読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

京都・陰陽師の殺人<作家六波羅一輝の推理> 鯨統一郎 中公文庫

2011-02-18 18:50:34 | 読んだ
作家・六波羅一輝の推理シリーズで「白骨の語り部」「ニライカナイの語り部」に続く第3弾である。

なんだか頼りない作家(といってもまだ2作しか発表していないのだが)六波羅一輝が謎解きをつとめるこのシリーズ、彼の謎解きは、パソコンに向かってトランス状態になったとき無意識に書き込むキーワードで行われる。

そのトランス状態にならないと彼は謎解きも小説を書くことも出来ないのである。

で、その尻をたたく役目が、出版社の編集者・北村みなみである。
彼女は、六波羅一輝の第1作のファンで、それ以降何も書いていない一輝を編集者として周囲の反対にもめげず取材をさせ小説を書かせたのである。
その小説が、このシリーズの第1作「白骨の語り部」なのである。

というなんだかグチャグチャな設定なのである。

今回は、京都一条戻り橋であった殺人事件が発端である。
殺された男の婚約者から一輝に謎解きが依頼される。
京都で陰陽師を取材したいと考えていた一輝の意向と一致したことから、一輝とみなみは京都に向かうのである。

文庫の帯には
「民俗学×旅情×ミステリ」
とある。

これにはびっくりした。
へえーっ、このシリーズはそういうジャンルなの?
と思ってしまったのだ。

そういえば、謎解きは一輝の民俗学の知識が発揮されていて、第1作の頼りなさがすくなくなってきた。
いや、ずいぶん頼りがいのある男になってきた。

というわけで、陰陽師と京都を楽しめる作品である。興味のある方にはゼヒお勧めしたい。

私的にはもっとふざけてもいいのではないか、という感想もある。
ちょっと真面目になって、真犯人が当たり前すぎるのではないか、という、欲深い感想なのであった。

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