知命堂日記   ~  人間五十年、下天のうちをくらぶれば、夢幻のごとくなり ~ 2005.9.11

いつ死んでもおかしくない年のころ。
夢も希望もなく、やっと生きてます。
今を夢幻と思って、ただひたすらに…

チャングムの誓い…歴史的認識

2006-08-27 11:36:25 | Weblog
昨晩も韓国ドラマチャングムの誓いを見ました。
チャングムの誓いでは、時折、倭寇の話題が出ます。当時に朝鮮は、中部以下に倭寇=倭人、北方に女真(女直)=野人 の驚異に晒されていたわけです。どちらかというと倭寇の被害の方が深刻に描かれています。(※女真は、後に「清」をおこした満州民族。)
我々はこの倭人=日本人と捉えがちですが、例えば、済州島を襲った倭寇の言葉、容姿が歴史的に見て日本人とは異なるように感じました。これは、時代考証の手抜き、予算的な制約が原因だろうと短絡的に考えられます。しかし、倭人≠日本人と考えれば、別な解釈が可能です。
「中世倭人(村井章介著 岩波新書)」は、「朝鮮王朝実録」から多数引用して中世の倭人の姿を論じています。この書は、チャングムの誓いで扱っている時代の燕山君廃朝や中宗朝の倭寇対策の記録などから、当時の倭人の実態を明らかにしています。朝鮮王朝は、当初、対馬島主である宗氏を通じて倭寇対策を講じていたようですが、倭寇の中には当の朝鮮人も含まれていたようです。さらに時を経ると中国人やポルトガル人等も加わっていたようです。
また、「古代朝鮮と倭族(鳥越憲三郎著 中公新書)」を読むと、韓又は朝鮮という民族の成立の中に「倭」が多分に関与していることが記されています。そういう意味では、倭とは朝鮮半島南部から対馬、壱岐、九州一体を支配した勢力だろうと考えられるわけです。任那問題についても一定の示唆が与えられます。
このように考えると、チャングムの誓いで描かれる倭寇に対して違和感を感じるのは、ドラマ制作者がこのような背景を精査していたのかも知れないと言った逆説的考え方もできるのです。
いずれにしても上に挙げた2著作は、一読の価値有りです。

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