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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

超低金利と銀行経営① リーマン以来の本業不振

2018-06-08 15:55:51 | 経済・産業・中小企業対策など
超低金利と銀行経営① リーマン以来の本業不振

日銀の「異次元の金融緩和」のもとで続いてきた超低金利が、銀行本業の利益を減らし、銀行経営を圧迫している実態が2017年度の銀行決算を集計した結果、浮かび上がってきました。
銀行の本業は企業や個人にお金を貸し出し、貸し出しと預金の金利差(利ざや)によって利益を得ることです。本業による収益を示すのが業務純益です。貸し出し業務と国債運用などによる利益であり、株式売却益などは含みません。





東京都中央区の日銀本店

ピークの4割減
メガバンクなどの都市銀行と全国の地方銀行の業務純益を集計すると、17年度は2・81兆円で、前年度に比べて5000億円以上の減少。率にすると15%以上の減少となりました。前年度も9000億円減少しており、2年連続の減少です。過去10年間のピーク時(11年度の4・52兆円)に比べると、4割近く(38%)も減っています。
銀行の業務純益が減ったのは、アベノミクス(安倍晋三政権の経済政策)がつくり出した超低金利のためです。日銀は13年以降、「異次元の金融緩和」と称して大量の国債を購入し、市場金利を引き下げてきました。16年1月には「マイナス金利政策」まで追加して、低金利に拍車をかけました。これによって、銀行の貸出金利が低下し、利ざやも縮小しました。これが長期に続いたことで、銀行の収益力が奪われてきた結果です。
17年度は、地方銀行のうち4行(池田泉州銀行、筑邦銀行、北日本銀行、福島銀行)で、業務純益がマイナス(業務純損失)となりました。直接の原因は保有国債の含み損を処理したことなどによるものだと説明されていますが、低金利で本業のもうけが減ってきたことが大きく影響しています。
過去には、11年度に仙台銀行が業務純損失を計上したことがありますが、これは震災による貸倒損失を見込んだという特殊事情によるものです。複数の銀行が業務純損失を計上したのは、リーマン・ショック時の08年度以来、9年ぶりのことです。

都銀貸し出し減
低金利のもとで本業のもうけを維持するには、貸し出しを増やす必要があります。また、低金利で借りる側は利子負担が軽減され借りやすくなります。銀行の貸し出しが増えれば、世の中に出回るお金の量が増えて景気がよくなる―これが日銀のシナリオでした。
実態をみると、17年度には地方銀行は貸し出しを増やしましたが、都市銀行は貸し出しを減らしていることがわかります。都市銀行5行のうち、りそな・埼玉りそなの2行は増やしていますが、3メガバンクはすべて減少しています。三菱UFJが2兆1808億円減、三井住友が1兆6891億円減、みずほが2651億円減、あわせて4兆円以上のマイナスです。この結果、地方銀行の貸出金が都市銀行を上回るという、かつてない事態が起きています。
規模が違う銀行の貸し出し状況を比較するのには、貸出金の絶対額だけではなく、貸出金の預金に対する比率(預貸率)を見ることが重要です。
08年度には、都市銀行と地方銀行とで預貸率は同程度でしたが、その後、都市銀行の預貸率は低下してきました。17年度には、地方銀行は預金が8兆円しか増えなかったのに貸し出しを10兆円増やしたので、預貸率が上昇しています。一方、メガバンク3行は、12兆円も預金が増えたのに貸し出しを4兆円も減らしました。このため、都市銀行の預貸率は60%を割り込み、過去10年で最低水準を更新しました。(つづく)(2回連載です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年6月7日付掲載


都市銀行は、超低金利政策のもとで貸し出しで儲けがあがらないということで、国債運用などで利益をあげる方向に舵を切っていると見れますね。
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