てきそうなロケット打ち上げの管制を司る中枢部がある。
「うおー!カッコいい!!」
でもよく見ると壁に弁当屋のメニュー表が貼ってあったり、打ち上げ主任の定位置の机が折りたたみ式の長机だったりするんだよなぁこれが。

見学者を出迎えてくれたスタッフの人は、なんかどこかで会ったような気がするなと思ったら「打ち上げカウントダウンの秒読みは私がやってます」とのこと。
機械のように冷静に打ち上げ時刻を読み上げていたのは、あなたでしたかぁ!
「打ち上げの瞬間もここにいますが、恐いというよりワクワクします。衝撃波が管制室の上をゴロゴロ転がっていくのが分かるんですよ」とのこと。
うーーーん、羨ましい!!!体感してみたいぞ、頭上を転がる衝撃波!



M台地を後にする前に、もう一度整備塔の周りを歩いていたら外壁にプレートが貼ってあるのに気がついた。
ロケット整備塔は建物丸ごと「発射装置」だったのだ。
M-Vの後継機が完成後どこで打ち上げるかはまだ未定だが、再びこの装置が使われることになるといいのだが。
このまま朽ち果てさせるのはもったいない、素晴らしい装置だよ。



M台地の次に、送迎バスに乗って山を登ってコントロールセンターを見に行く。
ここは打ちあがったロケットの管制を、M台地の地下管制室から引き継ぐセクションで、地上にあって窓がある分、地下管制室のような「秘密基地感」はないが各種管制装置が並ぶ中枢部であることには違いはない。
で、地上にあるので当然建屋の外観が見えるのだがこれが相当くたびれている。
くたびれ具合を例えて言うと、僕の通っていた大学の部室棟によく似ている(解り難い例えだ)。

何故かここも入り口で靴を脱いで上履きに履き替えて入るが、室内はどこかの高校の科学部の部室そのものの雰囲気である。
壁際には打ち上げ時刻をカウント表示する装置と、おお「宇宙へのパスポート」(笹本祐一さん著・ロケット打ち上げの取材記です)第2巻にも登場していた「機械式シーケンス表示機」があるぞ!
ということは、当然あるんですよね、自爆装置の起動スイッチが!
でも「いやー、最近はテロやらなんやらがあるからね」ということで、自爆装置ボタンそのものは見せてもらえませんでした。残念。



コントロールセンターの奥は気象情報センターになっているが、ここで見つけた驚愕の秘密兵器がこれ(上写真)。
はい、Mロケットの打ち上げ時の気象情報はこの下駄の転がり具合で決められていたんですね。って、おい!!



で、下駄がこの面を上にして立たない限り打ち上げは延期され続けていた訳ですね。
こりゃなかなか予定通りに打ち上げ出来ないはずだわ。

…もちろん、冗談であると信じたいが、下駄が妙に傷んでいて「転がされまくって使い込まれている」感じだったのが気になる。。。



コントロールセンターで驚愕の光景を目にした後で、すこし山を降りてKSセンターを見に行く。
ここは小型の観測ロケットを打ち上げる台地で、実は日本初の人工衛星「おおすみ」もここから打ち上げられた「日本ロケット史跡」みたいな場所である。
ここではロケットをトレーラーに搭載された移動式ランチャに載せて発射ドーム室内に運び込み、そのまま室内から打ち上げるという面白い方法を用いている。
ちなみにM-Vロケットなき後も観測ロケットの打ち上げは継続されるそうで、次回は年末年始頃に打ち上げられるそうだ。
小型とはいえ「この前撃ったときは熊本県の人吉からも見えたんですよ」とのこと。
また、「観測ロケットはM-Vより近くで打ち上げ見学できるから、かえって迫力がありますよ」とのことだった。これは冬にはまた見に来なければ。



あちこち見て周っているとあっという間に公開終了時刻の午後3時になってしまった。
駐車場行きの送迎バスの最終便が出てしまうので、後ろ髪を引かれつつ内之浦宇宙空間観測所を後にする。
学術研究に特化したロケット基地の各施設は、「科学部の部室」テイストを漂わせた文字通りの「科学の殿堂」だった。
聞くところによると、以前は一般公開日でなくても「せっかく見に来てくれたんだから」と施設の中に招き入れてくれていた時代もあったらしい。アメリカの同時多発テロや「JAXA統合」以降、「見せてあげたくても見せられない」状況になってしまったそうで残念な限り。

内之浦から帰宅する前に、ロケット打ち上げ一般観望所に立ち寄った。
3週間前、最後のM-Vロケットの飛翔を1万人で見送ったあの場所からは、ロケットのいなくなったM台地が見えた。
ここから再びロケットの旅立ちを見送る日が、早く来て欲しい…
そう思いながら、秋の夕陽のさす内之浦を後にした。

秋の健康診断

2006-10-13 | 日記
僕の勤め先では毎年この季節に全社員の健康診断が行われる。
何百人もいる全社員をいくつかのグループに分けて何日もかけて診断するので結構大変そうだ。
今日は僕の割当日だったので、仕事を抜け出して医務室に行くと、なんか懐かしい顔が。。。

「あれ?ケンちゃん先生!?」
「やー、お久しぶり」

6月に脳梗塞?で入院してた時の主治医の先生(通称ドクターケンちゃん)だった。
「今月からね、ここの産業医になったんだよ。毎月来るよ」とのこと。

「その後どう?」
「おかげさんで、もうすっかり大丈夫です。再発もしてないし」
「そう。じゃあ念の為に診ておこうか」
という訳で会社の医務室で眼球運動障害の検査をしてもらった。もちろん問題なし。

「退院してからは酒も控えめにしてるんですよ」
「いいよ、飲んでも。付き合い程度なら気にせず飲みなよ」
…いいのか?

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今週末は内之浦宇宙空間観測所一般公開なので明日は未明から内之浦宇宙空間観測所を再訪する予定。
またリポD飲みながら頑張って運転しなければ。

台北の国際空港、これからは「台湾桃園国際空港」です

2006-10-11 | 旅行
台湾のチャイナエアライン(中華航空)のメルマガが配信されたが、興味深い記事が載っていた。

台湾政府は9月6日の行政院院會(閣議)にて、台北の「中正国際空港」の名称を、同日より「台湾桃園国際空港」に変更することを決定しました。
(チャイナ エアライン/最新ニュース)

僕はこれまで、桃園市近郊にあるから「桃園空港」と呼んだり、単純に「台北空港」と呼んだりしてたが、正式にはこれまでは「中正国際空港」だった訳ですね。
ちなみに中正とは蒋介石のことですな。

これまで中国出身の政治家の名前を冠していた国際空港が正式に「台湾」を称する名称に変わった訳で、スッキリして自然な感じに落ち着いたと思う。

ところで、今月末はいよいよ台湾新幹線(台湾高速鐡路)の開業が予定されているのだが、本当に開業出来るのかな?
なんか全然報道がないんだけど。。。
とりあえず「台湾桃園空港」行き航空券を手配するのは、700Tが本当にお客を乗せて走っているのを確認してからの方がいいかも知れんなぁ。

北朝鮮が核実験実施

2006-10-10 | 時事
10月9日は世間ではハッピーマンデーで休日だったみたいだが、僕は仕事。
朝から独り起き出し、近所中が休日の朝寝を楽しんでるのか静まり返ってる中を出勤。
クルマもあんまり走ってないので渋滞もなく実に快調に勤め先に到着する。くそー!

昼休み、食堂に行くと、いつもはつまらないバラエティ番組を放送しているはずのテレビでニュース特番をやっている。
北朝鮮が核実験をやったらしい。

食後、自分のデスクの端末をネットに繋いで調べてみると、午前10時半頃に核爆発の衝撃波による地震を感知したらしい。

日本もいよいよ太平の安眠を貪っていられなくなった訳だ。
今後は否応無しに「平和の為に戦わなければならない」時代になるのだろう。

とりあえず僕に出来るのは北朝鮮産のアサリや松茸を食べないで暮らす事ぐらいだが…








谷山浩子 「テルーと猫とベートーヴェン」を聴く

2006-10-04 | 音楽を聴く
谷山浩子のニューアルバム「テルーと猫とベートーヴェン」を聴いている((C) Copyright 2000-2006 YAMAHA MUSIC COMMUNICATIONS CO.,LTD )。

…怖い(w
いや、マジで。


この人、昔から怖ろしい歌を綺麗な声でサラッと歌ってたみたいだけど、このアルバムの後半の収録曲の不気味さは際立ってるぞ。
最近の作品はなんか「丸くなった」感じだったんだが、今回は一体何があったのか。


#09「夢のスープ」をエンドレスで聴きながらニコラ・テスラに関する資料を漁ってると、意識が向こうの世界に逝っちゃいそうで中々いい感じ。

Google Earthで旅支度 ニコラ・テスラに会いたくて

2006-10-01 | 日記
Googleの「ネット地球儀」、Google Earth
先日、ついに日本語版がリリースされたので早速パソコンに入れてみた。

いやー、これは面白い!

誰でも子どもの頃、夢中になって地球儀を回したり世界地図に見入ったりした記憶があるだろう、旅や科学が好きで好奇心旺盛な少年少女なら。
これはそんな知的好奇心旺盛な少年少女(及び元・少年少女たち)の遊び心のツボのど真ん中を突いてくる、凄い玩具だ。

Google Earthを起動すると、パソコンのモニタの真ん中に宇宙をバックに地球の画像がぽっかり浮かぶ。
これだけで嬉しくなってしまう。昔、SF映画の宇宙船の操縦室のモニタにこんなのが映ってたなあ。
検索窓に地名を打ち込むと、地球の画像がグルングルン回って目指す地点がズームアップされる。
で、段々と画像が精密な航空写真に切り替わり、一つ一つの建物までハッキリ見えてくる。

…これって、そんじょそこらのテレビゲームなんかよりよっぽど面白いぞ。
宇宙から探査機で地球に着陸するみたいじゃないか!

そんな訳で、自宅の近くや有名な観光地なんかをドンドン表示して遊んでいたのだが、そのうちこれは実際非常に使えるシステムだということに気がついた。
先日のM-Vロケット7号機の打ち上げを見に行く時、事前に内之浦宇宙空間観測所への道程やロケット射場近くの地形なんかをGoogle Earthで表示して下調べをしたので、不案内な場所でも精密な航空写真のおかげでイメージが掴めていたので迷わず現地へ赴き行動することが出来た。
地図で下調べするとどうしても実際の風景は頭の中で想像するしかないが、Google Earthを使えば事前に正確な地勢をビジュアルのかたちで頭にイメージしておけるのだ。
…要するに「初めて行く場所がどんな場所か写真で見て知っとく」ことができるのだ。

これは、特に海外旅行の事前準備に威力を発揮しそうだ。

年末年始休暇に、東欧バルカン半島の旅を計画している。
セルビアの首都ベオグラードからルーマニア・トランシルバニア地方を列車で抜け、西洋と東洋の境目イスタンブールまで行く予定だ。
しかしセルビアは最近まで政情不安(というか戦争してた)だったので旅行情報が少なく、ネットでもあまり有効な情報が集められなかったので不安だったのだが、
Google Earthを使えばベオグラード市内の様子も瞬時に手に取るように把握できる。
ホテルや駅の場所を調べ、更には街の雰囲気までなんとなく理解できるのだ。これは便利!
中央駅からダウンタウンへの行き方や、駅の河向こうにロマ(ジプシー)のスラムがあるヤバそうな一画があることまで分かる。
これから、安全で足場の良さそうなホテルを見つけてネットで詳細情報をチェックして予約する作業に入らなければいけない。

今回、ベオグラードに立ち寄る理由はニコラ・テスラ博物館(NIKOLA TESLA MUSEUM)を見たかったから。
ニコラ・テスラ(1856-1943)はハンガリー王国(後のユーゴスラヴィア)出身の天才発明家。
交流電流を発明した世紀の大発明家なのだが、直流を使った白熱電球を発明したエジソンが名声を得て今なお語り継がれているのに対してニコラ・テスラはほぼ無名の存在である。それどころか、一部の好事家からオカルトめいたマッドサイエンティストとしか思われていない有様だ。
何故か?

そんな訳で以前からニコラ・テスラに興味があったので、暇な時にネットで色々調べていると、思わぬ壮大な人生ドラマが見えてきたのである。
ニコラ・テスラについては今後東欧に出発するまでにもっと詳しく資料を集めて深く読んでみたい。その結果理解できたことや思うことはまたいずれ書くと思う。