天燈茶房 TENDANCAFE

さあ、皆さん どうぞこちらへ!いろんなタバコが取り揃えてあります。
どれからなりとおためしください

旅に出てます

2008-04-28 | 日記
写真:島原鉄道南線の廃駅にて

全国的にゴールデンウィークに突入してますが、皆様如何お過ごしでしょうか。
天燈茶房亭主は、旅に出てます。今回は国内旅行です。
とりあえず、青森の七戸町にて有志の手で保管されている可愛い“レールバス”に会いに行くつもり。

で、北に向かう途中、先月末に廃止された島原鉄道南線のその後の様子を見てきました。線路も駅もそのまま残っていました。でも、線路には早くも赤錆が浮いていました。
有明海と天草の島影を望む龍石駅跡のホームで暫し佇んでいると、今にもキハ20が現れそうな錯覚を覚えたのですが、それは所詮白昼夢。
線路に咲いた菜の花が、そのことをそっと教えてくれているようでした。

島原から熊本に戻り、ブルートレイン「はやぶさ」で東上。
今は、都内某所で潜伏中。

それでは、また。
旅の経過は追ってアップすると思います。
皆様もどうぞ素晴らしい休暇をお過ごし下さい!

天燈茶房亭主mitsuto1976 拝

寝台特急4分停車

2008-04-26 | 実況


東京行きブルートレイン「はやぶさ」号、福間駅で後続のL特急「有明」に追い抜かれる。
という訳で「はやぶさ」に乗ってます。最後尾のスハネフ14の貫通扉から撮影。もうすぐ関門トンネル、機関車交換の儀式を拝まなくては。


話は変わって、今日、長野市で行われた北京オリンピック聖火リレーで、聖火に突入してチベットの惨状を訴えられた亡命チベット人の方がおられたそうですね。
その場で警備の警官隊に取り押さえられても、泣きながら「フリーチベット!」と叫び続けていたとか…
祖国の自由を求める必死の叫びをよそに聖火リレーはそのまま進んだそうですが、彼の声は確かに人々のこころに届いたと思います。僕の胸にも届きました。

FREE TIBET!

USACOと行ったとこ~天草・天文台・熊本城編~

2008-04-20 | 旅行
写真:白亜の大江天主堂 撮影/USACO

先週、パートナーのUSACOと一緒にお出かけしてきました。
その時のアルバムです。以下、一部を除き写真はUSACO撮影。
たまには趣向を変えて、「お出かけ写真集」を御笑覧下されば幸いかと。


仕事を片付けてから出かけたので、目的地の熊本県天草島某所に着いた時にはもう日没間近。
宿泊したホテルの部屋の下に広がるこのビーチは「日本のトライアスロン発祥の地」だそうな。




有明海の向こうに見える島影は、長崎県の島原。
ちょうど2週間前、島原鉄道南線の野辺送りで一晩歩き通した辺りですね。


天草に日が暮れる。
今夜は温泉に入ってのんびりしますか。
って、こんな贅沢していいんだろうか(我ながら小心者…)。

で、翌日。朝から、ホテル併設の水族館へ。

ペンギンが朝の散歩中。朝食に生のキビナゴをもらって食べてました。
「いいもの食べてるなぁー」


こちら、大変珍しいスナメリさん。
有明海で網にかかってしまったところを助けられてここに連れて来られてもう数十年だとか。
人懐っこいです。


餌をもらって御機嫌。可愛いなぁ~
でも顔が「エイリアン」に似てるんだよなw

それからイルカの曲芸ショーを見たりしたんだけど、省略。
クルマで一っ走りして、大江天主堂へ。


青空に映える大江天主堂
昭和8年に、フランス人のガルニエ神父が私財を投げ打って建てたものだとか。
「キリスト者には出来た人がいたんだなぁ」
ちなみに、この天主堂の設計施工は長崎や天草の元・隠れキリシタン集落で数多くの教会を手掛けた仏教徒の名棟梁、鉄川与助氏によるもの。
「仏教徒にも凄い職人がいたんだなぁ」




大江天主堂の近く、ガルニエ神父のお墓の下にあったこの庭園、何と「ルルドの泉」だそうです。
フランスのカトリック巡礼地が、何故日出る処の肥後国天草に!?
しかも、なんだか「奇跡の洞窟」というよりは日本庭園みたいな雰囲気なんだけど。。。藤棚とかあるし。

天主堂の駐車場近くのお土産屋さんで、以前ここに来たことがあるUSACOお勧めの「店のおばちゃんが手で絞ったデコポンジュース」を飲んで出発。
次に向かったのは入り江の漁村に聳えるこちらの教会。





崎津教会
これも鉄川与助棟梁の手に拠るもので、大江天主堂の翌年の昭和9年に竣工したとか。
ところで、ここにもしっかり「日本庭園風ルルドの泉」がありました。
しかも泉は瓢箪池で、錦鯉が泳ぎまわってたぞ(笑)
「鉄川棟梁、教会の庭にはルルドの泉を作らないと気が済まなかったんだろうか…何か強いこだわりがあったのかも知れんな…」


USACOからカメラを借りて、僕も撮影してみました(上写真)。
白亜の大江天主堂とは対照的に、コンクリートの地肌剥き出しの簡素で力強いイメージですね。
でも、どちらもカッコいいね。


天草の2つの教会を堪能して、そろそろ九州本土に戻ろうか。
途中、三角西港でちょっと休憩。
黒いチューリップの向こうに見えるのは天草五橋の1号橋「天門橋」。



三角西港は明治17年からお雇い外国人のオランダ人土木技師ローウェンホルスト・ムルデルによって整備された日本最初の近代的港湾で、現在は国の重要文化財に指定されている。
今日は天草と三角のレトロ建築を堪能しました。


JR三角線と並走しながら走る。
今日は日が暮れてから、天文台に星を見に行こう

という訳で、熊本県民天文台へ。


熊本県民天文台の大型反射望遠鏡の接眼レンズにデジカメをくっつけて、土星撮影にチャレンジ!
こんなアナログな方法でも、案外綺麗に撮れるものです
でも、アダプターも何も無しにレンズを向かい合わせるのは結構大変。暗い中で四苦八苦して撮ったUSACOの労作を御覧下さい。


月面も撮ってみました。
しかし、土星とは比べ物にならない位の明るさが邪魔をして、デジカメが勝手に画像をヘンな感じに補正してしまうのでなかなか上手い具合に撮れない。
散々悪戦苦闘してようやくものにした1枚。
ちょうど、この月の周りを飛んでいる「かぐや」から「満地球の出」の映像が送られてきたばかりなので、感慨深い眺めですねぇ。

翌日、帰るUSACOを空港に送っていく前に熊本城へ。
城内の熊本県立美術館で「吉村作治の早大エジプト発掘40年展」を観る。
「ナイル河沿いに走るアスワン行き寝台列車に乗りに行ってからもう4年になるのか…ああ、またエジプトに行きたくなった!」


熊本城を散歩。
「本丸御殿も公開されるんだよなー。そのうちUSACOと一緒に見に行こう。」


熊本城二の丸公園の名残り桜
USACOも写真を思う存分撮れて満足したみたいだし、良かった良かった。
「今度はゴールデンウィークにまた写真撮りに行こうかね」

…以上、「USACOと行ったとこ」写真館でした。
USACOの写真をもっと見たい方は、本家「USACOの行ったとこ」へどうぞ。

「3D写真もあるでよ~」byももちゃん

小惑星探査機「はやぶさ」情報:提供 JAXA宇宙科学研究本部
天燈茶房TENDANCAFE/mitsuto1976は
2010年6月の地球帰還を目指す日本の小惑星探査機「はやぶさ」を応援しています


はやぶさ2・はやぶさマーク2 ‐はやぶさまとめ‐
天燈茶房TENDANCAFE/mitsuto1976は
日本の小惑星探査機「はやぶさ」の同型機「はやぶさ2」と後継機「はやぶさマーク2」を応援しています

そろそろゴールデンウィークな訳ですが…

2008-04-20 | 日記
なんか気が付きゃ桜もあっという間に散って、躑躅(つつじ)に花虻がブンブン飛び回る今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。

さて、そろそろ待望の黄金週間な訳ですが…
…ヒマですね、今年は海外遠征の予定がないもんで、この時期に準備することが何もないんですよ。

そう云えば今日は復元成った熊本城本丸御殿が一般公開されるんだよなぁ。。。
どうせ初日は人多過ぎでゆっくり見られないだろうから、暫く経ってからこっそり見に行くか。。。

本丸御殿 20日公開 熊本城(西日本新聞) - goo ニュース

でも熊本市電の無料運行は魅力だな。路面電車に乗って一日中、田崎橋・上熊本駅~健軍町を行ったり来たりしてるのもまた一興…いや、流石に実行しませんけどね。

それに、熊本電鉄も散々LRT化するとかしないとか議論した挙句、結局鉄道を引っ剥がしてバス専用道にするみたいだし(世界的にライトレール路面電車が都市交通の切り札として注目されてるのに、世界の潮流に完全に逆行してるぞ熊本市…何やってるんだか全く…)、「葬式騒動」が始まる前の平穏な今のうちに乗り納めしておいたほうがいいなぁ。。。

熊電軌道をバス専用道に 熊本市など 都心結節で新案検討へ(西日本新聞) - goo ニュース

で、今日は結局延び放題になってたザンバラ髪を切りに行きつけの美容院へ。
美容院の看板ねこちゃんが出迎えてくれたけど、デジカメの気配を察知したのか“ねこハウス”に避難されてしまった。


さて、帰ったら来週の寝台特急「はやぶさ」乗車の心準備を、少し気が早いがぼちぼち始めるとするか。
今年のゴールデンウィークは、とりあえず「はやぶさ」で東京に出てUSACOと合流して…それからどうしようかね?
「そうだ!南部縦貫鉄道のレールバスに会いに行こう!」
という訳で、青森に行くことになりそうです。

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善光寺、聖火リレーの出発地点を辞退。それから、チベットについて考えてみる。

2008-04-19 | 時事
日本での聖火リレー、善光寺が辞退です。

善光寺が聖火リレーの出発地点を辞退、チベット問題に配慮(ロイター) - goo ニュース

まあ、これは…辞退して当然でしょう!

日本を代表する寺院のひとつである善光寺が、
仏教界では「観音菩薩の化身」であるとされるダライ・ラマのお膝元である筈のチベットを蹂躙し、チベット人の人権を踏みにじっている実態を一切無視して中国で行われるオリンピックの「聖火」を出迎えるなんて、国際感覚疑われるところだったと思いますよ、実際。

実は僕も、「何かチベットで中国政府による弾圧が行われてるみたいだけど…よく分からないな」という程度の認識だったんだけど、最近ネット上でチベット問題を訴えるサイトをよく見かけるので、ちょっとググってみたらダライ・ラマ法王とチベット亡命政府のオフィシャルサイトが見つかった。

ダライ・ラマ法王日本代表部事務所

かなりボリュームのあるサイトで、まだ全部読んでいませんが、酷いねこれは…
21世紀に、こんな人権侵害が行われているとは…

チベットのこと、これから少しずつ勉強して、ちょっと考えてみたいと思います。

Free Tibet!

画像は「【胡錦濤来日時に日本中をチベット旗だらけにするOFF】」から貰って来ました。

満地球、そして満土星

2008-04-13 | 宇宙
「かぐや(SELENE)」のハイビジョンカメラがまたしても凄い映像を捉えました。
これが、「満地球の出」!

ハイビジョンカメラ(望遠)による「満地球の出」の撮影画像:JAXA/NHK

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)および日本放送協会(NHK)は、平成20年4月6日(日本時間、以下同様)に高度約100kmの月周回観測軌道上の月周回衛星「かぐや(SELENE)」からハイビジョンカメラ(HDTV)による「満地球の出」の動画撮影に成功しました。(JAXAプレスリリース)

月の地平線に地球が昇る「地球の出(Earth Rise)」は既に昨年11月に「かぐや(SELENE)」に搭載されたハイビジョンカメラ(HDTV)よって撮影されていたが、今度は「満地球」です。

それにしても、今回も何という絶景だろう。
見ているだけでほのぼのと心が満たされるような、何とも豊かな気持ちになるではないか。
月周回衛星「かぐや(SELENE)」よ、贅沢な光景をありがとう!

さて、そんな「満地球の出」を堪能した週末だったのだが、日が暮れてから熊本県民天文台に出かけました。
ちょうど見頃の土星を見せてもらいに行ったのです。


↑熊本県民天文台はここ。
熊本県下益城郡城南町塚原2016 塚原古墳公園内


天文台の大型反射望遠鏡で見ると環の様子がはっきりと判る土星は、帽子をかぶっているようで何ともユーモラス。
こんなヘンテコな楽しいものが夜空にあるなんて、やっぱり宇宙は面白い。


ちょっと悪戯して、戯れに手持ちの携帯電話のカメラを反射望遠鏡の接眼レンズにくっつけて土星を撮ってみました。
案外綺麗に撮れるものだ。

ちなみに、熊本県民天文台の玄関には大型反射望遠鏡で撮影した土星の「生写真」が飾ってあるのだけれど、これは「衝(しょう)」即ち太陽と地球と土星が一直線に並んだ状態のときに撮られたものなので、土星の「真っ正面」から太陽光が当たっているので環に土星の影が落ちておらず、言わば「満土星」の写真だとのこと。

満地球に満土星、宇宙は春から豪勢で縁起がいいねぇ。

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島原鉄道 南線35.3キロの野辺送り

2008-04-06 | 鉄道
写真:最後の列車を送り出した島原鉄道南線加津佐駅の構内

←「島原鉄道 南線最期の夜」からの続き

平成20年3月31日夜23時。
この日限りで廃止となる島原鉄道南線の終着駅加津佐に最終列車で到着して、南線と加津佐駅の最期を見届けた僕は、熊本県八代市の自宅に帰ることにした。
 …島原外港まで歩いて。



島原鉄道南線無き後、加津佐と島原の間は島原鉄道のバスが代替運行されることになっている。
しかし、既に夜半近くなったこの時間にはバスが動いている訳も無く、それなら歩いて帰るまでさ、加津佐駅と島原外港駅の間の島鉄南線廃止区間は全長35.3キロか、それ位なら何とか一晩で歩いて行けるな。

それに、これは僕だけの島鉄南線の葬列なんだ。今夜一晩、35.3キロを寄り添って歩く、これは僕なりの野辺送りなんだ。

という訳で、すっかり人けが無くなり閑散とした「加津佐駅だった場所」を後に、さっき最終列車に乗って走ってきた区間に沿って国道251号線を歩く。
歩き出してすぐに気が付いたが、島原半島は火山帯のせいかやたらと地形のアップダウンが激しい。道路も坂の連続で、案外消耗する。
「大丈夫かな…?」
それでも暫く歩くと坂道にも慣れ、加津佐を出る前に買った水を飲みパンを齧ると体力も回復して歩く気力が出てきた。この調子なら大丈夫だ。



暗い有明海の潮騒を聞いて、対岸の天草の島影と町明かりを眺めながら歩く。
歩き始めて1時間もしないうちに、割と大きな集落と港に辿り着く。口之津だ。




口之津の町中で、ほんの数時間前まで現役で作動していた踏み切りには早くもカバーが掛けられ、遮断棹は抜き取られていた。

口之津を過ぎると国道251号は海沿いの峠を越える。街灯一つない真っ暗な峠道を過ぎて、町灯りが見えてくるとやはりホッとする。
「島原鉄道南線の沿線には、こんなに険しい地形もあったのか~」




歩き始めて約2時間、原城駅跡の前に到着。
島原鉄道南線の列車交換が行われていたこの駅に、ちょっと寄り道してみる。


真っ暗なプラットホームと、待合室。


この写真は原城駅の同じ場所で、さっき乗車した下り加津佐行き最終列車を撮影したもの。

つい数時間前まで対向列車待ちのキハ20が停車してエンジン音を響かせていたプラットホーム。
朝になっても、もう二度とこの駅に列車は来ない。…そう考えると、寂しさがこみ上げてきた。
「何て悲しいことなんだろう。増してや、毎日この駅で列車に乗っていた地元の人たちは、どんな気分で列車の来ない朝を迎えるんだろう…」
鉄道の廃止とは、こういうことなのか…

闇に沈んだ原城駅跡のプラットホームからは、まだ赤く点燈したままの信号機と鈍く輝き続けるレールが見えた。ここは駅だったんだ、忘れないでくれと、それは僕に訴えかけているようだった。


さらに歩いて、島原外港を目指す。
国道251号線は島原鉄道南線と時に離れ時に寄り添い、時に交差して島原へと続く。
島原鉄道南線は最終列車の通過直後から速やかに廃線処理が行われているようで、全ての踏切にカバーが掛けられ機能停止されている他に、踏み切りの設備そのものが撤去されている箇所もあった。
引き抜かれた、元は農道の踏み切りだったと思われる棒杭が線路沿いの草むらに横たわり、独り星空を見上げていた。


全ての赤色燈を塞がれた警報機。
鉄道の安全運行という重任を解かれ、この鉄道が廃止となったことを宣言するかのような残酷で哀しい姿となり、夜明けを待つ。


歩き始めて3時間ほど経っただろうか。
国道251号線と島原鉄道南線が寄り添うようにして最も海に近づく区間にある、龍石駅の脇を通る。
国道の歩道のすぐ隣がプラットホームになっているので、暗い階段を恐る恐る登ってみると、線路の向こうに有明海の潮騒だけが響いていた。



遥かな昔、雲仙火山の噴火活動でこの半島が生まれて以来ここにあった海と寄せる波音、磯の香り。
海と火山の悠久の歴史から見れば、ここに島原鉄道南線という鉄路が走っていた日々はほんの一瞬の出来事なのかも知れない。
それでもここに鉄道があり多くの人を乗せて列車が走っていたという記憶は、鉄路が地に還り全てが消え去った後も旅人の心に刻まれいつまでも残る。
そう信じたい。

有明海に昇る紅い月を眺め、駅跡に立ち寄りながら、島原鉄道南線の孤独な野辺送りを続ける。
途中、コンビニで水や夜食を補給しながら国道251号線を歩き続ける。流石に歩き疲れてきたし、そろそろ足の裏にマメが出来たらしく軽い疼痛を感じ始めた頃、夜が明けた。





夜明けの水無川導流提を渡り、雲仙普賢岳を眺める。
普賢岳噴火災害からの復興のシンボルであった島原鉄道の安新大橋が見えた。今日からは島原鉄道南線の記念碑として、その雄姿を留めることになるのだろうか。


島原鉄道南線の終着駅加津佐から歩き始めて7時間。
とうとう島原外港駅に到着した。
「ああ、着いた、帰って来た…どうにか、消える鉄路を野辺送りしてやることが出来たな。」
自己満足だということは解っている。
それでも僕は、疲労困憊していたがスッキリとした気分で朝を迎えることが出来た。自分なりのやり方で、島原鉄道南線への想いを表わすことが出来たという気がしていた。





今日、平成20年4月1日から島原鉄道の終着駅となった島原外港駅は、無人化され窓口が閉鎖されていたが、プラットホームには「加津佐・有家方面」の表示がそのまま残され、鉄路も変わらず加津佐へと延びて続いていた。
しかし今日からは、この駅の先へと列車が向かうことはない。

暫く島原外港駅の待合室に佇んでいると、初めてこの駅を訪れて南線に乗り加津佐まで行ったときの想い出が鮮やかに甦ってきた。
あれは大学2年生の夏休みだった。同級の友人Iと連れ立って乗り鉄しに来たのだ。
夏の盛りでとにかく暑かったのと、強烈な陽射しにギラギラ輝く車窓の有明海の水面、加津佐駅に着いてもやる事がなくて途方にくれたことが印象に残っている。
「Iは鉄っちゃんでもないのに、よくあんな乗って帰るだけの日帰り旅行に付き合ってくれたな…Iとはここ数年会ってないな。もう結婚してるかもな」
そう云えば、今座ってるこのベンチにあの日も並んで座って加津佐行きの列車を待ったなぁ…

「久し振りにIの声が聞きたくなったな。今度、電話してみようかな。『島原鉄道南線に乗った夏休みを憶えてるかい?』ってね」


島原鉄道南線は駆け抜けた。
それは消えることなく、人々の記憶の中を走り続ける。僕の心の中にも、友との夏の日の想い出と一緒に。

ありがとう、島原鉄道南線。島原外港―加津佐の35.3キロの鉄路を、僕は忘れない。

→「島原鉄道 旧型車輌で冬の旅」(2007年12月16日付)

→「島原鉄道 冬の海」(2008年02月17日付)

→「島原鉄道 涙雨」(2008年03月30日付)

→「島原鉄道 南線最期の夜」(2008年04月06日付)

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島原鉄道 南線最期の夜

2008-04-06 | 鉄道
写真:島原鉄道南線最期の夜、加津佐駅に到着した下り最終139列車のサボ

平成20年3月31日、島原鉄道南線(島原外港―加津佐間)は最期の日を迎えた。
翌4月1日付けで、南線は廃止となる。

前日の3月30日日曜日、僕は涙雨に霞む島原鉄道南線に乗車した
これで「お別れ」のつもりだったが、「また乗りたい、キハ20にまた会いたい、島鉄南線の最期を見届けたい!」という想いが募り我慢出来なくなった僕は、翌日の島鉄南線最期の夜にまた乗車することを、雨の有明海を渡る熊本港行き九商フェリーの船中で決心した。

「また明日、来るよ。最後にまた会おう!」

という訳で平成20年3月31日月曜日、
職場に無理を云って翌日の休暇を貰った僕は終業と同時にクルマを飛ばして熊本港フェリーターミナルへと向かった。


熊本港19:10発の島原行き九商フェリー最終便は定時運航で1時間後に島原港に入港。
暗い海の向こうに島原の街灯りが見えてくると、気もはやる。
島原鉄道南線の終着駅加津佐行き最終列車の島原外港駅発車時刻は20:18。フェリーターミナルから外港駅までは距離にして数百メートルだが、途中に信号付き横断歩道が2箇所あるので乗り継ぎ時間は約10分は見ておきたい。つまりギリギリである。
ここまできてタッチの差で最終列車を逃したりしたら、一生悔やんでも悔やみきれまい。

接岸したフェリーの舷側にタラップが固定されるのももどかしく、走ってフェリーターミナルを出て島原外港駅を目指す。
しかし運悪く赤信号に捕まり、信号待ちの最中、踏み切りの警報機の音が聞こえ3本ヒゲのキハ20が島原外港駅を発車していくのが見えて心臓が止まりそうになるが、
「落ち着け!あれは逆方向の上り列車だ。ということは、下りの加津佐行きは隣の南島原駅であの列車と交換する筈だからまだ暫くは到着しないな!ああ、ダイヤが乱れて遅れてるみたいで助かった…」




島原外港駅に着いたが、加津佐行き最終列車はなかなか到着しない。やはりかなりダイヤに遅れが生じているようだ。
「やっぱり最期の日だからな…名残り乗車の乗客が多くて混乱してるんだろうな」
最終列車が遅れる分には全く問題がない、いやむしろ有り難い。
それだけ長く、島原鉄道南線が生き永らえるということなのだから。

最終列車に乗る人、見送る人で混みあっているだろうと思っていた島原外港駅は、意外にも閑散としていた。
窓口も既に閉まっており、職員の列車見送りもないらしい。プラットホームには撮影準備中の鉄道ファンが数人と、名残り乗車と思われる乗客が数人。

結局待つこと20分、彼方から警笛を鳴らしながら加津佐行き下り139列車が到着した。

島原鉄道南線の下り最終列車は、島鉄オリジナルカラーのキハ2018と2019の編成。奇しくも昨日乗車したのと同じ車輌。

最終列車はお別れの乗客で超満員かと思っていたら、思いのほか空いている。
平日夜であることと、終着駅の加津佐まで乗って行ったらもう今夜中は帰りの交通手段がなく取り残されてしまう為だろうか。
それでも車中にはテレビ局の取材チームや新聞社の腕章を付けた面々が乗り込み、乗客に取材を敢行している。

最終列車の乗客は、熱心な鉄道愛好家よりは地元住人の方々が目立った。あちらこちらのボックス席から、「本当に今夜で終わりなんだね」「明日から寂しくなる」といった島原訛りの言葉が聞こえてくる。
そして、暗い車窓からは線路沿いの家の窓や道路から手を振る人たちのシルエットと、駅毎に出迎えて最終列車を見送る人たちの姿。
沿線の人々に見守られ見送られながら、加津佐行き最終139列車は通い慣れた南線を進んで行く。


車掌さんから購入した、加津佐までの乗車券。
諫早から加津佐までの全駅名がズラリと並んだ長いきっぷが売られるのも、今夜が最後。


キハ20の乗降ドアに貼られた、「まもなく100周年」のステッカー。
島原鉄道は明治41(1908)年5月5日に設立された。
会社設立100周年までまさにあと約1ヶ月に迫っているこの時期に、島原鉄道南線は廃止の時を迎えようとしている。


加津佐行き最終139列車は、坦々と最期の夜を走る。
空いていた車内には駅毎に沿線の人々が乗り込んできて、いつの間にか満員になった。
「懐かしいね、高校に通うのに毎日乗ってたよ」
「テニス部の誰某さんは龍石駅から乗ってきてたよね。夏休みに白浜海水浴場前駅でタバコ吸ってるのを見つかって停学食らったのは○○君だっけ?」
などと微笑ましい(?)思い出話に花を咲かせている元・地元の高校生だった皆さんを見ていると、島原鉄道が人生の一部になっていることに羨ましさを感じたりする。

原城駅で上り列車と最後の列車交換を行い、いよいよ終着駅が近づいた。列車の遅れは既に30分程に達していたが、きっと乗客の誰もがこう思っていたに違いない。

「このままいつまでも、永遠に終着駅なんかに着かなければいいのに。」


それでも時間は無情に過ぎて、列車もその使命を全うすべく、己の運命には無関心であるかの如く走り続ける。
午後10時頃、139列車は約30分遅れで終着駅加津佐に到着した。



車内では島原鉄道南線を称える拍手が沸き起こった。加津佐駅では、ホームを埋め尽くす人々が最終列車の到着を出迎えた。

平成20年3月31日夜、島原鉄道南線はその歴史に幕を下ろした。









やがて到着した列車からはヘッドマークが取り外され、先に到着していた旧国鉄色キハ2013と2016の編成との連結作業が始まり、加津佐駅の興奮は最高潮に達していく。








島鉄色+旧国鉄色で4輌編成を組んだキハ20の回送列車が、加津佐駅を発車していく。
これが加津佐駅が送り出す最後の列車。
島原鉄道南線加津佐駅は名実共に最期の時を迎えた。

感極まったのか、感謝と別れの言葉を絶叫する声や万歳三唱も…

列車が去った加津佐駅から、出迎え客も三々五々引き揚げて行き、やがて人けの無くなった構内が照明に煌々と照らし出されていた。




「さて…僕も帰らなくちゃ、歩いて。」

→ 「島原鉄道 南線35.3キロの野辺送り」 に続きます

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「はやぶさ2を実現させよう」勝手にキャンペーン
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島原鉄道南線、最後の夜から帰宅

2008-04-01 | 旅行
昨夜、運行を終えた島原鉄道南線(島原外港―加津佐)の下り加津佐行き最終列車に乗って、南線の最期を見届けて来ました。

で、ついさっき自宅に帰還。
いや~流石に加津佐駅から島原外港まで徹夜の35キロ踏破はきつかった!まあ結果として約7時間かかりましたが。
表定速度時速5キロか。ちょっとゆっくり歩き過ぎたかな?

さて、昼御飯食べたら出勤するか。
ああ~ツライ!!でも年度末と年度始めだから仕事も山積み!!助けてくれ~。。。

という訳で、島原鉄道南線最後の夜の旅行記は明日以降に気力と体力が回復してからボチボチ書きます。

とりあえず報告代わりに、最終列車が回送で引き揚げて閑散とした昨夜の加津佐駅の写真を。
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