読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

孤独のグルメ 巡礼ガイド2 扶桑社

2015-12-06 17:11:30 | 読んだ
なんだかワタワタしているうちに12月6日になってしまった。

さて、前回に引き続き「孤独のグルメ」である。
今回は『巡礼ガイド』ということで、内容はテレビのSeason4をがに登場した店、更に1~3の中から名店、そして原作に登場した店を紹介している。

この本に紹介されている店のどこに行こうか、と思案するのがもっともこの本の楽しいところである。
で、大体は満足するのであるが、何しろ、こういうガイド本は「いいところ」をメインとしているので、実際に行ってみると「あれ?」というところがある。私はその「あれ?」が好きである。
紹介されてあるままでは、なんだかおもしろくないではないか。

そういえば、近頃は料理番組でなくても「食レポ」を多くの人がするようになってきた、一億総活躍というよりは一億総グルメリポーターのようである。

これは、一つには「美味んぼ」の影響ではないかと思うのであるが、あれは漫画ゆえに、美味しさを伝えるには「言葉」と「表情」しかなかった。
だけど、例えば私には「まったりした味」というのはよくわからない。
或は「繊細な」という表現をされると「ああそうなの」とは思うが、繊細な味を口の中に思い浮かべることができない。

そういう意味ではこの「孤独のグルメ」の井之頭五郎はいい。

バーンと作られた料理をドーンと食べる。

これがいいのだ。

テレビなどで紹介される店は、いろいろなこだわりを出してくるが、どうもそのこだわりが怪しい。

たとえば、活きのいい魚しか使わない、という店の刺身の横にあるワサビが練り物だったりする。
本物のわさびを使わないという「こだわり」なんだろうか。

また、日本酒の種類をそろえている店に行って、その酒に合う肴を、なんていうものよくあるパターン。
そんなもん、呑みたい酒と食べたい肴にしたらいいじゃない。
「ウーン、あう」なんていっているのを見ると腹が立つ。

うちは日本酒、というこだわりの店にアサヒのドライがあったり、グレープフルーツサワ-とかウーロンハイがあるのは、どういうことだ。

私はそれが悪いは思わないが、あまり「こだわり」を強調されるといかがなものかと思うのである。
で、そのこだわりを素人までがアレコレいうようになってきているのが気に入らない。

以前の私もそういうタイプに近づこうとしていたのであるが、近頃は、というか井之頭五郎に出会ってからは、バーンと作られたものをドーンと食べようと思うようになった。

年を重ねてきたら、なんというかいつも食べているものでいいやと思うようになった。
畏まっていただくようなことはできる限り避けたい。

日本酒の種類を多くそろえている店で、燗の酒を頼むと、「燗ですか?」のような対応をされたり、燗の酒は選べない、というようなことが多いので、だんだんつむじが曲がってきていることは認める。

いいじゃないの。自分の好きなものを食べて呑んで。それが、こだわりのある人から見ればめちゃくちゃであったとしても。

そういう思いを「孤独のグルメ=井之頭五郎」は、応援してくれているような気がする。

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