goroの徒然なるままに・・・

日々の記録と言うか自分の日記や備忘録として書き連ねるつもり。

ピンクのバンダナ特別編 第二章

2006年10月07日 | novels
第二章 New town in US ・・・ 新しい都市

  「ロス・・・Loss か」

Santa Ana に向かうタクシーの中で僕はつぶやいていた。
日本を離れると決まったとき、電話口で彼女が口にした言葉だった。

薄暗い車内でダッシュボードのデジタル時計が緑色の文字で21:00をまわったことを知らせてくれた。

  「それにしても遠いな」

ハイヤーは空港を出てすでに1時間以上もハイウエイを飛ばしているのに、まだかかりそうだ。

  「とんでもないところに来てしまったのかもしれないな」

特にアメリカにこだわりがあったわけではないが、今までのしがらみを捨てるのにはなぜか適している気がしたからだ。
それと自分の技術を生かせそうな会社からのコンタクトがあったことも要因のひとつだ。

実力社会のアメリカで、自分自身がどこまで通じるかを試すのには年齢的にもそろそろ無理のきく限界ではないかと考え、思いきって日本を飛び出した。

僕はオートバイショップをはじめた頃から、オリジナルマフラーの理論を考えていた。

2ストロークエンジンの強烈な加速と、マフラーから排気されるオイルの焼けた匂いに感動していたが、時代が環境問題を唱え始め、気に入っていたエンジンフィーリングが「野蛮」と評価され、排気煙が「公害」と批判されるようになった。

このままでは2ストロークエンジンが消えてしまう可能性に危惧を感じ、2ストロークエンジンの有利性を世間に理解してほしいと思い、このマフラーを開発をはじめた。

ここアメリカでも2ストロークエンジン搭載車の新車販売が出来なくなっていると聞く。

確かに4ストロークエンジンは確立された理論で吸気排気を行い、クリーンなイメージがあるが、2ストロークエンジンも内燃機関としては、シンプルでフリクションも少なく、効率よく燃焼させれば、4ストロークエンジンに負けはしない。

ハイウエイを降りたのは21:30をまわった頃だった。
時間が遅いこともあるとは思うがまわりに明かりが見えないのが気になる・・・

  「かなりの田舎町のようだなあ」

観光案内には大きなショッピングセンターやビーチもあると書いてあったんだが。

  「どのみち明日の朝になってみないとわからないな」

ハイウエーを降り15分も走ると今晩のホテルが見えてきた、初めての都市なのでホテル看板が見えてきたと言うのが正確な言い方だ。

チェックインをして部屋に入ると、すぐに異様に大きいベッドに横になった。

日本を出発して、経由地での滞在を含めて15時間以上も体を伸ばせなかったので、ただベットに横になるだけでも、本当に開放感を感じられた。

シャワーを浴び、エアポートで買った硬いベーグルサンドをかじりTVの電源を入れると、ケーブルテレビだろうか?
二輪のダートトラックレースを放送している。

日本のTV放送で二輪車のプログラムはあまり見たことがないので新鮮に感じる。
他のチャンネルではNAS CARレースを放送していた。

やはりこの国自体にモータースポーツが浸透している。

第三章へ・ ・ ・
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