10/9、シャープの株価が大幅に下落した。終値は151円、41年ぶりの安値水準だという。
ゴールドマン・サックスは、収益力低下に伴う繰り延べ税金資産の取り崩しの可能性を指摘し、資本増強は不可避としている。シャー プは9月末に主力行と総額3600億円の融資契約を結び、2012年度末までの資金についてはメドをつけたらしいが、台湾の鴻海精密工業 との提携交渉は難航している。鴻海からの出資で資本増強するつもりが、株価の急落でシナリオが狂ってしまった。増資枠の拡大は経営権を失いかねず、株主の同意が得られない。
シャープがここまで悪くなったのは、円高の影響だけでなく、経営体質にも問題があったらしい。
中興の祖、佐伯明一族によるワンマン経営の弊害も指摘されている。
よくある話だ。
いずれにしても、ここまでブランドが傷つくと経営は一層苦しくなる。もはや、シャープの高級品を購入する消費者はいない。かつての安物ブランドに逆戻りだ。
日産自動車がルノーの傘下に入った時、日産が最も恐れたのは消費者離れだった。二大カーメーカーとして、日本経済をけん引してきた主役が、傲慢経営の果てに、自分より小さな外国企業の軍門に下るのは、日本人としては見るに堪えない醜態だった。社長に就任したゴーンにスター性があったことで、なんとか乗り切ることができた。それでも、本田の後塵を拝し、二大カーメーカーの地位を失った。
シャープはどうなるのだろう。
有力な提携先を見つけて、今ある危機を乗り越えたとしても、なにか革命的な製品でも開発しないかぎり、地に落ちたブランドは回復しない。愚かな経営で失ったものは計り知れない。
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