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読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

巣立ち-お鳥見女房- 諸田玲子 新潮文庫

2012-07-02 23:11:09 | 読んだ
お鳥見女房シリーズ第5弾である。

7つの短編で連作である。

第1話 ぎぎゅう
第2話 巣立ち
第3話 佳き日
第4話 お犬騒ぎ       2007年9月13日
第5話 蛹(さなぎ)のままで 2008年1月29日
第6話 安産祈願       2008年6月3日
第7話 剛の者        2008年8月6日

である。
ちなみに、年月日が入っているのは私が「小説新潮」に掲載されたものを読んでブログで感想を書いたものである。
これらは、嘉壽家堂本店で読むことができます。もし興味があったら行ってみてください。

さて、しばらくぶりでしかも通読してみたわけであるが、新鮮である。

「巣立ち」は、お鳥見女房こと矢島珠世の嫡男:久太郎が鷹姫さまこと恵以(えい)との結婚を幹として進んでいく。

第1話の「ぎぎゅう」は、養子縁組を控えた次男:久之助が養家の永坂家を訪れた帰途、永坂家に養子に入ろうとしていた近藤求馬に襲われる。求馬の心を思いつつ次男の境遇について考える久之助を中心に描いたもの。

第2話の「巣立ち」は、まだ互いを知らない、珠世の父:久右衛門と久太郎の嫁となる恵以が、偶然出会い大喧嘩をする。そして、そのわだかまりを珠世が上手に解決する。
恵以が父の和知正太夫との別れの場面は「来る」

第3話の「佳き日」は、いよいよ久太郎と恵以の祝言である。祝言の数日前から矢島家では不吉なことが起こる。そして祝言の日もあわやという場面が・・・珠世たちの機転で回避される。しかし、このことがこの話の幹にはなっているが、私は恵以を慈しんで育てた松井次左衛門の号泣にもらい泣きをした。

第4話「お犬騒ぎ」は恵以が矢島家の一員として或いは御鳥見役の組屋敷内で認められる事件が描かれている。この話では、私のお気に入りの石塚源太夫の次女:秋も活躍している。

第5話「蛹のままで」は、お鳥見女房シリーズではちょっと異色の物語。以前矢島家に居候していた石塚源太夫が自分の友人が江戸に来たので矢島家に居候を願い出る。もちろん珠世は引き受けるのだが・・・

第6話は石塚源太夫の3女:雪がメインである。これまで姉や兄に隠れて目立たなかったが、立派に主演を務めているのが本当に可愛い。石塚源太夫を敵と狙っていた多津が源太夫と結婚をして女3人男2人の親となった、そして今度は出産である。これまでは末っ子として可愛がられていた雪は複雑な思いである。
なんとしても雪は可愛い。

第7話「剛の者」の主人公は久左衛門である。御鳥見役全員の危機を久左衛門が救う。
そして、矢島家にもおおきな変化が・・・。石塚源太夫と多津夫婦の間に生まれたのは男の子、久左衛門が名付け親となって「多門」と名付けられた。この多門は食欲も泣き声も「剛の者」である。名付け親を凌ぐようになるのだろうか。

大きな事件といえば第7話ぐらいである。しかし、珠世が大きな事件を未然に防いでいるようである。そして登場人物たちはいい人である。いい人が魔が差したように事を起こすのである。

お鳥見女房を読むと「人っていいなあ」と思うのである。

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