きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

アベノミクス大言空言① 「雇用100万人増・賃上げ」 増えた非正規 減った賃金

2015-10-24 11:09:54 | 経済・産業・中小企業対策など
アベノミクス大言空言① 「雇用100万人増・賃上げ」 増えた非正規 減った賃金
安倍晋三首相は改造内閣発足にあたって「アベノミクス」を自賛し、「第2ステージ」へ移ると宣言しました。しかし、2年10カ月の大企業優先政治で国民生活は疲弊しています。安倍首相が挙げた“成果”は都合の悪い数値を無視した大言、空言です。

安倍首相は「アベノミクスによって、雇用は100万人以上増えた。2年連続で給料も上がり、この春は、17年ぶりの高い伸びとなった」と言います。
雇用で増えたのは賃金が低く、身分が不安定な非正規雇用の労働者です。雇用者数は季節によって変動が大きいので、同じ4~6月期を比較すると、2012年には1775万人だったのが15年には1953万人に178万人増加。役員を除く雇用者全体に占める非正規の比率もこの間、34・5%から37・1%に上昇しました。これに対して正社員は3370万人から3314万人に56万人減。比率も65・5%から62・9%に低下しました。



職場へ向かう労働者=東京都内

正社員の63%
厚生労働省「2014年賃金構造基本統計調査」によると、非正規の賃金は正社員の63%と大きな格差があります。15年版労働経済白書(厚労省)も「非正規雇用に就いた者の増加により雇用者一人当たり賃金が押し下げられている」と認めました。
にもかかわらず、安倍政権は先の国会で労働者派遣法改悪を強行し、派遣労働をさらに拡大する道を開きました。
その上、安倍首椙は「新3本の矢」で「多様な働き方改革」の推進を強調しています。安倍政権がすでに「日本再興戦略改訂2015」で打ち出した「雇用制度改革」は「多様」の名で、残業代をなくす「高度プロフェッショナル制度」や“名ばかり正社員”となる限定正社員制度の導入を打ち出しています。非正規雇用を今以上に拡大する政策です。






不都合な事実
「2年連続賃上げ、17年ぶりの高い伸び」については、厚労省が今年の春闘まとめでそう発表しています。対象とした企業は資本金10億円以上、従業員1000人以上で労働組合がある企業のうち、妥結額を把握できた314社だけ。380万社を超える日本の企業の1万分の1以下でしかありません。しかも集計の対象となったのはアベノミクスで膨大な利益をあげた大企業。それも定期昇給込みの集計です。ベースアップはさらに小さくなります。
実態を見れば、安倍政権下、物価を考慮に入れた実質賃金は13年5月から2年間、前年割れです。今年7、8月はそれぞれ0・5%、0・2%の微増でしたが、原因は物価上昇が鈍化したためです。
15年版労働経済白書も名目賃金の伸び悩みと物価上昇が実質賃金を引き下げていると指摘しています。安倍首相は政府統計であっても、不都合な事実には口をつぐんでいます。
(つづく)(4回連載の予定です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年10月21日付掲載


雇用が増えたって、それは非正規。賃金が上がったといっても、それは一部の大企業。
労働者全体では、実質賃金はむしろ減っています。
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許すなロックアウト解雇⑤ たたかってこそ明日はある 日本IBMの労働者たち

2015-10-23 17:48:08 | 働く権利・賃金・雇用問題について
許すなロックアウト解雇⑤ 日本IBMの労働者たち
作家 田島一

たたかってこそ明日はある

業績評価から「ロックアウト解雇」に至る経緯を追ってきたが、「退職強要・自主退職、解雇への一里塚」として組み込まれている同社の「賃金減額」制度も、ブラック企業の典型とも言えるものである。

違法な減給制度
就業規則を変更して導入した本制度によると、業績が低位に評価されれば、自動的に賃金は減額となり、賞与をふくむ減額率が最高で15%にも達する。この減額は毎年おこなうのも可能で、不利益は将来にわたって累積されることから、労働者が絶望し、自ら辞めるのを待つ「地獄の掟(おきて)」と呼ぶのが相応(ふさわ)しいだろう。
2013年からの大幅な賃金減額者は2000人におよぶと推測され、かなりの人が退職に追い込まれたのではという。懲戒処分の場合でさえも、労働基準法では賃金の総額の10%を超えてはならないとされているのに、耳を疑ってしまう。これにはいま、9人の組合員が、違法な就業規則の変更に基づいてなされたリストラの手段としての減額は無効と、差額賃金の支払いを求めて東京地裁で争っており、年末に判決の予先だって、9月8日の夕に、「許すなロックアウト解雇!日本IBM本社前包囲行動」が土砂降りの雨のなかで東京都内で持たれ、駆けつけた600人の支援者が集会後に人形町までデモ行進をおこなった。
小田川義和全労連議長はあいさつで「IBMは日本での労働法制改悪の先導役を自任していると言われているが、安倍政権もIBMも労働者を使い捨て、心ある国民や社員の言葉に耳を傾けない。非人間的とも言える経営姿勢に強く抗議し、勝利するまでたたかいぬこう」と呼びかけた。



ロックアウト解雇をやめよと日本IBM本社前に集まったJMJU組合員と支援者たち=9月8日夜、東京都内

大きなヤマ場に
生熊茂実JMIU(全日本金属情報機器労働組合)委員長は、「こんな解雇がまかり通ったら大変だ、IBMぜひ勝ってくれと全国から熱烈な支援が寄せられている」ことを紹介し、「これから来年春にかけてが大きなヤマ場」であり、「一日も早い解決のために、皆さんの一層のご支援を」と訴えた。
今回、日本IBMの事件を追い、とりわけ印象に残ったのは、米国と財界の求めに応えて安倍政権が進める「解雇自由社会」の先兵として突っ走る一外資企業の異様さと、困難を抱えながらも、揺らぐ「巨象」に身を挺(てい)して抗する労組の皆さんの姿であった。
ひと握りの層に富が集中し格差と貧困にあえぐアメリカ社会に、この国は追随してはならない。「戦争法阻止」で老若男女が新しい共同のうねりを巻き起こしたように、日本社会を壊そうとする者に立ち向かう人々への、国民的規模での支援の必要を痛感した。この暴挙を、圧倒的な世論の力でストップさせなければと思う。
降りしきる雨に打たれながら、巨大なビルに向かって突き上げる拳を目にして、私の胸中を駆けめぐったのは、「たたかってこそ明日はある」という言葉だった。(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年10月19日付掲載


恣意的な賃金差別で、労働者が嫌になって自ら辞めるように導く。懲戒処分以上の賃金の減額は許されない。
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許すなロックアウト解雇④ 病人に容赦ない面談 日本IBMの労働者たち

2015-10-22 21:32:58 | 働く権利・賃金・雇用問題について
許すなロックアウト解雇④ 日本IBMの労働者たち
作家 田島一

病人に容赦ない面談

「会社はメンタル面の症状のある人にも、容赦なくやってきますから悪質です。こうしたやり方が、どれほど人間の精神を根底から破壊し尽くしてしまうか、その罪深さに私自身恐怖を覚えるほどでした」
大岡義久さん(49)は、机上に目を落とし、こんなこともあったと静かに話を続けた。

泣きながら訴え
「社員の奥さんから組合に電話がかかってきたんです。奥さんは『退職しないと断っても執拗(しつよう)に面談がおこなわれます。主人はプライドの高い人で、このままでは自殺するかもしれません。組合の力で面談を止めてください、なぜこんなことが許されるんでしょうか』と泣きながら訴えられたんです。私が、ご主人は明確に退職を断っているんですねと尋ねると、『そうです、何度も断っているんです』としっかり答えました。『負け組は会社から出て行けとまで上司に言われて』と、また鳴咽(おえつ)されるんです…」
電話は、息子さんに聞かせたくないために、公衆電話からかけられていた。「家族・家庭を守るために、ご夫婦で必死に努力されている様子が偲(しの)ばれました。この方は組合に入らなかったのですが」と大岡さんは悔しそうに口を結んだ。
生活を抱える労働者が会社と争うには、特別の困難がともなう。しかしこうした状況下でJMIU(全日本金属情報機器労働組合) 支部には、裁判でたたかう12人の組合員がいる。2012年の9月に解雇された松木東彦さん(43)は、京都大学工学部大学院を経て日本IBMの野洲研究所に入所し、「積層基板」などの開発に従事してきたハードウェア技術者である。
私は松木さんに会うまでは、典型的な理系人間を想像していた。だが意外にも松木さんは、「自給自足の生活に憧れている」という個性豊かな人だった。大岡さんと同じく部門の京セラへの売却の際、転籍に同意しなかったことで、人材派遣会社への出向を強いられるが、その後はIBMに戻りサービスエンジニアとして働く日々だったそうだ。



ロックアウト解雇に抗議して日本IBM本社前で宣伝するJMIU組合員と支援者たち=3月25日、東京都内

決断のいきさつ
同時期に通告された人たちと解雇理由は同じで、PBCの評価の低さが強調されていることに、松木さんは納得がいかなかった。大岡さんと知り合いだったことから、組合に加入した松木さんは、「誰かがやらなければと考えました。ぼくは独身でしたし、生活は何とかなると思って」と提訴決断のいきさつを語る。
会社側が提出した裁判の準備書面には、些細(ささい)な解雇理由の羅列のひとつに、「月次報告書に業務と全く関係ない事項を記載する」とあった。
これは、「社内規程や法令遵守(じゅんしゅ)に関する研修」を受けた松木さんが、大歳元社長の事件などにも触れ、「会社は本当に清廉潔白をめざしているのか」と率直な疑問を呈したものだという。臆せず意見を述べる松木さんが疎ましかったのだろう。こうした人材を切ってなれ合う同社の体質に、私は企業の深い闇を見て取っていた。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年10月18日付掲載


些細な事を解雇理由にあげ、メンタルなど弱い人をターゲットに。
そもそも、業績が悪化して解雇が避けられない状態に会社があるわけでもない。
仕事ができるできないに関係なく、意にそぐわない人間を追い出すことしか考えられない。
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兵庫革新懇が講演会「言論と報道の自由」 読者の声で果たさせよう

2015-10-21 22:14:28 | 平和・憲法・歴史問題について
兵庫革新懇が講演会「言論と報道の自由」 読者の声で果たさせよう

兵庫革新懇主催の講演会「言論と報道の自由を守る」が十八日、神戸市長田区のピフレホールで開かれ、370人が参加しました。

ヴァリオリン演奏 西村恵一&平野有希

オープニングにヴァイオリン演奏がありました。
演奏 ヴァイオリニスト 西村恵一 平野有希

曲目      作曲者
タンゴ     アルベニス
ガボツト    ゴセツク
ムーンリバー  マンシーニ
チャルダッシュ モンティ


司会 小山乃里子
司会 小山乃里子 posted by (C)きんちゃん
司会は、ラジオパーソナリティの小山乃里子さん。

主催者あいさつ 前哲夫
主催者あいさつ 前哲夫 posted by (C)きんちゃん
前哲夫兵庫革新懇代表世話人が、戦争法と並行して、国民の知る権利、言論と報道の自由への抑圧が強まっており、これを許してはならない。その闘いの一環としてこの講演会を開催したと、開会のあいさつ。

【講師紹介】
島洋子 しま・ようこ 琉球新報社東京報道部長。
1967年・沖縄県生まれ。1991年琉球新報社入社。融経部、社会部・中部支社宜野湾市担当、経済部、政治部などを経て現職。米軍基地が沖縄経済の発展を阻害している側面を明らかにした連載「ひずみの構造―基地と沖縄経済」で、2011年「平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞」を受賞。

鈴木健二 すずき・けんじ 城西大学大学院客員教授
1942年生まれ。東京大学大学院博士課程修了、社会学博士。毎日新聞ワシントン特派員、政治部副部長、諭説副委員長などを経て、成険大学教授兼アジア太平洋研究センター所長。途中、ハーバード大学客員研究員、2013年から現職。
著書『フィリピン革命を食った人びと』『デジタルは「国民=国家」を溶かす』『地方テレビ局は生き残れるか』『ナショナリズムとメディア』『日米「危機」と報道』など多数。
最近刊『戦争と新聞』、『寒椿 水田三喜男伝』



島洋子講演_01
島洋子講演_01 posted by (C)きんちゃん
最初に島洋子琉球新報社東京支社報道部長が「沖縄からの報告」を行い、沖縄の経済は決して基地に依存しているわけではない。辺野古基地建設反対のオール沖縄の勢力が勝利していることについて、もともと新基地反対が沖縄県民の声であったことなどを紹介。県民の声を報道している琉球新報や沖縄タイムスをつぶしてしまえ、などという自民党内部の暴言は許されるものではないと強調しました。

【島洋子講演(音声)】

【レジメ】
「沖縄でいま何が起きているか」

琉球新報東京報道部 島洋子

1)沖縄はいま
 ①沖縄でいま何が起こっているか。
 ②オール沖縄の闘い

2)沖縄をめぐる2つの神話
 ①「沖縄は基地で食っている」という神話
 ②「海兵隊は抑止力」という神話

3)オスプレイ
4)集団的自衛権、安保法制と沖縄そして日本



島洋子講演_02
島洋子講演_02 posted by (C)きんちゃん

島洋子講演_03
島洋子講演_03 posted by (C)きんちゃん
講演の最後に、辺野古新基地反対の集会を報じた「琉球新報」の紙面を紹介。

島洋子講演_04
島洋子講演_04 posted by (C)きんちゃん
開くと、こうなっています。圧倒されますね。


鈴木健二講演_01
鈴木健二講演_01 posted by (C)きんちゃん
鈴木健二城西大学大学院客員教授は、「新聞報道の歴史と責任」をテーマに講演。明治時代以来の戦争で新聞の果たしてきた役割をくわしく振り返り、日本の新聞が権力に弱く、戦争の報道で伸びてきた事実を指摘。新聞の権力への癒着の要因は多々あり、新聞が社会の公器としての役割を果たすためには読者の声の反映が何よりも重要だと語りました。

【鈴木健二講演(音声)】

【レジメ】
「新聞報道の歴史と責任」

鈴木健二(城西国際大学大学院客員教授)

1.次の3点についてお話しすることにします。
最初は「1918年夏の出来事」
2番目は「日本の新聞の特殊性」
そして最後に「戦争報道と新聞の責任」です。

2.約100年も前の昔話をするのは、実は現在進行していることとそっくりだからです。

その行き着く先が“もの言わぬ新聞吻操られる新聞”“大本営新聞”だった歴史を知っている私たちは、眦(まなじり)を決して新聞を監視していかなければならないと考えます。

3.1918年は大正時代の真ん中、大正デモクラシーの華やいだ年でした。

新聞は政変でも「朝日新聞」(正確には「大阪朝日」)を中心に鋭い筆鋒で活躍し、最も勢いのあったときだったと思います。
新聞の政治関与を警戒した政府は8月末、「朝日」を狙い撃ちして、その息の根を止めにかかります。「白虹事件」です。些細な新聞記事の文言にいちゃもんをつけて「朝日」に鉄槌を下しました。ライバル紙の「毎日新聞」(正確には大阪毎日)は「朝日」の苦境に乗じて、その読者を奪おうとします。昨年夏の慰安婦報道をめぐる“朝日バッシング”でも、「毎日」ではありませんが、別の大新聞が同じような行動に出ました。

4.さらに政府はマスコミ全体を、といっても当時は活字メディアだけですが、締めつけようと本腰を入れて乗り出します。

「朝日」路線を制裁し、小新聞にテコ入れします。これも安倍政権が“朝日バッシング”の後、NHKやテレビ朝日の報道にくちばしを入れ、報道界全体ににらみを利かせようとしたことと同じですね。その結果が、今回の政府・自民党の暴挙に対して、一致して対応できなかった報道につながっていくのです。

5.どうしてマスコミは、こうもひ弱なのか。それは日本の近代新聞の歴史と密接に関係します。

欧米の新聞は今日の言論の自由を獲得するまでに、権力と血みどろな戦いを繰り広げ、多大な犠牲を払ってきました。だから根底において、反権力精神がしみ込んでいます。ところが日本の新聞は、一言でいえば権力の庇護のもとに誕生し成長しました。政府は新聞に、さまざまな便宜を図ってきましたし、資金援助もしました。

6.だから日本の新聞の中心軸には「市民」ではなく「国家」がどっかりと座っています。戦前の新聞は天皇制のなかに「公」の概念を求め、市民の生活より国家の栄光を追求する傾向にありました。加えて戦前の新聞人は上昇志向が強く、機会があれば権力に近づこうとしました。明治時代には“有能な”新聞記者は政府の一本釣りで官僚に取り立てられ、その後は政治家に転出する者が多く出ました。
これは戦後も同じです。たとえば現在でも政府の審議会と称する諮問機関に、信じられないほど大勢の新聞記者が「有識者」として参加しています。

7.では、新聞は戦争をどう報道してきたか。直近ではイラク戦争や湾岸戦争にその実例を見ることが出来ます。
ほとんどが米政府や米軍の情報に基づいて報道していましたから、本当のところは皆目わかりませんでした。誤ったイラク戦争の結果が今日の中東の混乱を招いたことを考えると、報道機関の犯した罪は甚だ重いと言わざるを得ません。軍に頼り、軍に操られるマスコミの戦争報道は、洋の東西を問わず、また今も昔も変わりません。

8.それだけでなく、日本の新聞は戦争によって太った、大きくなったということです。

明治維新以降の日本は1877年の西南戦争をはさんで台湾出兵、日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、シベリア出兵、日中戦争、太平洋戦争と、休む間もなく戦争を続けてきました。実は新聞は、戦争のたびに発行部数を伸ばし、組織を拡大していったのです。だから新聞は戦時においては言うまでもなく、平時でも国民を煽り、軍部に媚を売りました。戦争は新聞の糧だったといっても過言ではないと思います。

9.その結果、どうなったか。「大阪朝日」も「大阪毎日」も1924年1月に100万部を突破したと大々的に宣伝しました。

が、新聞は読者が多くなればなるほど、八方美人化します。読者を失いたくないために、機微に触れたことは書かない、代わりに面白い刺激的な記事を掲載するようになります。戦前は在郷軍人会という退役軍人の組織があって、なにかというと「不買運動を起こすぞ」と脅して新聞を沈黙させました。昨年夏、「朝日新聞」の萎縮を狙って、ネット上に罵詈雑言があふれたことを思い出してください。

10.新聞は攻めているときには強いのですが、守りに廻るとこれほど弱いものはありません。

また、単独だと脆弱で、個別攻撃にはもろいものです。そして大勢に流されやすい。だから、新聞は自分の弱点を充分に認識して、常に神経を研ぎ澄ましていなければなりません。戦争の足音には臆病なほど神経過敏でなければなりません。
「まあ、いいや」は絶対に禁物です。それを支援するのは、賢明な読者の眼です。
新聞を厳しくしっかり見つめて、温かく強く育ててください。新聞人のひとりとして、皆様にお願いするしだいです。



鈴木健二講演_02
鈴木健二講演_02 posted by (C)きんちゃん


閉会あいさつ
閉会あいさつ posted by (C)きんちゃん
宮田元県議が閉会あいさつ。講師の鈴木健二さんの最近刊『戦争と新聞』を紹介しました。


琉球新報紙面
琉球新報紙面 posted by (C)きんちゃん
会場の出口に、辺野古基地の埋め立て承認取り消しを発表する翁長知事の記者会見を報ずる「琉球新報」の紙面が…。

参加者からは、沖縄の現状や新聞の実態について深く知ることができた、などの声が多数寄せられました。また、辺野古基地建設反対の支援募金が13万円余寄せられました。

元気になる講演会でした。
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許すなロックアウト解雇③ たたかう労組の存在 日本IBMの労働者たち

2015-10-19 18:58:53 | 働く権利・賃金・雇用問題について
許すなロックアウト解雇③ 日本IBMの労働者たち
作家 田島 一さん

たたかう労組の存在

今から3年前、「ロックアウト解雇」が始まった直後に、東京のJR四ツ谷駅構内で女性への盗撮事件を起こし最高顧問を辞任した大歳卓麻元社長は、2001年の雑誌インタビューにおいて、日本IBMは「人事制度改革で日本の毒味役になる」と公言した。「我々が毒味してみて、大丈夫そうだとなれば、日本の会社のみなさんもやりやすいんじゃないか」と自慢げに語っているのである。
客観的合理的理由あるいは社会通念上の相当性のない解雇は日本社会では無効とされている。が、「毒味役」の仕事は、「新陳代謝」とすり替えたイェッター氏と現社長のポール与那嶺氏にも引き継がれているのだ。



ロックアウト解雇の中止・撤回を訴え、日本IBM本社前で宣伝する大岡さん(中央)と支援者たち=3月25日、東京都内

毒味役に屈せず
一方で、同社のこうした施策に屈することなく抗してきたのが、JMIU(全日本金属情報機器労働組合)日本IBM支部の組合員であった。1959年に結成された労組の機関紙『かいな』は、この9月末で2271号を迎えた。日本IBMに働くすべての労働者の生活と権利を守りたたかってきた、半世紀を超える歴史の中身は重い。
イェッター戦略遂行の上で最も目障りだったのが、いま七つの訴訟と労働委員会への「不当労働行為救済申し立て」でたたかう労組の存在であろう。組合役員としてリストラや職場のさまざまな問題の相談に乗り、身を粉にして活動する田中純さん(45)は、会社には目の上のこぶだったに違いない。解雇された後に話を聞くと、「この1、2年は、いつ自分に襲いかかってくるか分からなかったし、しんどかった」と田中さんは重圧の日々を口にする。
支部中央執行委員長の大岡義久さん(49)は、2001年以後の部門売却に端を発した、リストラ施策で翻弄(ほんろう)されてきた経過を語ってくれた。大岡さんは、IBMが誇るコンピューターの一貫生産工場である滋賀県の野洲事業所で、SLCと呼ばれる高密度ビルドアップ基板の生産に携わる技術者だった。
それまで12年間、常に高位であった大岡さんのPBC評価が一転する。会社が所属部門を京セラに売却した際、転籍に同意しなかったからだ。以来大岡さんは、見せしめで「スペシャルプロジェクト」に追いやられ、「干乾し」状態を余儀なくされることになる。
退職強要を拒否しての人材派遣会社への出向、そして二重派遣と試練が続くもとで、大岡さんは「対抗手段を持っていない」ことを痛感し、2004年の3月末に組合に加入し会社に通告する。大岡さんの課ではこのとき17人が一緒に組合員となり、派遣会社への出向は立ち消えになったという。

不当行為を断罪
労働者を守る唯一の労働組合を敵視し、不当労働行為を重ねる力の支配は、この7月に中央労働委員会から断罪された。
「会社は反省していませんが、団交拒否だけでなく、組合と実質的に協議しないことも問題にした命令は、今後の大きな力になります」と、大岡さんは笑みを浮かべた。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年10月17日付掲載


自ら「毒見役」になり、社会通念上は許されない解雇をやってみる。とんでもない「毒見役」ですが、たたかう労組はもちろん、日本社会も許していません。
労組とまともに交渉しない会社には、不当労働行為として断罪されました。
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