波紋

一人の人間をめぐって様々な人間関係が引き起こす波紋の様子を描いている

 パンドラ事務所  第四話  その2

2013-10-24 12:56:57 | Weblog
二人の姉妹には両親がいたが、母親が早くなくなり、それを追うように父親も間もなく亡くなっていた。話を聞いているうちに問題が遺産相続のことらしいと分かってきた。
二人だけの然も姉妹でもある。二人で仲良く話し合って法律で決められている通りに等分に分ければ済むことだろうと単純に聞いていたが、そうでもなく双方の言い分があって
話しが付いてないらしい。妹のの言い分によると姉は嫁いでから親の所へ訪ねることも少なく病気になった両親の看護や見舞いにも来れなかったらしい。それは嫁ぎ先の舅、姑の世話があることと家風にあったらしいので本人の意図とは違っていたが、それが出来なかったのだ。それが分かっていたこともあって妹は婿養子同然の所へ嫁に行き、自分の思うままに親の所と行き来をしていた。それは親の望むところでもあった。
当然病気になると妹は両親の面倒を全身で受け止めて世話が出来たのである。地理的にも近いことも有利であった。
そんな事情もあったのであろうか。納骨も終わって一段落して二人で遺産の話をしたいと姉からその話を切り出したところ、妹から事務整理がついたら二人で話をするからと言ってすぐには取り合わなかった。(死ぬ直前まで面倒を見ていた妹が親の管理を任されていたらしい。)「妹から落ち着いたら二人だけで余人を交えないで話をしようと言われて半年が過ぎても何にも言ってこないのです。内の親からもどうなっているのと言われて嫁の立場として説明もできないのです。それで亡くなった父から青山さんのことを聞かされていましたので今日伺いました。」「そうですか。お父さんが亡くなられてもうそうなりますか。まあ、常識的には誰が考えても残された遺産は遺言にもよりますが、何もなければ
子供さんで等分に分けられるものですから心配しなくてもそのうちきちんと説明があるでしょう。」と言う。「でもあまり長いので、何か考えているんじゃないかと思ってしまったり、私に渡したくないと考えているのか。何しろ私の所には親のことを知るものが何もなく、何も聞かされていないので、何もわからないので不安なんです。妹が全部握っているので」「しかし、これは法律で決められていることですからどうしようもないはずですよ。念のために弁護士に聞いてみましょうか。」「すいませんがお願いします。」
「この頃は電話にも出なかったり、会って話をしようと言っても会おうとも言わないのです。」「わかりました。念のために弁護士にも聞いてお返事しますよ」
その日はそれで帰ってもらうこととした。