天燈茶房 TENDANCAFE

さあ、皆さん どうぞこちらへ!いろんなタバコが取り揃えてあります。
どれからなりとおためしください

1万人が見送ったM-V Commencement

2006-09-29 | 宇宙
太陽観測衛星「ひので」を乗せたM-V-7ロケットが内之浦宇宙空間観測所から旅立って1週間が過ぎようとしている。

見事軌道に乗った「ひので」は現在、本格運用開始に向けた準備作業を行っていると思われる。
打ち上げ成功以来、その後の衛星の情報はリリースされていないが、これは特に問題が起きていない為だろう。
来月にも望遠鏡の蓋を開ける作業が始まるらしいので、それまで待つとしよう。

さて今日、内之浦でM-V-7打ち上げの取材活動を敢行していた宇宙作家クラブのニュース掲示板を見たところ久々に情報が更新されていた。
打ち上げが成功した日の夕方、内之浦の漁港で地元の人と宇宙研関係者の交流会が開かれたとのこと。
内之浦にロケット基地がつくられて以来、何十年も続いている地元の人たちと宇宙研の親密な関係を窺わせる、いい話だ。

で、その交流会での役場職員による交通整理の結果報告によると、一般見学席用の500台分の駐車場が前日の夜10時に満車になり、溢れたクルマは路上駐車させてその総延長が3・8キロ!に達したそうだ。
確かに当日は夜半過ぎから「もうクルマは入れません。内之浦の町に引き返してください!」と放送してたなあ…
最終的には打ち上げ場所の隣の山もクルマで一杯になり、港側に誘導したりしたとあるから、ハッキリ言って内之浦の町全体がM-V-7を見送りに来た人達のクルマで埋まってしまったということらしい。
結局、クルマは推計で5000台!総動員数は1万人!!…これって殆ど大物アーティストのアリーナ公演並みだ…あの山の中に、深夜にこんなに多くの人たちがM-Vロケットの最後の雄姿を見送りに集まったんだなぁ。。。

ところで、来月にはM-V-7の感動を呼び戻すようなイベントが企画されている。
内之浦宇宙空間観測所一般公開
M-Vロケット打上げ施設の公開があるとのことなので、あの日M-V-7のロケット噴射に炙られたM台地をじっくり見て周れそうで楽しみだ。
ついでにプレハブの掘っ立て小屋みたいでシュールなテレメータセンターの中にも入れたら面白そうだなぁ。

ひので、誕生。M-V-7は羽ばたいた

2006-09-23 | 宇宙
宇宙航空研究開発機構は、平成18年9月23日06時36分(日本標準時)に、内之浦宇宙空間観測所から第22号科学衛星(SOLAR-B)を搭載したM-Vロケット7号機(M-V-7号機)を、ランチャ設定上下角82.0度、方位角149.3度で打ち上げました。
(M-Vロケット7号機による第22号科学衛星(SOLAR-B)の打上げ実験結果について
平成18年9月23日 宇宙航空研究開発機構)

世界一の太陽観測衛星SOLAR-Bを乗せた、日本が誇る世界最大の固体燃料ロケットM-Vの最終運用となる7号機は、今朝6:36に内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられ、見事衛星を所定の軌道に乗せることに成功した。
文句なしの大成功だった。
有終の美を飾ったM-V-7は、ペンシルロケットから受け継がれた日本の固体燃料ロケットの系譜の集大成として宇宙へと旅立っていった。

筆者は内之浦の一般見学席でM-V-7の旅立ちを見送った。

熊本県から深夜の高速道路と国道を走り続けること4時間、野を越え山を越え午前1時過ぎに到着した内之浦はM-Vの最期の晴れ姿を見届けようという人々でごった返していた。
町内に1ヶ所だけ用意された一般見学席はすでに長蛇の列で、ベンチ席の数が足りず地べたにシートを敷いて座り込む羽目になったが、何とか直接肉眼でロケット整備塔を見ることが出来るポジションを確保できた。
あとはひたすら、夜明けの打ち上げの瞬間を待つ。待ち続ける。
ボーダフォン携帯電話の電波が届かないのでネットで公開されているM-V-7打ち上げ準備状況を確認する事も誰か友人に電話して状況を聞くこともできず、真っ暗な見学スペースの原っぱでシートに寝そべってただひたすら待つ!

それでも、見学スペース近くに設置された屋外スピーカーから現場での状況が逐一アナウンスされるので、今現在打ち上げ準備がどのように進捗しているかは大体分かった。
本当に現場での業務連絡をそのまま流しているらしいので、難解な専門用語ばかりの放送だったが、それがかえってマニア心を刺激して楽しい。いや、本当に意味分からないんで気分を楽しんでるだけなんだけど。

午前3時過ぎ頃、ランチャを旋回してロケットを整備塔から出すとの放送があり見学スペースにも緊張が走る。
ライトアップされたはるか3キロ彼方の整備塔から、真っ白なM-Vの頭胴部フェアリングが姿を現した。初めてこの目で見るM-V-7の姿。
その後、4時過ぎには上空の気流を測定する為と思われる「放球」が行われるが、放たれたらしいバルーンの姿は確認できず。
この頃は既に観測所全体が打ち上げに備えた「省電力モード」に移行中で、ライトアップがどんどん消されていたので暗くて見えなかったか?

またこの頃からポツリポツリと降り始めた雨が次第に本降りとなり、雨ざらしの見学スペースでは見学者がビニール袋やマットをかぶって凌ぐ始末。
固体ロケットエンジンの衝撃波対策でフェアリングにコルク素材を使用している関係でM-Vは雨に弱い。前回の8号機の打ち上げも、予定時刻20分前に降雨の為急遽打ち上げが中止され1日延期されている。
今回も、このままでは打ち上げ中止もやむなしか…と半ば覚悟しかけた頃、雨は上がり雲の切れ間から夜明けの光が差し始めた。

「よし!いける!!」

やがてすっかり夜も明け、打ち上げ予定時間直前までランチャ角度の微調整を指示する放送を流し続けていたスピーカーも静かになった。
時々、打ち上げ時間が刻一刻と近づいている事を告げる短いアナウンスが入り、その都度、見学スペースの緊張感と期待のボルテージが上がっていく。
夜通しの屋外での待機に消耗してしゃがみ込んだり寝そべったりしていた見学者達も、既に皆総立ちでM-V-7の屹立する「M台地」を見つめている。

…スピーカーからかすかに秒読みの声が聞こえる。音量が小さすぎてよく聞こえない。
「大きな音で流してくれたら皆でカウントダウンができるのに!」
やむを得ず、自宅を出る前に秒単位で合わせて持参した「SEIKO鉄道懐中時計」を横目で睨んで、心の中でカウントを刻む。

「午前6時35分50秒…55秒…5、4、3、2、1。…M-V-7リフトオフ!!」


無音の張り詰めた空間。
そして静かに、視界に光が広がった。
硬質の、力強くどこか優しいオレンジ色の光。
やがて光は突如急激に膨張し視野を眩ませる。


平成18年9月23日午前6時36分(日本標準時)、M-V-7は内之浦宇宙空間観測所のM台地から羽ばたいた。

M-Vは優雅に、とても滑らかにロケットランチャを離れ飛翔する。
「これが、日本の誇る固体燃料ロケットの飛翔か…」
僕の脳裏には、固体燃料ロケットの打ち上げはもっとゴツゴツしたワイルドなものだという先入観があったが、初めて直接自分の目で見るそれはあくまでも優雅で母性的な優しさまで感じる。
そうだ、M-Vはやさしいロケットなんだ。
丹精込めて産み出された繊細な探査機を、やさしく包み込んで宇宙へと無事に送り届ける、きっとそう願って創られたんだ…
はるか」を、「のぞみ」を、「はやぶさ」を、「すざく」を、「あかり」を、そして「ひので」と名づけられることになる末っ子を無事に宇宙へと送り出したM-Vは、本当に世界最高の固体燃料ロケットだった。僕はその事実を、最後にこの目で見ることで確信することができた。

M-V-7は高度を上げるに従って飛行経路を南向きに変えて旋回する。
そして殆ど真横を向いた姿勢で南下するM-V-7は、地上で見送る人々に自分の姿をよく見てもらいたいかのように内之浦の上空を横切り、雲の中に消えていった。
その姿はまさに天空を往く船そのものだった。神々しかった。
とにかく…美しかった。

まるで幻想のように雲間に消えたM-V-7を追いかけて、いつまでもロケットエンジンの咆哮が空に鳴り響いていた。
それも、想像していた腹の底に響くような重低音の衝撃音響ではなく、空の上でオーケストラのティンパニが演奏しているようなこれまた実に優雅な低音なのだ。
その演奏も、やがて静かに雲のカーテンの向こうにフェードアウトしていった。
後には、空に一筋の噴煙だけが残った。
たった今、目の前で起きた出来事が幻想ではなく事実だった事を伝えるロケット雲も、風に流され空に溶けていった。

「…行ってしまった。」

急に全身の力が抜けて、ぐったりしてしまった。
そして、言いようのない寂しさが残った。
「もう会えないんだ…」

JAXAはSOLAR-Bの打上げをもってM-Vロケットの運用を終了し、低コストの小型固体燃料ロケットを新たに開発するとしている(今後のM-Vロケット等について 平成18年7月26日 宇宙航空研究開発機構)。
今のところ、M-Vの後を継ぐ新型ロケットは液体燃料ロケットH2-Aの固体ブースターとM-Vの2段目ロケットを組み合わせる案などがあるとされるが、本来の使い方と異なる目的で全く系統の違うロケットを組み合わせる結果、著しく性能が落ちることが指摘されており、ハッキリ言って「何で世界最高のM-Vロケットを棄てて中途半端な継ぎ接ぎロケットを造らないといけないの?」という疑問と不満が関係各方面から出ている。

M-Vロケットはその高性能と安定した運用実績を捨てて、非常に不条理なかたちで日本の空から消えた。
いつの日かまた、「Mの称号」を受け継いだ素晴らしいロケットが内之浦のM台地に甦る日は来るのだろうか。その日が来なければ、日本の宇宙探査の系譜そのものが廃れて永久に失われてしまう結果になるように思われて仕方がないのだが…

「また会いたいよ、M-V…!」


飛べ!M-Vロケット!!

2006-09-22 | 宇宙
太陽観測衛星SOLAR-Bを乗せたM-Vロケット7号機は、今から約12時間後の午前6:36に鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所から打上げられる(JAXA SOLAR-B/M-V-7カウントダウンページ)。
筆者もこれから熊本県の自宅からクルマで現地へと向かう。
現地の天候は晴れ、雲が多くなければあかつきの空へ旅立つM-Vを見送ることが出来る筈だ。

では、
   , ノ)
  ノ)ノ,(ノi
  (    (ノし
   ∧,∧  ノ    行ってきます!
 ( ( ....:::::::) ( 
 ⊂/ ̄ ̄7 )
 (/   /ノ
   ̄TT ̄
   ((  )) ゴゴゴ
  ((   )) ズドドド
 ((     ))  ズドドドド



SOLAR-B/M-V-7 打ち上げ前夜

2006-09-22 | 宇宙
いよいよ明日早朝、SOLAR-Bを乗せたM-V-7ロケットが宇宙へ旅立つ。

待ちに待った打ち上げなのだが、M-Vロケットは今回打ち上げられる7号機が最終機となる。
これは「明日、日本のMロケットの歴史に終止符が打たれる」ということを意味する。
糸川教授の伝説のペンシルロケット以来、輝かしい功績を残し世界の宇宙探査の最前線を突っ走ってきた宇宙研の固体燃料ロケット「ミュー」は、
コストのかからない小型ロケットにバトンタッチするという名目で息の根を止められ、葬り去られようとしている。

将来、子ども達から「むかし僕たちの国には世界一のロケットがあったのに、なんで棄てちゃったの?」と聞かれたとき、我々は何と答えればいいのだろう?
「…我々は、君たちに宇宙を見つめる夢や希望のある国ではなくて経済と効率だけの国を贈ることにしたからだよ」としか答えようがないではないか?

たかがロケット一つで何を大袈裟な、と思われるかも知れない。
でも、筆者にはこのM-Vロケット打ち切りは、日本全体を覆いつつある閉塞感の象徴のように思えてならないのだ。
我々の国は常に頭上に広がる未知の大海原へ、好奇心ひとつで飛び出していこうという気概に溢れた若々しい国だったはずなのに…
とりあえずカネが動くからと、誰も使わない道路や建物に巨万のカネをつぎ込むのに、カネにならないロケットにはビタ一文出す気がない。
そのロケットがいかに素晴らしい成果をあげて人類科学に貢献していようと、そんな事には全く関心がないのだ。

いや、今更こんなことはもう言うまい。
今はただ、最後のM-Vロケットの大成功を信じ星空に祈るばかりだ。
SOLAR-B/M-V-7の打上げまであと1日!

「人間は宇宙へ進出しなければならない。なぜなら、好奇心をなくした生物には絶滅が待っているだけだからだ」

タイでクーデター、日本では安部新総裁

2006-09-21 | 時事
タイでクーデターがあったみたい。

タイでクーデター 陸軍司令官が権力掌握発表(CNN.co.jp)

クーデターと言うと、つい「軍の戦車部隊が首都を制圧!」とか「戒厳令発令!怯える市民達!」とかいうスペクタクルを思い浮かべるが(僕だけか?)、
実際には戦闘が発生したとか市民に怪我人が出たとかいう情報は一切なくて、なんだか緊張感がなくて妙にのんびりしたクーデターだなぁ(いや、戒厳令は実際出てるみたいだけど)。

CNNのサイトのニュースを読むと「タイでは第二次世界大戦後、これまでにクーデターが17回発生している」とあり、まああれだ、「タイではよくあること」って奴だ。
国王もクーデターを黙認してるみたいだし、タクシン首相を追い出したらタイはまた何事もなかったかのように平常に戻るのだろう。流石、微笑みの国。

一方、日本では自民党総裁選で予定通り安倍官房長官が総裁に選ばれた。
首相就任後も、北朝鮮拉致問題で見せてくれた筋の通った姿勢を貫き通して欲しい。

そして内之浦宇宙空間観測所で昨夜19日の夜8時から行われていたSOLAR-B/M-V-7の電波テスト(リハーサル)は、
雨天のためロケット本体は整備塔に戻されたものの無事終了、準備万端整った!
あとは23日早朝の打ち上げを待つばかりである。
筆者も内之浦入りに備えて、クルマの掃除とリポ○゛タンDを1ケース買っておかねば。


そんなこんなでSOLAR-B/M-V-7の打上げまであと2日!

台風一過

2006-09-18 | 日記
昨日、九州地方には台風13号が上陸し、宮崎県延岡市では竜巻が発生して3人が犠牲となり、特急にちりんが脱線転覆した(JR九州hp:日豊本線 南延岡駅構内における列車脱線について)。
犠牲者の方々の冥福を祈りたい。

台風13号は熊本県をかすめたが、幸い我が家では庭の柿の木の実と葉っぱが落ちた位で被害はゼロだった。

さて、SOLAR-B/M-V-7打ち上げがいよいよ今週末に迫った鹿児島県大隈半島のJAXA内之浦宇宙空間観測所では台風で整備塔が飛んだりしてないか心配だったのだが、今日更新されたカウントダウンページの@内之浦によると幸い打ち上げに影響するような被害は出ていないようだ。

さあ、そういう訳でSOLAR-B/M-V-7の打上げまであと5日!
台風一過の秋空に羽ばたけM-Vロケット!
…といきたい所だが、週間天気予報を見ると今週末の内之浦地区は曇時々雨で降水確率が50%になってるな。。。微妙なところだなー。
ついでに、宇宙作家クラブのニュース掲示板を見てみたら的川先生のMロケットのお話が出ていたんだが、何だかやりきれない気持ちになってしまった。

僕に出来るのは、打ち上げの成功を信じて祈る事だけだ。飛べ!M-V-7!!

吉岡菜月 ピアノリサイタル「銀河鉄道の夜」 を聴く

2006-09-16 | 音楽を聴く
木曜日、仕事中に友人のKから携帯にメールが届く。
「明日の夜、なかなか良いコンサートが熊本市内であるので来ないか?」とのこと。

吉岡菜月 ピアノリサイタル「銀河鉄道の夜」

吉岡菜月さんは熊本出身のピアニストで、アメリカのイーストマン音楽院を卒業後熊本で音楽活動をしているとのこと。
今回は夫の平野義久さん(僕は知らなかったんだけど、アニメやゲームの音楽を多く手掛けている人だそうです)作曲の
「平版 銀河鉄道の夜~ピアノのための」の世界初演。

コンサートは前半はバッハの平均律クラヴィーア曲集、ラヴェルの「ソナチネ」、再びバッハの「シャコンヌ」と続き、休憩後「銀河鉄道の夜」と続いた。
かなり難易度の高い現代音楽だったが、時折現れる宮沢賢治作曲の「星めぐりの歌」や「精神歌」や御馴染のドヴォルザーク「新世界」の旋律で、
いま「銀河鉄道の夜」のどの場面を描いているのか想像できた。
ラストの闇に沈み込むフェードアウトが美しかった。

その後、客席から作曲者の平野さんを舞台に迎え上げて音楽家夫婦揃っての挨拶。
今回のコンサートは故郷熊本への感謝の気持ちを現したかったとのこと。
それから吉岡さんの自作曲を中心に数十分に渡る長いアンコール。本当に弾いていて嬉しそうな演奏だったのが印象的。

熊本市繁華街の終夜営業の大型書店を覗いた後、帰宅。
JR駅から自宅まで、街灯もない真っ暗な田舎道をそぼ降る雨の中歩く。せめて星空が見えたらコンサートの余韻に浸ることも出来たんだろうが…
それに台風も近づいてるし、明日の内之浦でのM-V-7ロケットのランチャ角度セット試験も中止だなこりゃ。。。
とか思ってすっかり寝坊して昼過ぎに起きて宇宙作家クラブのニュース掲示板を見たら、しっかり今日の昼過ぎにランチャテストやってるじゃないかーーー!!!
やっぱり見に行けばよかったー!

という訳で、SOLAR-B/M-V-7の打上げまであと7日!いよいよあと1週間!!
台風13号に負けるな!

内之浦宇宙空間観測所の下見に行きました

2006-09-12 | 宇宙
鹿児島の大隈半島にあるJAXA内之浦宇宙空間観測所。
今月23日早朝、ここ内之浦から太陽観測衛星SOLAR-Bを載せたM-Vロケット7号機の打ち上げが行われる。
筆者も当日は現地に見に行くつもりだが、実は筆者はまだ一度も内之浦に行ったことがない。
そこで打ち上げを2週間後に控えた土曜日に下見に行ってきました。

八代ICから九州自動車道を走ること1時間半、都城で高速を下りて国道269号線で鹿屋市を目指す。
鹿屋からは最近開通した国見トンネルを抜けると、そこは宇宙の入り口の町、内之浦。。。
と書くと簡単だが、大隈半島はやたらと道路のアップダウンが激しくて愛車の12万キロ走破の軽車では走りにくい。
息も絶え絶えになる660ccエンジンをなだめすかして何とか国見トンネルを抜けると、おお向こうの山の稜線に巨大なパラボラが見える!
内之浦の市街地を抜けて再び山道をナンダ坂コンナ坂と越えると、JAXAロゴの付いた観測所入場口に辿り着く。
「やっと着いたぁ~」八代からここまで所要時間約4時間。


守衛さんの詰め所で住所氏名を記入して見学受付は完了。
あとは見学マップを渡され「勝手に見て回って下さい。建物には入らないで」ということになる。
ゲートをくぐり、急坂を登って行くと鎮座ましまして見学者を迎えてくれるのが、日本初の人工衛星「おおすみ」の記念碑。
ここから、日本の宇宙への挑戦が始まったんだねぇ…


さらに坂を登って行くと、観測ロケットのコントロールセンターと34メートルの巨大パラボラ(国見トンネルを抜けると見えたあのアンテナだ)を仰ぐテレメータセンターが建ち並ぶ一画に着く。
…古びたプレハブの小屋が建ってるけど、これが「テレメータセンター」らしい。噂には聞いていたが、これほど古いとは…
窓から覗くと、中にはこれまた古いブラウン管モニタのパソコンが並び、周辺機器の段ボール箱が雑然と積上げられてたりして高校の科学部部室みたいな雰囲気だった。
写真を撮っていると突然、直径34メートルの巨大パラボラが唸りをあげて凄い勢いでこっちを向いたので度肝を抜かれた!怖いぞ。


プレハブ小屋テレメータセンターにカルチャーショックを受けてフラフラしながら丘を下ると、またも古びたプレハブ小屋が。
今度は何だと思い近づいてみると、入り口に「記者会見室」の文字が。
この農機具置き場みたいな小屋で、世界最先端の宇宙探査の最新報告を的川先生たちが報道に記者会見するの?
…宇宙研の予算、少なすぎるよ。もっと予算増やせないものか?


敷地の奥にある20mパラボラの裾野からは、M-Vロケット7号機の打ち上げ準備真っ最中の整備塔が見える。
今現在、この整備塔の中にはM-Vロケットの1段目と2段目が既に運び込まれており、SOLAR-B衛星との組み付けを待っている。


ミューセンター全景。
今は打ち上げ準備中なので関係者以外は近づけないが、普段はここも自由に見て回る事ができるらしい。打ち上げが終わったらまた見に来よう。
それにしても、太平洋を背にした森の中にあるロケット基地は美しい。


最後に観測所の入り口脇にある資料センターを見る。
これまたレトロな「昭和の香り」がプンプンする素敵なミニ博物館。
糸川教授のペンシルロケット以来の、宇宙研と内之浦のロケット実験の歴史を伝える逸品が多数展示されているが、中でも一番素晴らしかったのが日本初の人工衛星「おおすみ」の打ち上げ成功当時に地元内之浦の子ども達の書いた作文の展示。
打ち上げ成功に沸く当時の雰囲気がいきいきと伝わってきた。

内之浦宇宙空間観測所は、海と森の中のプレハブ小屋で宇宙探査の最先端を突っ走る凄い基地だった。
それにとにかく景色が良くて気持ちがいいので、何度でも遊びに行きたくなる宇宙基地だ。

観測所からさらに山奥に進んだところにある、ロケット打ち上げの一般観望所の場所をチェックしてから帰る。
ここで2週間後、M-Vロケット7号機の打ち上げを見送ることになる。
しかし、帰りも4時間のドライブは正直しんどかった。数々の苦労に打ち勝たないと、飛翔するロケットの雄姿を拝むことは出来ないんだなぁ。。。


という訳でSOLAR-B/M-V-7の打上げまであと11日!
H-IIAロケット10号機も無事に上がったので、M-Vもがんばれ!!

親王殿下ご誕生

2006-09-06 | 時事
秋篠宮妃紀子さまが男の子を出産された。
皇室では41年ぶりに生まれた男の子だそうだ。
おめでとうございます。

帝王切開での御出産だったそうだが、何で「帝王切開」と言うのか調べてみた。
うろ覚えで「確か何とかという皇帝が開腹手術で出産したから、そう言うんじゃなかったっけ?」と思っていたのだがこれはガセで、
実際は「ラテン語のsectio caesareaは「切る」と言う意味の単語二つが重複している。これが各言語に翻訳されるにあたり、caesareaがカエサルと結びつけられてしまったのが誤訳の原因であると考えられている。」そうである(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より)。
僕は痛がりの恐がりなので、子宮を切開して子どもを産むなんて想像しただけで恐くて気が遠くなるが、やはり母は強し!だなぁ。

さて、明日の夜には延期されていたスペースシャトル[アトランティス号」(STS-115/国際宇宙ステーション(ISS)組立ミッション(12A))の打ち上げが実施される。
スペースシャトル「アトランティス号」(STS-115/国際宇宙ステーション組立てミッション(12A))の打上げ延期について(平成18年9月6日宇宙航空研究開発機構)
残り少ないスペースシャトルの打ち上げ、是非スカッと打ち上がって欲しいもの。

そして、内之浦でのSOLAR-B/M-V-7の打上げまであと17日!!
最高の打ち上げで親王殿下誕生を祝福すべく、ガンバレM‐Vロケット実験班!

月探査機スマート-1、月面に衝突

2006-09-04 | 宇宙
【宇宙探査/ESA】月探査機SMART-1、9月3日にミッション終了 月面に衝突へ (科学ニュース+@2ch掲示板)

欧州宇宙機関(ESA)が開発した初の月探査機スマート-1(SMART-1)がミッションを終了し、月の南半球の「卓越の海」に衝突してその使命を完了した。
スマート-1は月面の地図作製の為の調査や極地域での水の探査と同時に、イオンエンジンや自律航法の実験を行っていた。
「はやぶさ」の兄弟分とも言える存在、だった。
「はやぶさ」と「スマート-1」で培われた技術は、2013年に打ち上げが予定されている水星探査機「ベピ・コロンボ」へと受け継がれるという。

…「数年後に2つの探査機の「魂」は一体となって 太陽系第1惑星へ向かう、と言っても過言ではないだろう。」(AstroArts)

月に散華した宇宙機と、太陽の彼方から地球帰還を目指す探査機。
そして、天空を駆け抜けたすべての宇宙機たちに乾杯…


SOLAR-B/M-V-7の打上げまであと19日!!

M-V-7ロケット 最後の旅立ちへのカウントダウン

2006-09-02 | 宇宙
いつの間にやら9月になり、朝晩は少しだけ涼しくなってきた。
関東在住の知人と電話で話すと「最近肌寒い」とのことで、ひと足先に秋になってしまったようだとのことだが、
しかし九州熊本は日中はまだまだ暑い。

今、ここ熊本の隣の鹿児島・大隈半島の宇宙研ロケット基地では暑さの中で日本が誇る世界最大の固体燃料ロケットM-V7号機の打ち上げ準備が着々と進められている。
今回打ち上げられるのは太陽観測衛星SOLAR-B、M-Vによって地球の北極・南極上空を通る太陽同期極軌道に投入され、太陽を見つめその謎を解明するミッションに就く。

そしてM-Vロケットは今回が最後の打ち上げとなり、内之浦の空から姿を消す(☆☆ YMコラム ☆☆ (NO.349) Mロケットが消える日)。

奇跡の宇宙船「はやぶさ」恐るべき旅路を駆け抜けた「のぞみ」など、知恵と努力と根性で世界最先端を突っ走る日本の宇宙科学の結晶とも云うべき珠玉の宇宙探査機たちを宇宙へと送り出した「漢(おとこ)の固体ロケット」、M-V。
筆者は今年2月に、赤外線天文衛星「あかり」を打ち上げるM-V-8を自宅の庭で見送った。今度は、もっと近くでその最後の雄姿を目に焼き付けたい。


…よし、行くぞ!鹿児島の内之浦宇宙空間観測所(USC)へ!!


内之浦は我が家からは九州縦貫自動車道を走れば数時間でアクセスできる。
世にはM-V打ち上げを見るために日本全国から1000キロ以上の道程を走破して内之浦に馳せ参じる「つわものども」が大勢いる。それに比べたら九州熊本在住というのは随分と恵まれた環境だ。

とりあえず、十年選手の愛車を掃除した。来週、給油ついでにタイヤの空気圧をスタンドで調整してもらうか。

次に、ネットでGoogle マップを開き、内之浦宇宙空間観測所の航空写真をチェック。おお、高精細画像だ!敷地内に横たわるM-Vの地上テストモデルも見えてるぞ!

…なんか全然具体的じゃない準備ばかりしてるが、とりあえず先日の台湾鉄道乗りまくり旅行の際に車中で「宇宙へのパスポート2」(笹本祐一著)を読んでいるので大体のM-V打ち上げ見学基礎知識は既に頭に入っている。
これからは毎日、JAXAの打ち上げカウントダウンページを見て最新情報をチェックしよう。



SOLAR-B/M-V-7の打上げまであと21日!