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組織内部の紛争は、裁判所に頼らず組織内部で決めてもらうこと(部分社会論)の問題点

2014-10-03 23:00:00 | 憲法学
 組織内部の紛争は、裁判所に頼らず組織内部で決めてもらうこと(部分社会論)には、問題点もあります。

 だからこそ、

①団体からの除名処分のような「重大な事項」

②一般市民法秩序と直接関係する事項

③一般市民として有する権利の規制

④団体内部の不利益措置の手続の審査

 に関しては、たとえ組織内部の紛争でも、裁判所が介入することができせつであると考えられています。




 大学内部の紛争に対して、「部分社会」論によって司法審査を控えることには、どのような問題があるか。
 富山大学事件(最高裁昭和52年3月15日)を参考に書きます。

回答:

1、大学内部の紛争に対して、富山大学事件の判例が述べる「部分社会」論について

 大学は、国公立であると私立であるとを問わず、学生の教育と学術の研究を目的とする教育研究施設であり、その設置目的を達成するために必要な諸事項については、法令に格別の規定がない場合でも、学則等により規定し、実施することができる自律的、包括的な権能を有し、一般社会とは異なる特殊な部分社会を形成している。

 一般市民社会と直接関係を有しない内部的な問題は、司法審査の対象から除かれるべきものと考えられる。


2、司法審査を控えることの問題点

 ①「部分社会」といっても多様であり、司法審査が及ぶかどうかはそれぞれの団体ごとに考えなければならないにもかかわらず、部分社会論として一括して論じることは問題である。⇒個々の具体的な状況における人権救済がおろそかになる可能性がある。

 ②団体の自律性の尊重という理由だけで、団体内部の法的紛争に対する裁判所の審査が排除されることは問題である。⇒公平中立な裁判がなされない場合、人権救済がおろそかになる可能性がある。

 ③部分社会論によって司法審査が否定されると、結局、団体構成員に対する団体の不利益措置が、裁判的統制を受けないままに是認されることになり問題である。⇒手続的保障が不十分で、人権救済がおろそかになる可能性がある。




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