天燈茶房 TENDANCAFE

さあ、皆さん どうぞこちらへ!いろんなタバコが取り揃えてあります。
どれからなりとおためしください

2015-16年越し中欧紀行 8:ブダペスト夜景散歩

2016-02-28 | 旅行記:2015-16中欧

7:ブダペストのプラネタリウムからの続き

ブダペスト市内を縦横に走るトラム(路面電車)とメトロ(地下鉄)を乗り継いで、夜の市内中心部へと向かう。


社会主義時代の名残を残す、ボロくて厳ついソ連製のメトロに乗って…


地上に出たら黄色いトラムに乗り換えて、目指すはハンガリー国会議事堂

…と、国会議事堂前の停留所で降りたら派手な路面電車がやって来た!


全身に電飾をまとった、走るクリスマスツリーのようなトラムが登場!
車内にもデコレーションが施されているのが見えるが、どうやらクリスマスシーズン限定のイルミネーション電車らしい。
突然現れたド派手なトラムに乗客も大喜びで、皆さん記念撮影に興じていた。

電飾トラムを見送ったら、いよいよブダペストで一番の見どころとされる国会議事堂へ!






真冬のブダペストの夜の闇に浮かび上がるネオゴシック様式の国会議事堂。
ここは一日中観光客の絶えない名所だが、夜にライトアップされた姿が最も美しいという。

国会議事堂の建物をぐるりと一周りすると、裏側は道路を挟んでドナウ川に面していた。
ドナウ川の川岸の遊歩道をブダペスト夜景散歩と洒落込むことにする。


国会議事堂から暫くドナウ河畔を歩くと、美しい吊り橋が見えてくる。
ここもブダペスト名所として名高い鎖橋だ。



鎖橋はブダペストでドナウ川に初めて架けられた橋だそうで、ドナウの西岸(ブダ地区)と東岸(ペシュト地区)を結び、ドナウ川に分断されたブダペストの街を一つにつなぐ役割を果たしている。
観光名所であると同時に、ブダペスト市民の重要な交通の足でもある。

鎖橋には歩道もあり、誰でも歩いてドナウ川を渡ることが出来る。もちろん公道なので入場料などは取られない。
僕も早速、鎖橋を渡ってみよう。


鎖橋のたもとには巨大な獅子の像が鎮座し、行き交う人々と車列を見守っている。


鎖橋の名の由来となった、橋を支える巨大な鎖(両端に穴の空いた鉄の棒をピンでつないだもの)と吊り橋の主塔の構造が歩道からよく見える。


そして、鎖橋の上から眺めるドナウ川の絶景。上流側を向いて眺めているので、この先にはウィーンの街がある事になる。
向かって右側がペシュト地区で国会議事堂のドーム屋根と尖塔が見える。左側はブダ地区で、ブダ城のある丘陵が見えている。川の先に見えるアーチはブダペストで二番目に古いマルギット橋だ。

鎖橋を渡って、ブダ地区側のドナウ河畔の遊歩道を歩いてマルギット橋に向かう。


ドナウ川の対岸ペシュト地区に国会議事堂の建物が真正面から見える。
川岸にそびえ建つ荘厳な建築物に思わず息を呑む…

マルギット橋を渡った先にある停留所からトラムに乗って、ブダペストの市内中心部を後にする。




トラムの車内からも国会議事堂の美しい姿が見えた。この次は、是非昼間に来てみたい。

再びトラムとメトロを乗り継いで向かった先は…


ブダペスト西駅
ケレティ駅(ブダペスト東駅)と並ぶブダペストのターミナル駅だが、現在ではウィーンやスイス・ドイツ方面へと向かう高速列車レイルジェットをはじめ多くの国際列車はケレティ駅に発着するようになっているので、やや寂しい印象があるが、西駅の駅舎はパリの「エッフェル塔」やニューヨークの「自由の女神像」で知られるエッフェルが手がけたもので、大ドームの正面側ファサードは斬新な全面ガラス張りで大変美しいことで知られる。







そして、ブダペスト西駅に来たら是非見ておきたい名所がもう一つある。
それは…


ブダペスト西駅の駅舎に併設された豪華な高級レストラン…
ではなくて、ここは何とマクドナルド!
閉店した高級レストランの店舗をそのまま転用して開店したという、いわゆる「居抜き物件」なのだが、今や“世界一豪華なマクドナルド”として日本でも有名になってしまったマックのお店、「マクドナルド ブダペスト西駅店」だ。

かくして、ヨーロッパで一番美しいと讃えられるブダペストの街と駅とマクドナルド(笑)を堪能したブダペスト夜景散歩だった。
明日はこの美しい街とも別れて、次の目的地へと向かう。
さようなら、おやすみなさいブダペスト…



9:ブダペスト発ウィーンまで 国際特急列車railjetの旅に続く

今日の特急「九州横断特急」(平成28年2月27日)

2016-02-27 | 鉄道
九州横断特急2号と「いさぶろう・しんぺい」送り込み普通列車(2016/02/27 八代駅)


2月最後の週末土曜日は、丸一日かけて熊本県内の線路の検測を行ったマヤ34形高速軌道試験車(マヤ検)の追っかけをしていたのですが
八代駅とJR三角線にマヤ34形高速軌道試験車(マヤ検)がやって来た!)、
その合間にしっかり九州横断特急も撮影しました(笑)


九州横断特急4号(2016/02/27 八代駅)

マヤ検が八代駅を発車して行った直後にやって来た九州横断特急4号は、多分この後に宇土駅でマヤ検を追い抜く筈…


マヤ検を追いかけて三角線に向かう途中、新八代駅で一旦下車して九州横断特急1号を迎え撮り。


九州横断特急1号(2016/02/27 新八代駅)



この1号も途中でマヤ検とすれ違ったんだろうなぁ…
さて、僕もマヤ検を追いかけないと!

八代駅とJR三角線にマヤ34形高速軌道試験車(マヤ検)がやって来た!

2016-02-27 | 鉄道
八代駅に停車中のマヤ34形高速軌道試験車(マヤ検)


2月最後の土曜日の朝の八代駅
肥薩線の人吉駅方面から到着したのは…




「ななつ星」カラーのディーゼル機関車DE10に牽かれた1輌だけの青い客車。
走りながら線路の検測を行うマヤ34形高速軌道試験車、通称“マヤ検”と呼ばれる列車です!




八代駅ではプラットホームの無い2番線に入線して停車。
停車後、乗務員が降りてきて何やら車体の確認作業を行っています。




かつて九州にブルートレインが健在だった頃は、熊本地区では時々ブルトレ「なは」号の機関車の後ろにこのマヤ検が連結されている姿を見かけたものですが、
連結相手の「なは」も「はやぶさ」や「みずほ」もいなくなった今ではマヤ検は1輌だけでDE10に索かれて走るようになりました。

八代駅に数分停車後、マヤ検は熊本駅方面に向かって発車。





走り去るマヤ34形高速軌道試験車を見送ったら…

午後はJR三角線に移動。




三角線の普通列車に乗って、向かった先は網田駅
熊本県内最古、明治32年建築の木造駅舎があり、休日の昼間は駅カフェなどもやっているレトロな駅で、マヤ検を待ちます。

やがて夕陽に照らされてマヤ検が到着。




網田駅に停車するマヤ検。
終点で行き止まりの盲腸線の三角線に入る為にディーゼル機関車DE10を増結して、マヤ34形の前後をDE10で挟み込むプッシュプル編成になっています。


普段は気動車ばかりが走る三角線に乗り入れる唯一の機関車牽引の客車が、このマヤ34形。
…いつの日か「ななつ星」が三角線を走ることは無いのだろうか?


網田駅では暫く停車して、熊本行きの普通列車と列車交換します。

普通列車と列車交換後、マヤ検は三角駅方面に向かって発車。





夕陽に向かって走り去るマヤ34形高速軌道試験車を見送ったら…


僕も後続の三角行き普通列車に乗って、沈む夕陽とマヤ検を追いかけます!

三角線の終点、三角駅でマヤ検に追いついた!
後から到着した普通列車が折り返し発車するのを駅の先まで伸びた待避線に入ってやり過ごしていたマヤ検が、プラットホームに入線して来ました(許可を得て撮影)





三角駅のプラットホームに据え付けられたマヤ34形高速軌道試験車。


そして、暮れなずむ三角駅を後にしてマヤ検は出発。熊本に戻って行きました…
今日は一日、お疲れ様!

マヤ検がいなくなって静かになった三角駅の駅舎。
マヤ検はちょうど三角線に列車の設定が無い時間帯を狙って帰って行ったようで、この後約1時間は列車が来ないので駅には誰もいません。



昼間は観光特急「A列車で行こう」が発着して賑わうであろうレトロモダンで豪華な待合室もこの時間は寂しい…

この次は、昼間に「A列車で行こう」に乗ってまた三角駅に来たいですね。世界遺産の三角西港や網田駅の駅カフェにも行きたいなぁ。

今日の特急「九州横断特急」(平成28年2月21日)

2016-02-21 | 鉄道
九州横断特急4号(2016/02/21 小川―松橋)


今日は早朝から晴れたら「九州横断特急」か「くまがわ」の写真を撮りに行こうと思っていたのですが、実際に晴れてきたのは昼近くになってから…
朝早くだと太陽光線がいい感じに当たりそうなこの場所ですが、日が高くなるとやっぱり逆光気味(苦笑)



九州横断特急1号(2016/02/21 松橋―小川)


そして今日は、晴れていても風の冷たい寒い一日でした。走り去る「九州横断特急」も、どこか寂しげです…
熊本以南のラストランまで、あと約1ヶ月。

2015-16年越し中欧紀行 7:ブダペストのプラネタリウム

2016-02-21 | 旅行記:2015-16中欧

6:ハンガリー国立歌劇場 バレエ「くるみ割り人形」を観るからの続き

ハンガリー国立歌劇場でバレエ「くるみ割り人形」のマチネ(昼間)公演を観た後は、再び世界遺産のメトロ(地下鉄)に乗ってケレティ駅前に戻ってきた。




ブダペスト・ケレティ駅の駅舎は昼間に見てもやはり美しい。
白亜の大聖堂のような堂々たるファサードが、真冬の中欧の早い夕陽に照らされて薄っすらと赤く染まる光景には思わず息を呑む…

さて、まだ昼下がりの時間だというのに早過ぎる夕陽が沈んでしまう前に、今日はブダペスト市内で行っておきたい場所がある。


ケレティ駅前の路地裏にあるトラム(路面電車)の停留所から、小さくて可愛らしい黄色いトラムに乗って出発。

ちなみにトラムもメトロと共通の乗車券で乗れるので、事前に1日乗車券を買っておくとブダペスト市内の大概の場所にはトラムかメトロを自由自在に乗り継いで行くことが出来て便利だ。

もっとも、トラムの停留所の案内はすべてハンガリーの言語であるマジャール語なので、前もって路線図を調達して目的地の停留所の「停まる順番」なり「マジャール語のつづり」なりを調べておかないと、最悪の場合は停留所で降り損ねてブダペスト市内のどこか全く知らない場所まで連れて行かれてしまう事になりかねないが(苦笑)

僕は事前にちゃんと目的地の停留所までの停車数を調べておいたので、迷うこと無くトラムを下車することが出来た。
そこから先の道順もストリートビューで見て頭に入れておいたので、生まれて始めて来た場所でも迷わずブダペスト市内の住宅地を歩いて行く。


道すがらに出会ったブダペストのねこ。
ショルダーバッグからカメラを取り出そうとすると、おやつを貰えると思ったのかバッグの口に顔を突っ込んできた(笑)

ねこと遊んだりしながら住宅地の中を歩き、向かった先は…


ブダペスト・プラネタリウム(TIT Budapesti Planetárium)
ブダペスト市内の住宅地に面した広い公園の森の中にあるプラネタリウムだ。まん丸いドーム屋根が冬の夕焼けに照らされた印象的な姿で、森の中に佇んでいた。



ブダペスト・プラネタリウムの入口ドアを開けると、館内はガランとしていて人の気配がない。
館内を巡回していた警備員のおじさんが英語で「次の上映回は1時間後。あそこの窓口でチケットを買って」と教えてくれたので、窓口に行ってチケットを購入。マジャール語は全く分からないが、英語が通じるので有り難い。

上映開始まで、館内の展示を見て回る。




こんな展示パネルを発見!小惑星イトカワの近接撮影画像だ。
「おおっハンガリーでも我らが日本の小惑星探査機『はやぶさ』の功績は紹介されているのか!」
…どうやらマジャール語では「宇宙探査機」は「urszonda」と表記するらしい。

館内展示を一周り見て回ってもまだ時間があるので、プラネタリウムの外に出て公園を少し散歩することにした。





冬の夕暮れ時に森林公園を散歩するのは、何とも言えない風情と郷愁がある…

ヨーロッパの街のプラネタリウムは、こういった広大な森林公園の中に建てられている事が多い気がする。プラハやハンブルグのプラネタリウムも、こんな森の中にあって印象的だったなぁ

やがてプラネタリウムの上映時間が近づき、館内に戻るといつの間にやら見学者が多数訪れていてドーム入り口には長蛇の列が出来ていた。
見学者の顔ぶれも小さな子供がいる家族連れのみならず、大人のカップルや老夫婦も多くて実に多彩。

ヨーロッパではプラネタリウムが文化として広く社会に認知されていることが伺えて、未だに「プラネタリウム≒子供の教育施設」という認識が根強い日本から来たプラネタリウム好きの大人としてはちょっと複雑。正直、羨ましい…


これが、ブダペスト・プラネタリウムのご本尊。
名機カールツァイス・イエナの投影機で、ドーム内が暗くて投影機まで距離があったせいで銘板に刻印された機体番号はよく読み取れなかったが、カールツァイスの公式サイトによればZEISS UPP 23/6モデルとのこと。

さて、ドーム内に満席の観客を迎えて始まったブダペスト・プラネタリウムの投影は、ZEISS UPP 23/6を用いてのオーソドックスな「今夜の星空案内」に続いて、何とパネル投影によるクリスマスと天文の関連を紹介するかなり本格的なキリスト教の宗教プログラムだった。
有名な「クリスマスの星と東方の三博士」の話などをパネル投影のイラストで紹介して、それに合わせて荘厳なミサ曲が流れる中で実際にキリストが生まれた頃の星空をカールツァイス・イエナで再現するという凝ったもので、こういった投影プログラムは初体験だったので実に興味深かった。
日本ではこういう種類の投影には、まずお目にかかれないだろうなぁ…

Carl Zeissの大型機の星空とキリスト教文化を満喫した後、ブダペスト・プラネタリウムのドームを出ると、ブダペストの街はとっぷりと日が暮れていた。
さぁ、いよいよ夜が訪れた!ブダペストの街並みが闇に浮かび上がる夜は、この街が最も美しく輝く時間だという。

僕もこれからトラムとメトロに乗って、夜のブダペストの街を見に行こう!

8:ブダペスト夜景散歩に続く

2015-16年越し中欧紀行 6:ハンガリー国立歌劇場 バレエ「くるみ割り人形」を観る

2016-02-21 | 旅行記:2015-16中欧

5:ワルシャワ発ブダペスト行き国際列車VARSOVIA号の食堂車からの続き

2015年12月29日

今日は朝はホテルでのんびりと過ごし、前日の国際列車での長旅の疲れが充分に癒えてからブダペストの街に出かける。

ケレティ駅の半地下の駅前広場からメトロ(地下鉄)に乗り、途中で乗り換えて、世界遺産でもあるブダペストの目抜き通り“アンドラーシ通り”へ…


“アンドラーシ通り”のオペラ駅でメトロを下車。
このオペラ駅を通る「ブダペストのメトロ1号線」は1896年開業で地下鉄としてはロンドンに次いで古く、地上の“アンドラーシ通り”共々世界遺産に登録されている。

オペラ駅から地上に出ると…




ハンガリー国立歌劇場が駅出入り口の目の前にそびえ建つ。
今日は、このハンガリー国立歌劇場でマチネ(昼間)公演を鑑賞する。



ハンガリー国立歌劇場は僕が生まれて初めてオペレッタ「こうもり」を観てヨーロッパの歌劇場公演の素晴らしさを知った想い出深い場所。
また、昨年は僕の地元の熊本で「フィガロの結婚」の引っ越し公演を行った事もまだ記憶に新しい




そんなハンガリー国立歌劇場での今日のマチネ公演の演目はバレエ「くるみ割り人形」
言わずと知れた誰もが知るチャイコフスキー作曲の名作バレエであり、年末年始シーズンの定番上演作品である。



華やかな天井画と煌めく大シャンデリア。オペラ劇場らしい豪華絢爛たる装飾に彩られたハンガリー国立歌劇場。
かつてオーストリア=ハンガリー二重帝国の帝都ブダペストに君臨する歌劇場としてウィーンと競い合い、ハンガリー贔屓の皇妃エリザベートからも愛され彼女の為の専用ボックス席も用意されていたという…
そんな歴史と伝統に彩られたこの劇場自体が、既に一つの芸術作品である。









ハンガリー国立歌劇場で観た、真昼の夢の様なバレエ「くるみ割り人形」。

歴史と伝統を誇りながらも実は意外に遊び好きで、派手で凝った演出が好きな傾向があると思われるハンガリー国立歌劇場らしく、大掛かりな舞台転換が何度も繰り返されるSF的とも思えるダイナミックな演出で大いに楽しませてくれた。

もちろん、ダンサー達の踊りも見事だった事は言うまでも無い。僕の好きな、物語のカギを握る謎の人物ドロッセルマイヤーおじさんの怪人ぶりも格好良かった…(笑)



来年の冬にもまた、この劇場に来たいね。
この次は出来れば夜の公演で、重厚なオペラ作品がいいかな…


7:ブダペストのプラネタリウムに続く

H-IIAロケット30号機/X線天文衛星ASTRO-Hの打上げが熊本県八代市で見えた!

2016-02-17 | 宇宙
Photo:飛翔するH-IIAロケット30号機(熊本県八代市・八代内港旧フェリーターミナル付近にて)


本日(平成28年2月17日)17時45分00秒(日本標準時)、X線天文衛星ASTRO-Hを搭載したH-IIAロケット30号機が種子島宇宙センターから打上げられました。

打上げ時刻は、ちょうど南九州では日没直前の夕暮れ時。
「空は暗くなり始めているが、太陽光は上空に差し込んでいる」という絶好の“ロケット見学時間帯”。
僕も、勤務終了後に(残業を強引に断って(笑))種子島方向が海に面して開けたロケーションにある港地区に向かい、地元の熊本県八代市からのロケット打上げ目視観測にチャレンジしました!




午後5時半頃、港に到着すると、晴れてはいるものの雲が空一面に…

でも、かなり風が強くて上空の雲がかなりの速さで北に吹き飛ばされているのが分かります。
何とか雲の切れ間からH-IIAのロケットロードが見えることを祈って、打上げ時刻を待ちます。

インターネットの打上げライブ中継を見ながら、17時45分のリフトオフの瞬間を確認。
ライブ中継は若干のタイムラグがあるので、そろそろH-IIAロケット30号機は上空に到達して、ここからでも肉眼で見え始める筈。

「どこだ!?雲が多くてよく分からないが、出て来いH-IIA!早く飛んで来い!!」

しかし、なかなかロケットの機影もロケットロードも見えず、「やっぱりダメか…雲に隠されてしまったか」と諦めかけたその時!

「来た!来た来た来たー!!H-IIAロケット30号機だ!!」




小さく輝くH-IIAロケット30号機の機影が、真っ白なロケットロードを引き連れて、雲の切れ間の青空を天空目指し突き抜けていきます!


やがてH-IIAはASTRO-Hを地球周回軌道へと導く為に航路を地球表面に沿うように曲げ、地平線の彼方へと落ちていきます…





「行ってしまった…もう宇宙に出ているな。多分、既に第一段ステージもフェアリングも切り離した筈だ。
…ASTRO-H、いい旅を!!」



やがて、冬の強い風に吹き流されてロケットロードも夕空に溶けていきます…


H-IIAロケット30号機が旅立つのに合わせたように日が暮れて、海風が冷たくなってきたのでクルマの中に退避して、打上げの余韻に浸ります。
今回もいい打上げでした!

H-IIAロケット30号機によるX線天文衛星(ASTRO-H)の打上げ結果について
(JAXAプレスリリース 平成28年2月17日)

そして打上げの約2時間後、H-IIAロケット30号機から分離され地球周回軌道に投入されたX線天文衛星ASTRO-Hは地球を一周りして再び九州の上空に到達し、大隅半島の内之浦宇宙空間観測所で衛星からの電波受信にも成功。
無事に太陽電池パドルを展開していることも確認され、「ひとみ」と命名されました。
日本の新しいX線天文衛星「ひとみ」が誕生したのです!

X線天文衛星(ASTRO-H)の太陽電池パドル展開及び衛星の名称について
(JAXAプレスリリース 平成28年2月17日)

おめでとう、「ひとみ」。そして、今回もありがとう、H-IIAロケット。
君たちは日本の誇り。科学の子、そして、平和の使者。

2015-16年越し中欧紀行 5:ワルシャワ発ブダペスト行き国際列車VARSOVIA号の食堂車

2016-02-14 | 旅行記:2015-16中欧

4:ワルシャワ発ブダペスト行き国際列車VARSOVIA号の旅からの続き

ポーランドの首都ワルシャワとハンガリーの首都ブダペストを結ぶ国際特急ユーロシティ(EC)131列車「VARSOVIA」号。
およそ9時間半かけて中欧を縦断する長距離列車だが、長い時間を車内で過ごすことになる乗客のために食堂車が連結されている。

日本では観光列車以外では見かけなくなり、ヨーロッパでも高速列車化が進むのに連れて徐々に姿を消しつつある食堂車だが、中欧東欧の長距離列車では今なお健在。
という訳で、僕も「VARSOVIA」号に乗車中に食堂車での夕食を楽しんでみました。


「VARSOVIA」号の編成中ほどに連結された食堂車。

「VARSOVIA」号はハンガリー国鉄に所属する車輌で編成されているが、ハンガリーの食堂車は内装も豪華。街のお洒落なレストランにも引けをとらない雰囲気で食事を楽しむ事が出来る。




テーブルにつくとウェイターが持って来てくれたメニュー表は国際列車らしく多国語標記。英語も併記されているので心配は要らない。
値段もポーランド・ズロチとハンガリー・フォリントに加えてユーロも併記されている。


ちゃんと各通貨間での為替レートも表示されている明朗会計ぶり(笑)
なんと各種クレジットカードでの支払いにも対応していると書かれているが、実際には僕の使っている日本で発行したMasterCardは読取機に弾かれて決済できず、現金での支払いとなってしまったのはご愛嬌か。

さて、メニュー表を見ながらあれこれ考えて楽しく悩みながら注文した食事が運ばれてきた。
ハンガリーの食堂車のお味はどうかな…?


先ずは“ポーランド風 豆のスープ”4.8ユーロ
ロシアのボルシチみたいに真っ赤!
実に素朴な懐かしい感じのする味で、豆と肉の細切りがたくさん沈んでいて食べ応え充分。


続いてメインディッシュは、“鶏胸肉のステーキ グリル野菜添え”7.5ユーロ
定番のチキンステーキで、とても食べやすい。説明不要の美味しさ!


飲み物は“カプチーノ”2.5ユーロ


そして締めのデザート、“パンケーキ”3.3ユーロ
長旅の疲れを癒やし、そして男の独り旅の無聊を慰めるにはやっぱり甘くて優しいスイーツが欠かせません!(笑)


食堂車での夕食を楽しんでいるうちに「VARSOVIA」号はチェコとスロバキアの国境を越えて、車窓には夕焼けの平野と森が広がる。
終着駅のブダペストまでは、もうあと少し…

ハンガリーの食堂車の料理、美味しかった!「ごちそうさま!」

6:ハンガリー国立歌劇場 バレエ「くるみ割り人形」を観るに続く

肥薩おれんじ鉄道にクモヤ443系検測車がやって来た!

2016-02-10 | 鉄道

今日は、九州西海岸の第三セクター鉄道「肥薩おれんじ鉄道」に珍しいお客さんがやって来ました。
JR西日本管内の京都から遥々と、路線の状態を検査するためにやって来た「電車のお医者さん」、クモヤ443系です!


正午過ぎ、肥薩おれんじ鉄道の肥後高田駅に日奈久温泉駅方から進入するクモヤ443系。
今ではディーゼルカーの普通列車と貨物列車しか走らなくなったかつてのJR鹿児島本線を颯爽と走る姿は、国鉄の特急電車のような貫禄があります。
実際、クモヤ443系は今では九州からは引退して姿を消した国鉄型特急電車485系の設計思想やデザインを取り入れて造られているので、「国鉄型の最後の末裔」のような存在です。


肥後高田駅のプラットホームに身を横たえるクモヤ443系。この駅で暫しの小休止。








クモヤ443系の正式名称は「電気検測試験車」
電化区間の架線の状態を調べる検測用の特別なパンタグラフと、走りながら架線の検測を行う各種センサーを搭載した検測ドームを備えています。
架線の安全を見守る重大な任務を帯びた車輌です。


JR西日本の旧・京都総合運転所に所属する車輌であることを示す標記。
現在、クモヤ443系はJR西日本管内にとどまらず広く西日本一帯の電化区間の検測を行っています。JR九州や肥薩おれんじ鉄道線にも定期的に「往診」にやって来るのです。


日本国有鉄道、昭和50年と刻まれたプレートが長年の活躍を物語ります。
あまりお客の目に触れる機会のない地味な車輌ですが、電車・電気機関車の運行を支えるまさに縁の下の力持ちです!


やがて、行き合いの下り普通列車が肥後高田駅に到着。


普通列車と行き違いに、クモヤ443系は八代駅方に向かって発車していきます。

…クモヤ443系は製造から40年が経過した2016年の今もなお、西日本各地を検測して走り回っていますが、車体の老朽化が進んでいる為に引退の噂が絶えません。
とは言え、引退が囁かれ始めて以来既に10年近くも、そんな噂を吹き飛ばすかのように元気に走り続けているタフな車輌であることも事実。
これからも末永く、国鉄特急の面影を残す風貌で時々ふらっとやって来て欲しいものです。

がんばれクモヤ443!

撮影地:肥薩おれんじ鉄道 肥後高田駅

今日の特急「九州横断特急」「くまがわ」(平成28年2月10日)

2016-02-10 | 鉄道
九州横断特急2号(2016/02/10 有佐―小川)


今日は平日ですが、有給休暇の消化日にしたので朝から撮り鉄してきました。
狙ったのはもちろん、「九州横断特急」!



くまがわ1号(2016/02/10 小川―有佐)

…こちらは「九州横断特急」ではなく、熊本―人吉間を朝と夜だけ運行している特急「くまがわ」号。
もっとも、「九州横断特急」と全く同じキハ185系の車輌と編成で間合い運用されているので外観からは全く見分けがつきませんが(笑)
来月のダイヤ改正で「九州横断特急」は熊本―大分・別府間の列車として存続しますが、この「くまがわ」は残念ながら完全に廃止となり運行が消滅します。



九州横断特急4号(2016/02/10 八代駅構内)



九州横断特急4号(2016/02/10 八代駅構内)

八代駅構内で肥薩線の普通列車と並ぶ九州横断特急。
この光景も間もなく過去のものに…(あっ、でもよく見たら九州横断特急なのに久大本線系統の特急「ゆふ」のロゴが入った車輌だ…)



九州横断特急8号(2016/02/10 新八代―千丁)

晩冬の日が暮れて…
今日もお疲れ様でした。

今日の特急「九州横断特急」(平成28年2月7日)

2016-02-07 | 鉄道
九州横断特急3号(2016/02/07 千丁―新八代)


今日は朝から一日中いい天気。
新八代駅近くの鹿児島本線沿いの田園地帯でピクニック気分での「九州横断特急」撮影を楽しみました。

今日は日なたでは春を思わせる陽気でしたが、まだ風は冷たくまさに『春は名のみの風の寒さや』
もうすぐ本番の春がやってくる頃、「九州横断特急」は熊本県南部のこの地から姿を消します…


九州横断特急3号(2016/02/07 千丁―新八代)



九州横断特急6号(2016/02/07 新八代―千丁)



九州横断特急8号(2016/02/07 有佐―小川)

2015-16年越し中欧紀行 4:ワルシャワ発ブダペスト行き国際列車VARSOVIA号の旅

2016-02-07 | 旅行記:2015-16中欧

3:ポーランド国立ワルシャワ室内歌劇場 オペラ「リゴレット」を観るからの続き

2015年12月28日

今日は移動日。
ワルシャワから国際列車に乗り鉄道で国境を越えて、次の目的地であるハンガリーの首都ブダペストに向かう。

という訳で、朝からワルシャワ中央駅にやって来た…

さすが親日国ポーランド、ちゃんと日本語で「ワルシャワ中央駅」と書いてあるぞ(笑)
…と、これは実はワルシャワ中央駅のコンコースに展示されていたポスター。
どうやら来年(2016年)のポーランド国鉄の公式カレンダーの原画展をやっていたようで、他にも個性的なイラストのポスターがずらりとパネル展示されていた。

ちなみにポーランドが親日国なのは本当なので、こういった「日本風」なイラストもカレンダーに使われているのは日本人としては嬉しい限り。


ワルシャワ中央駅の地下プラットホームに行くと、スマートな流線型の新型車輌が停車中。
2014年にデビューしたばかりのアルストム社製振り子車輌ペンドリーノで、ヨーロッパではイタリア近辺でよく見かけるタイプの高速列車だが、遂にポーランド国鉄でも導入したらしい。

カッコいいペンドリーノでブダペストまで一っ走り…といきたいところだが、残念ながらペンドリーノは国内線の特急インターシティにしか投入されていない。
僕が今から乗る国際線の特急ユーロシティは、昔ながらの客車を連ねた編成を機関車が牽引するスタイルの列車だ。




ワルシャワ中央駅9:55発、ブダペスト・ケレティ(ブダペスト東駅)行き国際特急ユーロシティ(EC)131列車「VARSOVIA」号。

…ワルシャワ中央駅の案内表示ではなぜか国内線の特急インターシティを意味するEIC14002という列車番号も併記されている。
また、行き先もブダペスト東駅だけでなくブルガリアの首都であるソフィアが併記されている。どうやらこの「VARSOVIA」号はソフィアに向かう別列車との併結運転を行っているらしい。

ちなみにVARSOVIAとは聞き慣れない言葉だが、ワルシャワ(WARSZAWA)のフランス語読みである。
なぜポーランドとハンガリーを結ぶ中欧の国際列車にフランス語の愛称を付けたのかよく分からないが、ひょっとしたらフランス皇帝ナポレオンによって建国されたワルシャワ公国にちなんでいるのかも知れない。







ワルシャワ中央駅を定刻に発車したEC131「VARSOVIA」号は、快晴の冬の朝のワルシャワ近郊を快調に走り始めた。
今日は中欧を縦断する長旅に備えて1等車を予約しておいたが、ハンガリー国鉄所属の客車のコンパートメント式の1等車は小ぎれいで程よく空いていて、静かで快適だ。


1等車の乗客には朝食サービスもある。
コンパートメント席での食事サービスと聞くと古き良き時代のオリエント急行プルマン車やヨーロッパ国際特急TEEの伝統を感じさせるが、21世紀の今では菓子パンとペットボトルの飲み物が無造作に配られるだけで風情も何も無いのは致し方無いところ…

もっとも、この「VARSOVIA」号にはちゃんとした食堂車も連結されている。後で食堂車にも行って、本格的なヨーロッパの列車食堂の温かい食事も試してみるつもりだ。

朝食サービスの菓子パンを食べ終えたら、腹ごなしに列車内を散歩してみる。
どうやらこの「VARSOVIA」号、編成の後部にソフィア行きの別の列車を連結しているようなので、どんな車輌がつながっているのか見に行ってみよう…


「VARSOVIA」号編成の車輌のデッキの後ろ側につながる、やたらとゴツくて重いドアを開けて後部の車輌へ…


後部につながれた車輌の車内には、何とロシア語の標記が!
「VARSOVIA」号に併結されていたのは、ロシア鉄道の寝台車だった!

ロシア鉄道の寝台車に乗れる機会なんてそうそうあるものではない。早速、車内を詳しく見て周ることにする。


ロシア鉄道の寝台車はヨーロッパでは1等寝台車扱いとなる典型的なコンパートメント式の構造。
通路沿いに個室のドアが並ぶお馴染みのスタイルである。ちなみにこの寝台車、つい最近建造されたばかりでまだピカピカのシーメンス社製の新型車輌だった。


空いていた個室を見てみた。室内にはゆったりとした2段式ベッドが装備されている。
ロシアの寝台車とは言えシーメンスの新車なので、実に快適そうだ。


ロシアの長距離列車と言えばいつでも紅茶を飲めるお湯のサービスが有名だが、この車輌にもしっかり湯沸かしポットが準備されていた。


通路に張り出されていた時刻表。
この列車はどうやらロシア鉄道の「第9列車」として夕方にモスクワを発車して一晩走った後、翌朝にワルシャワからEC131「VARSOVIA」号と連結してブダペストまで行き、そこからさらに一晩走ってブルガリアのソフィアまで行くという長距離運用を行っているらしい…
二泊三日のロシア中東欧縦断列車が、今もなお新型車輌で運行中という事実にはただ驚かされる。




編成最後尾のデッキのドア窓から、走り去る車窓を暫し眺める。
この線路は、遠くモスクワ、そしてシベリアを横断して日本海の街ウラジオストックまで続いているんだなぁ…あれ?でもよく考えたらロシア国内の鉄道は線路幅がヨーロッパ標準軌よりも広い広軌だから、レールは直接はつながっていないのかな…?

ひとしきり車窓を見ながら感慨にふけった後、さてそろそろ「VARSOVIA」号の自分の席に戻ろうかとロシア寝台車のデッキの貫通ドアを開けようとすると…
「あれ?ドアが開かない!?施錠されてる!!」

どうやら最後尾のデッキまで行っている間に、「VARSOVIA」号とロシア車輌の間のドアを締められてしまったらしい。
ロシアの寝台車に閉じ込められたなんて堪ったものじゃないと慌てて乗務員室に行き、昼寝を決め込んでいた初老のロシア人の車掌を叩き起こして事情を説明しドアを開けてもらおうとするも、どうやらこのロシア人車掌のじいさんは英語を全く解さないらしく何やら不機嫌そうに喚き散らすだけで埒が明かない。

やむを得ず、爺さん車掌の袖口を掴んでデッキまで連れて行き、自分の「VARSOVIA」号の座席指定券を見せてドアを指差しながら「I want to go back to my seat!! Please open the door!!」とか大声で言うと、ようやく意味を理解したようで「この車輌に入ってきちゃ駄目なんだぞ!!全く何やってるんだお前は!!」(←恐らくこんな意味だと思われるロシア語)と怒鳴りながらポケットから取り出した「忍び錠」(鉄道車輌の立ち入り禁止区画等の施錠に使われる合鍵。日本のJR等でも普通に使われている)でドアを開けてくれた。

「ほぉ~ロシア鉄道でも日本のとそっくりな忍び錠を使っているんだなぁ」等と妙な事に感心しながら、じいさん車掌に「OK、OK!お昼寝中にどうもすみませんね、Sorry!」とか言いながらVARSOVIA」号の自分の座席へと退散する。

…かくして、何やら珍騒動で締めくくられたロシア寝台車の見学を楽しんだ後は、のんびりと国際列車の長旅を味わうことにしよう。
そうそう、ロシア人の頑固じいさんとやりあったせいで小腹がすいてきたので、食堂車にも行かないとね(笑)


旅の途中、どこかの国のどこかの駅で「VARSOVIA」号を見送ってくれた保存されている蒸気機関車(「VARSOVIA」号はポーランド・チェコ・スロバキア・ハンガリーを経由するが、全てシェンゲン協定の圏内なので国境駅での停車もパスポートチェックも何も行われず、時々自分が今どこの国の領内を走っているのか分からなくなる)




夜7時半頃、EC131「VARSOVIA」号はほぼ定刻通りに終着駅のブダペスト・ケレティ(ブダペスト東駅)に到着した。
ワルシャワから9時間半、文字通り中欧を縦断する長旅だった。




「VARSOVIA」号の編成後部に連結されたロシア鉄道の寝台車は、ここで切り離された後暫く停車してからブルガリアの首都ソフィアに向かって再び旅を続ける。
昼間に僕とやりあった車掌の頑固じいさんも、どうかあと一晩よい旅を…頑張ってね(笑)


それにしても、ロシア寝台車のこの台車は今はヨーロッパ標準軌に載っているけど、ロシアとの国境では台車ごと交換したのかなぁ…?
台車の構造がシンプルなので、軌間を自由に変えられるフリーゲージ機能を持っているようには見えないんだけど…


ブダペスト・ケレティ駅には北斗七星を車体に描いたチェコ鉄道の寝台車をつないだ寝台列車が停車中。
チェコの寝台特急「北斗星」号か。




ケレティ駅に来るのは数年ぶりだが、この駅舎は相変わらず美しい。夜になって夜霧の中にライトアップされて浮かび上がる姿はまた格別の美しさだ。

…だが、つい数カ月前まではこの美しい駅と整備されたばかりの半地下の駅前広場は、シリアから逃れてきた難民や移民で溢れかえっていたのだ。
押し寄せる難民と移民の余りの多さに業を煮やしたハンガリー政府によって国境が閉鎖されたために、今では駅周辺には難民と移民の姿は全く見当たらない。

旅行者にしてみれば、駅前を占拠する難民・移民がいなくなったので正直、安心して旅ができると思ってしまうのは否めないし、僕自身もハンガリーの国境閉鎖決定にホッと胸を撫で下ろしたのも事実だ。

でも今、このヨーロッパの寒空の下、この地を追われた人々はどこで夜を過ごしているのだろう、寒さに震えたり飢えや乾きに苦しんでいるのではないか…そう思うと胸を締め付けられるようだ。

どうか一刻も早く、全ての苦しむ人々に安らぎの夜が訪れますように…
身勝手を承知でそう願いながら、人の気配の消えたケレティ駅前広場の先にあるホテルへと向かった。

5:ワルシャワ発ブダペスト行き国際列車VARSOVIA号の食堂車に続く