天燈茶房 TENDANCAFE

さあ、皆さん どうぞこちらへ!いろんなタバコが取り揃えてあります。
どれからなりとおためしください

2017-18 年越しエストニア・ラトビア旅行記 1日目(2017年12月30日)

2018-01-21 | 旅行記:2017-18 エストニア・ラトビア
Photo:ルフトハンザドイツ航空の最新型ジャンボジェット ボーイングB747-8インターコンチネンタル


この年末年始はバルト三国のエストニアとラトビアに行ってきました。
バルト三国で特に何かしようという理由も無く、仕事の疲れを癒やしにのんびりしに行こうという気楽で気ままな旅…
の筈だったのに、何故かあれこれトラブルに見舞われてしまい、なかなか波乱万丈な旅になってしまった(笑)

今回も是非、気長に旅行記にお付き合い下さいませ。


旅の始まりは熊本空港の国内線から。
東京羽田行きNH644便、ボーイングB767(多分。中型機はあまり見分けがつかない(笑))。


羽田空港に着いたら、いつものようにANAの国際線乗り継ぎ専用バスで国際線ターミナルへ移動…

だがしかし。
国際線ターミナルに着いて無事にパスポートチェックと出国も済ませて、羽田から搭乗予定のルフトハンザドイツ航空フランクフルト行きLH717便の搭乗ゲートに行ってみると「遅延」のお知らせが。
今回はフランクフルト空港で70分の乗り継ぎ時間でエストニアのタリン行き便に乗り継ぐ事になっている。
1時間少々しか無い乗り継ぎ時間が遅延で削られるのはちょっと心配…

という訳で、ルフトハンザのカウンターに居る地上職員に事情を説明して
「乗り継ぎは大丈夫でしょうか?場合によっちゃ、乗り継ぎを諦めてホテルを用意してもらった方がいいんじゃ…」と聞いてみると、電話で何処かに問い合わせて色々と調べてから
「遅延の結果フランクフルト到着が25分遅れる見込みなんですが、フランクフルトでの最短乗り継ぎ時間がちょうど45分なのでギリギリ間に合います。このまま行って下さい!」とのこと。
ホントに大丈夫かいな…


やがて、遅れていた機材が到着。
ルフトハンザドイツ航空が誇る“最新型”の(そして恐らく“最終型”となる)ジャンボジェット機、ボーイングB747-8インターコンチネンタル。

超大型で運用効率が悪くなったジャンボは効率の良い中型の新型機に追われてどんどん姿を消しているのだが、このインターコンチネンタルはハイテク機B787と同じ高性能エンジンを搭載して生まれ変わった新しいB747だ。
もっとも、それでもB777やB787ドリームライナーに比べると燃費が見劣りするので全く売れておらず、世界中でもルフトハンザと大韓航空にしか採用されていないらしいのだが。


羽田空港国際線ターミナルの搭乗ゲートに駐機して折り返し出発準備を整えるルフトハンザのジャンボジェット。
さぁ、急いで準備してさっさと飛んでくれよ…

だが結局、機内への案内も遅れた上にボーディングブリッジが外れた後も滑走路への誘導と離陸待ちで更に待たされて、フランクフルト行きLH717便が羽田空港を離陸した時点で遅れは40分以上に拡大してしまっていた。
「おいおい…これは本格的にヤバイでしょ」

早速、水平飛行に移ってからCAさんに再度事情を説明すると、またしても電話で何やら色々と問い合わせてから
「フランクフルトへの到着は遅れますが、機長に事情を説明したところ『頑張ってみる』とのことで、大急ぎで飛んでくれるそうです。機長はかなりヤル気を出していますので、このまま予定通り乗り継ぎに備えておいて下さい!」とのこと。
「おお、それは頼もしい!(…っていうか、そこまで言われたらもう何も言い返せないよw)
このジャンボは双発のB777やB787の倍の4発もジェットエンジンを積んでるからスピードは出るでしょうね。機長に『エンジン全開でシベリア上空をマッハでぶっ飛ばしてくれ!』と伝えて下さい!」

半ばヤケクソ気味にそう言うと、もう後は何も出来ることはないので開き直って過ごすしか無い。とりあえず本当に頑張ってくれよ、機長とジャンボの4発エンジン…




とりあえず、タイトな乗り継ぎに備えて座席で休息する。

今回の航空券予約はルフトハンザの公式サイトで行ったのだが、以前は無料で早い者勝ちだった事前の座席指定が有料になっており、チェックインまで放置しておいたら勝手に機体後方の窓側席を割り振られてしまった。
だが、機体後方は壁が尻すぼみに狭くなっている関係で座席がゆったり配置されていて窓側なのに壁との間に余裕がある、隠れた「当たり座席」だった。


1回目の機内食。
和食と洋食が選べたが、洋食を選ぶと牛肉のグラーシュだった。
当然、羽田空港のケータリング会社で調理されたものだと思うのだが、紫キャベツのザウワークラウトも入っていて本格的。
ちなみに和食はカツ丼。


到着前の2回目の機内食は和食をチョイス。
ポーク唐揚げの味噌煮込みソースご飯という、やや謎な献立。
う~む、洋食のパスタの方が良かったかも。

さて機内食も食べ終わって、後はフランクフルト空港に降りるだけだが…
CAさんに現在の状況を聞くと「到着は35分遅れの19:45になります。お客様が乗り継がれるタリン行きは19:50に搭乗開始ですね…」
「あちゃ~。そりゃもう絶対に今日中の乗り継ぎは不可能ですね。ホテルの手配は地上係員に言えばいいですか?」

ところがここで、思いがけないというか耳を疑うようなことを告げられたのだ。
「いえ、急げば間に合います。お客様、空港に着いたら走って下さい!」
な、なんだってーーー!?

最初は何かの冗談かと思ったのだが、大真面目に
「到着後はすぐに降りられるように着陸直前に機体前方のプレミアムエコノミー席にご案内しますので、荷物をまとめて準備しておいて下さい」と極めて冷静に言われてしまった。
「え~っと…降りたら地上係員の方が一緒に走って誘導してくれるんですよね?」
「いえ、ここドイツではそこまで手厚いケアは期待出来ません。ご自身で頑張って走って乗り継ぎ便の搭乗ゲートを目指して下さい!」
お、おぅ…そこまで言われたら…ホントに頑張るしか無いじゃないの!!よし分かった、走ろうじゃないか!!

結局、プレミアムエコノミーよりも更に出口に近いビジネスクラスの空席に案内され、思わぬ形で生まれて初めてのビジネスクラスのフラットシート体験を味わう余裕もなくLH717便はフランクフルト国際空港に到着。
ヤル気を出してくれていたらしい機長と最新型ジャンボジェットの4発エンジンがどれだけ頑張ってくれたのかはよく分からなかったが、今はそんなことを考えている場合ではない。
ドアが開くと同時にジャンボ機から飛び降りて、走れ・走れ・走れーーー!!



…で、結論から言うと間に合っちゃいました(笑)
自分でも信じられないんだが。

ジャンボ機から一番最初に飛び降りて、乗り継ぐタリン行きルフトハンザドイツ航空LH884便の搭乗ゲートを目指して一目散にフランクフルト国際空港のターミナルビル内を駆け抜ける!
「まさか健康維持とダイエットのリバウンド防止の為にいつも仕事が終わった後で職場併設のジムのランニングマシンで走ってたのが、こんなところで役に立つとは思わなかったぜ…」

まだ誰もいない保安検査場と入国審査のパスポートチェックをくぐり抜け、腹立たしくなうようなきらびやかな免税店コーナーを走り去り、タリン行きLH884便の搭乗ゲートに辿り着いたのは…
ジャンボ機から降りてちょうど10分後の19:55!
まさにたった今、優先搭乗案内が済んで全ての乗客の機内への搭乗案内が始まったばかりのタイミングだった。

「やった…やったーーー!!本当に間に合ったぞヒャッハー!!」
搭乗ゲートに並ぶ乗客の冷ややかな視線も気にせずに、叫びましたね思わず(笑)

…それにしても、「フランクフルト国際空港での国際線シェンゲン協定圏内での乗り継ぎ時間:10分間」というのは本当にギネスブックの世界記録を更新しちゃったのではなかろうか?
まぁ、今回は一人で空港内を走ったので、誰も確認者がいないからギネス記録更新は難しいかも。あ~しまった本当に誰か一緒に走ってくれたらよかったのに残念!
(いや、そもそもギネスブックに「国際空港での乗り継ぎ成功最短時間記録」なんていう項目があるのかどうか知らないけどさw)

さてタリン行き便への乗り継ぎは成功したが、安心するにはまだ早い。「人間は間に合っても、荷物が間に合わない」可能性が大きいからだ。
熊本空港でタリンまで直通で預けたリモワのスーツケース、さすがにあれも10分でジャンボ機から降ろしてここまで運んでくるのは難しいだろうなぁ…
ああ、多分タリン空港でも荷物は出てこなくてロストバゲージ扱いだろうな。さしあたってタリンに着いたら明日にでも身の回りに必要なものを調達しに行かないと…等と考えていたら急にまた気分が沈んできてしまった。
せっかく苦労してタリンに着いても、着の身着のままか…

だがしかし。ここで二回目の奇跡が起こる。
何と、沖止めのタリン行きLH884便の機体までバスで移動して駐機スポットでタラップに並んでいると、目の前にやって来た荷物運搬車から降りた作業員の手に見慣れた黒いリモワのスーツケースが…!
「おお、あれはまさしく僕のリモワ!!凄い…凄いぞフランクフルト国際空港の地上職員の皆さん!本当に荷物まで10分間で乗り継がせた!!」


…日付が変わって大晦日の午前零時半、僕はタリン空港のターミナルビル近くにあるウレミステ空港ホテルで一息ついていた。
「着いた…やっと着いた!苦難を乗り越えて奇跡的な幸運を2つも起こして、無事にタリンに着いたぞ!」



それにしても、初日から疲れ果ててしまった。
さぁ、とりあえず風呂に入ってから今夜はぐっすり眠ろう。これから旅の日々が始まるぞ…おやすみなさい。

2日目(2017年12月31日)に続く

イプシロンロケット3号機打上げ、そして「夜光雲」出現!

2018-01-20 | 宇宙
Photo:イプシロンロケット3号機打上げ後の空に出現した「夜光雲」


平成30(2018)年1月18日の早朝6時6分11秒(日本標準時)、
高性能小型レーダ衛星ASNARO-2を搭載した3機目のイプシロンロケットが内之浦宇宙空間観測所から打上げられた。

イプシロンロケット3号機による高性能小型レーダ衛星(ASNARO-2)の打上げ日時について(JAXAプレスリリース 平成30年1月16日)

昨年の技術的問題での年越し延期に続き、当初は前日の1月17日に予定されていた打上げが悪天候により更に1日延期された今回のイプシロンロケット3号機。
ロケットの打上げは「水物」で予定変更はつきものとは言え、なかなかに“追っかけ”の難易度が高かったが、幸いにも仕事の有給休暇を取ることが出来たので内之浦まで見に行って来ました!




打上げ予定時刻の2時間前の午前4時頃に内之浦宇宙空間観測所のお膝元・鹿児島県肝属郡肝付町内之浦に到着。
イプシロンロケットが打上げられるM台地が一望出来る宮原見学場へのバスツアーに申し込んでいない見学者は、内之浦漁港に設置された一般見学場へと誘導される。




夜明け前の寒空の下で、明るく照明を灯して温かな食べ物等を用意してくれていた物販テント村が嬉しい。
今夜は一晩中営業して見学者を迎えていたとのこと。


物販テント村で内之浦限定販売のイプシロンロケット3号機ミッションマークステッカーやピンバッヂを購入したりして、打上げの時間を待つ。
南国鹿児島のさらに最南端部にある内之浦とはいえ、真冬の夜明け前はかなり冷え込んだ…

寒さに耐えながら待つこと2時間。
午前6時前には、打上げ時刻に合わせて見学場内を全て消灯することと、消灯後は危険防止のために一切の場所移動を禁止するというアナウンスがかかる。
集まった見学者たちは思い思いの場所に陣取り、打上げの瞬間を待つ…

やがて見学場内に、内之浦宇宙空間観測所のイプシロンロケット管制センターからのターミナルカウントダウン読み上げ音声が流れ始め、緊張感がいやが上に高まる。
そして午前6時6分11秒…!



カウントゼロとリフトオフの瞬間、山の向こうにいきなり太陽が出現したかのように突如として光り輝く稜線。
生まれたばかりの小さな太陽は数秒遅れて山から飛び出し、辺りを焼き焦がしながら南へと飛び去る。凍てつく内之浦の夜明け前の空にイプシロンロケットのロケットロードが高く高く伸びてゆく…

リフトオフ後2分間足らずでSRB-A(第1段ロケットモータ)を燃やし尽くし、イプシロンロケット3号機は一旦夜空から姿を消す。
その後、慣性飛行しながら大気圏を突き破り宇宙空間に躍り出たイプシロンは不要になった衛星フェアリングと第1段モータを切り離し、約1分後に第2段モータに点火して夜空に再び姿を現す。
この時点で既に宇宙空間に出ている為にロケットモータの噴射炎は青白く輝き、噴射炎は南の空の一面を覆い尽くさんばかりに大きく広がっていく…







第2段モータが燃焼している間にロケットの高度は地上から200kmに達しようとしており、機体は衛星を地球周回軌道に投入するのに備えて地表と水平方向に向かっての飛翔へと遷移している。
この為、イプシロンロケットは自身が噴射した燃焼ガスの雲・ロケットロードを噴射炎で横から照らすような不思議な姿となり、まるで天を駆ける彗星のようにも見える…

リフトオフ後5分程で第2段モータも燃焼終了。再びイプシロンは姿を消す。この時点で地上高度は200km以上、飛行慣性速度は秒速5kmに迫ろうとしている。
そして約1分半の慣性飛行の後、第2段モータを切り離したイプシロンは第3段モータに点火、一気呵成に第一宇宙速度(秒速7.9km)まで加速する…!


…だがしかし、第3段モータが燃焼開始した直後にイプシロンの機体は内之浦の南の山並みの向こうに沈んでいき、視界から完全に姿を消した。
つまり物理的に目視での観測が可能な最後の瞬間まで、イプシロンロケット3号機は内之浦漁港から見えていた事になる。
こんなに条件が良かった打上げは滅多に無い。素晴らしい打上げだった!

でも、これで終わらなかったのだ。
イプシロンロケット3号機が見えなくなり、見学者も三々五々と帰り始めた時、さっきイプシロンが飛び去っていった方角に不思議な光がぼんやりと見えている事に気が付いた。
夜空に青く光る塊がある。「あっ、夜光雲が出てる!」

夜明け前や日没直後の時間帯の場合、ロケットの打上げ後の空に薄っすらと光る雲…夜光雲が出現する事はそれほど珍しい事ではない。
ロケットが噴射した燃焼ガスや化学物質が大気圏と宇宙空間との境い目付近の超高高度で凝結し、この高度には届いている太陽光線を受けて光り輝く現象であり、僕も以前に種子島宇宙センターから打上げられたH-IIAロケットの飛び去った後の空に紐状の雲が漂いながら薄っすらと白く光っているのを何度か見た事がある。
だが、このイプシロンロケット3号機が残した夜光雲は青く光っている。色付きの夜光雲というのは初めて見た…


その後、青い夜光雲の塊は上空の風に流されたのか解れるように紐状になり、色も白く変わった。
それと同時に空が薄明を帯び始め、夜明けの空に夜光雲が溶けて消えていく…

…いや、消えない!それどころか、どんどん明るさを増して輝き始めた!?





遂には、夜光雲はリボン状に伸びて空中に大きく広がり、色も七色に変わり始めた!!
何という…何という光景なんだ!!


リボンが重なったように太くなった部分が銀色に輝き始めた夜光雲と、オレンジ色に光る夜光雲。





銀色に輝くリボンはどんどん明るさを増す…


夜明けの空に七色の夜光雲のリボンが乱舞する…
そう、この不思議な光る雲はゆっくりと姿を変えて、まるで空で踊っているように見えたのだ。

…ここまで凄まじいと、美しさを超越して恐ろしささえ感じてしまう。





「これが、人間がつくったものだなんて…」





出現から1時間程も見えていたであろうか…
すっかり明るくなり日の出が迫った朝の空に、夜光雲はようやく薄れて消えていった。

…今回、初めてロケットに「畏怖」を感じた。
以前、自分自身が、筑波宇宙センターで行われたロケット打上げ見学経験者の座談会で「ロケットは人が作った神様」だと言った事があるのを思い出していた。
そして「それって、こういう意味だったのか…」と自分の言葉を噛み締めていた。


イプシロンロケット初号機に搭載されていた惑星分光観測衛星「ひさき」の名前の由来となった、内之浦の漁師の守り神が祀られた神聖な場所である火崎半島に朝陽が昇る。
イプシロンロケット3号機と七色の夜光雲は空の彼方に消え去り、何事も無かったかのようにまたいつもの平和な漁村・内之浦の日常が始まろうとしている…


帰る前に、昨夜は有料のバスツアーの参加者のみが入場を許された宮原見学場を見に行った。
見学者は帰ってしまい、物販テント村の撤去作業が行われていた。祭りの後の寂しさが漂う向こうに、空っぽになったM台地のEロケット発射装置整備塔とロケットランチャーが見える。


視線を南に移すと、イプシロンロケット3号機が飛び去って行った海が見える。
打上げから約52分35秒後に高性能小型レーダ衛星ASNARO-2はイプシロンロケット3号機から分離されて所定の軌道に投入され、打上げは成功した。
そして約90分後にはASNARO-2は地球を一周りして、再びこの内之浦の上空に帰って来ていた筈である。
…僕が夜光雲に見惚れたり恐れ慄いたりロケットに畏怖したりしている間に、またイプシロンの新しい衛星(ほし)が誕生していた。そう考えると、何だか急に可笑しくなってきた。

イプシロンロケット3号機による高性能小型レーダ衛星(ASNARO-2)の打上げ結果について(JAXAプレスリリース 平成30年1月18日)

さあ帰ろう!
あ、帰る前に内之浦のお土産の定番「ロケット最中」を買っていかないとね。
そして…次の内之浦宇宙空間観測所からのロケット打上げは来月早々、昨年失敗した観測ロケットSS-520の超小型衛星打上げ実証実験のリベンジだ。
忙しいな(笑)またすぐ来るぞ聖地・内之浦へ!