チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

着物が繋ぐもの 14

2018年09月06日 10時08分38秒 | 日記
評判が良かった「信濃路の紬」
松本の歴史とそこに紬が生まれた理由を縷々述べる
だから松本紬を着るときはその土地の空気を身にまとってほしいーーと
(自分は着ないくせに偉そう)

写真を特に褒められる
だって反物が輝いているんだもの

さて次の信濃路の紬は「飯田紬」広瀬さんのところに伺うことにした
現在でもそうだが実に交通が不便
しかし見方をかえて地図をよくよく見ると名古屋からは近い
なんでも東京を基準に考えるものの見方をこの土地で修正されたように思う
そして江戸好みと名古屋好みの違いについても知ることになる

飯田紬は横段が多いそれが特徴そして色が華やか
この土地には製糸工場が多く良い糸が豊富
経糸が丈夫なので色んな色の緯糸を合わせることで独特の温かみの出る紬が誕生

緯糸にも真綿から紡いだ糸を使ったりしていると説明された
真綿から糸を紡ぐ作業は始めて見た
真綿といえば気管支の弱い私は冬になると真綿を首に巻き包帯をしていた
その真綿だ

自然が豊かなので反物は今度は廊下に出して
山や田んぼを遠くに見る風景の中で撮影
反物の出生がこの1枚の写真でわかるようにした

見開きいっぱいの写真にすると前回と似てくるので
反物とは関係のない田園風景やここでしか食べられない蜂の子の佃煮
更には飯田駅前の蕎麦

(実はこの蕎麦の味が忘れられず後に製糸工場の取材をわざわざ作って来たりもした
更にここ丸富というお蕎麦屋さんはもっと美味しくなって
今ではその時の息子さんが駒ヶ岳インターから少し登ったところの場所で店を経営
もちろんその店にも今も足繁くお通いの私、絶品!)

いよいよ旅と着物と食べもんという構図になってしまった
その時の私にとっては
経糸が何本緯糸が云々更に染の材料がなにかに
などの興味より「なぜこの土地でこのような紬が生まれているのか」に興味があった

自分の興味は読者の興味という思い込みも強く
誰がなんと言おうとその興味を優先したおかげで
「信濃路の紬」というページの人気は高くついに紬を仕立てて女優さんに着せてみてはどうか
という提案も出てきた

しかし私は「着物を着る」という感覚がまだつかめてなく
その提案を蹴り風土と織物ということにこだわっていた

松本の紬が格子柄、飯田は横段、さて次に足を運ぶ上田はどんな紬?

ところで飯田のお土産にと渡されたのが「鮟」いきているなまず
とにかく飯田という地ではいろんなものを食べさせられた

どうしよう?
電車に乗っている間ぴょんぴょん跳ねる
東京へ着いてすぐに隅田川に行き川にもどした

出された不思議なものを私が嫌の顔ひとつせず食べていたので
万病に効くなまずをお土産にしたのだという
無理してたんだよーーーわたくし (つづく)

コメント
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