読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

酒場の藝人たち 矢野誠一 文春文庫

2006-02-01 22:38:49 | 読んだ
副題は「林家正蔵の告白」とある。
単行本(1993年刊)の本書は「圓生とパンダが死んだ日」であった。
林家正蔵といっても圓生といっても、わからない人が増えたんだろうなあ。

著者の矢野誠一の肩書きは、本人があとがきで「文筆業者として、自分のテリトリーをはっきり確立していない身」と言っている。

著者は芸能界(といってもドッチかというとマイナーほうだが)を見ている。
演劇評論家とか演芸評論家という肩書きもつけられている。

で、この人の書く演芸物は面白い。表面上のことをなぞっていても、実は対象に対する深い理解と暖かい愛情があるからだ。
また、出会った人々たちから影響というか刺激を素直に受けている。
そういう人だから、出会った人たちも著者に面白い話を聞かせてくれるのだろう。
或いは、話した本人は気づいていないおかしさを感じる人なのだろう。

戸板康二の「ちょっといい話」というのがあり、好きな本である。この戸板康二は著者にとって唯一の先生なのだそうだ。
この話を本書を読んで「おお!」と思った。まなざしが似ている。

このような芸能の話というのは、スポーツ選手や棋士の話と同じように、好きなのであるが、誰が書いてもいいというものではなく、書く人の幅とか深さというのがでているものがいいのである。

追伸
 本日は大雪で、それなのに標高90メートルの山の上で宿直をしている。

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