天燈茶房 TENDANCAFE

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去り往く夢の超特急

2007-09-07 | 鉄道
来月の体育の日を含む3連休に有給休暇を足して、4連休を取れる事になった。
丁度、何かのビジネスで東京に長逗留(単身赴任)している友人Kから「せっかくだから東京に遊びに来い」と誘いを受けていたので、この機会に上京することにしたのだ。

さて、せっかく上京するんだから、鉄道大好き人間の僕としては安直に熊本空港から飛行機で羽田まで一っ飛び…という行程は遠慮したい。どうせ遊びの旅だから道中も楽しみたい。
とは云え、ブルートレイン「はやぶさ」にはこの前の宇宙研相模原キャンパス一般公開の時に乗ったばかりだし、第一熊本を午後4時発なので連休の第1日目を無駄に潰してしまうことになる。
「う~ん、はやぶさも捨て難いが…今回は新幹線で行こうか?」

実は、以前から新幹線で気になる話題があった。
鳴り物入りで登場した東海道山陽新幹線の最新鋭車輌「N700系」には「効率を究極まで追求した結果、鉄道を超越した『輸送システム』となった画期的な道具(ツール)である」という感想以外、全く親しみを感じないので興味も何もないが、N700系に追い出されるかたちで今後は僕の大好きな「0系」と「500系」が消えて行くことになるというではないか!

「0系」は、云わずと知れた初代新幹線。
昭和39年、高度経済成長の朝陽を浴びて登場した超特急0系は以来「新幹線の象徴」として君臨し、日本人に愛され続けてきた。
当時としては最新鋭のハイテク車輌なのにどこか憎めない、可愛らしい丸顔がチャームポイント。
そのデザイン性の素晴らしさと独創性は近年再評価の声が高まり続け、つい先日、日本機械学会から「機械遺産」に認定されたばかり。
僕が子どもだった頃、新幹線といえば丸っこくて青いラインをまとった可愛い0系ひかり号だった。それは「日本の明るい希望」そのものだった。

「500系」はフランスのTGVに奪われた世界最高速鉄道の座を新幹線に取り戻すべく、JR西日本が心血を注ぎ総てをかけて開発した究極の超特急。
「日本で世界一速く走ること」、ただこのことのみを目指して産まれた孤高の怪物マシンである。
騒音基準や環境保全など、様々な制約を課せられる「日本の新幹線」という過酷な環境下を、開発当時世界最速の時速300キロで駆け抜ける500系には、ただ「世界一速く走る」という目標を愚直なまでに追求する崇高で悲愴な使命感すら漂っていた。
その雄姿は「走る」上での無駄を究極まで削ぎ落とした研ぎ澄まされた美しさで、最高速度300キロで山陽新幹線区間を疾走する姿は見る者総てを圧倒する壮絶なものである。

この2つの「夢の超特急」も、今後は追われ消えて行くことになる。
新幹線は今後ますます効率化を推し進め、より一層単なる輸送システムへと変貌を遂げていくことだろう。そこにはもはやワクワクするような夢の姿はない。
そのことについて、僕はとやかく言うつもりはない。鉄道の第一の使命は、安全確実な輸送機関たるべきことだ。そこに勝手に夢やロマンを見出すのは、暇人の鉄道オタクのわがままに過ぎない。

だから僕はあくまで一人静かに自己満足に、去り往く夢の超特急を追うことにした。
博多から東京まで、残り少なくなった0系と500系の列車を乗り継ぎ、直通の「のぞみ」1本で行くより4時間以上時間をかけて贅沢に上京するプランを立てて、電話で指定席券を予約した。
オペレーターの女性の「あの~、『のぞみ』1本で行く方が早く東京に着きますよ」という困惑の声に「いいんです…今回はじっくり行きたいものでね」と答えて。

小惑星探査機「はやぶさ」情報:提供 JAXA宇宙科学研究本部
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