人事戦略研究所

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即戦力ではなく速戦力

2006年05月01日 | 成果主義時代の衝撃
先日、あるIT系企業の社長とお話しをしたときもそのような話題が出ました。
社長曰く「そこそこの技術を持った人が応募してくれるのだが、明日から使え
る人材はいなかった。」というのです。
「社長の即戦力、明日からでも使える人材と言う気持ちはわかりますが、それ
はかなり難しいでしょう。」と応えました。

即戦力だから採用した次の日から期待通りに結果を出すケースは稀だと思いま
す。理由は簡単で、採用した人材はそれなりの潜在能力を持っているかもしれ
ませんが、初めての環境なのでそれに慣れる時間が必要なのです。いかにその
業界で優れた実績を持っていたとしても採用直後は右も左もわからない場所で
それを発揮することは至難の業です。環境になれることに長けている人であれ
ばかなり短期間で自分の能力を発揮することができるのでしょうが、多くの人
は自分のいる環境に慣れるまでに相当の時間を要します。その期間が待てない
会社はいくら有能な人材を採用してもその人の能力を引き出すことができない
でしょう。

 それと同時に、慣れるまでの期間に、自社流の仕事のやり方を教育する必要
があります。よく見かけるのは、優れた実績の持主を採用したら「早く我が社
でも能力を見せて欲しい。」と言うばかりで、本人に対して何の教育もしない
会社です。即戦力だから促成栽培はできるかもしれませんが、すぐに実をつけ
るはずがないのです。その認識が抜け落ちると採用した側も採用された側も納
得できないままいたずらに時間ばかりが過ぎてしまいます。そして互いに「期
待外れだった」と思ってしまうのです。即戦力は速戦力。すぐに使えるのでは
なく、速く使えるようになると考えて方が良いのではないでしょうか。

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