みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

粉ミルクからセシウム/福島第1原発 廃炉作業、未知の領域/社説:150万人賠償 まずは迅速に支払いを

2011-12-09 09:37:54 | 地震・原発・災害
明治の粉ミルク「ステップ」から放射性セシウムが検出されたという衝撃的なニュースが流れた。
粉ミルクを検査したのは、市民団体(NPO)。
明治が汚染を認めて対象の40万缶を回収する、としたのは当然だけど、
粉ミルクの汚染は想定内のこと。自社で検査はしていなかったのだろうか。
全国に出回っている粉ミルクを、すでに飲んでしまった赤ちゃんはどうなるのだろう。

この粉ミルクは、福島から遠く離れた埼玉県春日部市にある工場で、
3月14~20日に製造されたもの。
原料が汚染されていたわけではなく、乾燥に使った大気によりが粉ミルク汚染されたとのこと。
衝撃的なのは、空気が汚染されていたということ、だけど、
この空気を日常的に吸っていた人たちは、どうなるのだろう。

原発事故を過小評価する楽観的な予想は、事実によりつぎづきに覆される。
フクシマ以後、こういう厳しい現状で私たちは暮らしてる、ということを忘れないでいたい。

社説:粉ミルク セシウム 微量でも心配(12月8日)
2011.1.28 北海道新聞

食品大手の明治が製造した乳児用粉ミルク「明治ステップ」から、放射性セシウムが検出された。
 最大で1キログラム当たり30・8ベクレルと、国の暫定基準値(200ベクレル)の6分の1以下だったが、同社は、新たな製品との無償交換を始めた。
 基準値を下回っているとはいえ、子どもは放射線の影響を受けやすく、軽視できない。乳飲み子を抱える母親はさぞ心配だろう。
 同社は、該当する40万缶の交換を急いでほしい。今後、製造日には必ず検査をするとしており、検査体制を見直すことが、消費者の不安の払拭(ふっしょく)にもつながるはずだ。
 同社は、粉ミルクの国内販売シェア4割の最大手。セシウムが検出されたのは、埼玉県春日部市にある埼玉工場で、3月14~20日に製造された製品の一部だ。
 原料の粉乳は道産や外国産で、3月11日の福島第1原発事故以前に作られたものを使用した。
 粉乳に水と栄養分などを混ぜて液体にし、熱風で乾燥させ粉末にしている。同社は取り入れた外気からセシウムが入り込んだとみている。
 発覚したのは、福島県内の市民団体が11月下旬に独自の検査で検出し、同社に詳しい調査を求めたのが発端だった。
 同社は事故後、月1回検査していたほか、厚生労働省も7~8月に調査したが、いずれもセシウムは検出されなかったという。
 既に消費した乳児もいるだろう。同社は不安を持つ母親の問い合わせに誠意を持って応じてほしい。
 国は原発事故直後に、埼玉県内にも放射性物質が飛散することを予想していた。企業や国民に注意喚起を怠った国の責任は重い。
 情報があれば、同社は製造を見合わせるなど、流通網に乗せない手だても可能だったのではないか。
 事故直後に粉ミルクを製造していた他のメーカーも、あらためて製品に問題がないか洗い出してほしい。
 厚労省は今月末をめどに、食品に含まれる放射線セシウムの許容量の基準値をまとめる。
 粉ミルクや離乳食など「乳児用食品」の分類を新設し、放射線に弱い子どもに配慮する。
 国は年間被ばく量の上限を現在の5分の1に引き下げるため、乳児用食品の基準値も、大幅に下がる見通しだ。
 だが、基準の厳格化だけでは十分とは言えない。検査の方法や回数、体制などの目安をつくり、企業や自治体に守らせるべきだ。
 何よりも、消費者が安心して食品を購入できる環境の整備が求められる。  


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社説:給食の安全―文科省が混乱させるな
2011年12月9日(金)朝日新聞

 国が示した放射能の数値をめぐり、また混乱が起きている。
 文部科学省は、学校給食の食材を測定する機器代の半額を、都道府県に補助する。先週、その詳細を通知した。
 そのなかで、機器の性能として「1キロ当たり40ベクレル」超を検出できる精度を求め、放射能が検出された際の対応として、40ベクレルを超えた品目は献立から外す、などの例を示した。
 食品の安全基準については厚生労働省が、肉や野菜は1キロ当たり500ベクレル、水や牛乳は200ベクレルとした暫定規制値を、厳しくする作業の最中だ。
 森ゆうこ文科副大臣は、その見直しを先取りした、と説明。「40ベクレル以下が給食食材の安全の目安になる」と話していた。
 ところが自治体から、食材の基準が突然厳しくなることに戸惑いの声が上がると、文科省はあわてて「40ベクレルは機種選定の目安」と説明を修正した。
 説明は今週、また変わった。中川文科相は、厚労省の新しい規制値が出るまで、40ベクレルが自治体の判断の目安の参考になる、とした。一方の小宮山厚労相は「事前に相談があってしかるべきだった」と述べた。
 すでに各地の自治体で、独自に給食食材を検査し、測定値を公開する動きが広がる。国の暫定規制値より厳しい基準を定めた所や、検出された放射能が暫定値以下だった食材を使わなかった自治体もある。
 給食の安全をどう守るか、国の考え方を示すことは必要だろう。問題は、発信のしかただ。
 役所間の調整不足に加え、大臣と副大臣の食い違いには、あきれるほかない。基準?目安?参考? 「40ベクレル」はいったい何のための値なのだろう。
 思い起こすのは、原発事故の後、文科省が福島の子どもたちの屋外活動を制限する基準を定めたときのことだ。「年間20ミリシーベルト」と示したことが批判を浴び、1ミリシーベルトが目標だと改めた。それが人々の不安をますます増幅させた。
 リスク情報を分析・評価・提供し、科学的知見を整理し、市民が行動したり判断したりするための指標を示す。そうした「リスクコミュニケーション」で、政府は失敗を繰り返してきた。不透明な決め方、まずい説明、ぶれる見解。その結果、いうことは信用されないままだ。
 数値を示す重みを、どれほど自覚しているか。政府として十分な吟味をしたうえで、国民が納得でき、実行できる指針を伝えなくてはならない。
 まずは文科省が説明をやり直すべきだ。



 クローズアップ2011:福島第1原発 廃炉作業、未知の領域 

◇時期、全て努力目標
 高い放射線量下での作業、溶け落ちた核燃料の取り出し・保管--。東京電力福島第1原発1~4号機の廃炉処理について、7日に内閣府原子力委員会の専門部会が報告書をまとめたのを受け、年明けから廃炉作業が本格化する。79年のスリーマイル島原発(TMI)事故と同様、水で放射線を遮蔽(しゃへい)したうえで溶融した核燃料の回収を目指す。しかし、「人間が踏み込んだことがない領域」(東電幹部)の作業が連続することは必至で、完了には30年以上の歳月を要する見通しだ。山積する課題を探った。【中西拓司、西川拓】

 福島第1原発の廃炉処理は、1~3号機の原子炉内に残る燃料計1496本と、1~4号機の使用済み核燃料プール内の計3108本をすべて回収することが鍵となる。政府と東電は、16日に原子炉の「冷温停止状態」を宣言するのに前後して詳細な計画を発表し、年明けに着手する。
 「最初にして最大の関門」(専門家)となるのが、放射線を遮蔽するために格納容器全体を水で満たす「冠水(水棺)」だ。そのためには格納容器の損傷部分を特定して修復する必要があるが、容易ではない。1号機原子炉建屋内では最大毎時約5000ミリシーベルトを検出。致死レベルに相当する線量だ。
 東電は4月に発表した工程表で、いったんは冠水して事故収束を目指す方針を発表したが、その後の事故解析から、1、2号機の格納容器には水素爆発などで最大50平方センチ相当の穴が開いていると判明。5月に発表した工程表では格納容器の修復を断念し、冠水を中止した経緯がある。
 さらに、崩れ落ちた燃料を遠隔操作で回収する作業も困難を極める。原子炉内は長時間にわたって「空だき」が続き、1号機ではほとんどの燃料が溶けて圧力容器底部から、格納容器内に落ちているとみられる。
 燃料1本当たり約170キロのウランが含まれており、原子炉内だけでも単純計算で254トン(ドラム缶換算で約1270本)のウランを回収する必要がある。格納容器の上ぶたから底部までは最長35メートル。その距離から、遠隔操作クレーンでバラバラの溶融燃料を切断・回収しなければならない。しかも、それらは燃料を覆っていた被覆管の金属や炉内の部品と入り交じっている。
 「廃炉作業を前倒しし、早期に完了すべきだ」。福島県の佐藤雄平知事は、6項目からなる意見書を専門部会に提出したが、7日の専門部会は「できる限り早い時期に実現できるよう関係者に要望する」などの文言を報告書に追記しただけで、踏み込んだ回答はできなかった。「原子炉内をだれも見たことがない以上、報告書に盛り込んだ回収開始時期は、すべて努力目標でしかない」。専門部会長の山名元(はじむ)・京都大原子炉実験所教授は7日、こう語った。

 ◇溶融燃料を分析、処分方法研究へ
 「79年のスリーマイル島原発(TMI)事故の経験が生きる」
 日本原子力研究開発機構原子力科学研究所(茨城県東海村)の永瀬文久・燃料安全研究グループリーダーは話す。同研究所はTMIの溶融燃料を保管する国内唯一の機関。福島第1原発の廃炉作業の参考とするため、近く処分方法などの研究を本格化させる。
 TMIの燃料は、経済協力開発機構(OECD)の国際共同研究のため91年に日本に輸送された。深さ15メートルのプールに、アルミの密閉容器に収められた燃料約60個(計2・8キロ、大きさ0・1~200ミリ)が保管されている。ウランと燃料を覆う被覆管の材料ジルコニウム酸化物が混じり、冷えて固まった溶岩状をしている。これまでの研究で組成や形状などのデータが得られ、切断や回収のための器具開発に役立つという。
 TMI事故では、燃料の45%に当たる約62トンが溶融、うち20トンが圧力容器下部に落下、最大1メートルの厚さで堆積(たいせき)した。作業員が格納容器内に入ったのは事故から1年後の80年。すべての燃料を回収できたのは90年だった。
 旧ソ連のチェルノブイリ原発事故(86年)はほとんどの燃料が炉外に吹き飛んだため、建屋をコンクリートで覆う「石棺」で廃炉にされた。TMIは圧力容器の中で燃料がとどまったが、福島第1原発の場合、1~3号機で圧力容器が破損。1号機では格納容器の底にあるコンクリートの床を侵食し、より深刻だ。
 しかもTMIは原子炉1基だけの事故だが、福島第1原発は1~4号機で起きた。専門部会委員の早瀬佑一・東電顧問は「廃炉処理が同時並行で進むとは思わない」と話す。
 TMIの廃炉を指揮したロジャー・ショー元TMI放射線管理部長は「微生物の大量発生で炉内に入れたカメラが役に立たなかったりと予想外の事態が発生した。福島の作業は数倍困難で、信じがたいほどの努力と国際レベルの最高の知恵が必要だ」と助言する。
毎日新聞 2011年12月8日 


 社説:150万人賠償 まずは迅速に支払いを 

 福島県人口の4分の3に当たる約150万人が新たに賠償対象となった。福島第1原発事故による損害賠償の指針を検討している文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会が、政府の避難指示区域以外の被災者について精神的損害などを認める算定基準を示した。額は子供と妊婦が40万円、それ以外の人が8万円だ。
 審査会は8月に賠償の中間指針をまとめたが、避難指示区域外から県外などに自主的に避難した人たちの声を受けて引き続き賠償の範囲を検討していた。
 放射線量が特に高い地域以外でも、大量の放射性物質放出による被ばくへの恐怖・不安を抱くことについて「一定の合理性がある」と認定した。また、避難せず今も住む人たちにも、恐怖や不安による損害があるとした。いずれも当然の判断だ。
 ただし、自主避難した人たちの移転に伴う実費などを別途認めず、一律額の支給とした。
 転居や二重生活など費用負担は個々の家族で異なる。実際に避難に伴い多額の出費を余儀なくされている人からは「見舞金程度にすぎない」と強い批判が出ている。実態に即し、もう一歩踏み込んだ指針を示せなかったのか疑問が残る。とはいえ、対象地域や金額も含め、一定の線引きをして賠償の範囲を明確にしなければ、手続きに手間取り支払いまでに時間がかかるのも確かだろう。
 指針は最大公約数的なもので、「支払い上限」ではない。今後の手続きの中で、個別事情に対応した賠償が模索されるべきである。
 その有力な手段が、審査会の下部組織として設置された紛争解決センターだ。東京と福島に事務所があり、弁護士の仲介委員ら約130人が、申立人と東京電力の双方から事情を聴き和解案を作成する。
 9月から受け付けを始め、約300件の申し立てがあったが、まだほとんど和解に至っていない。東電としては、審査会の指針の範囲を超えて和解に応じた場合、それが先例となって賠償範囲が拡大することを懸念しているのかもしれない。
 だが、紛争解決センターが機能しなければ訴訟で決着させる他なく、かかる時間とコストは増大する。既に自主避難で家族が離ればなれに生活している人から慰謝料支払いを求める申し立ても出ている。東電は被災者が実際に受けた被害を直視し、柔軟な姿勢で臨むべきだ。
 一方、政府指示で避難した人たちからの賠償請求に対し、東電の支払いが1割程度にとどまっている。書類チェックに時間がかかっているためだが、人員を手当てして作業を急ぐべきだ。150万人への一律支給と併せ、迅速な対応が欠かせない。
毎日新聞 2011年12月8日 


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12月8日(木)のつぶやき

2011-12-09 02:59:21 | 花/美しいもの
20:38 from Tweet Button
原発再開の歌 ちづこのブログNo.17 | WAN:Women http://t.co/8ifBgose
by midorinet002 on Twitter
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