初めて読む作家であった。
文庫の帯に
この小説は光だ。辻村深月
とあった。
更に裏の帯には
もしも、子供がいなかったら、夫がいなかったら。
私はもっと快活に笑えていただろうか。
もっと自由だったのだろうか。
とあった。
で、題名が「田舎の紳士服店のモデルの妻」だったので、明るい系、もしかして不倫系かな、と思った。
そうしたら、全然違った。
主人公は竜胆梨々子(りんどうりりこ)。
大卒で勤めた会社の役員にみそめられて、海外営業部のホープ竜胆達郎を紹介された。
「ひとめ見て彼はいい」と思ったが、彼はそうでもなかった。
梨々子は『曲がりなりにももてた』ゆえに自分から追いかけたことがなかった。ゆえに燃えた。
そして結婚した。
結婚して2人の子供を授かった。
そして4年。達郎は心の病にかかり、会社を辞めて田舎に帰る、といいだして、結局田舎に帰ることになった。
梨々子にとっては異郷である。
そこで、梨々子は心に病を持つ夫と、二人の子供と、暮らし始める。
この物語はその梨々子の心の動きである。
劇的な展開があるわけでもなく、ただ日々の暮らしがある。その暮らしの中で梨々子は驚き傷つき、心を閉じようとする。
しかし、田舎では閉じこもれない。
梨々子はいつでも自問自答している。
夫の達郎は、父と兄が経営する会社を手伝うが、ある時、廃れた商店街の古ぼけたような薄暗い「メンズショップ竹内」の広告(新聞のチラシ)のモデルを頼まれる。
これが、題名の「田舎の紳士服のモデルの妻」につながっている。
題名で、明るい物語と判断した私が未熟でした。
で、しばしこの物語にお付き合いをして、結局読み終えてしまった。
梨々子は論理的だ。しかし彼女はともすれば「情」が優先する『妻』と『母』を勤めている。
いったい自分は何者なんだろう?
そして自分がかかわっている人は何者なんだろう?
と、考えながら。
家族である夫や子どもにも、そういう風に冷静に対応している。
私は、徐々に梨々子を愛おしく思うようになっていた。もう少し肩の力を抜いて生きたらいいんじゃないのか、と直接会って伝えたい気持ちになっていた。
ところで、帯にあった「この小説は光だ」ということであるが、解説を読むとこう書いてある。
多くの「妻」と「母」の足下を灯台のように静かに照らす、この小説は光だ。
妻でも母でもない私にとっての光でないのか。
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この小説は光だ。辻村深月
とあった。
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もしも、子供がいなかったら、夫がいなかったら。
私はもっと快活に笑えていただろうか。
もっと自由だったのだろうか。
とあった。
で、題名が「田舎の紳士服店のモデルの妻」だったので、明るい系、もしかして不倫系かな、と思った。
そうしたら、全然違った。
主人公は竜胆梨々子(りんどうりりこ)。
大卒で勤めた会社の役員にみそめられて、海外営業部のホープ竜胆達郎を紹介された。
「ひとめ見て彼はいい」と思ったが、彼はそうでもなかった。
梨々子は『曲がりなりにももてた』ゆえに自分から追いかけたことがなかった。ゆえに燃えた。
そして結婚した。
結婚して2人の子供を授かった。
そして4年。達郎は心の病にかかり、会社を辞めて田舎に帰る、といいだして、結局田舎に帰ることになった。
梨々子にとっては異郷である。
そこで、梨々子は心に病を持つ夫と、二人の子供と、暮らし始める。
この物語はその梨々子の心の動きである。
劇的な展開があるわけでもなく、ただ日々の暮らしがある。その暮らしの中で梨々子は驚き傷つき、心を閉じようとする。
しかし、田舎では閉じこもれない。
梨々子はいつでも自問自答している。
夫の達郎は、父と兄が経営する会社を手伝うが、ある時、廃れた商店街の古ぼけたような薄暗い「メンズショップ竹内」の広告(新聞のチラシ)のモデルを頼まれる。
これが、題名の「田舎の紳士服のモデルの妻」につながっている。
題名で、明るい物語と判断した私が未熟でした。
で、しばしこの物語にお付き合いをして、結局読み終えてしまった。
梨々子は論理的だ。しかし彼女はともすれば「情」が優先する『妻』と『母』を勤めている。
いったい自分は何者なんだろう?
そして自分がかかわっている人は何者なんだろう?
と、考えながら。
家族である夫や子どもにも、そういう風に冷静に対応している。
私は、徐々に梨々子を愛おしく思うようになっていた。もう少し肩の力を抜いて生きたらいいんじゃないのか、と直接会って伝えたい気持ちになっていた。
ところで、帯にあった「この小説は光だ」ということであるが、解説を読むとこう書いてある。
多くの「妻」と「母」の足下を灯台のように静かに照らす、この小説は光だ。
妻でも母でもない私にとっての光でないのか。
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