天燈茶房 TENDANCAFE

さあ、皆さん どうぞこちらへ!いろんなタバコが取り揃えてあります。
どれからなりとおためしください

JR九州20周年「スタンプラリー20」の旅、スタート!

2007-02-28 | 旅行
(写真:肥薩線矢岳駅に停車中のJR九州の観光列車「しんぺい」)

種子島でH-IIAロケット12号機の打ち上げを見送った後、
ナイトハイクと称し一晩中歩き続けて徒歩で種子島を縦断して2月25日未明に西之表港に戻ってきた僕は、
そのまま朝一番の鹿児島港行き高速船「ロケット」に乗り込んで種子島を後にした。

一晩寝ないで歩き続けたので、自覚はないが相当疲労困憊していたらしく、高速船のリクライニングシートに座った直後に倒れるように寝てしまった。
気が付けば船はもう鹿児島港の北埠頭に接岸しようとしている。

霧雨の降る朝の鹿児島の街を、路面電車に乗って鹿児島中央駅に向かう。
このまま九州新幹線「つばめ」に乗れば1時間も掛からず八代市の自宅に帰れる。しかし、すぐには帰らない。
鹿児島中央駅のみどりの窓口で帰りのきっぷを購入するが、買ったのは新八代までの新幹線「つばめ」のきっぷではなく特急「はやとの風」と「しんぺい」と「九州横断特急」のきっぷである。そして、きっぷと一緒に「スタンプラリーパスポート」を受け取る。
今から、JR九州20周年記念イベント「スタンプラリー20」の旅を始めるのだ。

JR九州20周年記念企画「スタンプラリー20」オフィシャルサイト
http://www.jrkyushu.co.jp/20th/stamp.jsp

九州内15の駅と5つの観光列車に設置してあるスタンプを収集すると「プレミアム商品」がゲットできるというこの「スタンプラリー20」、これから鹿児島から八代の自宅に帰るルートを新幹線「つばめ」の直通ルートから在来線の吉松・人吉経由の山越えのんびりルートに変更すると一気に3つのスタンプがゲット出来るのだ。どうせ帰宅を急ぐ訳ではないし、お洒落なJR九州の観光列車に乗ってスタンプを集めながらのんびり帰ろうと思う。


まずは鹿児島中央駅から特急「はやとの風2号」に乗車。
ローカル普通列車用気動車からの改造車、しかもSLをイメージして全身黒塗りという異色の特急列車だ。今日は終着の吉松駅で何かのイベントがあるとかで自由席車を増結して3両編成になっていた。

早速、パスポートに最初のスタンプを捺す。


スタンプを手に入れたら気も楽になって、ワゴンサービスから特製地ビールを買って朝から一杯。
列車は軽快に走っていくしバイエルン風ビールは旨いし、歩き疲れた身体にアルコールが程よく沁みてすっかりご機嫌。
「これだから“乗り鉄”はやめられないんだよ!」

独りでよろしくやってると、客室乗務員から「お客様もスタンプラリーですか?」と声をかけられた。
「実は私もスタンプ集めてるんですよ」とのこと。
「へぇ!いくつ集まりました?」
「この『はやとの風』と、『いさぶろう・しんぺい』、あと『ゆふいんの森』です」
「そうですか。お互いコンプリート目指して頑張りましょうね!」

客室乗務員から「次の停車駅の霧島温泉駅ではホームで手打ち蕎麦の販売があるんですよ」と教えてもらったので、早速購入。
薬味の柚子のいい香りがする手作りの蕎麦が、何と一杯百円!これはお値打ちですぞ。


蕎麦を食べているうちに、「はやとの風」は吉松駅に到着。
ここで山を越える観光列車「しんぺい2号」に乗り換える。

「しんぺい2号」の発車まで時間があるので、ちょっと吉松駅の改札を出て途中下車。


吉松はかつては熊本・鹿児島・宮崎の各方面への路線が分岐する九州の鉄道の要衝だった。
吉松駅には夜行列車も多数発着し、一日中汽笛の音が止む事はなかったという。
現在は静かなローカル線の駅となった吉松駅の近くにはC55形蒸気機関車が静かに佇んでいた。


吉松駅前を歩いていると突如出現する謎の旧型客車と腕木信号機。
実は吉松名物の「汽笛饅頭」の店だ。


鉄道の町吉松に朝な夕な鳴り響いていた蒸気機関車の汽笛の思い出を秘めた、
これがその名も「鉄道銘菓 汽笛饅頭」。
白餡の饅頭を軽く油で揚げた「揚げ饅頭」で、何とも素朴な味。
僕は吉松に来る度に買ってしまう。1個からバラで買えるので、列車で食べるおやつに最適なのだこれが。


そろそろ「しんぺい2号」の発車時刻。
今から九州脊梁の山地を2つのスイッチバックとループ線で越えて行く。


2つ目のスタンプをゲット。

「しんぺい」の旅の真骨頂は“日本三大車窓”の一つである矢岳越えの風景だが、生憎今日は霧雨の中を走って行くので遠く桜島まで望めるという大パノラマは楽しむことは出来ない。


景色は見えなくても、「しんぺい」は山の中の駅にゆっくり停車しながら走っていくので寄り道が楽しめる。
こちら、矢岳駅の隣にある人吉市SL展示館。
現在、奇跡の再復活を目指し小倉工場で修理中のSLあそBOYこと8620形58654号機がかつて保管されていた場所。
現在はデゴイチが一人静かに余生を送っている。



ループ線の中のスイッチバックの駅、大畑ではお座敷観光列車「九千坊」が「しんぺい」の到着を待っていた。
普段は熊本駅から人吉駅までの運転なのでここ大畑駅に姿を現す事はないが、今日は「人吉梅祭り」に合わせて吉松まで足を延ばすとのこと。
以前、この区間に急行列車の「えびの」号が運転されていた頃は大畑駅で上り下りの列車が交換するダイヤが組まれていたが、現在では通常は大畑駅で2つの列車が顔を合わせることはない。
このプラットホームで列車が並ぶのも随分久しぶりの事である。


大畑駅から一気にループ線を駆け下りた「しんぺい2号」は人吉駅に到着。
ここで別府行きの「九州横断特急6号」に乗り換える。


乗車したらまずはスタンプを捺す。
これで3つ目。



これで今日入手出来るスタンプはすべて確保できた。
あとは帰るだけだ。
「九州横断特急」の車内でさっき吉松駅で購入しておいた駅弁、その名も「お弁当」を広げる。地味だけど、家庭的で実に素朴なおかずが詰まった吉松駅の「お弁当」は僕が一番好きな駅弁の一つ。でもいつの間にか、以前は懐かしい経木だった筈の入れ物が樹脂になってたり、おかずにハイカラなフライドポテトが入ってたりして微妙に内容が変化していた。


食後に「汽笛饅頭」を頂く。
店のおばちゃん曰く「蒸気機関車の石炭をイメージした形です」とのことだが、蒸気機関車の動輪のようにも見える。

「九州横断特急」のワゴンサービスは日本国内では珍しく「紅茶」も売っているので購入。ワゴンを押していた客室乗務員から「お客様、それ吉松の『汽笛饅頭』ですね!」と声をかけられる。「私も『汽笛饅頭』大好きなんですよ」とのこと。
「そうですか!この素朴さがたまりませんよね。列車のワゴンサービスでも売ってくれたら嬉しいんだけど、ひとつ検討してみてくれませんか?」

かくして、乗って飲んで食べて大満足の「スタンプラリー20」の旅、今回は3つのスタンプを入手して無事終了!
残るは15駅と2列車。7月16日の期限日までに全部集めるぞ!
さあ、次はどの列車に乗ってどこの駅に行こうか?


種子島縦断ナイトハイク 長谷展望公園→西之表港10時間

2007-02-27 | 旅行
(写真:夜明け前の西之表。ここを目指して歩き続けた。)

種子島宇宙センター近くの長谷展望公園でH-IIAロケット12号機の打ち上げを見送った後、僕はこれからどうしたものかと考えた。
度重なる打ち上げ予定延期の末、急遽2月24日土曜日に打ち上げられることになったH-IIAロケット12号機を見るために大急ぎで種子島行きのチケットの手配だけして身一つで種子島に駆けつけたので、ロケット打ち上げの後どうするか全く考えていなかったのだ。

13:41に種子島宇宙センターから打ち上げられたH-IIAロケット12号機は正常に飛行を続け、やがて搭載していた情報収集衛星2機を分離したことを確認して打ち上げは成功、H-IIAロケットの打ち上げを間近で見るという当初の目的は果たした。もう思い残す事はない。
しかし、今から路線バスで九州本土行きの船が出る西之表まで戻っても今日の鹿児島港行きの高速船やフェリーの最終便には間に合わない。
かと言って宿の手配などはしていないし、第一今日はロケット打ち上げ当日とあって種子島の主要な旅館・ホテルはロケット関係者と見物客で一杯だろう。
どうしようかとあれこれ考えているうちに面倒くさくなってきた。

「さっき、ここまで来るのに乗った路線バスの沿線の景色、きれいだったな。。。あんな景色見ながら歩くのもいいかも知れないな」

よし、歩こう!
ここから西之表までは40キロ以上あるが、ゆっくり歩いても一晩あれば着くだろう。それに、バス路線沿いに歩けば途中でくたびれて歩けなくなってもバス停で待っていれば翌朝のバスの始発便に拾ってもらえる。

午後4時過ぎ、ロケット打ち上げの見学客も皆帰ってしまいひっそりした長谷公園を後に、一路西之表港を目指して歩き始める。
長谷公園周辺は一面の砂糖キビ畑が広がり、沖縄辺りのような風景だ。
砂糖キビの向こうに、誰かの揚げている凧が見える。のどかだ。


こんな看板を見ながら、砂糖キビ畑の中の小路を路線バスの通る国道58号線目指してトボトボ歩く。

国道に出たら、後は一路道なりに北上して西之表を目指す。途中工事中で足場の悪い区間もあったが、概ねずっと立派な歩道があるので歩くのに問題はない。
漸く陽が傾き始めた頃、坂井という集落を通る。国道沿いに立派な公園が整備されているので休憩がてら寄り道。
「国指定重要文化財建造物 古市家住宅」という看板があるので、ちょっと覗いてみようと思い近付いていくと詰め所のような小屋からおじいさんが出てきた。
「見学されますか?」
「ハイ、ちょっと見てみたいんですけど…いいですか?」
「どうぞどうぞ。ただの古い家ですが、こちらです」
という訳で、おじいさんに案内してもらう。

「古市家住宅ってどんな住宅なんですか?」
「ただの古い家ですが、江戸時代後期に建てられた家です。以前この辺りの庄屋だった種子島家の家老の古市さんの家です。」
「へえ。庄屋さんの家なら立派な家なんでしょうね」
「はい、ただの古い家ですが、現在中種子町が管理しています。」
なんかやたらと「ただの古い家」を強調されるが、古市家住宅は実に趣のある家屋だった。


「おお、これは味わいのある家ですね!」
「はい、ただの古い家ですが昔ながらの姿に復元して整備しています」
「風通しも良さそうで、今住んでも住み心地が良さそうですね」
「はい、裏に井戸があって煮炊きは土間のかまどでやります」
「いやいや、ただの古い家じゃないですよ。素晴らしい文化財です。案内して頂いてどうもありがとうございました。」

「ところで、どちらから来られたんですか?」
「熊本からです。ロケットの打ち上げを見に来たんですよ。」
「そうですか。ロケット見に来られる方は最近多いですね。これからどちらへ行かれるんですか?」
「今から西之表まで歩いて船に乗って帰ろうと思ってます。」
「え?ここから西之表まで歩くんですか?」
「ええ、どうせヒマですから…それに最近運動不足なもんで」
「そうですか…ここからだと西之表まで8時間位かかりますが、どうぞお気を付けて」
「はい、ありがとうございます」

古市家住宅を後に、再び国道58号線を北上する。
と、100メートルも行かないうちに「日本一の大ソテツ」の看板が目にとまった。

坂井神社の境内にある「日本一の大ソテツ」を見る。
「ふーん。。。大きいソテツだねぇ」

さて、日も暮れたし歩こう歩こう。

すっかり暗くなった中を歩き続けると、周囲に人家が増えてきた。中種子の町に着いたようだ。中種子には種子島空港もあるし、ひょっとしたらコンビニやファミレスもあるかもしれない。ちょっと一休みして行こうかな…

しかし、中種子には一息つけるような店は無く、使えそうな店はスーパー「Aコープ」とドラッグストアくらいしかなかったのである。
「仕方がない…非常食料を補給していくか」
「Aコープ」でペットボトルのお茶と見切り品3割引のコッペパンを購入。ついでに隣のドラッグストアで聞いたことのないメーカー製のカロリーメイトもどきと「リポD」を買おうとするとレジで「ポイントカード作られますか?」と聞かれる。我が家の近所にも同系列の店があるし、せっかくなので作ってもらう。
「ありがとうございます。明日は当店サービス日なんでポイント5倍です」
そうですか。多分明日はこの店には買い物に来られないと思いますが。

カロリーメイトもどきを齧りながらリポDを流し込んで、ふぁいと一発でさあ行こう!

中種子の中心部から5分も歩くと辺りは一面真っ暗な畑の中の一本道になった。
やがて畑もなくなり、山の中を進んでいく。振り返るとはるか後方に中種子の町明かりとライトアップされた巨大な風力発電の風車がゆっくりと回っているのが見える。
すると、車道を追い抜いていった軽トラが急ブレーキを踏んで停車し、そのままバックで戻ってきた。僕の横で停車した軽トラから運転していた男性が顔を出して
「今からどこまで行くねー?」
「西之表です」
「歩いていくねー?」
「ええ」
「遠いよー、乗って行くねー?」
「ありがとうございます。でも、大丈夫、歩けますから」
「そうねー歩くねー?じゃあ気ぃ付けなー」
“逆ヒッチハイク”だ。親切な人だなー。何だか元気が出てきた。ここから西之表まであと26キロ。頑張って歩くぞー!!

中種子から1時間半も歩くと、潮騒が聞こえてきた。海が近いらしい。
海沿いの集落の中を進む。何だか熊本県の宇土半島の有明海沿いと雰囲気が似ている。でも、ここから見える海は干潟の広がる内海ではなく外洋の東シナ海だ。打ち寄せる波の音が荒々しい。
沖に見える光は、あの位置には島はない筈だから漁火だろうか?

海沿いの集落を抜けると、また深い山の中に入って行く。道路はなだらかにアップダウンを繰り返す。かなり山奥に入ってきたようだ。辺りには人家の明かりは全く無くなり漆黒の闇の中を、時折行き交う自動車のヘッドライトと少しおぼろになった月明かりを頼りに進んで行く。
やや急な上り坂を歩いていると、坂の下の方から空き缶が転がるようなカラカラという音が聞こえてくる。
「さっき下っていったクルマが投げ捨てたのかな。マナーの悪い奴だ」とか思いながら坂道を登って行くと、暫くしてまたカラカラという音が聞こえてきた。しかし、何かおかしい…
「何か…さっきより音が近付いてないか?」
そんなまさか。空き缶が坂道を「転がり登って」来るとでもいうのか?
急に背筋がゾーっとしてきた。歩くスピードを上げて、急いで坂を登る。やがて坂の頂上に出て向こうに民家の明かりが見えた時にはカラカラという音も聞こえなくなっていた。
「よかった、追いつかれなかった…って、何言ってるんだ我ながら。バカバカしい、疲れたせいかな。。。」
(しかし、帰宅後ネットで何となく調べてみたら何とそれらしきモノを見つけてしまったのだよ、あはは…怖いぞ。あれは本当に“チョカメン”だったんだろうか…)

日付が変わる頃、海沿いの入り江の向こうの空が明るくなっているのが分かった。西之表の町明かりに違いない。「ああ、町までもう少しだなきっと…」
しかし入り江の先には煌々と輝く飲み物の自動販売機があるだけで、そこは一面の砂浜だったのだ。「砂漠で蜃気楼のオアシスを見た人の気持ちが分かるぜ…くそー!!」
そこは海水浴場らしいのだが、砂浜には凄まじい勢いで波頭が打ち寄せていて、迂闊に海に入るとすぐに沖にさらわれてしまいそうだった。

夜通し延々歩いているので足の裏にはマメが出来て、殆どカラで軽いはずのザックもずっしり肩に食い込んでくるような気がする。「はあ。。。やっぱり種子島を徒歩で縦断するなんて無謀だったなあ。。。」
それでも道路標識によると確実に西之表は近付いている。コッペパンを齧って気力を振り絞り、マメの出来た足を引きずりながらも、午前2時半にとうとう西之表に到着した。

「やったー!我ながらよく頑張ったぜ。それにしても…あ~バカなことした!!」
でも、実際に自分の足で歩いたので種子島がどんなところか身体で理解できたような気がする。あながちバカなことでもなかったかも知れない、とちゃっかり自己満足してたりもする。

ところで、奇しくも古市家住宅で会ったおじいさんの言った通り、あれからキッチリ8時間後に到着した事に気がついた。
「あのおじいさんも、ひょっとしたら西之表まで歩いた事があったのかも知れないな」

とりあえず西之表の町でこの時間でも唯一営業していたコンビニに入る。「おー!明るい!暖かい!食い物も飲み物もある!…24時間営業ってありがたいなあ。。。」
貪りついたコンビニのおにぎりとジュースで、種子島縦断10時間ナイトハイクは報われたのであった。
(以下まだ続く)


種子島でH-IIAロケット12号機打ち上げを見る

2007-02-26 | 宇宙
種子島宇宙センターから平成19年2月15日に打ち上げられる予定だった、情報収集衛星2機を搭載したH-IIAロケット12号機。
しかし天候不順のせいで打ち上げがズルズルと延期され続け、とうとう当初の予定日から1週間以上遅れて2月24日に打ち上げるという発表があったのが2月21日。
H-IIAロケット12号機による情報収集衛星2機(レーダ2号機および光学3号機実証衛星)の打上げ延期について(JAXAプレスリリース)

24日は土曜日、休日だ。今回はH-IIAロケットの“積み荷”が実質的に偵察衛星である「情報収集衛星」なので、機密保持の為?打ち上げ時刻は直前まで公表されないとのことだったが、某巨大掲示板のロケット関連スレでは「恐らく13:41では?」という旨のカキコがあった。まあ24日に延期される前の打ち上げ予定日だった22日の打ち上げ予定時刻も13:41だったので、延期日も同じ時刻に打ち上げるのだろう。
13:41だったら、当日朝に熊本県の自宅を出ても打ち上げ時刻までに種子島宇宙センターの近くまで行けるかも知れないな。。。と、何となくネットで種子島行きの船や飛行機の時刻を調べてみる。
打ち上げ当日の鹿児島空港発種子島行きの日本エアコミューターの午前便は満席だったが、鹿児島港から出ている高速船その名も「ロケット」には空席があった。高速船の着く種子島西之表港から宇宙センターのある南種子町までのバスは便数が極端に少ないものの、うまい具合に高速船「ロケット」に接続する便が設定されていることも分かった。
早朝に自宅を出てJR新八代駅から始発の鹿児島中央駅行き新幹線つばめに乗れば、高速船とバスを乗り継いで昼過ぎには南種子町に到着する事が出来る。
「当日出発でも打ち上げに間に合うな。種子島にはまだ行った事がないし一度見に行かないといけないと思ってたし…よし、見に行くかぁ!」
という事で、急遽種子島までロケット打ち上げを見に行く事にしたのだ。


平成19年2月24日、早朝6時半。
新八代駅から九州新幹線「つばめ101号」に乗車。よく考えたら今年最初の「つばめ」乗車だ。

週末の始発便とあって車内は空いている。
JR九州入魂の豪華列車「つばめ」のゴージャスなインテリア、自由席車でも「のぞみ」のグリーン車を凌駕する深々とした西陣織張り(!)のシートに座っていると、余りの快適さについウトウト…


居眠りしているうちに、僅か47分で鹿児島中央に到着。
下車する時、デッキにロケット打ち上げのイラストが飾ってあるのに気がついた。
「つばめ」のデザインを手掛けたJR九州専属デザイナー水戸岡鋭治氏の作品だが、種子島宇宙センターから打ち上げられるH-Iロケット8号機(発射台の号機表示まで正確に描写されてたんでそれと分かった)を水戸岡先生らしい大胆な色使いと精密なラインで描いた逸品だ。
「カッコいい!これの複製画が欲しいぞ。秋のJR小倉工場まつりで売ってくれんかなあ」
ちなみにH-Iロケット8号機は平成3年8月25日にゆり3号b(BS-3b)を打ち上げたロケット。
「今度はM-Vロケットが内之浦から打ち上げられるシーンとかも描いて欲しいな」

鹿児島中央駅から在来線に乗り継いで隣の鹿児島駅まで行き、徒歩で15分程の位置にある鹿児島港北埠頭へ向かう。北埠頭は鹿児島水族館の裏にあるらしいが、水族館から先の道順がよく分からず奄美沖縄航路の貨物ターミナルみたいな場所の前を通り抜けてなんとか到着。旅客ターミナル内のコスモライン社の窓口で飛行機のように搭乗手続きをしてボーディングパスを受け取り、9:20発の高速船「ロケット3」の船内へ。川崎重工製のジェットフォイル。
乗船手続きが飛行機と似ているが、船内の雰囲気も飛行機に似ていて座席は全席指定で「安全のしおり」やシートベルトがあり、出港時には非常時の対応の案内ビデオも放映される。
ジェットフォイルに乗るのは初めてだったが、速いし大して揺れないしなかなか快適だった。薄っすらと見える薩摩半島の景色や開聞岳を見て、外海に出てちょっと揺れるようになったな、とか思ってるうちに平べったい島影が見えてきて、そのまま定刻の午前11時少し前に種子島西之表港に到着。

西之表港では観光バスやレンタカーの案内係りと一緒に数名の警察官がお出迎え。やはり偵察衛星打ち上げの当日とあって警備も厳しくなっているのだろうか。
港の小さな旅客ターミナルの前に停まっていた南種子行きの路線バスに乗り込み、運転手さんに「あの~ロケット見に来たんですけど、南種子までどの位時間かかりますか?」と聞くと「ロケット?それなら途中で長谷(はせ)ってとこ通りますから、その近くにロケットの観望所がありますから、皆さんそこに行ってロケット見られますから。大体1時間位かかりますから。」とのこと。今から1時間なら、13:41の打ち上げには余裕で間に合うな。

種子島の西海岸に沿ってのんびりバスは南下する。種子島には信号機が数箇所しかないと聞いていたが、本当に信号も渋滞もなく快適だ。途中、運転手さんがバス停から乗り込んで来るお年寄りに「今日は土曜だから乗らんのかと思ってたら、来てたね~」とか声をかけたりして何とも微笑ましい。
小一時間程バスに揺られて、「次は長谷です。ロケット見に来られたお客さんは次で降りてください」と言われて下車。料金を払ってると運転手さんから「ロケット観望所には店も何もないから、あそこの店で食べ物とか買って行った方がいいですから」とか教えてくれる。
何とも人情味のあるバスの旅だった。

長谷のバス停から一面の砂糖キビ畑の中を歩いて、長谷展望公園に到着。

長谷展望公園は広々とした芝生広場から種子島宇宙センターのロケット射場を望むことができる。芝生広場には既にロケット打ち上げ見学の親子連れやグループが多数集まっていて、ブルーシートを広げて弁当を囲んでいるグループもいて皆ピクニック気分で打ち上げ見学を楽しんでいる。


ロケット射場には打ち上げを目前にしたH-IIAロケット12号機の姿も見える。
今回は「偵察衛星」の打ち上げなので、通常の打ち上げの際には実施されるという射場の状況の音声中継等もないだろうと思っていたら、しっかりイベント用のテントが張られ招待客用の展望席まで準備されていて、状況音声中継もバッチリ流されていた。それによると打ち上げ時刻はやっぱり13:41とのこと。
しかし、状況中継と一緒に「種子島ロケット音頭」みたいなのも大音量で流すのは勘弁してくれ、打ち上げ前の緊張感のある雰囲気ぶち壊しだ~!

芝生広場の最前列辺りにもまだ空きスペースがあったので、適当なところに腰をおろして打ち上げを待つ。エンドレスで流れる「種子島ロケット音頭」の合間に現在の状況が逐一放送される。今のところ打ち上げは問題なく秒読みも開始され、予定通りとのこと。射場周辺にはヘリコプターが飛び交っている。警備なのかと思ったが、散水タンクのようなものを吊るしているので防災用かも知れない。

打ち上げ5分前頃から、「種子島音頭」に代わって秒読みが放送され始めた。内之浦での打ち上げ秒読みのように男性職員の肉声ではなく、女声の自動放送だ。
この頃には長谷公園の芝生広場は見物客で一杯になっていたが、皆行儀よく並んで座って打ち上げを待っているので、公園全体がロケット打ち上げという大舞台の開幕を待つ野外劇場となったような印象だ。

打ち上げ1分前頃から、「観客席」全体が波打つように静かな緊張感に包まれたのが分かった。皆、息を殺すように「その時」を待っている。
打ち上げ10秒前から、誰からともなくカウントダウンの大合唱が始まる。観客たちの気持ちは一つになり、H-IIAロケット12号機の飛翔を見逃すまいと数キロ先の射場を見つめている。

「5、4、3、2、1、H-IIA・F12リフトオフ!」

平成19年2月24日13時41分(日本時間)、H-IIAロケット12号機は種子島宇宙センターから打ち上げられた。



初めて見るH-IIAロケットの飛翔。
打ち上げの瞬間、固体燃料ブースターSRB-Aが噴出す硬質でオレンジ色の炎の印象は内之浦で見たM-Vロケットの打ち上げと似ているが、その飛行はM-Vとはまるで違う。ふわりと浮き上がりそのまま軽快に天空目指して駆け登っていくかのようなM-Vの飛行に対して、H-IIAの打ち上げはとにかく重厚なのだ。
強力な固体燃料ブースターの力を借りて何とか地表からその巨体を引き離したH-IIAは、そのまま足元を確かめるかのように一歩一歩上昇していく。
どうにか発射台から完全に離れるまで上昇したところで、さあ行くぞ!と言わんばかりに加速を始める。
漸く地球の重力を振りほどけそうな勢いにまで加速した頃、地表で見守る観衆のもとに猛烈に打ち鳴らされるティンパニの重力波が降り注ぐ。腹の底に響くような重低音を味わいながら、観衆は今まさに空の彼方へと消えて行かんとするH-IIAを見上げる…

打ち上げられたH-IIAロケット12号機は、やがて雲の切れ間の青空の中に消えていった。どこまでも真っ直ぐに上昇していくような打ち上げだった。
あとには、ロケット雲だけが残ったがこれもすぐに風に掻き消されてしまい、何事も無かったかのような風景の中を散水装置を積んで射場周辺を消火活動中のヘリの飛行音だけが響いていた。

「旅立ったか…」

ロケットの打ち上げを見送った後に感じる、寂寥感。
長谷公園に集まった観衆も皆帰り支度を始めている。祭りのあと。

すると突如、実況中継が再開された。
「先程フェアリングの開頭と衛星の分離を確認しました」
打ち上げは成功だ!
帰り始めていた観衆から歓声と拍手が沸き起こる。どうやら、分離時間から偵察衛星の投入される軌道を分析されないように衛星分離が確認されるまで状況中継がカットされていたらしい。

かくしてH-IIAロケット12号機による偵察衛星の2機同時打ち上げは成功した。
H-IIAロケット12号機による情報収集衛星2機(レーダ2号機および光学3号機実証衛星)の打上げ結果について(JAXAプレスリリース)

いつもの打ち上げなら、これから宇宙に旅立った衛星の調整状況が逐一報告され、衛星が成長し成果をあげていく姿を見守るという楽しみがあるのだが、残念ながら今回旅立った2機の衛星たちは偵察衛星なので今後はその状況は国家機密扱いとなり、今後の衛星の情報は秘密のベールに包み隠されてしまうだろう。

「さようなら、H-IIAロケット12号機の子供たち。もう見守ってやれないけど、日本人みんなのために宇宙で頑張れよ」

さて、H-IIAロケットの次の打ち上げは今年夏に予定されている。
搭載されるのは、我が国初の本格的な月探査機SELENE(セレーネ)だ。

画像提供 宇宙航空研究開発機構(JAXA)

アポロ以来最大規模の月探査プロジェクトであるセレーネには、何と我々も無料で搭乗することが出来る。

セレーネ「月に願いを!キャンペーン(JAXA)

我々の名前とメッセージを特殊シートに刻み込み、セレーネ本体に搭載して月周回軌道へと連れて行ってくれるというこのロマン溢れるキャンペーンの受け付けは、いよいよ今月末まで!!
今ならまだギリギリ間に合うので、この夏セレーネと一緒に種子島宇宙センターからH-IIAロケットで旅立ちたい人は急いで上記リンクからJAXAのキャンペーンサイトにGO!

僕も既に名前とメッセージを登録して、セレーネへの搭乗手続きは済んでいる。
夏には僕の想いを乗せた月探査機を搭載した次のH-IIAロケットの打ち上げを見送りに、また種子島へ来るぞ!

さて、これからどうするかね。種子島まで急いで来たから今夜の宿の確保はしてないし、今からじゃ九州本土へ戻る船にも間に合わないし。

「仕方がない、とりあえず今から西之表に戻るか…歩いて。」
(以下続く)


種子島に来てしまった

2007-02-24 | 実況
打ち上げ予定が延びに延びて、今日の昼過ぎに打ち上げられることになったH-IIAロケット12号機。
今日は土曜日で休日だし、せっかくだから見に行くか!という訳で始発の新幹線つばめに飛び乗り高速船に乗り継いで、種子島に来てしまった。
バスで南種子へと向かう。

H-IIAロケット12号機は24日に宇宙へ、「きく8号」は電波増幅器がショート?

2007-02-22 | 宇宙
今日、種子島宇宙センターから打ち上げ予定だった情報収集衛星2機を載せたH-IIAロケット12号機の打ち上げは、天候悪化が予想される為に打ち上げを24日に延期した。

H-IIAロケット12号機による情報収集衛星2機(レーダ2号機および光学3号機実証衛星)の打上げ延期について(JAXAプレスリリース)

これで3回目の延期だけど、この時期らしからぬ春先のような不安定な気候のせい、ひいては地球温暖化による異常気象がロケット打ち上げにまで影響を及ぼしているという事で、なんとも不安である。
24日はいい天気になって、見事に打ちあがってくれるといいのだが。

通信系ミッション機器のトラブルを起こしている「きくはちぞう」こと技術試験衛星VIII型(ETS-VIII:きく8号)は電波増幅器の1系統でショートを起こしている可能性があるということで、ショートが疑われる1系統のヒューズを切る応急措置を試みるとのこと。

一部の電波増幅器がショートか=衛星きく8号の受信アンテナ-情報機構 Yahoo!ニュース

「地上からの電波指令でヒューズを切る手段がまだ見つかっておらず…」とのことだが、確か以前宇宙研火星探査機「のぞみ」の電気回路に不具合が生じた際に連続的にオンコマンドを送出する事により不具合箇所を焼き切ってしまおうとしたことがあった筈。
地球から遥か彼方にいる「のぞみ」の電気回路を遠隔操作で修復しようという途方もないこの試みは残念ながら成功せず、結果として「のぞみ」は火星周回軌道投入を断念したのだが…「きく8号」は無事に遠隔操作でヒューズを切って復活できるだろうか?

きくはちぞう、頑張れ!!

蒸気機関車58654 復活準備開始!

2007-02-21 | 鉄道
(写真:JR小倉工場構内に佇む58654 平成17年の小倉工場一般公開にて撮影)

SL再生 工場始動 JR九州小倉(西日本新聞) - goo ニュース

“奇跡の再復活”を目指す事が決定したJR九州の蒸気機関車、ハチロクこと元「SLあそBOY」、8620形蒸気機関車58654号機。現在、北九州市のJR小倉工場に保管されている同機を、復活に備えて解体改修する作業が今日始まった。
いよいよ本格的にハチロク蘇生への歩みが始まった訳だ。
4億円の巨費を投じて蒸気機関車の背骨である台枠を新製し取り替えるという前代未聞の大工事となる「ハチロク蘇生プロジェクト」、再来年夏の再復活デビューと故郷の肥薩線熊本~人吉間への降臨を目指す道程は予測不可能の困難も待ち構えている事だろう。
しかし、蒸気機関車の事を知り尽くした小倉工場の「鉄道員たち」は、必ずハチロクを不死鳥の如く甦らせてくれる筈だ。

球磨川の畔で待ってるぞ、生まれ変わって帰って来いハチロク!




H-IIAロケット12号機、明日宇宙へ

2007-02-21 | 宇宙
先週16日、予定時刻直前の天候悪化により延期された情報収集衛星2機を載せたH-IIAロケット12号機の仕切り直しの打ち上げが明日22日に決まった。

H-IIAロケット12号機による情報収集衛星2機(レーダ2号機および光学3号機実証衛星)の打上げ日について(JAXAプレスリリース)

2月といえ既に春の気候になっているので、天候は不安定。
明日22日も雲が出て風もやや強くなるという予想なので、若干心配ではある。

心配事と言えば、通信系ミッション機器の異常を起こした技術試験衛星VIII型(ETS-VIII:きく8号)についてはその後まったく情報がリリースされていない。こちらも心配だ。


探査機「はやぶさ」も無事にイオンエンジンを点火して地球帰還の旅に出られたか心配だ。

実家の裏庭に“トワイライトゾーン”があった

2007-02-20 | 鉄道
昨日実行したコーラにメントスを入れて爆発させる実験で使用した作業台。
いつの頃からあるのかよく分からないが、長年実家の裏庭に置かれて園芸や洗濯物干しや季節によっては白菜やら梅を干すのに使っている、ありふれた鉄製の棒を組み合わせて作ったハンドメイドの品である。そう思っていたのだ、昨日までは…

ペプシのペットボトルを作業台に置きながら、何気なく鉄製の棒を見ると「こ、これは…!!」

その台の基部の棒の断面は、鉄道線路(レール)にしか見えない形状をしていたのである。

JRの路線で使用されているものに比べたら遥かに細くて貧弱だが、しっかりレールの形をしている。

鉄道趣味の世界では廃線跡の遺構などを探索するのが「ディープな大人の趣味」として秘かに人気らしいが、僕自身は「鉄道は走っててなんぼ乗ってなんぼ」だと思っていたのでそういった「失われた鉄道:トワイライトゾーン」には余り興味がなかったのだが、まさか自分が長年生活していた場所にそんなものがあるとは思っていなかった。
「このレールは一体何なんだ?なぜここにあるんだ?以前ここに鉄道があったのか?いや、まさか…」
俄然興味が湧いてきた。すっかり錆びついて朽ちかけたレールの台を前に、暫し考えてみる。その結果思い当たったのは、今から20年程前までここに製材所があったということである。
「製材所の構内に材木を運搬する為のトロッコか何かがあったのかもしれないな。それに使用していたレールを、製材所が閉鎖された後で剥がして再利用したのかも知れない。」
そういえば、以前は製材所の木屑捨て場だったという場所が今では家庭菜園になっているのだが、今でも地面を掘るとオガクズが分厚く堆積していて「夏になるとカブト虫やクワガタがたくさん這い出してくる」と母が言っていたのを思い出した。
意外に身近な場所に、ちょっとした歴史の遺構が眠っているものである。


コーラにメントスを入れると爆発する!?…試してみました

2007-02-18 | 日記
最近、インターネット上では「コーラにメントスを入れると爆発する」という謎の現象が話題になっているらしい。
試しに「コーラ メントス」で検索してみると出てくるわ出てくるわ。。。この現象を収めた動画やブログが無数にヒットした。試しにいくつかの動画を見てみたが、ペプシコーラのペットボトルに数粒のメントスを投入すると、ありえない規模の「大爆発」というか「大噴射」が起きて豪快なペプシの水柱が上がっている。

「こ…これは!面白い!!」

先週16日に予定されていたH-IIAロケット12号機による情報収集衛星の打ち上げも延期になり、この週末はイマイチ気分が乗らなかったので、ここは一つ「コーラとメントス爆発実験」を実際にやってみて気晴らしをすることにした。
ちょうど、JAXAの子供向けページにあった「オキシドールで野菜ロケットを飛ばす実験」が面白そうで「あ~僕も何か飛ばしたいなあ」と思っていたところだったのだ。早速、「コーラを推進剤にした液体燃料ロケットの噴射実験(ちょっと違うが…)」をやってみよう!

という訳で、梅もほころぶ花曇の日曜日の昼下がり、近所のスーパーに実験材料の調達に出かける。購入した実験材料のは以下の通り。

●ペプシコーラ(ダイエットタイプ)の2リットル入りペットボトル2本:ネットで下調べした結果、コーラは粘度の低いダイエットタイプでないといけないらしい
●メントス(グレープ味)2本:僕は普段お菓子を買い食いしないのでよく知らないのだが、メントスにはグレープ味しかないらしい。ハッカ味とかの方が爆発力ありそうなんだが。。。
以上、〆て516円也。

ネットの実験動画では、高さ2メートル以上までペプシの水柱が上がっていた。
これでは当然ながら屋外の広いスペースで実験するしかない。
という訳で、隣町の実家の裏にある更地で実験を決行する事にした。ペプシとメントスの入った買い物袋を提げて、テクテク歩いて実家に向かう。

実家に着いて、学校の試験明けで寝ていた弟を叩き起こす。
「今からコーラとメントスの爆発実験をやるから協力しろ。」
突然訳の分からない理由で起こされた弟は、それでもすぐに「メントスの直径は?ペットボトルに投入しやすくする為に“筒”が要るだろ」と紙とハサミを持ってきた。流石、腐っても高専生だけの事はある。

弟が紙をメントスのパッケージに合わせて丸めて投入用の筒を作り、メントスを一気にペプシのペットボトルに落とし込む為の厚紙の仕切りも用意して実験準備完了。
実家の裏の空き地に置かれた園芸用の作業台の上にダイエットペプシのペットボトルを置いて蓋を開け、その上に厚紙を渡して弟の作ったメントス投入用紙筒を置く。このまま厚紙を横に引き抜けば一気に14粒のメントスがペットボトル内に落下してダイエットペプシの大爆発が誘発される筈。投入用筒のセットと厚紙の引抜を弟に任せ、僕は携帯のカメラで大爆発の一部始終をビデオ録画するべくスタンバイする。コーラの水柱の直撃を受けることなくスムーズに退避・撮影を実行できるように綿密な段取りをして、いざ実験決行!!





あれ?確かにコーラが噴出すことは噴出すけど、全然たいしたことないじゃん。水柱も精々30センチ位しか上がってないし。
「失敗か!?」
「メントスの入れ方がまずかったのかな?よし、もう1回やるぞ!」
もう1本のペプシを作業台にセットし、再び慎重に実験の段取りを進める。
紙筒の投入機にメントスを詰め、一気に落ちるように紙の曲がり具合を調整してから、再びトライ!
「…やっぱりダメだ。さっきと変わらん」

「なんで勢い良く噴出さないのかなぁ?でも、メントスは確かに一気に全部ペットボトルの中に落ちてるんだよ。これって、ペプシの炭酸量に問題があるんじゃないかな?」と弟。
「メントスコーラの実験動画って、大抵海外モノじゃん。海外のコーラって、日本のものより炭酸がきついんじゃないかな?」
う~ん、言われてみれば確かにそれはありえる。
「仕方がない…ゴールデンウィークに海外に行った時に、現地のコーラで再検証してみるか!」

残念ながらイマイチな結果に終わったコーラにメントス大爆発実験。
それでも“爆発後”のペプシのペットボトルは、中身の2/3が外に噴出してしまっていた。ボトルに衝撃を加えた訳でもないのに、これだけの反応が起きるのはやはり尋常ではない。

作業台の周りをきれいに片付けて、吹き出したペプシを如雨露で洗い流し、最後にペットボトルに残ったペプシで弟と乾杯。
「う。。。見事に気が抜けてる」
「メントス入れただけでこれ程気が抜けきるなんてやっぱり凄いよ」
ペットボトルの底に残ったメントスを口に入れた弟が
「堅っ!メントスもメチャクチャ堅くなってる!」
やっぱり、コーラとメントスの間で何かしらの急激な反応が起きていたのは間違いないようだ。
「何でこういう現象が起きるのか、文系の兄にも簡単に理解できるようにレポートをまとめとけよ」と弟に言って、今回の実験はめでたく終了!

さて、今度は残ったペプシのペットボトルで水ロケットでも作って打ち上げてみるかね。

情報収集衛星、打ち上げ延期

2007-02-16 | 宇宙
H-IIAロケット12号機による情報収集衛星2機(レーダ2号機および光学3号機実証衛星)の打上げ延期について(JAXAプレスリリース)

惜しくも打ち上げ直前になって種子島上空を雲が覆い、大事をとって延期となった。
まあ、天気には勝てない。
しかし、既にH-IIAロケットに推進剤を注入してしまった後での延期決定だった為に、これの抜き取り作業やメンテナンスに時間がかかり再打ち上げまでは1週間程度は掛かるだろう(現時点での再打ち上げ日は未定)。
段取りに非常に手間が掛かるのは液体燃料ロケットの宿命なので、これも仕方がない。
これが内之浦から打ち上げられていた固体燃料ロケットのM-Vなら、燃料の詰め直しも不要なので翌日の再打ち上げも可能だったんだがなあ。
まあ、液体燃料と固体燃料それぞれ一長一短があるので、こんなことを比較しても仕方がないのだけど。

ともあれ、再打ち上げの日には熊本県南部が快晴になって、飛翔するH-IIAロケットの雄姿が目視できるといいのだが。

北海道の特急列車に名前をつけよう!

2007-02-16 | 鉄道
北海道の札幌と旭川を結ぶL特急「ライラック」(写真)。
道内の2大都市を直結する大動脈を結ぶ列車として昭和55年から走り続けてきたが、今年10月のダイヤ改正で新型車両789系が投入されるのに合わせて新しい名前を募集することになった。
(3月16日まで。詳細はこちら→JR北海道特急列車愛称名募集ページ http://www.jrhokkaido.co.jp/new/aisyoubosyu/index.html
JR北海道のhpは直接リンク禁止の為、URLを表記しておきます)

札幌と旭川の間には、「ライラック」の姉妹列車である「スーパーホワイトアロー」も運転されており、国鉄時代から使い込まれた781系車両を使用してゆったり目のダイヤで走る「ライラック」と、JR化後に投入された高性能車両785系を使用し最高速度130キロで疾走する速達ダイヤの「スーパーホワイトアロー」は、交互にダイヤが設定され30分おきに発車していた(お互いに仲良く補完し合う関係って、JR九州の博多―熊本間の特急「リレーつばめ」と「有明」と似ているなぁ)。
今回、「ライラック」に使用されていた781系電車は淘汰され、130キロ走行が可能な高性能な789系が投入される事で「ライラック」と「スーパーホワイトアロー」は運用も愛称も一本化される。
北の大地を疾走する新型特急が今から楽しみだが、国鉄の香りを残し独特の味わいがあった781系との別れが寂しくもある。僕も学生時代の北海道周遊旅行では深川駅から分岐するローカル線「深名線」乗車の際などよく「ライラック」の世話になったものだ(ついでに深川駅の立ち食い蕎麦と名物ウロコダンゴの世話にもなったものだ)。
「ライラック」と「スーパーホワイトアロー」の後を継ぐのに相応しい名前を、僕も考えて応募させて貰いました。

ちなみに、月へ行く日本の宇宙船もメッセージを受付中。こちらは今月末締め切りなのでお早めに。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)セレーネ「月に願いを!キャンペーン

いよいよ今日は種子島宇宙センターから情報収集衛星を載せたH-IIAロケット12号機が打ち上げられるが、今日の午後は天候曇りの予想、熊本県八代市からの目視確認は難しいか。。。
H-IIAロケット12号機による情報収集衛星2機(レーダ2号機および光学3号機実証衛星)の打上げ延期について(JAXAプレスリリース)


情報収集衛星、種子島からこっそり(?)打ち上げ

2007-02-14 | 宇宙
今週、日本の偵察衛星(情報収集衛星レーダ2号機および光学3号機実証衛星)が種子島宇宙センターから打ち上げられる。
当初は明日2月15日打ち上げの予定だったが悪天候により翌16日に延期された模様。
H-IIAロケット12号機による情報収集衛星2機(レーダ2号機および光学3号機実証衛星)の打上げ延期について(JAXAプレスリリース)

華々しい打ち上げキャンペーンが展開された前回の「きくはちぞう」こと技術試験衛星VIII型(ETS-VIII:きく8号)と違って「偵察衛星」という性格上、広報も最小限に抑えられているようで、文字通りこっそりと打ち上げられる模様。何しろ正確な打ち上げ時刻も直前まで公表されないようだし、種子島宇宙センターのライブカメラも情報収集衛星を載せたH-IIAロケット12号機とは別の方角を映し出しているらしい(さっき確認してみたが、夜なので真っ暗で何も見えなかった)。

しかし、こんな場合も最新の情報を居ながらにして(ある程度)入手できてしまうのがインターネット社会の便利な(そして恐ろしい?)ところ。
某巨大掲示板のロケット打ち上げ見学スレには既に現地入り組からのカキコがボツボツ入り始めている。
今回の打ち上げにはジャーナリストの松浦晋也さんも現地入りされるそうなので、宇宙作家クラブのニュース掲示板にも最新情報がアップされることだろう。

ということで、16日には前回の「きくはちぞう」打ち上げ時と同様「熊本県南部からの打ち上げ目視確認と撮影」を狙ってみたい。
上手く撮影できたら掲載して報告しますので乞うご期待!


…そう言えば今月初めに「きくはちぞう=きく8号」の電源異常の報告があったが、続報が一切無いな。きくはちぞう大丈夫だろうか?

青春18きっぷ、春の大盤振る舞い!

2007-02-08 | 旅行
(写真・新幹線開業直前の頃のJR八代駅。「18きっぷ」利用者の乗った普通列車(左側)は特急つばめに道を譲る。これもまた鈍行の旅の醍醐味)


JRの普通・快速列車が1日中乗り放題になる格安きっぷの代名詞的存在、「青春18きっぷ」。
これを使えば1万数千円で日本縦断も可能なので、熱意があってもカネがない若い鉄道旅行好きにとっては必須アイテムというべき頼もしい存在だが、
そんな「18きっぷ」がこの春、JR発足20周年を記念して大幅パワーアップする模様。

「青春18きっぷ」特別価格8千円で JR20周年記念(朝日新聞) - goo ニュース

通常価格1冊(5回分)11500円を一気に8000円に値下げするという太っ腹ぶり。
1回あたり1600円か。ということは1回あたり概ね100キロ以上乗車すれば元が取れてしまう訳で、う~ん、これは確かに安い!

僕も学生時代には年3回の「18きっぷ」発売シーズンには夜行鈍行や夜行快速「ムーンライト」を寝ぐら替わりに車中で10連泊以上しながら日本中を意味もなく乗り鉄しまくったものだが、ここ数年はすっかり「18きっぷ」と縁遠くなってしまった。
この春は久しぶりに「18きっぷ」片手に乗り鉄の旅に出てみようかな。
今ではもうあの頃の旅の“定宿”だった「ガキドン(大垣夜行・東京~大垣間の夜行普通列車)」も「はやたま(新宮夜行・新大阪から紀勢線の新宮まで片道だけ運行していた)」もいないけど、車窓の風景はあの頃のままの筈。
流石に三十路に足を突っ込んだこの齢では夜汽車の座席で連泊はキツイけど、週末にちょっとだけ、
無意味で馬鹿馬鹿しくて意味がなくてカネもなくて、でも熱くて旅への情熱だけは捨てるほどあったあの頃の自分の想いを再確認してみるのもいいかも知れない。