みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

「もんじゅ」最高裁判決についての声明~「美浜の会」webページより

2005-05-31 21:27:47 | 市民運動/市民自治/政治
今日の朝刊各紙の一面トップは、
福井県敦賀市の高速増殖炉「もんじゅ」の
設置許可の無効を求めた行政訴訟の、
最高裁判決の記事。

最高裁第一小法廷の判決は、全員一致で、
「安全審査の調査審議、判断の過程に看過したがたい過誤、
欠落があるとは言えず、原子炉設置許可処分は違法とはいえない」。
判決本文(原子力資料情報室webページ)

提訴から20年、「原判決破棄・控訴棄却」の最高裁判決で、
「住民敗訴」の福井地裁判決が確定した。
最高裁の判断は、行政(国)の言い分に追随したもの。
とても、くやしい。

2年前の、名古屋高裁金沢支部の2審判決は、
「安全審査に見過ごせない誤りがあり、重大な違法性がある」
という、住民側全面勝訴の判決だったわけだから、逆転敗訴である。

反原発運動にかかわって20年あまり。
「もんじゅ」が稼働する前、全国をリレーして展開された、
「ストップ・ザ・もんじゅ」キャンペーンに加わって、
岐阜から福井まで、キャンペーンカーを仕立てて走らせた。
86年4月には「チェルノブイリ原発事故」が起きて、
1月に生まれたばかりの子どもに泣きながら、おっぱいを飲ませた。
その後、チェルノブイリ原発事故被災者を救援するために、
医薬品や保育器を送る活動にかかわり、現地にも行った。
わたしにとって、「チェルノブイリ」は他人事ではない。

ナトリウム漏れ事故から10年。
安全性の問題はなんら解決されておらず、
「もんじゅ」は止まったままである。
この判決が、原発推進、「もんじゅ」運転再開の
Goサインになるなら、最高裁の責任は重い。
もしこんど事故がおきたら、いま存在しているすべての命、
これから生まれてくるはずの、未来の命に対して、
どのように責任をとるというのだろう。

美浜の会(美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会)
のwebページに、「原告団・弁護団等の声明」がアップされているので、
全文を引用して紹介したい。

「もんじゅ」最高裁判決についての声明

 本日、最高裁は名古屋高裁金沢支部の判決を破棄し、我々の控訴を棄却し、もんじゅの変更前の設置許可を有効とする判決を下した。
 しかし、もんじゅ設置許可はナトリウム漏えい事故の対策についてナトリウム溶融塩型腐食という重大事象を考慮に入れず、また蒸気発生器の伝熱管破損事故時の対策について高温ラプチャ現象発生の可能性について安全審査を欠落し、また炉心崩壊事故については現実に発生しうる事故としての安全審査を欠落させたものである。ことは、万が一にも重大事故を起こしてはならないプルトニウムを燃料とする原子炉の安全性に関わる問題である。伊方高等裁判判決の枠組みにしたがって判断すれば、安全審査の過程に看過しがたい重大な過誤欠落があったことは明らかであり、許可の違法性を認め無効を言い渡した名古屋高裁金沢支部判決は正当なものであった。
 ところが、この判決は、基本設計の安全性に関わるかどうかについても行政の合理的な判断に委ねられているとし、行政の判断の尊重を口実として極端な行政追随を行うものであり、司法のあるべき姿とは大きくかけ離れた不当なものであって、我々は強く抗議する。このような判断の下では、原子力訴訟そのものが成り立たなくなってしまうであろう。
 もんじゅはプルトニウムを燃料とする、未だ研究開発段階の高速増殖炉である。世界的に見れば、高速増殖炉の「夢」は敗れ去り、アメリカ・ドイツ・イギリス・フランス等では開発は終わりを告げている。我が国においても、高裁判決の指摘した危険性に加えて、開発目的も失われ、実証炉など今後の開発の目処は全く立っていない。
 我々は、このような不当判決に屈することなく、今後も、もんじゅを廃炉にすべく、なお一層の努力を尽くす所存である。今後とも、全国の皆様のかわらぬご支援をお願いする次第である。

2005年5月30日

「もんじゅ」訴訟原告団
「もんじゅ」訴訟弁護団
原発に反対する福井県民会議
もんじゅ訴訟を支援する会



わたしの住んでいるまちは「もんじゅ」の常時風下地帯にある。
「もんじゅ」廃炉の日まで、あきらめるわけにはいかない。
いま、わたしにできることは、なんだろう。


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12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (もりしゅん)
2005-05-31 23:38:12
「チェルノブイリの祈り」を全国で演られている講談師、神田香織さんをご存じでしょうか。

http://www.ppn.co.jp/kannda/main.html

一度その生の舞台をご覧になって下さい。

返信する
Unknown (kouhei)
2005-05-31 23:58:39
私も同じように考えました。

見切り発車でごサインをする必要は、庶民の立場からすればなにもないと思います。

それに福井県には昔の友人も住んでいますから。、、、



読売新聞の社説はどうなの 2

http://love.ap.teacup.com/kouhei2/

返信する
TBありがとう (maetos)
2005-06-01 07:38:53
TBありがとうございます。プルトニウムもナトリウムも物騒なものを集めて作った前時代的実験炉ですね。存在自体の意味を考えませんと・・・
返信する
裁判官にだって子孫はいるでしょ? (サラサ)
2005-06-01 12:33:12
なかなか流れが止まりませんね。

(圏央道も住民敗訴になってしまった。)

一度国が決めた事を止めるって事は・・・!



チェルノブイリといえば・・・

「ナージャ 希望の村」本橋成一

私の愛読書です。

みどりさんもきっと読んだでしょう?

子供と読むのにいい本だと思います。







返信する
もんじゅ廃炉の日まで (みどり)
2005-06-01 14:12:08
もりしゅんさん

コメントありがとうございます。

神田香織さんは知っていますが、ライブを見たことはありません。

テーマの「チェルノブイリの祈り」って、本になってる?



kouheiさん

一方的に被害だけを受ける人を「庶民」って言うんでしょうね。

新聞を5紙とっているので読み比べましたが、

いつものことですが、読売はほんとひどいですね。

(原子力委員会の手先では?)

毎日と中日のスタンスがいいです。



maetoroさん

コメントありがとうございます。

ほんと「放射能」と「いのち」は共存できませんもんね。



サラサさん

『ナージャ 希望の村』いい本ですよね。

本橋さんのお話し、聞いたことがあります。

原発やチェルノブイリ関連の本は、たくさん持っています。

わたしの友人も、早い時期に『届けウクライナへ』(坂東弘実著)という本を書きました。

10年前、チェルノブイリ(ウクライナ・ジトーミル州)に行ったとき、きれいな花が咲きみだれ、鳥がうたう、豊かで美しいウクライナの大地が悲しかった。

除染した道路から外れると、放射能測定器が振り切れるんです・・・。わたしは(チェルノブイリ救援団体の代表をしていたので)原発の立ち入り禁止の10キロ圏内のゲートをとおり、許可されてチェルノブイリ原発2号炉「石棺」の200m直近まで行きました。

原発で働く人たちの高層アパート群には遊園地の観覧車までありましたが、部屋の中に入ると、コーヒーカップもその日のまま、ガスマスクが散乱し、人と生き物の気配が消え不気味な沈黙。とても怖かったです

すべての親の関心事は、子どもが元気になることだけ。回復することはもうない、とわかっていても・・・。無力でした。

事故はいったん起きると取り返しがつかない。

原発も「もんじゅ」もなしで暮らしたい!

返信する
Unknown (タカノワシ)
2005-06-01 14:54:19
こんにちは。「もんじゅ」検索でこちらに来ました。私は遠方に住んでいるが、もんじゅは他人事ではないような気がする。危険がゼロではないし、トラブルを起こした時の影響力は他の事故の比ではない。地元住民だけではなく、日本全体の問題として考えなければいかんだろうね。



正直、今回の最高裁判決は意味不明なのだが、「もんじゅ」に対する感想を書いたのでTBしておきます。
返信する
Unknown (さちこ)
2005-06-01 16:06:06
チェルノブイリではみどりさんが石棺へ、私は強制退去になった村へいきましたね。

そこでもやはり測定器の針は振り切れてしまいました。村には小さな教会があり、新しい花がキリスト像の前に飾ってありました。だれかが毎日手向けに来るとか。住み慣れた村を離れがたかったのでしょう。ほかにもいっぱい病に蝕まれた人たちに会いました。

人間はいつまで愚行を繰り返すのでしょう。
返信する
Unknown (るな)
2005-06-01 16:47:42
みどりさんは、自分の目でチェルノブイリへ行かれて見てこられたんですね。胸の中で燃える怒りの火は、どんなに強いことでしょうか。



北陸で何かあれば、関西もほとんどすっぽり汚染されると聞いています。

あのチェルノブイリさえ、教訓にはならないのですね。

返信する
怒りと、かなしみと・・・・ (みどり)
2005-06-02 08:18:57
タカノワシさん

TB、ありがとうございます。

事故が起きれば、もうだれも無関係ではいられないでよすね。日本だけでなく、地球規模で。



るなさん

わたしは怒りはもちろんですが、かなしみが深いです・・・・。



さちこさん

わたしは、なにかあるたびに、あの2週間の記憶が鮮明によみがえってきます。時とともに薄まっていかない記憶ってある。忘れさってはいけない、ことも・・・・。

言葉を発することなく、命を奪われていく人たちのためにも、見てきた人間が語らなければ、と。







返信する
もんじゅ (むく)
2005-06-02 09:46:10
「もんじゅ」を読ませていただきました

。チェルノブイリで自分の目でみていらしたのですね。私もこの判決に愕然としました。

今娘が仕事の関係で東海村に住んでいますが、数多い木々に隠された原発の見えない建物が異様な静けさを保っています。
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