鼎子堂(Teishi-Do)

三毛猫堂 改め 『鼎子堂(ていしどう)』に屋号を変更しました。

『格新婦の理~じょろうぐものことわり~:京極夏彦・著』

2011-04-02 22:50:52 | Weblog
うすぐもり。

年度末の会計処理の真っ最中。
毎年、この時期は、桜が散ってしまわないかと・・・気もそぞろ。


背景が桜で始まる美しく、荒涼として、不気味な物語・・・。
京極堂シリーズ 『格新婦の理~じょろうぐものことわり~』。
タイトルのよみがながないと読めませんよね・・・『格新婦の理』。

ミステリーと推理系の小説で、謎解き探偵役の京極堂こと中禅寺秋彦は、冒頭の桜満開の花吹雪の中、犯人と対峙しているシーンから始まります。

犯人が『女性』だということが、ここで、既に明らかにされています。

そして、ラストシーンでは、冒頭と同じ場面が繰り返されます。

多分・・・この物語は、終わりが無いのでしょう。
物語が展開して、それなりの終焉を迎えて、そしてまた同じ物語が延々と繰り返されている・・・そんな感じ・・・

ああ・・・手塚治虫さんの『火の鳥』にそんな物語があったなぁ・・・。
『私』は、『私』に殺される。殺された『私』は、また時間が、殺された『私』のところに戻ってきて、殺した『私』が、殺された『私』と同じ物語を延々と繰り返す・・・。
無間地獄・・・とは、このこと・・・。


千葉の旧家『織作家』に代々続く因習と因縁。
美しい四姉妹と母親・・・女系の『織作家』。
なんら関係のないと思われたふたつの事件が、同心円上に展開されていく。
堂々巡り・・・。円の構造が分らないと、永遠にたどり着かない真実。

閉ざされたミッションスクール、織姫の系図・・・。

お楽しみのサイコ・探偵:榎津礼二郎の活躍は、やや少な目だけれど。

桜の花とともに展開される読めども、読めども、尽きることの無い上質のエンターティメント。



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