現在、衆議院で「出入国管理法」の「改正案」が審議されている。先週にも法務委員会で「強行採決」されるかもと言われていたが、それは何とか防ぐことが出来た。しかし、報道もそんなに大きくなく、よく知らない人が多いと思う。実は僕自身も同じようなもので、アムネスティから送られてくるメール通信を読んでいたのだが、なかなか細かくて判りにくい。しかし、どう見ても法務省の言ってることはおかしい。一回ちゃんと書かなくてはと思った。
(入管法「改正」に反対する人々)
現在、日本の入管には長期に収容されている人が多くいる。それは何故かというと、法務省の言い分では「難民認定を何回も求められるから」となるらしい。しかし、常識的に考えれば「日本の難民認定が少なすぎるから」になるはずだ。アムネスティによれば、2020年に日本で難民認定申請をした人は3936人。 そのうち難民として認定されたのは47人、人道的な配慮から在留が認められたのは44人である。なお、新型コロナウイルスによる入国制限の影響を受け、前年の難民申請者数10375人から大幅に減っている。
法務省の「入管法改正案Q&A」というサイトを見ると、『「本国に帰ると生命の危険が生じる」などの事情を主張して,難民認定申請を行う人もいますが,日本の難民認定手続においては,難民認定申請をした外国人ごとに,個別の事情を考慮しながらその申請内容を審査し,難民条約の定義に基づき,難民に該当すると認められれば,難民と認定しています。』と書かれている。「難民条約の定義」に基づき審査しているのなら、難民認定が1~2%程度というはずがない。
今度の「改正」案では、難民認定申請中は送還しないとする現行法に例外を設け、同じ理由の申請は事実上2回までとする。難民認定の数から見れば、ほぼすべての人があっという間に「強制送還」である。ミャンマーから来て難民申請している人もいる。軍政に反対する人が送還されたらどうなるか。そもそも難民申請している人を数で区切ることがおかしい。人権意識がないとしか思えない。例えば「死刑囚の再審請求は2回まで」などという決まりがあったら、再審で無罪になった人が処刑されていた。「強制送還」が事実上の「死刑執行」みたいな人だっているはずだ。
法務省は徹底して「司法審査」を嫌っている。収容に当たって裁判所の審査を求めるべきだという意見に対して、「当庁で把握している範囲では,例えば,アメリカ,イギリス,オーストラリア及び韓国においては,収容について裁判所が事前に判断する仕組みはないとのことです。」としている。しかし、これは理由になっていない。ここに出て来ないカナダ、フランスなどの事例はどうなっているのか。そこでは収容期間も短く、審査も迅速に行われている。日本の刑事司法では、逮捕状の発行は捜査当局ではなく裁判所が行う。外国人にとって入管への収容は「事実上の逮捕」だ。事前に司法審査する制度は必要だし、他国にないなら日本が率先して作ればいい。(5月18日に通常国会での成立を断念することが報道された。)
今度の「改正」案では、むしろ逆に「退去命令拒否」に罰則規定が設けられる。強制送還に応じないと犯罪になるのである。入管当局は外国人を「治安」問題としてとらえてきたんだろう。様々な理由で日本に来た外国人には、確かに就労目的という人もいるだろう。しかし、難民申請をして外国で生きていこうという人には、それなりの理由があるはずだ。それを丁寧に聞き取るならば、難民認定が年に数十人という数にはならない。日本の裁判所もあまり人権感覚が鋭いとは思えないが、それでも「違う立場」から関わる仕組みが大切だと思う。
ところで名古屋入管で、スリランカ人ラスナヤケ・リヤナゲ・ウィシュマ・サンダマリさん(33)が3月6日に亡くなるという「事件」が起こった。一体何人が犠牲になれば目が覚めるのか。その経過にはまだまだ不審な点が多い。医者も危険性を指摘していたのに「見殺し」にされたとしか思えない。2019年にはナイジェリア人男性が死亡している。2007年から2019年にかけて、被収容者が死亡したのは14人に上るという。
(死亡したスリランカ人女性)
スリランカから遺族が来日し法相との面会を希望しているという。その後の報道がないので、会う気がないまま放っているのだろう。(入国後の自主隔離期間ということらしい。追加。)入管法改正案の審議などではなく、今はまずこのスリランカ人女性死亡の真相を徹底的に明らかにすることが先だと思う。
(入管法「改正」に反対する人々)
現在、日本の入管には長期に収容されている人が多くいる。それは何故かというと、法務省の言い分では「難民認定を何回も求められるから」となるらしい。しかし、常識的に考えれば「日本の難民認定が少なすぎるから」になるはずだ。アムネスティによれば、2020年に日本で難民認定申請をした人は3936人。 そのうち難民として認定されたのは47人、人道的な配慮から在留が認められたのは44人である。なお、新型コロナウイルスによる入国制限の影響を受け、前年の難民申請者数10375人から大幅に減っている。
法務省の「入管法改正案Q&A」というサイトを見ると、『「本国に帰ると生命の危険が生じる」などの事情を主張して,難民認定申請を行う人もいますが,日本の難民認定手続においては,難民認定申請をした外国人ごとに,個別の事情を考慮しながらその申請内容を審査し,難民条約の定義に基づき,難民に該当すると認められれば,難民と認定しています。』と書かれている。「難民条約の定義」に基づき審査しているのなら、難民認定が1~2%程度というはずがない。
今度の「改正」案では、難民認定申請中は送還しないとする現行法に例外を設け、同じ理由の申請は事実上2回までとする。難民認定の数から見れば、ほぼすべての人があっという間に「強制送還」である。ミャンマーから来て難民申請している人もいる。軍政に反対する人が送還されたらどうなるか。そもそも難民申請している人を数で区切ることがおかしい。人権意識がないとしか思えない。例えば「死刑囚の再審請求は2回まで」などという決まりがあったら、再審で無罪になった人が処刑されていた。「強制送還」が事実上の「死刑執行」みたいな人だっているはずだ。
法務省は徹底して「司法審査」を嫌っている。収容に当たって裁判所の審査を求めるべきだという意見に対して、「当庁で把握している範囲では,例えば,アメリカ,イギリス,オーストラリア及び韓国においては,収容について裁判所が事前に判断する仕組みはないとのことです。」としている。しかし、これは理由になっていない。ここに出て来ないカナダ、フランスなどの事例はどうなっているのか。そこでは収容期間も短く、審査も迅速に行われている。日本の刑事司法では、逮捕状の発行は捜査当局ではなく裁判所が行う。外国人にとって入管への収容は「事実上の逮捕」だ。事前に司法審査する制度は必要だし、他国にないなら日本が率先して作ればいい。(5月18日に通常国会での成立を断念することが報道された。)
今度の「改正」案では、むしろ逆に「退去命令拒否」に罰則規定が設けられる。強制送還に応じないと犯罪になるのである。入管当局は外国人を「治安」問題としてとらえてきたんだろう。様々な理由で日本に来た外国人には、確かに就労目的という人もいるだろう。しかし、難民申請をして外国で生きていこうという人には、それなりの理由があるはずだ。それを丁寧に聞き取るならば、難民認定が年に数十人という数にはならない。日本の裁判所もあまり人権感覚が鋭いとは思えないが、それでも「違う立場」から関わる仕組みが大切だと思う。
ところで名古屋入管で、スリランカ人ラスナヤケ・リヤナゲ・ウィシュマ・サンダマリさん(33)が3月6日に亡くなるという「事件」が起こった。一体何人が犠牲になれば目が覚めるのか。その経過にはまだまだ不審な点が多い。医者も危険性を指摘していたのに「見殺し」にされたとしか思えない。2019年にはナイジェリア人男性が死亡している。2007年から2019年にかけて、被収容者が死亡したのは14人に上るという。
(死亡したスリランカ人女性)
スリランカから遺族が来日し法相との面会を希望しているという。その後の報道がないので、会う気がないまま放っているのだろう。(入国後の自主隔離期間ということらしい。追加。)入管法改正案の審議などではなく、今はまずこのスリランカ人女性死亡の真相を徹底的に明らかにすることが先だと思う。