みどりの一期一会

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故筑紫哲也さん、お別れ会/筑紫哲也の緩急自在「歴史は繰り返さない?」

2008-12-22 00:00:00 | 市民運動/市民自治/政治
11月になくなった筑紫哲也さんの「お別れ会」が
東京であったという記事を新聞各紙で読んだ。

故筑紫哲也さん:ヒデが草なぎが福田前首相が お別れの会 

 肺がんのため11月7日に亡くなったジャーナリストの(享年73)のお別れの会が19日、東京・赤坂のグランドプリンスホテル赤坂で行われ、一般の参列者も含め2584人が故人をしのんだ。TBSの報道番組「NEWS23」で共演した草野満代さん(41)、SMAPの草なぎ剛(34)、サッカー元日本代表MF中田英寿氏(31)、福田康夫元首相(72)ら各界の著名人が最後の別れを告げた。
 参列者は筑紫さんの遺影が飾られた祭壇に白いカーネーションをささげ、思い思いに手を合わせた。喪服姿の草野さんは「最後にお会いしたのが6月末。とても元気でいつものように音楽、お芝居などいろいろな話をしていました。こんな短期間で亡くなるとは想像していなかった。本当に残念です」とあらためて悲しみを口にした。
 草野さんは、筑紫さんがメーンキャスターの「NEWS23」で97年10月から06年9月までサブキャスター。気心の知れたパートナーに筑紫さんが最後に渡したプレゼントが「阿吽(あうん)」と書いた色紙。「(阿吽と書いた意図は)何でしょうね…。照れ屋でシャイで言葉じゃなくて…。(色紙を)見るたびに9年間ご一緒できて本当に幸せだったと思います」。阿吽の呼吸だったことへの感謝を伝えたかったのかもしれず、草野さんは目を潤ませた。
 03年6月に筑紫さんが進行役を務めたTBSの報道特集スペシャルで、韓国の盧武鉉大統領(当時)にインタビューをした草なぎは「筑紫さんが“韓国との懸け橋になって頑張って”とアドバイスをくれて背中を押してくれた。筑紫さんの凄く大きな器を伝えていきたい」としのんだ。
 「対談などでお世話になりました」という中田氏は「筑紫さんの人を引きつけるリズムのある話し方が好きだった。そのリズムが印象に残っている」と振り返った。福田元首相は「アニキのような人で日常のいろいろな話をしました。酒が強くてね…」。偉大なジャーナリストの旅立ちに、参列者の列は途切れることがなかった。(スポニチ)
毎日新聞 2008年12月20日
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映像で足跡回顧 筑紫さんと別れ 都内 
2008年12月19日 中日新聞夕刊

 十一月七日に七十三歳で死去したジャーナリスト筑紫哲也さんのお別れの会が十九日、東京都千代田区のグランドプリンスホテル赤坂で開かれ、作家の瀬戸内寂聴さんや指揮者の小沢征爾さん、SMAPの草なぎ剛さんら交友のあった文化人や芸能人が多数参列、故人をしのんだ。
 弔辞の読み上げなどは行わず、献花のみの形式。会場には生前の写真が掲げられたほか、メーンキャスターを務めていた「筑紫哲也NEWS23」(TBS系)の論評コーナー「多事争論」の映像や番組のテーマソングが流され、参列者は筑紫さんの足跡を振り返った。
 草なぎさんは「特別番組で韓国の大統領と対談したとき、筑紫さんが背中を押してくれた。人間として大きな方だった」とコメント。瀬戸内さんは「ふだんは難しい話はしないのに『このまま行くと日本は駄目だよ。一緒に頑張ろうね』と言われたのがわたしへの遺言になった。とてもいいお友達だった。寂しい」と話した。(中日新聞 2008.12.19)



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わたしは、「NEWS23」の「多事争論」を楽しみに見ていたので、
筑紫さんが肺がんになって、テレビに出られなくなり、
寂しい思いをしていた。

亡くなった、と知ったときは悲しかったけれど、
記事を書こうと思いながら、なぜか書けずにいた。

今朝、朝日新聞のアスパラクラブから「アスパラ通信」が届き、
筑紫さんの連載「緩急自在」が紹介されていた。

わたしがアスパラクラブに参加したのは昨年だけど、
その前から続いていた「緩急自在」をはじめから全部読み直した。

読みながら、涙が止まらなかった。

今年5月21日の、最後の「緩急自在」を紹介して、
筑紫哲也さんのご冥福を祈りたい。

【朝日新聞アスパラ通信】
 ■筑紫哲也さんが語りたかったこと--------
筑紫哲也さんのお別れの会が19日、東京で開かれました。
アスパラクラブでの連載「緩急自在」は5月を最後に中断していました。
「歴史は繰り返さず、人間は変わるものだ――と信じたい」。
最後の一文は、こう結ばれていました
 

 
筑紫哲也の緩急自在
歴史は繰り返さない?


 思わず目を疑った。
 これは再現フィルムか。
 ロシアの首都モスクワの赤の広場。
 盛大な軍事パレードの映像。まるで、この国がソ連と呼ばれていた時代のようだ。
 それがロシア政府の狙いだったという。
 大国としての甦りを、軍事力を誇示するパレードで示したかったのだ。

 別の日、レバノンの首都ベイルートが一触即発、内戦突入の危機にあるとニュースは伝えていた。
 これも既視感(デジャヴュ)のあるニュースだ。
 ベイルートはかつて「中東のパリ」と呼ばれた美しい都だったが、私が出かけたころ(1980年代)は内戦が続き、「地球上でもっとも多くの銃弾が撃ち込まれた町」と化していた。
 これ以上、戦闘を続けてどうするのか。
 歴史は繰り返すのか。繰り返さないのか。
 それこそいろんな論議が繰り返されてきた。全く同じことがまた起きることはあり得ないかもしれない。が、歴史を作っていくのが人間だとしたら、その人間のやることに変わりがなければ同じようなことを繰り返しても不思議ではない。
 サイクロンで甚大な被害が出ているミャンマーの軍事政権が、国際的な救援を事実上拒否している。自国民があんなに苦しんでいるのに救いの手を拒むのは奇異に映るが、その一方で私はそう驚かない。
 政権のありよう次第では、そういうこともありうる。
 それを実際に見聞したのは、1970年代初めにニカラグアという中米の国を大地震が襲った時である。
 アメリカの息のかかった中南米の政権を、「バナナ共和国」と呼ぶことがあるが、その国もそのひとつで、おまけに独裁的な軍事政権だった。
 やっとの思いで現地に入ってみると、首都のマナグアは壊滅状態だったが、ほとんど救援・復興活動が行われていない。政権はともかく、アメリカが急派した海兵隊は何をしているのだろうと探したら、独裁者の官邸を守る形で配置についていた。
 政権にとっても、その保護者にとっても、自分たちの体制を守ることが最優先なのだ。住民を救済することよりも、地震に乗じて住民の反乱が起きることをもっともおそれたのである(ずっと後になってこの危惧は現実となり、この独裁者は国を追われた)。

 人間は変わるか――と私は疑問を投げたが、もともと人間とひとくくりにできるほど人間はひと通りではない。
 4年毎に、私は人間は少なくとも二通りあるのではないかという思いに襲われる。
 オリンピックを無邪気に楽しめる人たちとそうでない人たちの二通りである。
 世界中で圧倒的に前者が多数派のようで、私のような少数派は居心地の悪い思いを4年毎に味わう。「そんな硬いことを言わないで、純粋にスポーツとして楽しめばいいんだから」という圧力は毎度、相当なものである。
 ところが、なまじの政治的行事とは比べようもないほど政治的意味を持ってしまうのがオリンピックなのだ。聖火リレーへの抗議・妨害活動だけが政治的なのではなく、オリンピックそのものが政治的なのだ。
 そういうことのすべてが始まったのが、1936年のナチス・ヒットラー主導のベルリンオリンピックからだというのが定説である。
 ドイツの国威発揚という点で見事な成功をおさめたことはよく知られ、東京オリンピックの成功もこの延長線上で語られることが多い。しかし、それだけではない。
 ナチス・ドイツの「凶悪性」への世界的な警戒心がそこでいったん緩み、なかでもユダヤ民族への差別・弾圧政策が隠蔽されてしまった。
 北京オリンピックによって、チベット民族など少数民族に同じようなことが起きることはない。歴史は繰り返さず、人間は変わるものだ――と信じたい。
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筑紫哲也(ちくし・てつや)
1935年6月、大分県生まれ。早稲田大政経学部卒業後、朝日新聞社入社。政治部記者から沖縄特派員として沖縄返還交渉を現地で取材。71年ワシントン特派員となり、ウォーターゲート事件を取材。『朝日ジャーナル』編集長、編集委員などを経て、89年から東京放送(TBS)のニュースキャスターに。近著に「スローライフ―緩急自在のすすめ」(岩波新書)など。NPO「スローライフ・ジャパン」理事。
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筑紫哲也さんは、08年11月7日、肺がんのためお亡くなりになりました。謹んでご冥福をお祈りします。
(朝日新聞アスパラクラブ 2008.5.21) 


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