国民犠牲の安倍経済戦略③ 生産性革命 人権軽視し利益追求
安倍晋三政権の成長戦略「未来投資戦略」は、「生産性革命」を掲げました。5月に成立した生産性向上特別措置法で実現させた制度を利用し、大企業の利益追求を支援する内容になっています。一方、国民の安全や労働者の権利は軽視しています。
人工知能(AI)やロポットなど「第4次産業革命」と呼ばれる技術革新を社会に導入することで、企業の競争力強化を目指しています。これは経団連の度重なる提言を踏まえたものです。
戦略を策定した未来投資会議(議長・安倍首椙)には、中西宏明経団連会長や榊原定征(さかきばら・さだゆき)前経団連会長が民間議員として参加しました。閣議決定された同戦略について、中西氏は「経団連のこれまでの主張と一致しており、高く評価したい」(15日)とコメントしました。まさに財界と政府が一体になって策定したのです。

シーテックに出展されたAIを利用してサービスや金融商品などの案内を行う三菱UFJフィナンシャル・グループのロボツト=2017年10月6日、幕張メッセ
省庁を無視し
生産性向上特措法の「サンドボックス制度」を利用して、大胆な規制緩和を狙っています。同制度は、あらゆる既存の規制を一時的に取り除き、企業に実証実験させるものです。戦略はその目的を、「業法のような既存の縦割りの業規制」を転換させるとしています。
安倍政権は、ライドシェア(相乗り)など、安全性の観点から業法で規制されている事業の解禁を進めました。
しかし、労働者や省庁の反対で実現しないこともありました。ライドシェアの解禁について国土交通省は、「利用者保護の観点から問題があり、極めて慎重な検討が必要」と慎重姿勢をとってきました。同制度は、省庁の反対を無視し、内閣一存で規制が排除される恐れがあります。企業利益のために国民の安全安心が脅かされます。
生産性向上特措法は、公的機関が保有する個人情報を、民間企業が利用できる制度を盛り込みました。戦略は、データ活用基盤を3年以内に整備することを目標に掲げました。
企業が公開するよう要求しているのは、観光庁の訪日外国人の購買データや文部科学省の通学路情報など、個人の行動に関わる情報です。こうした情報は、他の情報と組み合わされることで、個人が特定される恐れがあります。日本の貧弱な個人情報保護制度のもとで行政データの活用を進めれば、個人情報の流出が起こる危険があります。
通信技術の発展を受けて、労働者の権利を守る憲法や労働法が適応されない働き方を広げようとしています。
不安定労働増
戦略は「従来の『正社員』と異なる柔軟で多様なワークスタイルを拡大させる」と明記。雇用関係を結ばず、働き手がインターネット上で、仕事を受注する「クラウドソーシング」などの働き方を促進させるとしています。企業は、社会保険料などを負担する必要はなく、都合が悪くなれば一方的に契約を切ることができます。大企業による搾取強化を後押しすることにつながります。
人手不足に対応するため、外国人労働者の受け入れを拡大することを盛り込みました。これまで専門的な技術を持つ人材に限られていましたが、即戦力となる外国人の就労を目的とした新たな在留資格を創設すると明記。「移民政策とは異なる」と位置付け、在留期間の上限を5年とし、家族の同伴は認めていません。
外国人留学生の国内就職を促すため、外国人材に関心がある企業や留学生が在籍する大学などの情報を集約し、発信するウェブサイトの創設を盛り込みました。低賃金・不安定労働がいっそう広がる危険があります。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年6月22日付掲載
自民党政権のもとでも、2種免許を持っていない運転手に人の輸送を認める「ライドシェア」などは、「安全性に問題あり」と認めなかったこともあるんですね。
雇用契約でなくて、事業主として契約を結ぶ「クラウドソーシング」などは問題です。
安倍晋三政権の成長戦略「未来投資戦略」は、「生産性革命」を掲げました。5月に成立した生産性向上特別措置法で実現させた制度を利用し、大企業の利益追求を支援する内容になっています。一方、国民の安全や労働者の権利は軽視しています。
人工知能(AI)やロポットなど「第4次産業革命」と呼ばれる技術革新を社会に導入することで、企業の競争力強化を目指しています。これは経団連の度重なる提言を踏まえたものです。
戦略を策定した未来投資会議(議長・安倍首椙)には、中西宏明経団連会長や榊原定征(さかきばら・さだゆき)前経団連会長が民間議員として参加しました。閣議決定された同戦略について、中西氏は「経団連のこれまでの主張と一致しており、高く評価したい」(15日)とコメントしました。まさに財界と政府が一体になって策定したのです。

シーテックに出展されたAIを利用してサービスや金融商品などの案内を行う三菱UFJフィナンシャル・グループのロボツト=2017年10月6日、幕張メッセ
省庁を無視し
生産性向上特措法の「サンドボックス制度」を利用して、大胆な規制緩和を狙っています。同制度は、あらゆる既存の規制を一時的に取り除き、企業に実証実験させるものです。戦略はその目的を、「業法のような既存の縦割りの業規制」を転換させるとしています。
安倍政権は、ライドシェア(相乗り)など、安全性の観点から業法で規制されている事業の解禁を進めました。
しかし、労働者や省庁の反対で実現しないこともありました。ライドシェアの解禁について国土交通省は、「利用者保護の観点から問題があり、極めて慎重な検討が必要」と慎重姿勢をとってきました。同制度は、省庁の反対を無視し、内閣一存で規制が排除される恐れがあります。企業利益のために国民の安全安心が脅かされます。
生産性向上特措法は、公的機関が保有する個人情報を、民間企業が利用できる制度を盛り込みました。戦略は、データ活用基盤を3年以内に整備することを目標に掲げました。
企業が公開するよう要求しているのは、観光庁の訪日外国人の購買データや文部科学省の通学路情報など、個人の行動に関わる情報です。こうした情報は、他の情報と組み合わされることで、個人が特定される恐れがあります。日本の貧弱な個人情報保護制度のもとで行政データの活用を進めれば、個人情報の流出が起こる危険があります。
通信技術の発展を受けて、労働者の権利を守る憲法や労働法が適応されない働き方を広げようとしています。
不安定労働増
戦略は「従来の『正社員』と異なる柔軟で多様なワークスタイルを拡大させる」と明記。雇用関係を結ばず、働き手がインターネット上で、仕事を受注する「クラウドソーシング」などの働き方を促進させるとしています。企業は、社会保険料などを負担する必要はなく、都合が悪くなれば一方的に契約を切ることができます。大企業による搾取強化を後押しすることにつながります。
人手不足に対応するため、外国人労働者の受け入れを拡大することを盛り込みました。これまで専門的な技術を持つ人材に限られていましたが、即戦力となる外国人の就労を目的とした新たな在留資格を創設すると明記。「移民政策とは異なる」と位置付け、在留期間の上限を5年とし、家族の同伴は認めていません。
外国人留学生の国内就職を促すため、外国人材に関心がある企業や留学生が在籍する大学などの情報を集約し、発信するウェブサイトの創設を盛り込みました。低賃金・不安定労働がいっそう広がる危険があります。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年6月22日付掲載
自民党政権のもとでも、2種免許を持っていない運転手に人の輸送を認める「ライドシェア」などは、「安全性に問題あり」と認めなかったこともあるんですね。
雇用契約でなくて、事業主として契約を結ぶ「クラウドソーシング」などは問題です。