みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

外国人の指紋採取に反対します!/無国籍、愛国心を考える。

2007-11-21 07:25:05 | 市民運動/市民自治/政治
日本で生まれ育ちながら、国籍がない人が日本には少なからずいます。

一人は日本人として生まれ、皇太子と結婚したために、
国籍がなくなり、基本的人権も奪われている雅子さん。

『プリンセス・マサコ』には彼女が人間としてまっとうに生きる権利さえ奪われ
「男子の跡取りを生む」ことのみを強いられていることが克明に記されている。
「加害者は私たち日本人すべてである」の言葉に胸をつかれる思いだ。

『無国籍』の著者・陳天璽(チンテンジ)さんは、
中華民国国籍が日本政府に認められなくなったある日「無国籍」となった。
わたしの友人は戦前に「日本人」と結婚し、彼が「在日朝鮮人」だったために、
敗戦後、「無国籍」となった。

友人のフィリピン女性の子どもは、いっしょに暮らしていた日本人男性に
生前認知されなかったために「無国籍」である。
他の国の夫婦が子どもを日本で出産すると、日本は「血統主義」をとっているために、
日本国籍は与えられず、親の本国は「出生地主義」をとっているために、
無事本国に届け出ができなければ実質的な『無国籍」となる。
沖縄では、1985年の改正国籍法の規定により、それ以前に、
アメリカ人と結婚した女性から生まれた子は、どこの国籍も取得できずに
「無国籍」となった。アメリカ人を父とする事実上の「無国籍児」も多い。

日本では、それら「無国籍」の人たちは、いまだ見えない存在にされ
日本社会から、異質なものとして排除され続けている。

子どものころから、「さまざまな異質な他者」を差別し排除する
日本という国に違和感を持ち続けているわたしは、
「くに」ってなんだ?「愛国心」ってなんだ?と問い続けている。

  

そんな日本で、来日するすべての「外国人」に対して、
昨日から、あからさまな差別と人権侵害が始まった。

80年代に「指紋押捺拒否運動」にかかわり、在日コリアンの人たちの
「ひと差し指の自由」を守るためにともに闘い、ふじゅうぶんではあるけれど、
指紋押捺廃止を勝ち取ったわたしとしては、この制度はとうてい容認できない。


【核心】入国外国人の指紋採取 きょうスタート

 「テロとの戦い」を目的に、日本に入国する外国人に指紋採取や顔画像の提供を義務づける新たな入国管理制度が二十日、全国の二十七空港と百二十六の港で始まる。米中枢同時多発テロ後に始めた米国に次ぐ導入だが、諮問は究極の生態情報。「プライバシーを侵害し、共生の時代に逆行する危険な制度だ」と批判や懸念が広がる。「このシステムでテロリストが捕まったという情報はない」などと、米国ではすでにその効果が疑問視されているのだが--。

 「テロとの戦い」掲げるが
 「プライバシー侵害」渦巻く批判・懸念
 実施3年 米で逮捕例なし
 
 「まるで犯罪者のように扱われる」。東京都内で今月半ばに開かれた集会で、オーストラリア人留学生ステファニー・クープさん(38)は不安を訴えた。来日して15年。新聞社勤務などを経て、今は都内の大学で国際法を学ぶ。「もっと早く反対の声を上げるべきだった。今からでも中止を訴えよう」と呼びかけた。
 生体情報を入国管理に使う新システムは、2004年末に策定された「テロの未然防止に関する行動計画」の一環として導入。米国が一部の国を除く、外国人の入国の際に指紋と顔写真の提供を義務づけた「USビジット」の日本版だ。法務省は本年度、総予算妬く35億円を投じて専用装置を開発した。

 ■データミス多発
 新たに採取される指紋は、過去の強制退去者の指紋データ約80万件や指名手配者情報、約1万4千件の国際刑事警察機構の情報などを基にした「ブラックリスト」と照合し、危険人物をあぶり出す。法務省は「別人に成り済まして再入国しようとする『リピーター』も水際でチェックできるという。
 だが、先行する米国では,同じ政府機関から運用上の不備などを指摘する報告が相次いだ。「情報のセキュリティが不十分で、指紋を含む個人情報が外部から改変されたり、コピーされる恐れがある」(米政府監査院)、「テロと関係ある監視リストから抜き出したサンプルの38%に誤りや矛盾が見つかった」(司法省)などだ。
 米国自由人協会の、バリー・スタンハード氏は「実施3年で、テロリストが捕まったという情報はない。監視リストは非公開だが、既に70万人分が登録されている。テロとは無関係の市民が監視リストに載ったり、空港の保安検査場で呼び止められる事態が起きている」と話す。

■不法滞在対策?
 日本での運用がさらに問題なのは、法的なチェック体制がないことだ。米では75年とされる生体情報の保存期間も、日本はテロ対策を理由に「内部の運用基準で決める」い。として公表しない。法務省は「外国人の不法滞在や犯罪の増加」をシステム導入の根拠の一つにしており、「テロ対策よりこちらが本音では」との見方もある。
 プライバシー問題に詳しい小倉利丸・富山大教授は「電磁情報として採取される生体情報が、将来どう使われるのか誰も分からないのに、日本では異議申し立ての機会も保障されていない」と指摘した。
 そのうえで「生体情報を埋め込んだパスポートを発行するのが今後の国際的な流れ。海外で取られた生体情報が相互に運用されると一大国際監視ネットワークが構築される。日本人にも無関係ではない」と警鐘をナラス。
 元東京入管局長の水上洋一郎さんも「テロ対策は必要だが、新制度は米国への協力とか犯罪対策の性格が濃く、本来の趣旨から外れる。テロリストの指紋情報もほとんどない日本では照合などできない」と指摘。「少子高齢化の時代、外国人の労働力がなくては成り立たない。新制度は外国人を管理の対象と見みることで、共生の視点からも外れている」と再考を求めている。
 
 内外67団体が導入反対声明
 16歳以上の外国人に指紋と顔写真の提供を義務づける新たな入管制度が20日に始まるのを前に、反対する市民団体の代表らが19日、都内で記者会見し、欧米や日本などの67市民団体による共同声明を発表した。鳩山邦夫法相あてに郵送したという。
 声明は「公の場での議論や政策的な検討がほとんどなされないまま、高度な政治的判断で承認された制度だ」と指摘。「日本へのすべての訪問者を犯罪者であるかのように扱うもので、個人情報を集中管理することはプライバシーを危険にさらすことにもなる」と批判している。
 共同声明は、英国に本部がある非政府機関「プライバシー・インターナショナル」が取りまとめた。

改正入管難民法
 日本に入国する18歳以上の外国人全員を対象に、入国審査で指紋押なつと顔写真を義務づけた。日本に滞在する外国人の再入国も対象。在日コリアンなどの特別永住者や、外交・公用目的や国が招聘(しょうへい)した人らを除く、約700万人が対象になる見通し。法相に「テロ関係者」の強制退去命令権が付与されたが、「関係者」の基準は明確ではない。外国人が対象の指紋押なつ制度は、在日コリアンらの抗議で2000年に廃止された経緯がある。
(2007.11.20中日新聞)



【関連】『安全に必要』歓迎の声 新入国審査 テロ抑止効果疑問視  
2007年11月20日 東京新聞夕刊

 入国する外国人の指紋採取や顔写真撮影を義務付ける改正入管難民法が施行された二十日、成田空港で新システムによる入国審査が始まった。審査時間が長引いてうんざり顔の外国人旅客もいたが、指紋提供などに不満は出なかった。一方、空港関係者からはテロの抑止効果に否定的な声も漏れた。 
 入国審査場では、到着便が相次いだ午前八時ごろからの約三十分間、長蛇の列ができた。指紋の読み取りや顔写真の撮影がスムーズにできず、警告音が鳴り響くケースもあった。
 到着ロビーでオーストラリア人の教師ジェイク・ハイリッヒさん(33)は「全く気にならない。安全には必要なこと。理解できる」。台湾人女性(31)やインドネシア人男性(45)らも「必要なこと」「とても良い」と歓迎した。だが、オーストラリア人のポール・ムンテンさん(42)は審査端末の故障で「旅客機を降りて到着ロビーに出るまで一時間半かかった」とうんざりした表情。
 一方、空港関係者らの間では、新システムによる不法入国防止に期待が高まる半面、テロ抑止効果については疑問視する声が聞かれた。
 ある入管職員は「指紋で本人確認ができ、偽造パスポートによる不法入国が減るのでは」と推測。十月に発覚した不法入国事件の外国人は、改正入管難民法の施行前に入国しようとしていたという。「密航グループに危機感を抱かせているようだ」と期待を寄せる。
 入管のテロ関係者リストは、国連や国際刑事警察機構(ICPO)の情報などに基づくが、保有する指紋データは「ささやかな規模」と法務省関係者。「一番大きいのは心理的な抑止効果」といい、テロリストの発見には懐疑的な反応。成田国際空港会社幹部も「中東などでテロリスト予備軍が次々と生まれている中、指紋データを集めきれるのか」と実効性に首をひねった。

法務省前で外国人ら抗議
 外国人の入国審査で指紋と顔写真の提供を義務付ける改正入管難民法の施行を受け、アムネスティ・インターナショナル日本などの人権団体が二十日、東京都千代田区の法務省前で抗議行動をした。
 正午から始まり、約七十人が参加。指紋採取の対象となる人さし指をかたどった風船や「STOP!」と書いたプラカードなどを手に「人権侵害だ」と抗議の声を上げた。
 アムネスティは「改正法は外国人の管理、支配を強めるものだ」と批判し、制度の即時中止を求めている。
(2007.11.20 東京新聞)


【中部国際空港】
中部でも入国外国人の指紋採取 「当然」「懸念も」
 
中日新聞 2007年11月20日

◆全国の空港・港で改正入管法施行
 十六歳以上の外国人を対象に入国審査で指紋と顔写真の提供を義務付ける改正入管難民法が二十日施行され、全国の二十七空港と百二十六の港で運用が始まった。入国時に「生体情報」を採取するシステムの導入は米国に次いで二番目。政府はテロ対策を理由に掲げているが、日弁連などは「犯罪捜査に際限なく利用される恐れがある」として見直しを求めている。
 この日は、到着便のある中部国際空港など二十三空港と大阪港など五港で実施。法務省によると、午前九時現在、指紋の提供を拒んだりパスポートの偽造が判明したりして入国拒否となった外国人は一人もいない。
 採取された生体情報は、過去に強制退去処分を受けた外国人のほか、国際刑事警察機構(ICPO)や日本の警察による指名手配者など、計八十万-九十万件の生体情報データベースとその場で照合。一致すれば、強制退去処分を受けたり、警察に通報されたりすることがある。

◆中部、静かなスタート
 ■空港
 中部国際空港では、午前六時すぎに到着したバンコク便から新システムによる入国審査を実施。対象となった外国人からは指紋提供や顔写真撮影の審査を歓迎する一方、戸惑いの声が聞かれた。
 到着した乗客は指紋を読み取るスキャナーに両手の人さし指を当て、さらにモニター上部のデジタルカメラで顔写真を撮影した後、従来の対面審査に臨んだ。
 審査時間が従来の倍近くかかると予測した名古屋入国管理局中部空港支局は入国審査官を六人増員し、二十六人体制に。さらに八人の案内係を配した。午前中は到着便が少ないこともあり、目立った混乱はなかった。
 フランクフルト便で観光のため来日したスペイン人男性(39)は「テロは国を超えた問題。指紋照合も当然だし、時間も五分程度で済んだ。安全のために、とてもいいシステムだ」と語った。
 ソウル便で着いた韓国人男性(45)は「テロは国際的な問題。過去(の指紋押なつ問題)とは全然違うし、もっと厳重にチェックする国もある」としながらも「心理的にはいいものじゃないね」と苦笑い。別の韓国人男性(46)も「機上で案内があれば、心の準備ができたのに、いきなりで驚いた」と話していた。
 中部空港では年間約四十万人の外国人が対象になるという。

 ■永住者
 日本に住んでいる一般永住者も海外から帰った場合に指紋採取と写真撮影が義務づけられる。
 豊橋ブラジル協会のタナカ・アルシーデス・ヒデオ会長(46)=愛知県豊橋市=は「犯罪減少の効果が明確でないと納得できない人もいるのでは」と制度の意義の説明不足を心配した。
 ブラジルではIDカード発行時に指紋を採取されるので抵抗感は小さいというが「採取の習慣がない国の人はもっと複雑な心境だろう。入国が煩雑になり、トラブルが増えるかも」と懸念した。
(2007.11.20中日新聞)



社説
新入国審査 人権への思慮に欠ける(11月20日)

北海道新聞 2007.11.20

 来日する外国人に指紋の採取と顔写真の撮影を義務づける制度がきょうから始まった。
 テロリストの入国阻止が目的だ。指紋や写真は、テロリストや犯罪者などのブラックリストと瞬時に照合し、問題がある人や拒否した人は入国できない。
 水際でテロを防ぐ趣旨はわかる。しかし、来日外国人の大半にあたる年間七百万人を対象とし、犯罪の被疑者のように指紋を採取するのは、プライバシーなどの人権上、疑問が残る。
 当局の恣意(しい)的、政治的な判断があってはならない。
 改正入管難民法に基づく制度だ。三つの点で慎重な運用を求めたい。
 まず、指紋や顔写真資料の保存期間の定めが法律にないことである。入管は「何年と定めると、それを超えてから入国することになる」と説明する。

入国時の指紋採取は米国に次いで二カ国目だが、米国では七十五年間保存される。その人の一生ということだ。
 警察が捜査に必要な時、いつでも使うようになりかねない。個人情報が漏れる恐れも高まる。本来は照合後、すぐに消すべきだ。
 第二に、改正法が法相に与えた「テロの実行を容易にする行為を行う恐れがある」人への強制退去権の使い方である。テロ行為の結果ではなく、政府の予測だけで判断される。
 改正法に関する講演で鳩山邦夫法相が「友人の友人がアルカイダ」と発言した。根拠は、法相の友人が、インドネシアのバリ島クタ地区で爆弾テロが起きた二カ月前に、ある人から、何か起きるのでクタ地区には近づかないよう注意されたというだけだ。
 友人の話を基に、このある人を「アルカイダ」と決めつけたのは軽率すぎる。もし、この程度で法相が強制退去権を乱用するなら、話にならない。
 第三に、ブラックリストの正確性を保つことだ。米国では国民の五百人に一人が、テロ容疑者のリストに登録されている。あのノーベル平和賞のネルソン・マンデラ氏も、リストに載っていて、入国できなかったという。
 新制度では在日韓国朝鮮人ら特別永住者などを除き、日本に出入国する十六歳以上の外国人すべてが対象になった。道内在住の外国人の七割も対象だ。テロとは無関係の市民を誤ってリストに掲載することは許されない。
 一方、外国人労働者を雇用した時や離職時に氏名、在留資格などの届け出を企業に義務づけた改正雇用対策法も先月施行された。外国人の個人情報を入国から就労まで国が管理し、外国とも情報交換できる法体系が整った。
 不法入国者を減らす狙いがあるようだが、管理のあまりの強化は、外国人に日本への嫌悪感を呼び起こしかねない。人権を侵さない入国審査方法をさらに工夫するべきだ。
(2007.11.20 北海道新聞)


 わたしは外国人の指紋採取に反対します!

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2 コメント

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チェユンジェ (崔永傑)
2008-05-07 00:32:31
2008年5月5日、名古屋中部国際空港で入管する時、
指紋を取られた。もちろん写真も取られた。
これはいったい何だ>< !!!
私は一人の中国人として反対します。抗議します!!!
私は犯罪者ではありません。なぜ私の指紋を取るんですか。
中国も日本人が中国の空港で入管する時、指紋を取って写真も取って欲しいです。
この日本で入管する時に指紋を取られた事で不満を持っている私の声が中国の政府に伝えて欲しいです。

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Unknown (日本人)
2008-12-21 19:30:55
犯罪者かどうか調べるために指紋を取るのでは(笑)

さらに中国人の犯罪率はずば抜けて高い。
http://www.npa.go.jp/sosikihanzai/kokusaisousa/kokusi5/20a/2.pdf

「崔永傑」を知らない99.99999(略)%の
日本人にとって、貴方は「中国人」でしかありません。

因みに私は中国の空港で指紋を取られてもなんとも
思いませんよ。むしろ身の潔白になるのでどんどん
採ってほしいくらいです(笑)
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