天燈茶房 TENDANCAFE

さあ、皆さん どうぞこちらへ!いろんなタバコが取り揃えてあります。
どれからなりとおためしください

「ユーレイルパス」の記念品が届きました!…約10ヶ月かけて日本到着(笑)

2015-02-05 | 旅行記:2014初夏 スペイン

…読者の皆様は憶えておられるだろうか。昨年のゴールデンウィークに、天燈茶房亭主がスペインへと赴いた事を…

2014初夏・スペイン鉄道音楽美術紀行

いきなり昔の話を持ちだして一体何だと思われたかもしれませんが、なんと今日、昨年ゴールデンウィークに行ったスペイン旅行で使用したヨーロッパ鉄道乗り放題きっぷ「ユーレイルパス」の使用記念品が届いたのです!

…「ユーレイルパス」は『乗車する列車の区間を一々パスホルダーにレポートとして記入しなくてはいけなくなっている』のですが、使用後にこの記入済みのパスホルダーを切り離して折りたたむと封筒状になり、ポストに投函すればオランダにあるユーレイルパスの事務局に届いて、レポートの記載内容を利用実績データとして収集する見返りに記念品を送り返してくれるというサービスをやっているのです。

僕も旅を終えてスペインを離れる前に、マドリッドのバラハス国際空港の搭乗ゲート前にあった郵便ポストにパスホルダーを投函して帰国したのですが、日本に着いてからもユーレイルパス事務局からは何の音沙汰もなくそのまま幾年月…
「スペインは郵便事故も多いって言うしなぁ~きっとパスホルダーがオランダの事務局まで届かなかったんだろうな。あるいはオランダの事務局でパスホルダーが忘れ去られて放置されてるか…どっちにせよ、まぁ仕方が無いな。」などとすっかり諦めていたのですが、今日突然届いたのですよユーレイルパスの記念品が!実に10ヶ月かけての日本到着です!!(笑)


記念品は2015年の卓上カレンダーでした。
…って、もう既に今年も2月なんですが(笑)
卓上カレンダー以外にThank youと書かれたカードと、ポストに放り込んだ記入済みのパスホルダーそのものも同封されていました。あの時、自分で列車への乗車行程を記入した想い出のパスホルダーと再会出来たのは、何気に嬉しいですね。

ともあれ、時間はかかっても着実にサービスを遂行してくれたユーレイルパス事務局には感謝!
ああ、でもそろそろ次のヨーロッパ旅行の旅程も決めないとなぁ…またユーレイルパスで乗り鉄しようかな?(笑)

2014初夏・スペイン鉄道音楽美術紀行 43:旅の終わりはエアバスA380で帰国

2014-08-24 | 旅行記:2014初夏 スペイン
photo:エールフランスAF276便 エアバスA380アッパーデッキの機窓


42:シャルル・ド・ゴール空港にてからの続き


午後1時半、シャルル・ド・ゴール空港発成田行きエールフランスAF276便の搭乗開始です。
いよいよ念願の巨大機A380に乗れると思うとワクワクします!




さすが総2階建てのA380、搭乗口のボーディングブリッジも1階用と2階用との2本がそれぞれ接続されています。

さて今回は、「やっぱりA380に乗るからには2階、アッパーデッキに乗りたい!」 ということで、航空券をネット予約した際に、同時に2階のエコノミークラスの窓側席を座席指定しておきました。

通常、A380では2階は全て上級クラスのビジネスやプレミアムエコノミーの席で占められている場合が多いようなのですが、エールフランスのA380には2階にも最後尾にごく少数ながら通常のエコノミー席が設置されているのです。
これは、航空各社のA380のシートマップをネットで見比べていて偶然気が付いたお得情報。
やっぱり、事前の情報収集は大事です!

という訳で、2階アッパーデッキにつながっているボーディングブリッジを歩いて自分の席へ…は行きません(笑)
「せっかくなので、機内にある階段を登って2階に行ってみたい!」
だって、機内に階段がある旅客機は世界中でもジャンボジェットとA380だけ。この世にも珍しい機内階段を、一度は実際に歩いて登ってみたいではないですか!




かくして、わざわざ一旦1階の室内に入ってから、憧れの機内階段を登って2階に行ってみました。
機内階段は螺旋階段なんですね~


そしてこれが、僕が指定しておいた2階アッパーデッキのエコノミークラス席!
窓の傾斜がかなり急で、丸い筒状の機体のかなり上の方に位置していることが分かります。
座席の肘掛けと壁との間にある隙間を利用した小物ケースが設置されているのは、何だか日本国内線のジャンボジェットの2階エコノミー席と似ていますね。


この小物ケース、実際にはショルダーバッグもすっぽり収まる大容量でなかなか使い勝手が良い優れもの。
いつもは足元に置いておくバッグをきれいに片付けておけるので快適!
早速、気に入りました。A380に乗る時はやっぱり2階窓側にかぎる!(笑)


シャルル・ド・ゴール空港を時間通りに離陸したエールフランスAF276便エアバスA380は、真昼の陽射しを受けて快適に飛行していきます。
後はもう何もしなくても、A380のパイロット氏に任せておけば日本まで連れて行ってくれるので、気楽な帰り旅です。




そして国際線の飛行機に乗ったら、先ずは、ウェルカムドリンク。
ペリエを頼んだら、丁寧にレモンも入れてくれるのがエールフランスらしいサービス。


続いて機内食のメニュー表が配られます。
今日の食事は何かな…




一回目の機内食、ランチのメニューはチキンのクリームソースをチョイス。




食事を済ませる頃には、飛行機はバルト海沿岸上空をロシアに向けて飛行中。
ちょうどバルト三国のエストニア、タリンからサンクトペテルブルクに抜ける航路を辿っているようです。
エストニアには去年行ったけれど、いいところだったなぁ…今度はラトビアにも行きたいな。

さて、飛行機の中でパーソナルモニターに現在位置情報を表示して、機窓の風景と合わせて楽しむのはお馴染みの事ですが、このエールフランスのエアバスA380ではもっと面白いサービスを提供してくれています。


何とLandscape Cameraと称して、機体の3箇所(最前部、下向き、垂直尾翼上部)に設置したカメラからの眺めをリアルタイムで見ることが出来るのです!
これは楽しい!!


これは垂直尾翼上部からの今現在の眺め。視界に映り込んでるA380の機体はCGではありませんよ!
楽しすぎて、ずっと眺めていても飽きません。素晴らしいサービスだ!


でも、映画のプログラムも面白そうなのでついつい何本も観てしまった…
夜食のおやつで配られたアイスを食べながら観る「Frozen」って一体どういう作品だい?
なんかレリゴーレリゴー歌ってるけど、ディズニーのCGアニメらしいが新作かな…(実は「Frozen」は「アナと雪の女王」の原題。帰国して暫くはあれが「アナと雪の女王」だとは気が付かなかった(笑))


映画を立て続けに観て、疲れたらギャレーに行って夜食を調達。
エールフランスは、夜食メニューをあまりお代わりさせてくれない日系エアラインと違ってギャレーの管理がいい加減…気前がいいので、夜食のサンドイッチも食べ放題なのがいいなぁ


そしてエールフランスAF276便エアバスA380は、シベリアの大地を横断…

機内食の朝食が配られる頃には、もう日本領空の日本海上空へ到達。
日本本土への上陸まであと少し。




フランス仕込みの食事も、これが最後です。
夜食のサンドイッチやらアイスやらをさんざん食べまくった後なのですが、旅の終わりの余韻を感じつつ戴きます。








2014年5月4日

朝8時半、エールフランスAF276便エアバスA380は、無事に成田空港に着陸しました。
実に快適な、巨大機A380の旅でした。また乗りたいですね!

…でも、実はこの直後にエールフランスのA380はパリ便の羽田空港乗り入れ増便に伴い日本路線から撤退してしまったのです。これは残念!
同時に、日本へとA380を運行していたルフトハンザ・ドイツ航空も機材をジャンボジェットのB747-400に変更してしまったようで、現在日本からヨーロッパへの路線にはA380が一機も飛んでいない状況…


快適なA380に復活して欲しい!またヨーロッパから日本へ飛んでおいで、A380!!

成田空港からは空港リムジンバスに乗って、羽田空港に移動。




空の旅の最終区間はJALの国内線、JL1809便羽田空港発熊本行き。
エールフランスの公式サイトでまとめて航空券を予約したところ、何故かこのJL1809便はエコノミークラスではなく「クラスJ」になっていました。
…何だか、A380のエコノミークラスより更に座り心地が良いような(笑)

午後1時過ぎ、JL1809便は羽田空港を離陸。




そして帰りも、Twitter宇宙クラスタ航空写真部の精鋭カメラマン、Ringさんが僕の乗ったJL1809便を地上から迎撃撮影していて下さいました!
青空で陽射しを受けて輝く白いボーイングB767の機体が美しい!!






午後3時前、JL1809便は熊本空港に到着。

スペインから熊本に帰って来ました!長い旅だった…

…でも、実はもう既に次の旅の行き先は決まっているのです!(笑)
次の目的地は、またしてもヨーロッパ。
ガリレオ・ガリレイの足跡を追って、今年の年末年始休暇にイタリアに行ってきます!!



それでは皆さん、冬にイタリアでお会いしましょう。
天燈茶房亭主mitsuto1976 拝

2014初夏・スペイン鉄道音楽美術紀行 42:シャルル・ド・ゴール空港にて

2014-08-23 | 旅行記:2014初夏 スペイン
photo:L’aéroport de Paris-Charles-de-Gaulle


41:さらばスペイン。エールフランスAF1401便でパリへからの続き

シャルル・ド・ゴール国際空港ではエールフランスの成田行きAF276便の出発まで約4時間の待ち合わせ。



せっかくパリに来たので、ちょっと街まで出かけたい気になりますが、シャルル・ド・ゴール空港からパリ市街地まではRER(エールウーエール・近郊鉄道線)で30分以上かかり、しかも僕の経験上RERはかなりの確率で遅れたり何らかのトラブルが起きる要注意路線なので、昔よく訪れた懐かしいパリの街を散歩するのは今回も我慢…



仕方がないので、ターミナルビル内を散策して時間を潰します。


シャルル・ド・ゴール空港から日本やアジア各地へと向かう長距離便は、ターミナル2Eの一番外れにあるゲートMと呼ばれる区画に発着します。
ゲートMは超大型機が余裕を持って駐機出来るように最近整備されたばかりの新しいターミナルビルのようで、新品なのでどこもキレイだし何よりパリらしくお洒落です!
ガラス張りの搭乗ゲートの外には植物が植えられた公園のような場所も見えますが、どうやら喫煙スペースのようです。タバコ好きの多いフランスらしい設備。

喫煙スペースもお洒落ですが、トイレもすごい!





あんまりお洒落だったので、つい誰もいなくなるのを見計らってトイレの写真を撮ってしまいました(笑)
色使いも水回りのデザインも、素晴らしく斬新で洗練されていますね!
シャルル・ド・ゴール空港ゲートMのトイレは、世界一お洒落なトイレです。パリに行ったら、空港のトイレを見逃すな!!


待合ロビーで、こんな自動販売機を発見。
ヨーロッパでは自動販売機を見かけること自体があまり無いのですが、これはとりわけ珍しい!?
どうやら飲料水ではなく「スープの自販機」らしい。


幾つかのレシピから好みのスープを選べて、価格はカップ一杯1.70ユーロ也。
…街中でスープを買ったことがないので高いのか安いのか相場がよく分かりませんが、これは試してみるしかない!


という訳で、マッシュルームのスープを買って飲んでみました。
味は…よくあるインスタントのカップスープの味(笑)

スープが調理されて出てくる自販機はヨーロッパの人にも物珍しいようで、買ったスープを飲みながら観察していたら結構な人数がこの「スープの自販機」に挑戦している模様。
確かに、自販機王国の日本でもこんなの見たこと無いもんね。


ターミナルビルの外を見るとボーイングB747-400、ジャンボジェットが駐機していました。
つい最近までは国際線大型機の象徴だったジャンボジェット、今でもこの独特で精悍な面構えを見ると胸がときめきますね!

そして、長距離線の超大型機材が横付けするゲートMの主役といえば、今やジャンボジェットをも凌ぐ巨人機として名を馳せるこの飛行機…




世界最大、総2階建ての超巨大旅客機、エアバスA380!!
今日はこれから、このA380に乗って日本へと帰ります!


それにしても、A380はデカイ!!

43:旅の終わりはエアバスA380で帰国に続く

シャルル・ド・ゴール空港おまけ写真


A380の駐機スポットの陰に隠れるようにこっそり駐車していた、謎のエールフランスのロゴ入り黒塗りBMW。
VIPがお忍びで優先搭乗するのに使うのかな…?


ボーディングブリッジの通路で見かけた広告。
どうやらHSBCホールディングスは「コンテナ型太陽電池パドル」を搭載した謎の衛星を極秘裏に運用しているらしい(笑)

2014初夏・スペイン鉄道音楽美術紀行 41:さらばスペイン。エールフランスAF1401便でパリへ

2014-08-23 | 旅行記:2014初夏 スペイン
photo:イベリア半島上空、エールフランスAF1401便の機窓


40:El Capricho 夕暮れマドリッドからの続き

2014年5月3日

帰国の日もやっぱり早起き。
夜明け前に起床して、前日のうちにホテルのフロントに頼んで呼んでおいてもらったタクシーでバラハス国際空港に向かいます。
これから朝一番のエールフランス機でマドリッドを飛び立ち、一旦フランスのパリへ。


エールフランスAF1401便シャルル・ド・ゴール空港行き、バラハス空港を早朝07:10発。




バラハス空港を離陸する時はまだ夜明け前でしたが、上空に昇って巡航を始める頃にはすっかり明るくなりました。
イベリア半島の青空も、これでしばらく見納め…


ふと気が付くと、僕の乗ったAF1401便と並んで飛んでいる飛行機がいます。


ニアミスかと思うくらいに、かなり近くまで接近してきました!
どうやらヨーロッパ最大手の格安航空会社(LCC)、ライアンエアのようです。


ヨーロッパの空は日本以上に多数の航空機が行き交う過密地帯だそうですが、飛行機同士が渋滞を起こしたりして危険な状態になったりせずに、どうか安全運行を願いたいものですね。
ライアンエア機も、どこへ行くのか知らないけれど、ご安全に!


フランスの飛行機らしく、朝のスナックはパンと紅茶のコンチネンタル・ブレックファースト。




窓の下には、ビスケー湾とフランスの地方都市が見えてきました。
マドリッドからパリまでは、わずか2時間のフライトです。


朝9時過ぎ、パリのシャルル・ド・ゴール国際空港に到着。
ここで日本行きの長距離便へと乗り継ぎます。

42:シャルル・ド・ゴール空港にてに続く

2014初夏・スペイン鉄道音楽美術紀行 40:El Capricho 夕暮れマドリッド

2014-08-23 | 旅行記:2014初夏 スペイン
photo:Estación de El Capricho マドリッド地下鉄(メトロ)El Capricho駅


39:プラド美術館とティッセン=ボルネミッサ美術館からの続き

アトーチャ駅からマドリッド地下鉄(メトロ)5号線に乗り、郊外の終点の一つ手前のEl Caprichoという駅で下車。
ここはバラハス国際空港の近くらしく、予約しておいた空港ホテルの最寄り駅がここだったのです。



メトロの駅から地上に出てみると、マドリッド郊外のニュータウンの住宅地に空港ホテルが点在しているような地区でした。
アパートの並ぶ通りを歩いて、今夜の宿のNH Barajasにチェックイン。


昨日泊まったマドリッド中心街アトーチャ駅前のホテルと同系チェーンのホテルですが、部屋は広めで料金は安め。
どういう訳だかヨーロッパでは、空港ホテルは街中のホテルよりもかなり条件の良い物件が多い気がします。


でも、残念ながらバスルームにはバスタブは無くてシャワーのみ。
スペイン最後の夜に、風呂にゆっくりつかって旅の疲れを癒やすことは出来ないようです。
…そして、それでもしっかりビデだけは付いてるスペイン流儀を最後まで貫いてくれたね(笑)


もう時刻は20時近く、すっかり夜なのですが、初夏のスペインではなかなか日が沈みません。
せっかくなので、ホテルの近くを散歩してみることにしました。


夜ですが陽は高いし、この近所の住民と思しき家族連れが住宅地の中を散歩している姿も結構多く見かけます。
スペインは治安が悪いのが心配でしたが、今回の旅では結局最後まで危険を感じる事はありませんでしたね。


アパートのちょっとした中庭も、きれいに手入れされていました。
ここに住む人たちの、豊かで平和な日々の暮らしぶりが目に浮かぶようです。


住宅地の外れは広大な公園になっていて、まるで北海道の原生花園のような花咲く草原が広がっていました。

マドリッドはとても美しい街ですね…
またマドリッドに、スペインに来たい。そう思いながらホテルに戻り、シャワーを浴びて眠りにつきました。
さようならスペイン…

41:さらばスペイン。エールフランスAF1401便でパリへに続く

El Caprichoおまけ写真


El Caprichoの住宅地で出会ったねこたち。
ガン飛ばされました(笑) ふてぶてしくて、いい顔してます。

2014初夏・スペイン鉄道音楽美術紀行 39:プラド美術館とティッセン=ボルネミッサ美術館

2014-08-23 | 旅行記:2014初夏 スペイン
photo:プラド美術館・ベラスケス像


38:さよならAVEからの続き

2014年5月2日

マドリッドで過ごす最後の日は、早起きして出かけます。
朝一番で向かう先は、アトーチャ駅前のホテルから王立植物園の横を通る大通りを進んだ先にある“あの美術館”




スペインを、いやヨーロッパを代表する超弩級美術館、プラド美術館です!

…実は、今回のスペイン旅行の主目的の一つが、プラド美術館での絵画鑑賞でした。
一度、実際にこの目で実物を観たいと願っていた作品が、ここには幾つも収蔵されているのです。

という訳で、開館1時間前の朝9時からプラド美術館の正門前に並んで、開門と同時に一番乗りで館内へ…
と考えていたのですが、甘かった!




さすが世界に名だたるプラド美術館、開館1時間前には既に見学者が押し寄せていて、この長蛇の列!
プラド大通りに沿って、本館(ビリャヌエバ館)の端から端まで数百メートルに及ぶ行列が出来ています。

「何なんだ…まさか、毎日徹夜組がいるんじゃないだろうな!?」




大行列に並んで、どうにか入場券売場のある本館入り口まで辿り着いたのは約1時間半後。

入館する前から既に並び疲れて、すっかりくたびれてしまいましたが、それでもプラド美術館の館内に足を踏み入れると心が踊ります。
憧れの作品たちが、迷宮のような巨大な回廊のそこかしこで待っているのですから…!

僕が観たかった名作たち、
ゴヤが、ベラスケスが、エル・グレコが、これでもかと押し寄せてきました。
でも、残念ながらプラド美術館の館内では写真撮影が一切禁止でした。名画の洪水をご紹介できないのが残念ですが…
読者の皆さんも是非いつか、ご自身でプラド美術館を訪れて確かめてみて下さいませ!)


そして、一番のお目当てであるヒエロニムス・ボスの「快楽の園」
「この人…僕の見た悪夢をそのまま鮮彩に描いてるんじゃないか!?」と驚き慄いて、そして好奇心を感じずにはいられなかった恐るべき作品の「実物」をじっくりと観ることが出来たのです。
間近で見る本物の「快楽の園」は、想像以上に薄気味悪くてグロテスクで、でもどこかユーモラスで皮肉っぽくて、そして夢のように美しい絵でした。
…もちろん、それは「悪夢」なのですが(笑)

「ああ、やっと本当の『快楽の園』を観ることが出来た。やっぱり怖かった(笑)
スペインに来てよかった!」




プラド美術館で半日を過ごして、夕刻までにはまだ少し時間があるので、次なる美術館をはしごしましょう。

大小様々な美術館群が並び立つマドリッドの街はさながら“美術館の大連合艦隊都市”です。
中でも旗艦であるプラド美術館と共に圧倒的な存在感を放つのが、規模ではプラドには及ばないものの収蔵作品の質の高さでは他の追随を許さないティッセン=ボルネミッサ美術館
ちょうどプラド美術館の斜向かいに位置し、歩いて数分で行くことが出来るので、プラドの次はティッセン=ボルネミッサをはしごしない手はありません。




ティッセン=ボルネミッサ美術館は、大富豪の貴族の個人的コレクションを収めた、こじんまりとした邸宅美術館です。


でも、人気の高さではプラド美術館と互角なので、この大混雑ぶり…

プラドに続いてティッセン=ボルネミッサでも入場するまでに並び疲れましたが、館内は誰もが美術の教科書で一度は目にしたことのある超有名作品ばかり。
中でも印象派の作品が充実していて、ドガの「緑の服の踊り子」を見つけた時には思わず興奮しました(この作品、僕の母のお気に入りの絵で、うちの玄関にはずっとこの絵の複製画が飾られていて、毎日目にしていたのです)
また、20世紀以降の近代・モダンアート作品も有名作が数多く、
ご存知スペインが生んだ天才サルバドール・ダリの「目覚めの直前、柘榴のまわりを一匹の蜜蜂が飛んで生じた夢」に出会えたのは幸運でした。描かれた内容が凄まじく壮大なのに、サイズはずいぶん小さい絵だったのも驚きでしたが。

…そう、実は今日はプラド美術館だけで1日を使い果たすだろうと思っていたので、ティッセン=ボルネミッサ美術館にも行くことになるとは考えておらず、全く予習をして来なかったのです。
まさか、こんなにも名作揃いだったとは…
これは嬉しい想定外でした。
でも、ティッセン=ボルネミッサも館内では写真撮影が出来なかったので、読者の皆さんはプラドと共にここにもいずれご自身で訪れてみることをお薦めします。


美術館都市マドリッドが誇る二つの美術館を満喫しました。
もう、思い残すことはありません。旅の終わりが近づいたようです。
ホテルに戻って、預けておいた荷物を受け取ってから、アトーチャ駅から地下鉄に乗って郊外の空港近くへと向かいます。
明日は早朝便でスペインを離れるので、今夜は空港ホテル泊です。

40:El Capricho 夕暮れマドリッドに続く

マドリッドおまけ写真


ホテルへ帰る途中、プラド美術館隣の王立植物園入り口で出会ったマドリッドねこ。
画家のモデルも務められそうな綺麗な白黒ねこ。

2014初夏・スペイン鉄道音楽美術紀行 38:さよならAVE

2014-08-03 | 旅行記:2014初夏 スペイン
photo:AVE5181号の車窓


37:バレンシアの豪華レトロ駅舎、ノルド(北)駅からの続き


バレンシアのホアキン・ソローリャ駅からマドリッド行きの超特急AVEに乗る前に、Sala Clubで一息。




今回のスペイン旅行では本当にあちこちのターミナル駅でSala Clubのお世話になりました(何だかAVEに乗るためではなくSala Clubで一杯やるために駅に行っていたような気分(笑))。
これが今回最後のSala Clubで飲むノンアルコールビールです。
バレンシアの日差しの下を歩き回った後のBucklerのほろ苦い味が、喉の奥に染み渡っていきます…


ホアキン・ソローリャ駅18:10発、マドリッド・アトーチャ駅行きAVE5181号、1等車PREFERENTEはガラ空き。






どこまでも続く青空と、なだらかな大地。
超特急AVEから眺めるスペインの車窓も、これで暫く見納めです。しっかりと目に焼き付けておかないと…




バレンシアからマドリッドまでの行程では、湖沼を渡っていく区間もあります。
イベリア半島の乾いた大地を潤す、農耕灌漑用の人工湖でしょう。スペインの遅い午後の日差しに、湖面が美しく輝いていました。






なだらかにうねる丘陵地と、その向こうの町へと続く一本道。
名前も知らないあの町には、どんな人たちが暮らしているのかな…

マドリッドが近づくと、AVEの沿線には運行を支える操車場や車輌基地が見えてきます。

基地の側線に停車中の、緑色のAVEを発見!駅や線路等のスペイン国鉄の鉄道インフラ管理を行う会社であるadifのロゴを車体に付けているので、線路の保守管理に使われる編成だと思われます。
つまり…スペインのドクターイエロー!? いや、緑色だからドクターグリーンか…

緑色のドクターイエローに出迎えられ、AVE5181号は定刻通りの午後8時少し前にマドリッド・アトーチャ駅に帰って来ました。


AVEのTalgo車輌を最後にじっくり観察。




Talgoの最大の特徴である連接台車。
トロッコのような寸詰まりの小さな客車が、舵取り機能付きの1輪の車輪に乗っかっています。何とも奇妙で、ユーモラスな形態です。
でも、この1輪車で時速300キロ走行をするのだから凄い!
日本ではまだ実証試験段階のフリーゲージトレイン機能を備えた編成も既に営業運転を行っているし、スペインのTalgo恐るべし!!




※画像をクリックすると大きなパノラマ写真が開きます

これで、スペイン国鉄renfe の超特急AVEによる鉄道の旅は全ての行程を無事終了。
快適な旅をありがとう!

アトーチャ駅の売店で、夕食を買ってホテルに帰ります。


ホテルの部屋で、サラダとサンドイッチの夕食を済ませたら、
今夜はゆっくりバスタブにつかって“超特急乗り鉄”の疲れを癒やすことにしましょう。
明日は、いよいよ旅の最後の日。マドリッドが世界に誇るあの巨大美術館に、念願の絵画を観に行きます。

39:プラド美術館とティッセン=ボルネミッサ美術館に続く

2014初夏・スペイン鉄道音楽美術紀行 37:バレンシアの豪華レトロ駅舎、ノルド(北)駅

2014-08-03 | 旅行記:2014初夏 スペイン
photo:バレンシア・ノルド(北)駅


36:マドリッドからバレンシアまで、午後の超特急旅行からの続き





バレンシアの「新幹線駅」、ホアキン・ソローリャ駅から線路に添った通りを歩くこと約10分。
地中海がすぐ近くにあるせいか一際青く晴れ渡った空の下に、レトロで絢爛豪華な駅舎が見えてきました。


バレンシアの「在来線駅」、ノルド(北)駅です!


駅前広場から眺めたノルド(北)駅全景(※画像をクリックすると大きなパノラマ写真が開きます)
堂々たる駅舎のファサードの左側には、闘牛場まで備わっています。

ノルド(北)駅の駅舎は1917年に建てられたもうすぐ築百年のモダニズム(モデルニスモ)建築だそうです。
バレンシアにこんなに立派な歴史的駅舎があるなんて全く知らなかったので驚きました!




駅舎の中も開業当時そのままの構造を残しているようです。
壁一面と天井を彩る鮮やかなモザイク装飾が素晴らしい!
きっぷ売り場も、昔のヨーロッパ映画に登場するような小さな窓口が並ぶスタイルを留めていますね。本当にクラシック映画のワンシーンを見ているようです。


でも、昔ながらの駅構内にもしっかり最新式のチケット自販機が備わっていて、ちゃんと21世紀の鉄道駅として機能しているのがまたいいですね。

スペインでは、どの都市のターミナル駅もとにかく手入れと清掃が行き届いていて清潔で機能的という好印象を受けますが、
このバレンシア・ノルド(北)駅も古くて歴史的価値のある駅舎を特に丁寧に手入れして、大切に使っていこうという気持ちが感じられます。




コンコースの一画に、案内看板を掲げた区画を発見。
昔は貴賓室か、1等車の乗客専用の待合室だった部屋かもしれません。
そう言えば、このノルド(北)駅とほぼ同時期に完成した九州の門司港駅にも、駅構内にこんな部屋があったなぁ…






モザイクとタイル絵が本当に素晴らしい。
まるで宮殿の部屋のような綺羅びやかさです。

超豪華な待合室を出て、列車の待つプラットホームへ。
大ドームが頭端式のホームを覆う、典型的なヨーロッパ式ターミナル駅の構造です。



プラットホームに面した壁面の装飾も凝っています。


ちょっと威圧的な赤い星の紋章が、プラットホームを行き交う旅人を見下ろしています。
この少し不気味な赤い星、てっきりフランコ独裁時代の名残りか何かだと思っていたら、ノルド(北)駅を開業させた鉄道会社の社章だったそう。





これほど立派で豪華なノルド(北)駅ですが、現在は超特急AVEが発着するホアキン・ソローリャ駅にバレンシアの表玄関の地位を奪われて、近郊線セルカニアスと一部のローカル急行列車が発着するだけの地味な駅になってしまっています。
歴史的な駅舎と大ドームがかえって仇になって、AVEが乗り入れられるような大規模な構内拡張と改修工事が行えなかったという理由もあるのかも知れませんが、ちょっと寂しいですね…


ともあれ、バレンシア・ノルド(北)駅を隅から隅まで眺めて堪能しました。本当に素晴らしい駅でした!
この駅を見ただけで、バレンシアまで来た甲斐があったという気がします。

という訳で、バレンシア名物のパエリアもバレンシアオレンジも食べていませんが(※どうやらバレンシアオレンジは実はバレンシアが発祥という訳では無いらしいが…)、充分満足したのでそろそろマドリッドに帰りましょう。
帰りは、ノルド(北)駅のプラットホームの一画からホアキン・ソローリャ駅までのシャトルバスが出ているのを見つけて、無料で乗せてくれたので助かりました。


38:さよならAVEに続く

2014初夏・スペイン鉄道音楽美術紀行 36:マドリッドからバレンシアまで、午後の超特急旅行

2014-08-02 | 旅行記:2014初夏 スペイン
photo:超特急AVE バレンシア、ホアキン・ソローリャ駅にて


35:バルセロナからマドリッド、超特急AVEの旅からの続き

マドリッドに着いたら、アトーチャ駅のすぐ目の前にあるホテルNH Surにチェックイン。




中庭に面した、微妙にくびれた角部屋に通されましたが、静かだし落ち着いた雰囲気なのでまぁ満足。
日本のビジネスホテルと同じくらいの狭さなので落ち着くのかも?


バスルームは…やった、バスタブがある!
そして、しっかりビデもある(笑)
…何故、こうもビデにこだわるスペインのホテルよ。

ホテルの部屋に荷物を置いたら、再びアトーチャ駅へ。




今日のマドリッドも、本当によく晴れ渡っています。


4日ぶりに眺めるアトーチャ駅の熱帯植物園。

そして…

やっぱりSala Clubでノンアルコールビール(笑)
何だか、スペインではラウンジで一杯やる為に駅に行くような感覚になっちゃったなぁ…

とは言え、今日はノンアルコールビールを飲むためにアトーチャ駅に戻ってきたのではありません。
これから再び超特急AVEに乗り込んで、午後の日帰り小旅行に出かけるのです。
今日で3回分を全て使い切るユーレイルスペインパス(フレキシー)を、最後の最後まで有効活用するための「乗りつぶし」ですが…


乗り込むのは、アトーチャ駅を14:10に発車するAVE5340号、バレンシア行き。








マドリッドからバレンシアまで、超特急AVEの所要時間は僅か100分!
まさにちょっとした午後のお出かけ感覚で、首都から地中海沿岸の都市まで行くことが出来ます。


午後4時少し前、遅い午後…と言うよりまだ昼下がりのバレンシア、ホアキン・ソローリャ駅に到着。

…バレンシアに着きましたが、特に用事も予定もありません。
折り返し帰りのマドリッド行きAVEの発車時刻まで2時間余り、これと言ってやることも無いので今乗ってきたAVEの車体を観察。






車体の至る箇所にスペインの名門鉄道車輌メーカーTalgo のロゴが散りばめられています。
ちょっと、昔のデビュー当時の九州新幹線800系に見られた“つばめ” ロゴを連想させますね。


編成両端に連結された機関車にはBOMBARDIERのメーカーズプレートが。
機関車はボンバルディア社製のようです。






ホアキン・ソローリャ駅は超特急AVE等の高速列車のみが発着する、言わば「新幹線駅」です。
駅舎も直角のブロックのような建屋で、近代的というか味気ないというか…
でも、手持ちのガイドブックによるとここから10分ほど歩いた場所にバレンシアの「在来線駅」であるノルド(北)駅があるらしい。

どうせ暇なので、ちょっと在来線の駅を見に行くことにしましょうか。

37:バレンシアの豪華レトロ駅舎、ノルド(北)駅に続く

2014初夏・スペイン鉄道音楽美術紀行 35:バルセロナからマドリッド、超特急AVEの旅

2014-07-12 | 旅行記:2014初夏 スペイン
photo:AVE S103型 マドリッド・アトーチャ駅にて


34:OPERA NIGHT “Gran Teatre del Liceu” リセウ大劇場からの続き

2014年5月1日





バルセロナで迎える最後の朝。
今日は超特急AVEでマドリッドに戻ります。


静かな早朝のバルセロナ・サンツ駅。

乗車する列車は朝9時発ですが、早めに駅へと向かってSala Clubで一息入れます。



Sala Clubは設置されている駅ごとに室内のインテリアデザインが異なるので、比較してみるのも楽しくなってきました。
サンツ駅のSala Clubはクールなモダンインテリア風かな。


そしてやっぱり、朝から乾杯!(笑)

置いてあるノンアルコールビールの銘柄も駅ごとに違っていますね。
Bucklerは有名なハイネケンが製造しているブランドで、日本でも割りとよく見かけるようですがこれは欧州仕様でしょうか。
缶のラベルデザインが日本のものとは違うようです。


そして、こんなものも発見!
何とスペインでも日本の猫型ロボットが活躍しているとは!!
バルセロナで見つけたドラえもんボトルの中身は、子供が喜びそうな激甘のチョコレートドリンクでした。

ノンアルコールビールとドラえもんチョコドリンクで気合を入れたら、AVEの待つ地下プラットホームへ。


これが今から乗るAVE3092号、マドリッド・アトーチャ駅行き。
ドイツ鉄道DBの高速列車ICE-3と共通設計のS103型です。
S103型は編成定員がAVEシリーズでは最大となっており、乗客数の多いバルセロナ―マドリッド線で集中的に運用されているとのこと。


サンツ駅はヨーロッパ各地からスペインを結ぶ国際列車が集まるインターナショナルなターミナル駅でもあります。
マドリッド行きの国内線AVEの隣には、パリへと向かう国際線TGVの姿が。

スペインとフランスとの間での高速列車の直通運転は昨年(2013年)12月から始まったばかりで、AVEとTGVが共同運行しています。
この次にスペインに来る時は、パリから国際超特急でバルセロナ入りするのも楽しそうだなぁ…


TGVの隣には、スペインの名列車タルゴが停車中。
小さな車体に機動性抜群の振り子装置やフリーゲージトレイン機構までもを組み込んだタルゴ客車は、スペインの鉄道の象徴的存在です。

TGVやタルゴに見送られ、AVE3092号は定刻の09:00にバルセロナ・サンツ駅を発車。


さすがに輸送力の大きいS103型が集中投入されている区間を走る列車だけあって、車内は大入り満席です。






バルセロナから3時間足らず、お昼前の11:45にはマドリッド・アトーチャ駅に到着。
今回もAVEらしく安心安定の定時運行でした。

スペインの三都市を高速列車で結ぶ旅の出発地であったマドリッドに、4日ぶりに戻ってきました!
かなり駆け足の旅でしたが、それでもここから最初の目的地セビリアに向けて出発したのがもう随分と昔の出来事のように懐かしく思い出されます。




アトーチャ駅には、旅の間にすっかり見慣れた超特急AVEの仲間たちが集まっています。
駅を出る前に暫く、列車たちを眺めることにしました。







…列車を見ていると、やっぱり乗りたくなりますね。
さて、午後にはまたふらりと列車に乗って出かけましょうか。

36:マドリッドからバレンシアまで、午後の超特急旅行に続く

2014初夏・スペイン鉄道音楽美術紀行 34:OPERA NIGHT “Gran Teatre del Liceu” リセウ大劇場

2014-07-10 | 旅行記:2014初夏 スペイン
El Gran Teatre del Liceu


33:バルセロナ街歩き2日目 日暮れのランブラス通り、グエル邸からの続き

グエル邸からランブラス通りを歩いて、リセウ大劇場まで戻って来ました。






午後7時半、今夜の舞台の開場時間になりました。
まだ外は明るいのですが、これから暫しオペラの一夜の夢の世界に浸ることにしましょう。



エントランスホールには、今夜の舞台を楽しみにしていた観客たちが集っています。


今夜の演目は、リムスキー=コルサコフ作曲の「見えざる町キーテジ」
ロシアのオペラは初めて観るので楽しみです。
ちなみにこの「見えざる町キーテジ」、ロシア国外での初演はここリセウ大劇場だったそうで、リセウ大劇場にとっても記念すべき作品ということになります。




エントランスホールから続く大階段の向こうに、夢の世界が待っています。


音楽の女神の像に出迎えられ、劇場の中へ…


客席通路には、過去の名舞台の写真が並んでいます。
これは…ひょっとして“蝶々夫人” かな?

そして、このドアの向こうに今夜のオペラの夢が…














開演前の歌劇場内は、夢の世界が始まる前の高揚感に包まれています。
僕が好きな、幸せなひとときです。
まだ幕の降りた舞台とオーケストラピット一帯に漂う緊張感を感じに、平土間まで遊びに行くのはオペラ鑑賞の楽しみの一つ。




平土間から見上げるバルコニーの桟敷席とシャンデリア。
歌劇場を象徴するようなこの眺めを堪能できるのは舞台の上の演者と、そして早めに会場に入った観客だけの特権。




舞台の周辺にも、細かな装飾が綺羅びやかに施されていることが分かります。
さすが、上演レベルの高さとともに劇場の豪華さでも知られるリセウ大劇場。


豪華なのは舞台周りだけではありません。ホワイエはまるで社交界のサロンのよう。

…さて、そろそろ開演時間です。自分の席に戻りましょう。


今夜のリセウ大劇場での僕の席は、4階バルコニーの舞台向かって左側3列目、チケット代金33ユーロ。

オンライン予約サイトでのチケット予約の際に「Around 40% view of the stage」 と念を押されただけあって実際に舞台の半分近くが物陰になって見え難くて、あまり条件のいい席ではありませんね。

でも、幕が上がってしまっても空席が多かったので近くに座っていたお客の皆さんと一緒に「せっかくなので、よく見える位置にみんなで詰めましょう!」 ということになり、結果として舞台がかなりよく見えるいい場所に移れたのはラッキー!(笑)
居合わせた観客たちの一致団結した行動が、みんなに小さな幸せをもたらしました。


座席には英語対応のパーソナル字幕モニターも装備されているので、難解なロシア語の歌詞も何とか意味を推測することが出来ます。
…いや、実際には舞台を見ながら瞬時に英文を読み解くのは至難の業ですが、それでもロシア語歌唱にカタルーニャ語とスペイン語の舞台上字幕しか無いのよりは随分マシな筈…

そして始まった今夜の舞台、オペラ「見えざる町キーテジ」



…正直、馴染みの薄いロシア作品ということで、かなり難解でした。
でも、音楽の素晴らしいところは、聴いていれば何となくでも意味が汲み取れるというところ。
現代的で大掛かりな舞台演出とも相まって、リムスキー=コルサコフの「見えざる町キーテジ」を充分に楽しむことが出来ました!










午前零時近く。長い長いリセウ大劇場での今夜のオペラの夢は終わりました。





もう日付が変わっていますが、バルセロナで一番の目抜き通りランブラス通りには人通りが絶えません。

今夜は5月1日のメーデー前夜の祝前日ということで、メトロ(地下鉄)も深夜運行しています。
深夜のメトロは危険がありますが、これだけ人が多ければ何とかなりそうです。思い切って今夜もメトロでホテルに帰りましょう。
もちろん、所持品と周囲の動向には十分注意しながらですが。






真夜中過ぎ、無事にサンツ駅前のホテルに帰り着きました。

今夜乗ったメトロ3号線の駅はスペイン国鉄renfeのサンツ駅の構内から離れた場所にあり、人の気配のないサンツ駅前広場を延々歩いて横切らないといけなかったのでかなり怖い思いをしましたが、人相の悪い連中に出食わすということもなく(そもそも、サンツ駅周辺には夜は本当に誰もいない…)、散々バルセロナは危険な犯罪都市だと聞かされていたのに最後まで拍子抜けするくらいに何事も無く無事に過ごせたのは有り難い限り。

バルセロナには、良い印象を持ったままで終れそうです。
明日には、この街を出発して次の目的地へと向かいます。

おやすみなさい、さようならバルセロナ。

35:バルセロナからマドリッド、超特急AVEの旅に続く

2014初夏・スペイン鉄道音楽美術紀行 33:バルセロナ街歩き2日目 日暮れのランブラス通り、グエル邸

2014-07-10 | 旅行記:2014初夏 スペイン
photo:ランブラス通りのリセウ大劇場


32:聖家族教会サグラダ・ファミリア、聖堂内部を見る2からの続き

サグラダ・ファミリアから一旦ホテルに帰って、工事現場で長時間行列に並んだので身体に付いた埃をシャワーで洗い落としてから背広に着替えて、ネクタイを締めます。

これからバルセロナの目抜き通りまでオペラを観に行くのです。

少しお洒落をしてから、さぁ再び街に出かけましょう!


ホテルを出てサンツ駅まで来ると、駅前のバス乗り場にこんなバスを発見。




何と宮崎駿監督の映画「風立ちぬ」の広告ラッピングバスです!
スペインでも公開が始まっていたんですね~。

「風立ちぬ」バスに乗りたい気分になりましたが、どこへ行くバスなのか分からないので乗車を諦めて、メトロ(地下鉄)3号線に乗ります。
向かった先は…




バルセロナで一番繁華な大通り、ランブラス通りです!


そして、そのランブラス通りに面して建つのが、今夜オペラを観るリセウ大劇場
芸術の都バルセロナを代表する歌劇場であり、ヨーロッパでも最も格式が高く豪華な歌劇場の一つとしても知られています。
また、三大テノールの一人ホセ・カレーラス は、このリセウ大劇場の音楽院出身だそうです。






劇場裏の路地にあるボックスオフィス(何故か、世界各地のどこの歌劇場でも、ボックスオフィスは分かり難い路地裏に隠れるように窓口を開いているんですよね…)で、日本から持参したネット予約のバウチャーを今夜の入場チケットに引き換えて、でもまだ開場まで時間があるのでランブラス通りを散策してみることにします。


リセウ大劇場前からランブラス通りを歩き始めて海の方に進んだところで、路地の先にやたらとガウディを強調している区画を発見。
ホテルもスーパーマーケットも土産物店も、みんなGAUDIです(笑)
さては、この近辺に何かガウディにちなんだ場所があるんだな、と思ったら案の定…


ランブラス通りから少し路地に引っ込んだ場所に建つ、この建物はグエル邸
ガウディのパトロンだった大富豪の邸宅として建てられた、ガウディ初期の傑作建築だそうです。

オペラの開幕まであまり間がないので、残念ながら今からグエル邸の中に入って見学する時間はありません。
今日は外観だけを見ていくことにします。


アーチ橋のようなエントランスが印象的な玄関正面。




初期作ということで、サグラダ・ファミリアのように建築全体が突如暴れ出したような衝撃的なダイナミックさはありませんが、それでも随所にガウディらしい挑戦性と冒険心を感じられるように思いました。
…建築デザインについては全くの素人なので、あまり偉そうなことは言えないんですけどね(笑)

現在、グエル邸はサグラダ・ファミリアやその他のバルセロナに存在するガウディの建築作品と共に、「アントニ・ガウディの作品群」として世界遺産に登録されています。




グエル邸の屋根の上に広がるバルセロナの空に、ようやく日暮れの気配が漂い始めました。
…そろそろ、リセウ大劇場に戻りましょう。もうすぐオペラの開演時間です。

34:OPERA NIGHT “Gran Teatre del Liceu” リセウ大劇場に続く

2014初夏・スペイン鉄道音楽美術紀行 32:聖家族教会サグラダ・ファミリア、聖堂内部を見る2

2014-07-06 | 旅行記:2014初夏 スペイン
Temple expiatori de la Sagrada Família~聖家族教会サグラダ・ファミリア~


31:聖家族教会サグラダ・ファミリア、聖堂内部を見る1からの続き











…いかがでしたか?サグラダ・ファミリア大聖堂内部。

ガウディが何を意図していたのか、それを現代の芸術家や建築家がどう解釈して表現しようとしているのかは、宗教的な要素も絡むのでとても僕が口出しできることではないのでしょうが、それでも素朴な感想として、
大聖堂全体が“生命”を表現していて、とても有機的な空間を創り出しているように思えました。

まるでサグラダ・ファミリアが一つの大きな生き物で、その体内に入り込んで包み込まれているような…

皆さんも是非一度、実際にバルセロナのサグラダ・ファミリアを訪れて、大聖堂に入ってみて下さい。
きっと、それぞれに何か深く感じることが、そこにはあると思います。



大聖堂の一画には、ローマ法王ベネディクト16世 がここでミサを執り行ったことを示すプレートが掲げられています。
サグラダ・ファミリアは建設工事中に既に法王に認定された由緒正しいBASILICAとなっているのです。
またサグラダ・ファミリアは、ガウディが存命中に完成させた「生誕のファサード」等の部分は2005年にユネスコの世界遺産にも登録されています。世界でも珍しい、工事現場の世界遺産なのです。


大聖堂の地下には非公開の地下聖堂があり、覗き窓から見下ろすことが出来ます。
ここにはサグラダ・ファミリアの完成を見ることなく、不慮の交通事故で世を去ったガウディの棺が安置されています。

サグラダ・ファミリアの地下にはガウディの眠る地下聖堂だけではなく博物館もあり、サグラダ・ファミリア建設事業に関するかなり本格的な展示を見ることも出来ます。



有名な「逆さ吊り構造実験模型(フニクラモデル)」もありました。
ガウディは数式を用いて計算した設計図よりもこういった実験モデルを多用して建設工事を進めたので、その仕事を引き継いだ現代の建築家たちは明確な設計図を使えずにかなり苦労することになったようです。

…また、現代におけるサグラダ・ファミリアの建設工事を困難なものにしている要因として、スペイン内戦という悲しい事情もあります。

なぜかここだけ日本語の説明パネルがあったのですが、博物館にはスペイン内戦で破壊された建設工事中のサグラダ・ファミリアについても展示紹介されていました。
写真のパネルで解説されているような理由で、ただでさえ少ないサグラダ・ファミリアの建設資料はその大半が失われてしまったのです…

それでも、人々がサグラダ・ファミリアを完成させるという情熱を捨て去ることはありませんでした。

現在、博物館に併設された地下工房では、内戦で破壊された構造実験模型の復元作業や設計図の解析作業が地道に進められています。
ガウディの死後、その驚異に満ちた異才の発想を正確に記録した資料は失われましたが、現代の人々は諦めることなく、新たな生命を吹き込んでサグラダ・ファミリアを蘇らせ、現実のものとして21世紀のバルセロナに完成させようとしているのです。




サグラダ・ファミリア大聖堂からの出口は、ガウディの死後に完成された「受難のファサード」から。


「永遠に完成しない」とも言われた異形の建築物、サグラダ・ファミリア。
現在、ガウディの没後100年となる西暦2026年の完成を目指し、急ピッチで建設工事が進められています。


サグラダ・ファミリアは、多くの人々の情熱が集まって産み出された一つの巨大な生命体のようでした。
きっと、これからも刻々とその驚異の姿を変えながら成長を続けていくのでしょう。
そして今から12年後には、世界中の人々を驚嘆させるようなとんでもない姿となって、カタルーニャの青空の下にそびえ立つに違いありません。
その時、僕もまたここに来ることにしましょう。

…今からその日が待ち遠しいです。

33:バルセロナ街歩き2日目 日暮れのランブラス通り、グエル邸に続く

2014初夏・スペイン鉄道音楽美術紀行 31:聖家族教会サグラダ・ファミリア、聖堂内部を見る1

2014-07-06 | 旅行記:2014初夏 スペイン
photo:聖家族教会サグラダ・ファミリア聖堂内


30:バルセロナ街歩き2日目 サグラダ・ファミリアで寿司ランチからの続き



間近で見上げる「生誕のファサード」。ここが驚異の世界への入り口です…





いよいよ、サグラダ・ファミリアの聖堂の中に入りました。

いまだ未完成のサグラダ・ファミリアですが、日本人彫刻家の外尾悦郎さんをはじめとする多くの芸術家や建築家の努力により着実に建造が進められており、近年にはついに大聖堂の内装がほぼ完成しました。

その完成したばかりの大聖堂、「この世のものとも思えない」程に凄いと噂に聞いていたのですが、実際に見てみると…
とても、言葉で表現出来るものではありませんでした。

だから、ここからは何も書きません。読者の皆さんは、この奇跡の光景を見てどう感じられるでしょうか…

ご覧下さい、これがサグラダ・ファミリア大聖堂です!






















32:聖家族教会サグラダ・ファミリア、聖堂内部を見る2に続く

2014初夏・スペイン鉄道音楽美術紀行 30:バルセロナ街歩き2日目 サグラダ・ファミリアで寿司ランチ

2014-07-02 | 旅行記:2014初夏 スペイン
Temple expiatori de la Sagrada Família~聖家族教会サグラダ・ファミリア~


29:バルセロナ街歩き 夜のサグラダ・ファミリアからの続き

2014年4月30日

目が覚めると、もう朝の9時過ぎ。
昨夜の夜歩きと夜更かしのせいで、ちょっと寝坊してしまいました。
急いで起きて、シャワーを浴びて身体に気合を入れます。今日も頑張ってバルセロナの街に繰り出さないと…


ホテルのベランダから眺める、朝のバルセロナ・サンツ駅。
今日もカタルーニャは青空が広がって良い天気です。さぁ、出かけましょう!

昨夜も乗ったメトロ(地下鉄)5号線に乗って、やって来たのは聖家族教会サグラダ・ファミリア





つい十数時間前に、夜の闇に浮かび上がる異様な光景を見て身がすくむ思いをした「生誕のファサード」。
…いや、明るい日差しの下で見ても、やっぱり圧倒的に異様なのは変わりませんが。

さて、今日はいよいよこのサグラダ・ファミリアの中に入ろうと思います!


早速、「受難のファサード」側にある入場チケット売り場に向かおうとすると、既に長蛇の列が…
「しまった、朝一番に来るつもりだったのに、寝坊したのがまずかった」と後悔しつつ入場チケット購入の行列の最後尾に並ぼうとしますが、行列があまりにも長くてなかなか最後尾にたどり着きません。

…結局、行列はサグラダ・ファミリアの周囲をぐるっと半周するまで伸びていて、また「生誕のファサード」の前まで戻ってきてしまいました。

「まさか、こんなに長い大行列に並ばないと入場チケットを買うことすら出来ないとは…サグラダ・ファミリア恐るべし!」

今からこれだけの大行列に並んで、この調子だと一体いつになったら入場チケットを手に入れて中に入れるのか見当もつかず、既にうんざりしてきましたが、
入場者が大勢押しかけ長蛇の列をなすことは、建設費用を全て入場者から徴収するチケット料金と寄付とでまかなっている“贖罪教会”であるサグラダ・ファミリアにとっては実に喜ばしいこと。
実際、年々人気が高まり入場料金収入が増加傾向のサグラダ・ファミリアはその分、工事の進捗率もアップして完成予想が早まっているという話を聞いたこともあります。

「永遠に完成しない」とも揶揄されたこの世紀の一大建築を少しでも早く完成させるためだと思って、我慢して黙って行列に並ぶことにしましょう。


並び始めて約40分が経過。ようやく「生誕のファサード」側の角まで進みました。


並び始めて約1時間15分が経過。
大聖堂の工事足場の下まで進みましたが、陽射しが遮られてビル風(いや、サグラダ・ファミリア風?)が吹くので寒い!風邪ひきそう…


並び始めて約1時間50分が経過。やっと「受難のファサード」の近くまで進みました!
入場チケット売り場までもうすぐです…


そして並び始めて約2時間で、ようやく入場チケット売り場に到達!!


午後1時過ぎ、ついに念願のサグラダ・ファミリア入場チケットを手に入れました!!

でも、尖塔の上へと登れる入場チケットは時間を区切って販売枚数に制限がかかるので、次の入場時間が午後6時まで待たされると言われ、今日は夕方からまた別の用事があるのでそんなに待っていられず尖塔へと登ることは断念…

やむを得ず大聖堂内だけに入れるチケットを購入、それでも今すぐは入場できず午後2時からの入場開始とのこと。
午後2時まで、のんびり待ちましょう。
そう言えば今日は朝から急いでいたから何も食べていないので、お腹が空いたな…


サグラダ・ファミリアの斜向かいにスーパーマーケットのカルフールを発見、お昼ごはんにSUSHIを調達してきました。
SUSHITAという現地ブランドの、巻き寿司のパック2種類。


せっかくなので、「生誕のファサード」の真向かいにある公園のベンチに座って食べましょうか。
サグラダ・ファミリアを見ながら食べるSUSHI!何という贅沢な、そしてシュールなひと時(笑)


SUSHITAの寿司にはちゃんとワサビの小袋も入っていますが、中国製のようです。


そして醤油は…これって間違って「めんつゆ」を入れちゃったんじゃないの?

まぁ、海外で食べる寿司はあくまでもSUSHIなのであって、味の云々は置いといて、日本の寿司とのカルチャーギャップを愉しむのが正しい食べ方(だと思う…)
スペインのSUSHI、楽しませてもらいました!



SUSHIを食べ終わると、もうすぐ午後2時。


さあ、サグラダ・ファミリアの大聖堂を見に行きましょう!

31:聖家族教会サグラダ・ファミリア、聖堂内部を見る1に続く