(写真:肥薩線矢岳駅に停車中のJR九州の観光列車「しんぺい」)
種子島でH-IIAロケット12号機の打ち上げを見送った後、
ナイトハイクと称し一晩中歩き続けて徒歩で種子島を縦断して2月25日未明に西之表港に戻ってきた僕は、
そのまま朝一番の鹿児島港行き高速船「ロケット」に乗り込んで種子島を後にした。
一晩寝ないで歩き続けたので、自覚はないが相当疲労困憊していたらしく、高速船のリクライニングシートに座った直後に倒れるように寝てしまった。
気が付けば船はもう鹿児島港の北埠頭に接岸しようとしている。
霧雨の降る朝の鹿児島の街を、路面電車に乗って鹿児島中央駅に向かう。
このまま九州新幹線「つばめ」に乗れば1時間も掛からず八代市の自宅に帰れる。しかし、すぐには帰らない。
鹿児島中央駅のみどりの窓口で帰りのきっぷを購入するが、買ったのは新八代までの新幹線「つばめ」のきっぷではなく特急「はやとの風」と「しんぺい」と「九州横断特急」のきっぷである。そして、きっぷと一緒に「スタンプラリーパスポート」を受け取る。
今から、JR九州20周年記念イベント「スタンプラリー20」の旅を始めるのだ。
JR九州20周年記念企画「スタンプラリー20」オフィシャルサイト
http://www.jrkyushu.co.jp/20th/stamp.jsp
九州内15の駅と5つの観光列車に設置してあるスタンプを収集すると「プレミアム商品」がゲットできるというこの「スタンプラリー20」、これから鹿児島から八代の自宅に帰るルートを新幹線「つばめ」の直通ルートから在来線の吉松・人吉経由の山越えのんびりルートに変更すると一気に3つのスタンプがゲット出来るのだ。どうせ帰宅を急ぐ訳ではないし、お洒落なJR九州の観光列車に乗ってスタンプを集めながらのんびり帰ろうと思う。
まずは鹿児島中央駅から特急「はやとの風2号」に乗車。
ローカル普通列車用気動車からの改造車、しかもSLをイメージして全身黒塗りという異色の特急列車だ。今日は終着の吉松駅で何かのイベントがあるとかで自由席車を増結して3両編成になっていた。
早速、パスポートに最初のスタンプを捺す。
スタンプを手に入れたら気も楽になって、ワゴンサービスから特製地ビールを買って朝から一杯。
列車は軽快に走っていくしバイエルン風ビールは旨いし、歩き疲れた身体にアルコールが程よく沁みてすっかりご機嫌。
「これだから“乗り鉄”はやめられないんだよ!」
独りでよろしくやってると、客室乗務員から「お客様もスタンプラリーですか?」と声をかけられた。
「実は私もスタンプ集めてるんですよ」とのこと。
「へぇ!いくつ集まりました?」
「この『はやとの風』と、『いさぶろう・しんぺい』、あと『ゆふいんの森』です」
「そうですか。お互いコンプリート目指して頑張りましょうね!」
客室乗務員から「次の停車駅の霧島温泉駅ではホームで手打ち蕎麦の販売があるんですよ」と教えてもらったので、早速購入。
薬味の柚子のいい香りがする手作りの蕎麦が、何と一杯百円!これはお値打ちですぞ。
蕎麦を食べているうちに、「はやとの風」は吉松駅に到着。
ここで山を越える観光列車「しんぺい2号」に乗り換える。
「しんぺい2号」の発車まで時間があるので、ちょっと吉松駅の改札を出て途中下車。
吉松はかつては熊本・鹿児島・宮崎の各方面への路線が分岐する九州の鉄道の要衝だった。
吉松駅には夜行列車も多数発着し、一日中汽笛の音が止む事はなかったという。
現在は静かなローカル線の駅となった吉松駅の近くにはC55形蒸気機関車が静かに佇んでいた。
吉松駅前を歩いていると突如出現する謎の旧型客車と腕木信号機。
実は吉松名物の「汽笛饅頭」の店だ。
鉄道の町吉松に朝な夕な鳴り響いていた蒸気機関車の汽笛の思い出を秘めた、
これがその名も「鉄道銘菓 汽笛饅頭」。
白餡の饅頭を軽く油で揚げた「揚げ饅頭」で、何とも素朴な味。
僕は吉松に来る度に買ってしまう。1個からバラで買えるので、列車で食べるおやつに最適なのだこれが。
そろそろ「しんぺい2号」の発車時刻。
今から九州脊梁の山地を2つのスイッチバックとループ線で越えて行く。
2つ目のスタンプをゲット。
「しんぺい」の旅の真骨頂は“日本三大車窓”の一つである矢岳越えの風景だが、生憎今日は霧雨の中を走って行くので遠く桜島まで望めるという大パノラマは楽しむことは出来ない。
景色は見えなくても、「しんぺい」は山の中の駅にゆっくり停車しながら走っていくので寄り道が楽しめる。
こちら、矢岳駅の隣にある人吉市SL展示館。
現在、奇跡の再復活を目指し小倉工場で修理中のSLあそBOYこと8620形58654号機がかつて保管されていた場所。
現在はデゴイチが一人静かに余生を送っている。
ループ線の中のスイッチバックの駅、大畑ではお座敷観光列車「九千坊」が「しんぺい」の到着を待っていた。
普段は熊本駅から人吉駅までの運転なのでここ大畑駅に姿を現す事はないが、今日は「人吉梅祭り」に合わせて吉松まで足を延ばすとのこと。
以前、この区間に急行列車の「えびの」号が運転されていた頃は大畑駅で上り下りの列車が交換するダイヤが組まれていたが、現在では通常は大畑駅で2つの列車が顔を合わせることはない。
このプラットホームで列車が並ぶのも随分久しぶりの事である。
大畑駅から一気にループ線を駆け下りた「しんぺい2号」は人吉駅に到着。
ここで別府行きの「九州横断特急6号」に乗り換える。
乗車したらまずはスタンプを捺す。
これで3つ目。
これで今日入手出来るスタンプはすべて確保できた。
あとは帰るだけだ。
「九州横断特急」の車内でさっき吉松駅で購入しておいた駅弁、その名も「お弁当」を広げる。地味だけど、家庭的で実に素朴なおかずが詰まった吉松駅の「お弁当」は僕が一番好きな駅弁の一つ。でもいつの間にか、以前は懐かしい経木だった筈の入れ物が樹脂になってたり、おかずにハイカラなフライドポテトが入ってたりして微妙に内容が変化していた。
食後に「汽笛饅頭」を頂く。
店のおばちゃん曰く「蒸気機関車の石炭をイメージした形です」とのことだが、蒸気機関車の動輪のようにも見える。
「九州横断特急」のワゴンサービスは日本国内では珍しく「紅茶」も売っているので購入。ワゴンを押していた客室乗務員から「お客様、それ吉松の『汽笛饅頭』ですね!」と声をかけられる。「私も『汽笛饅頭』大好きなんですよ」とのこと。
「そうですか!この素朴さがたまりませんよね。列車のワゴンサービスでも売ってくれたら嬉しいんだけど、ひとつ検討してみてくれませんか?」
かくして、乗って飲んで食べて大満足の「スタンプラリー20」の旅、今回は3つのスタンプを入手して無事終了!
残るは15駅と2列車。7月16日の期限日までに全部集めるぞ!
さあ、次はどの列車に乗ってどこの駅に行こうか?
種子島でH-IIAロケット12号機の打ち上げを見送った後、
ナイトハイクと称し一晩中歩き続けて徒歩で種子島を縦断して2月25日未明に西之表港に戻ってきた僕は、
そのまま朝一番の鹿児島港行き高速船「ロケット」に乗り込んで種子島を後にした。
一晩寝ないで歩き続けたので、自覚はないが相当疲労困憊していたらしく、高速船のリクライニングシートに座った直後に倒れるように寝てしまった。
気が付けば船はもう鹿児島港の北埠頭に接岸しようとしている。
霧雨の降る朝の鹿児島の街を、路面電車に乗って鹿児島中央駅に向かう。
このまま九州新幹線「つばめ」に乗れば1時間も掛からず八代市の自宅に帰れる。しかし、すぐには帰らない。
鹿児島中央駅のみどりの窓口で帰りのきっぷを購入するが、買ったのは新八代までの新幹線「つばめ」のきっぷではなく特急「はやとの風」と「しんぺい」と「九州横断特急」のきっぷである。そして、きっぷと一緒に「スタンプラリーパスポート」を受け取る。
今から、JR九州20周年記念イベント「スタンプラリー20」の旅を始めるのだ。
JR九州20周年記念企画「スタンプラリー20」オフィシャルサイト
http://www.jrkyushu.co.jp/20th/stamp.jsp
九州内15の駅と5つの観光列車に設置してあるスタンプを収集すると「プレミアム商品」がゲットできるというこの「スタンプラリー20」、これから鹿児島から八代の自宅に帰るルートを新幹線「つばめ」の直通ルートから在来線の吉松・人吉経由の山越えのんびりルートに変更すると一気に3つのスタンプがゲット出来るのだ。どうせ帰宅を急ぐ訳ではないし、お洒落なJR九州の観光列車に乗ってスタンプを集めながらのんびり帰ろうと思う。
まずは鹿児島中央駅から特急「はやとの風2号」に乗車。
ローカル普通列車用気動車からの改造車、しかもSLをイメージして全身黒塗りという異色の特急列車だ。今日は終着の吉松駅で何かのイベントがあるとかで自由席車を増結して3両編成になっていた。
早速、パスポートに最初のスタンプを捺す。
スタンプを手に入れたら気も楽になって、ワゴンサービスから特製地ビールを買って朝から一杯。
列車は軽快に走っていくしバイエルン風ビールは旨いし、歩き疲れた身体にアルコールが程よく沁みてすっかりご機嫌。
「これだから“乗り鉄”はやめられないんだよ!」
独りでよろしくやってると、客室乗務員から「お客様もスタンプラリーですか?」と声をかけられた。
「実は私もスタンプ集めてるんですよ」とのこと。
「へぇ!いくつ集まりました?」
「この『はやとの風』と、『いさぶろう・しんぺい』、あと『ゆふいんの森』です」
「そうですか。お互いコンプリート目指して頑張りましょうね!」
客室乗務員から「次の停車駅の霧島温泉駅ではホームで手打ち蕎麦の販売があるんですよ」と教えてもらったので、早速購入。
薬味の柚子のいい香りがする手作りの蕎麦が、何と一杯百円!これはお値打ちですぞ。
蕎麦を食べているうちに、「はやとの風」は吉松駅に到着。
ここで山を越える観光列車「しんぺい2号」に乗り換える。
「しんぺい2号」の発車まで時間があるので、ちょっと吉松駅の改札を出て途中下車。
吉松はかつては熊本・鹿児島・宮崎の各方面への路線が分岐する九州の鉄道の要衝だった。
吉松駅には夜行列車も多数発着し、一日中汽笛の音が止む事はなかったという。
現在は静かなローカル線の駅となった吉松駅の近くにはC55形蒸気機関車が静かに佇んでいた。
吉松駅前を歩いていると突如出現する謎の旧型客車と腕木信号機。
実は吉松名物の「汽笛饅頭」の店だ。
鉄道の町吉松に朝な夕な鳴り響いていた蒸気機関車の汽笛の思い出を秘めた、
これがその名も「鉄道銘菓 汽笛饅頭」。
白餡の饅頭を軽く油で揚げた「揚げ饅頭」で、何とも素朴な味。
僕は吉松に来る度に買ってしまう。1個からバラで買えるので、列車で食べるおやつに最適なのだこれが。
そろそろ「しんぺい2号」の発車時刻。
今から九州脊梁の山地を2つのスイッチバックとループ線で越えて行く。
2つ目のスタンプをゲット。
「しんぺい」の旅の真骨頂は“日本三大車窓”の一つである矢岳越えの風景だが、生憎今日は霧雨の中を走って行くので遠く桜島まで望めるという大パノラマは楽しむことは出来ない。
景色は見えなくても、「しんぺい」は山の中の駅にゆっくり停車しながら走っていくので寄り道が楽しめる。
こちら、矢岳駅の隣にある人吉市SL展示館。
現在、奇跡の再復活を目指し小倉工場で修理中のSLあそBOYこと8620形58654号機がかつて保管されていた場所。
現在はデゴイチが一人静かに余生を送っている。
ループ線の中のスイッチバックの駅、大畑ではお座敷観光列車「九千坊」が「しんぺい」の到着を待っていた。
普段は熊本駅から人吉駅までの運転なのでここ大畑駅に姿を現す事はないが、今日は「人吉梅祭り」に合わせて吉松まで足を延ばすとのこと。
以前、この区間に急行列車の「えびの」号が運転されていた頃は大畑駅で上り下りの列車が交換するダイヤが組まれていたが、現在では通常は大畑駅で2つの列車が顔を合わせることはない。
このプラットホームで列車が並ぶのも随分久しぶりの事である。
大畑駅から一気にループ線を駆け下りた「しんぺい2号」は人吉駅に到着。
ここで別府行きの「九州横断特急6号」に乗り換える。
乗車したらまずはスタンプを捺す。
これで3つ目。
これで今日入手出来るスタンプはすべて確保できた。
あとは帰るだけだ。
「九州横断特急」の車内でさっき吉松駅で購入しておいた駅弁、その名も「お弁当」を広げる。地味だけど、家庭的で実に素朴なおかずが詰まった吉松駅の「お弁当」は僕が一番好きな駅弁の一つ。でもいつの間にか、以前は懐かしい経木だった筈の入れ物が樹脂になってたり、おかずにハイカラなフライドポテトが入ってたりして微妙に内容が変化していた。
食後に「汽笛饅頭」を頂く。
店のおばちゃん曰く「蒸気機関車の石炭をイメージした形です」とのことだが、蒸気機関車の動輪のようにも見える。
「九州横断特急」のワゴンサービスは日本国内では珍しく「紅茶」も売っているので購入。ワゴンを押していた客室乗務員から「お客様、それ吉松の『汽笛饅頭』ですね!」と声をかけられる。「私も『汽笛饅頭』大好きなんですよ」とのこと。
「そうですか!この素朴さがたまりませんよね。列車のワゴンサービスでも売ってくれたら嬉しいんだけど、ひとつ検討してみてくれませんか?」
かくして、乗って飲んで食べて大満足の「スタンプラリー20」の旅、今回は3つのスタンプを入手して無事終了!
残るは15駅と2列車。7月16日の期限日までに全部集めるぞ!
さあ、次はどの列車に乗ってどこの駅に行こうか?