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コソボ独立を合法としたハーグ国際司法裁判所の決定に付いて

2010-07-28 | ラジオ
オランダ・ハーグの国際司法裁判所は22日、コソボによるセルビアからの独立に付いて、国際法に合致していると判断した。ロシア上院連邦会議の第一副議長は危険な前例になると述べている。また下院国家会議も、いわゆる(???)の箱になる危険性を指摘している。

このテーマに付いてロシアの声評論委員は、次のように解説している。
アルバニア系が住民の大多数を占める、セルビア南部のコソボは2008年、交渉を打ち切る形で一方的な独立を宣言。アメリカや日本など60以上の国々が承認する一方で、ロシアや欧州の一部の国は異議を唱えてきた。
国際司法裁判所は国連総会の支持を受ける形で、各国を招いて意見を聴取し、独立が合法なのかあるいは違法なのか審理を進めてきた。
判決は勧告としての性格を持つもので強制力はない。

90年代後半の紛争時を含め、数度にわたりコソボを訪問してきた副議長は、今回の決定に付いて、コソボをすでに国家承認した国の代表が判事を務めている点を問題視し、それ自体が独特な国際法の現場では、このような法の軽視がよく起きると述べている。
さらに法廷が機能しないところで、ユーゴをセルビアへの空爆が行われ、アルバニア人がセルビア系住民の殺害や、正教会の破壊などを繰り返した点にも不満を示した。

一方、下院の国際問題委員長は国際法の特殊性に付いて、こう語っている。
「民族自決ということ、自分たちの領土の独立を宣言することに付いて、国際法には明確な基準がない。非常に複雑な問題で立場の違う者が、それぞれに解釈を
持っている。
国際法廷は明らかに法的側面のみならず、政治的な意図も重視しているようだ。
アメリカや欧州連合の一部など、影響力のある国がすでにコソボの独立を承認している。国際法廷の判事たちが、こうした国から圧力を受けたことは容易に想像できる。コソボの一方的な独立の違法性に付いて、はっきりとした判決を下すことが出来なかったのは圧力のためなのだ」
コサチョフ委員長は、このように発言している。

国際裁判所が、どのような考えに基づくものであったとしても、バルカン半島で起きていることの、本質的な評価が下されていないのは明らかだ。
コソボの独立、セルビアからの分離は国際法の主要な原則である、主権の尊重と国家の一体性というものに一致するものではない。
これは多くの国にとって危険な前例が作られてしまうことを意味する。
ヨーロッパでは10を超える国が、分離主義の問題を抱えている。
この問題がぶり返すことになれば、バルカン半島のみならずスペインのバスク地方やベルギー南北の地方の関係にも影響する。
イギリス、フランスも無縁ではない。
また判決はグルジアからの独立を、ロシアなど数カ国が承認している南オセチア、アブハジアをめぐる国際社会の見方にも影響を及ぼすだろう。

(???)は聴き取れず

コソボ紛争―冷戦後の国際秩序の危機
(岩波ブックレット (No.487))


町田 幸彦
岩波書店


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7月23日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル