読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

うつろひ蔓 志川節子 オール読物6月号

2007-06-27 22:42:11 | 読んだ
前回は、12月号「しづめる花」であった。
今回は「その続き」のような出だしである。

お蓮のもとに、豆吉が「大変だ」と飛び込んできたのである。
正確にはお蓮のもとにではなく、お蓮の夫「辰蔵」のもとに豆吉が知らせにきたのである。
それは「紀六がしくじった」ということである。

紀六というのが前回「しづめる花」の一方の主人公。
細見売りのかたわら「上ゲ屋」という職業をしていた紀六は、吉原の遊女を連れて逃げる「足抜け」をしようとしてしくじったのである。

お蓮の夫・辰蔵は細見売りのかたわら「保チ屋」をしている。
お蓮は元は遊女で、保チ屋の辰蔵に年季あけに身を引き取られ女房となったのである。

さて「上ゲ屋」とは、遊女を遊女として仕込む男である。
そして「保チ屋」とは、遊女が錆付いてしまったときに、その錆おとしをする男である。

お蓮は辰蔵に錆をおとしてもらったおかげで、年季明けまでおなじ「岡本屋」で働くことができたのである。
しかし、辰蔵とのことはそれっきりだと思っていたのである。

そんなお蓮が辰蔵の女房になって「博打」にのめりこんでしまった。
「投扇興」という扇を投げて競う博打である。そして借金のかたに・・・

なぜ辰蔵はお蓮を女房にしたのか?
「独りぼっちで慄えている」
からなのだそうだ。

お蓮は借金のかたにしりあった佐次と上方に逃げようとするが・・・

というのが大筋である。
この志村節子という作家、なかなか面白い。
近頃女流作家が面白いのは、物語の筋がうまく作られているのと、みどころ、があるところだと思う。

次回作はどんなんだろうと期待をして待つことにしよう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする