尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

昨年度の教員免許更新制の結果

2013年09月26日 22時03分08秒 |  〃 (教員免許更新制)
 インターネットのニュースサイトを見ていて、産経新聞の9月24日付に今年(昨年度)の教員免許更新制の結果に関する記事を見た。ところが、それを裏付ける文科省の発表が見つからない。他の新聞でも見当たらない。とりあえず貴重なデータだから紹介しておく。教員免許更新制については、実施初年度(2010年度)が終わった2011年には、文科相のサイトでかなり早くまとめの数字が公開された。昨年(2012年)はなかなか発表されなかったので、ここでは紹介していない。(もっとも初年度の数字はかなりわかりづらく信用性が疑わしい部分もあった。)

 さて、産経の記事によれば、3月末に更新期限を迎えたのは全部で9万5919人。講習を受けて更新が認められたのが7万6734人だという。管理職などで講習が免除されたのは1万3026人、病欠などで期限延期が認められたのは5719人だった。以上を計算すると、「それ以外」が440人いることになる。
 
 その内訳は判らないが、「免許を失効したのは0.1%に当たる99人」だと「24日、文部科学省の調査で分かった」と新聞記事(というかネット上の記事)にはある。更新講習を受けずに退職すれば、この数字には含まれないはずだから、この「99人」というのは、「免許を更新するつもりだったけど、失効してしまった」という人のはずだ。その理由がどこにあるかは不明だが、10年、20年、30年と教員を続けていた人ばかりなんだから、「99人」というのは多いのではないか。

 その99人のその後は、
 「更新講習修了の確認手続きを忘れるなどして期限後に免許を取得し直したのが29人」
 「事務職など免許が不要な職種に移ったのが37人」
 「退職したのが33人」
    
 国公私立別の内訳は、公立33人、私立64人、国立2人。
 都道府県別では、東京が30人で最も多く、兵庫が10人、茨城と埼玉がそれぞれ6人。
 東京にそれほどいたのか。公立で「失効」すると「失職」してホームページで発表されるので、これは私立学校かも知れない。それは「事務職など免許が不要な職種に移った」という人が37人もいることでも想像できる。公務員の場合、採用試験に必要な資格が失効すると公務員の資格も失うという最高裁判例がある。一方、私立学校の場合は、学校法人の職員だから、その学校法人が(教員以外の職種で)雇用を継続することは可能である。だから、つまりそれでいいのである。公立学校だって。校長に民間人を登用するとか、塾と提携して学力向上を図るとか言ってる時代に、教員の免許が事務的に失効したからどうだこうだなどと問題視する必要があるか。また日本全国、設置者別を問わず、(校種は判らないが)、どこでも起こっている。国立学校でも失効者がいるというのには驚く。

 これほど失効者が毎年出ているというのに、制度を見直すという動きはあるのか。文科省のサイトには、「平成25年度免許更新制高度化のための調査研究事業について」なる発表がある。「高度化」の意味がよく判らないが、とにかく大学等になんらかの「調査研究」を依頼している。しかし、「高度化」することが目標だろうか。教員研修が時代にあったものになるためには、「免許更新制」そのものの再検討が必要なのではないか。しかし安倍政権になり、それは不可能かと諦めているというのが現状ではないか。
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