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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

日韓の歴史をたどる㉕ 民衆の抵抗 「白い旗」を掲げたままに

2020-07-14 20:17:58 | 日韓の歴史をたどる
日韓の歴史をたどる㉕ 民衆の抵抗 「白い旗」を掲げたままに
樋口雄一

日本と朝鮮は歴史的に、違う言葉と慣習、食習慣を作りあげてきました。日本はこの違いを無視して植民地支配を強行、大きな抵抗を生みました。
短期間に朝鮮の民俗・習慣を無視して日本化を進め、朝鮮人と朝鮮文化を差別したこと、日本の利益を前面に朝鮮の土地と人を収奪し、豊富な人材と文化、豊かな土地、資源を持つ国を奪ったことが広範な抵抗を生んだ理由です。

侵略批判の言動 取り締まる法律
朝鮮人民衆の日本へのさまざまな形での抵抗を取り締まるため、日本は韓国政府に1907(明治40)年、保安法を制定させました。同法は「政治に関し不穏の言論動作または他人を煽動教唆(せんどうきょうさ)」などによって治安を妨害するものに2年以下の懲役などの重い刑を科し、日本の侵略を批判する言動を取り締まりました。
1919年に三・一運動が起きると、その弾圧のために同年4月、「政治に関する犯罪処罰の件」(制令7号)を公布・施行。最高刑を10年以下の懲役または禁鋼と大幅に引き上げました。1925年に日本国内で治安維持法が成立すると朝鮮でも同時に施行され、独立運動や社会運動を弾圧しました。
朝鮮民衆は三・一運動のような直接的な行動以外にも、さまざまな抵抗をしました。日本の戦争遂行政策とそれへの抵抗といえる事例を挙げます。
・戦時下の日本と同様に朝鮮でも、天皇誕生日などの祝日に日本国旗を揚げることが強制されていましたが、朝鮮で発行されていた日本語新聞の釜山日報には、朝鮮人が「玉のない国旗」を揚げていたり、はなはだしい時には5日間もぶっ通しで掲げているという嘆きが載っています。
「玉のない国旗」とは、赤い「日の丸」のない白い旗のことで、それを何日も揚げているのは不敬だと指摘しているのです。朝鮮人にとって、なんのために挙げるのか理解できなかったのです。
・1942年10月、慶尚北道の警察部長が大邱地方法院の検事正に出した文書には、米を供出した後に自家消費の食がなくなった農民が、配給日をねらい、警察や面事務所(日本の村役場に当たる)に押しかけて配給を要求したという報告があります。そのような行動が広がっているという内容です。
・朝鮮農政の研究者、総督府小作官の久間健一は、『朝鮮農政の課題』(1944年)で、農民は米の収穫直前、あるいは刈り取り、脱穀、小作料納付時などに98の不正な方法で米を盗み取ったと詳細に書いています。食糧難のなかで生命を維持するための農民の抵抗の一つでした。



朝鮮総督府が設置し朝鮮人を投獄した刑務所の展示模型(『独立紀念館』から)


国民精神総動員朝鮮連盟が配った東方遥排を強要するチラシ(『独立紀念館』から)

西大門刑務所が当時の様子伝え
・強制動員で日本に連れてこられた労働者も、食糧不足などで集団での紛争はめずらしくありませんでした。職場から逃亡したそれらの人は、朝鮮人集住地区や追及されない軍の作業場に入り込みました。そのため工場の現場などでは労働者が不足し、逃亡が見つかるとひどいリンチで死亡することもありました。
抵抗したために、保安法、制令7号、治安維持法の3法が適用された朝鮮人の総計は1907~1941年末までで1万5032人で、件数は2549件となっています(朝鮮『司法協会雑誌』22巻11号、1943年の掲載論文から)。この数字は、裁判の第1審で有罪となった人のみです。
朝鮮人の多くの人々が朝鮮内の各刑務所に収監されました。現在、観光地のソウルでは、3法が適用された人々が収監されていた西大門刑務所が、当時の様子を伝えるために公開されています。
1945年8月15日を迎えた朝鮮人は、朝鮮全土、外国にいた大半の人々が解放を一斉に祝い行進しました。朝鮮人にとってこの日は「解放」の日で、現在でも祝日です。
(ひぐち・ゆういち 朝鮮史研究者)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年7月7日付掲載


植民地化された韓国。国旗掲揚といっても抵抗するため、日の丸の無い「白い旗」を掲げるって、なかなかやるじゃない。
西大門刑務所は志位さんも訪れたと言うけど、弾圧の実態を今に伝える貴重な建物です。

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