鼎子堂(Teishi-Do)

三毛猫堂 改め 『鼎子堂(ていしどう)』に屋号を変更しました。

『塗仏の宴・宴の支度:京極夏彦・著』

2011-04-22 23:29:35 | Weblog
くもりがちで、何やら、肌寒い。

京極堂さんの本ばかり読んでいる。
今日の御題の『塗仏の宴・宴の支度』は、京極堂シリーズの集大成ともいえる長編。
前編にあたる『塗仏の宴・宴の支度』は、戦前に大虐殺の噂があって消えたらしいといわれる村への調査を依頼された京極堂の友人・関口巽が、事件に巻き込まれていく。

京極堂・中禅寺秋彦を封じ込めるための仕掛け。

『狂骨の夢』の一柳朱美、『格新婦の理』の織作茜、『姑獲鳥の夏』の内藤赳夫、『魍魎の函』の増岡弁護士、『鉄鼠の檻』の益田龍一は、事件後、刑事をやめて、サイコ探偵・榎津礼二郎の助手となって、『格新婦の理』に引続き、本編にも登場する。

お馴染みさんが複雑に絡み合い、そして、不死不老の徐福伝説を敬称する紀伊熊野の村上家と伊豆の消えた村の本陣・佐伯家を巻き込み、崩壊のゲームの終わり・・・後編の『塗仏の宴・宴の始末』と展開していく。

これは、京極堂本人に関わる事件。
その謎は、後編で明らかになっていくのだけれど、一つの物語が完結し、次の物語へと連鎖していく過程で、善人として登場した人物が、次の物語では、悪人に変わりながら、次々と増殖していき、読み人は、ループするような謎の連鎖に眩暈を覚える。

・・・古本屋・京極堂へ続く中野のあのだらだらした眩暈坂を登るような・・・。
騙している者が騙される、騙された者が騙している・・・

まだ、何も事件は、起こっていないじゃないか・・・。

事件は、起こっていない・・・水面下で、何かが起こっている・・・。
厳しいルールの下で、展開されるゲーム・・・勝つのは誰か・・・???

うんざりするくらい長い長い妖怪談義。
あまた登場する人物達。

本編は、まだ、始まったばかり。
宴の本番は、コレから・・・。

爽やかなゴールデンウィークが終わって、憂鬱な梅雨が始まる頃の物語。

眩暈がするような物語の迷路へ、ぺージをめくるたび、深まる謎。

早く解いてもらいたい・・・イライラするような、それでいてワクワクするようなジレンマな一冊。