尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

冤罪映画「ショージとタカオ」

2011年05月14日 23時36分58秒 |  〃 (冤罪・死刑)
 書かずに終わってはいけないので「ショージとタカオ」という映画について書きます。冤罪事件の布川事件、無実の無期懲役囚、杉山卓男さん(タカオ)と桜井昌司さん(ショージ)の二人が、1996年11月に仮釈放されてからの日々を追ったドキュメンタリー映画です。2時間半を超える映画ですが、時間を感じさせない展開です。井出洋子監督。

 これが滅法面白い。実に興味深い。東京・新宿東口の「ケイズ・シネマ」にて、27日まで午前10時から、28日から午後17時から上映中。映画館の場所は初めてだとちょっとわかりにくいかもしれないから地図で確認してください。

 昨年のキネマ旬報文化映画ベスト1作品。日本映画は「悪人」、外国映画は韓国の「息もできない」がベスト1でしたが、どちらも下層の若者の「犯罪と暴力」が主なるテーマでした。その意味で、現実の「昔の不良少年」と彼らに対する「権力犯罪」を取り上げるこの映画は、両方の映画を逆照射するような感じで、あまりこういう映画を見ない人もぜひ見ておいて欲しいと思いました。

 実は桜井さんには、2年間「人権」の授業で話をしてもらっています。今年は歌入りの熱弁で、「誰もが納得する明らかな無実」を体現するような話ぶりで生徒を圧倒しました。「明るい布川」を標榜して「歌って語れる冤罪活動家」をめざす、すごい人です。
 高校中退の「不良少年」が、無実の証拠は隠される、ウソの取り調べで「自白」を取られる、そういう権力犯罪に屈せず、獄中で頑張り抜く。
 そういう桜井さんと杉山さんが獄外をどう行き抜くか。この二人の「キャラ」が抜群。

 冤罪という社会問題を描く記録映画に違いありませんが、人間という存在の奥深さ、そして素晴らしさをまざまざと実感できる素晴らしい人間ドラマになっています。

 布川事件の再審判決は、3月にあるはずが震災で延期され、5月24日、午前10時から、水戸地裁土浦支部であります。
 延期されたことによって、奇しくも僕の誕生日に重なりました。
 何ちゅう偶然でしょうかね。

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