蒸し暑さの残る小雨パラつく金曜日。
昼前から、私鉄駅前の昭和レトロ映画館で、『パリの小さなオーケストラ』を鑑賞。
子どもの頃、テレビで、ラヴェルのボレロの演奏を見て、指揮者を夢見るようになったアルジェリア系の少女ザイア・ジウアニは、双子の妹でチェリストを目指すフェットマとともに、パリの名門音楽院に最終学年で編入が認められた。
しかし、クラスメート達に、田舎者と蔑まれ、世界でも6%しか存在しない女性指揮者への道は、きわめて困難であることを知る。
人種差別、性差差別、階級差別に阻まれたけれど、彼女らの父親に諦めてはいけないと諭される。
特別授業で、巨匠セルジュ・チェリビダッケに見いだされ、悩みながらも、女性指揮者への道を歩んでいく。
映画の主軸となるのは、ラヴェルのボレロ、フォーレの夢のあとに、プロコフェイフのロメオとジュリエット/モンタギュー家とキャピュレット家の楽曲。
全編クラシック音楽満載で、演奏シーンも楽しみのひとつ。
音楽は、技術はもちろんだけれど、感性の豊かさと両輪が、バランスよく調和しないと奇跡と感動は生まれない。
指揮者と奏者がひとつになって初めて、奇跡は起きる・・・師の言葉の意味を理解できたとき、ザイアは女性指揮者へと成長してゆく。
ディヴェルティメント・オーケストラを設立し、活動の場を世界に広げていくことになる。
才能と努力で、様々な障害を乗り越えていく姿は、神々しくもあり、温かくもある。
ラストシーンのボレロで感涙。