読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

ウィスキーキャット -飲めば都-(最終話) 北村薫 小説新潮4月号

2011-04-26 22:13:32 | 読んだ
東日本大震災の関係で雑誌類が手に入らず、インターネットで購入した小説新潮だが、1週間もかかり、まだ読み終えていないのに5月号が発売された。

4月号では、ずっと楽しみにして読んでいた「飲めば都」シリーズが完結をした。

この物語は、主人公・小酒井都とその周辺の人たちが巻き起こす「酒の失敗」の話である。

酒の失敗というのは、酒を飲んだから湧き上がるその人の本性が巻き起こすものである。
誰だって、時分をまっすぐに表現しているわけではなく、飾ったり或いは意図的に汚したりして自分をあらわしている。

それが、酒を飲んだがゆえに、突如として、何の前触れもなく、まったく意外な展開で、それまで演じてきた或いはそう思わせようとしたきた自分から脱け出してしまうのである。

それは一つの物語になる。

といっても、実社会においては、その物語はたった一言
「酒を飲んでいたからなあ」
でおわり、心優しき友人、知人、先輩、後輩、上司、部下、隣人、知人たちは、何事もなかったかのように、酒の上での失敗ということで目を瞑ってもらっている。

しかし、この「飲めば都」シリーズは、そこを深く追求し、なぜ彼・彼女達はそのようになってしまったのか、本人に成り代わって分析を行い研究課題とするのである。

もっとも、分析をし研究をしたところで、つまりは「酒のせい」で片付いてしまうのであるが・・・

さて、最終話では、結婚をした都が新婚生活を送る中で、酒についてというか酒と人について考えさせられるお話が語られている。

都さんも若いときから比べれば、酒の上の失敗も少なくなり、そして周囲の人たちの酒の失敗も新鮮でなくなってきたようである。

若いときというのは何事も「新鮮」に感じられるのかもしれない。
それが年を経るにつれ、動じなく或いは鈍感になるのだろう。
もっとも年をとっても新鮮で敏感であるのは「つらい」と思うが・・・

兎も角今回でとりあえず最終話。
次のシリーズがあるのか、期待しながら待ってみたい。

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