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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

大企業決算の特徴① 全体構図 最高益達成も賃金に回らず

2018-06-15 11:44:49 | 経済・産業・中小企業対策など
大企業決算の特徴① 全体構図 最高益達成も賃金に回らず

アベノミクスによる金融緩和や減税、規制緩和で大企業が潤っています。2018年3月期の大企業決算の特徴をみます。
18年3月期の決算を財務省「法人企業統計」四半期別調査から資本金10億円以上の大企業(金融・保険業を除く)について集計すると、17年3月期に比べ「増収増益」となりました。
今回、目立つのは売上高より本業での利益である営業利益のほうが17年3月期と比べた増加率が大きくなっていることです。売上高は575兆8500億円と17年3月期の538兆6800億円に比べ、6・9%の増加でした。これに対し、営業利益は36兆4400億円と17年3月期の31兆3600億円に比べ16・2%と大幅に増加、史上最高となりました。とりわけ製造業では売上高は4・4%の増加にとどまったのに対して、営業利益は28・9%増と大幅に増えました。




円安などが影響
売上高より営業利益のほうが増加率が大きくなったのは、為替相場が円安傾向を強めたことによる差益や、トランプ減税の影響などがあげられます。実際、輸出産業とされる電機では顕著で、17年3月期に比べ売上高10・8%増だったのに対して営業利益は60・4%増でした。
また、コスト削減も営業利益を大きくしました。自動車大手7社の18年3月期決算は連結販売台数が3%増にとどまったのに対して、営業利益は9・5%増でした。その要因として為替影響で5420億円増、原価低減で4763億円増だったとしています。
同時に収益の好調さは海外景気に依存したものです。国際収支統計の主な指標について、04年と比べた17年の推移を見ると、輸出は1・34倍、証券投資は1・38倍と増えています。とりわけ海外子会社からの収益である直接投資収益は3・64倍と極端に大きくなりました。




武田薬品工業本社=大阪市中央区

内部留保は増加
企業決算が好調にもかかわらず、労働者の賃金に反映していません。法人企業統計によると、大企業の18年3月期のボーナスを含む平均賃金は年間583万7000円で前年に比べ0・3%しか増えていません。
労働者の賃金が増えなければ国内での家計消費が増えず、「景気の好循環」は実現しません。
では「最高益」はどこに消えたのでしょうか?それは内部留保です。資本金10億円以上の大企業の内部留保は、金融・保険業を除いた全産業の合計で18年1~3月期は344兆3000億円と、17年1~3月期に比べて19兆3500億円も増えています。
内部留保の増加について、企業側は企業の合併・買収(M&A)資金などに充てると説明します。M&A助言会社レコフの調べによると、日本企業によるM&A件数は17年に3050件と史上最高となりました。暦年と年度で3カ月の違いはありますが、増加傾向は明らかです。
17年はソフトバンクグループによる米投資会社、フォートレス・インベストメント・グループの買収や、武田薬品工業による米アリアド・ファーマシューティカルズの買収など大型M&Aが行われました。武田薬品は18年にもアイルランドの同業であるシャイアーの買収を決めています。(つづく)(4回連載です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年6月13日付掲載


大企業の決算。売上高より営業利益の方が増加率が高いのは為替相場によるもととか…
売上高が回復していることは重要ですね。その分を労働者に還元を。
コメント
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