日々の泡盛(フランス編)

フランス在住、40代サラリーマンのどうってことない日常。

ぼくのおじさん

2017-04-07 22:07:19 | 自分について
ぼくのおじさん、というか自分の父親のお兄さんの訃報で今朝は目が覚めた。
というか目を覚まされた。

ずっと子供のころから知っている、種子島に住んでいたおじさんだ。
亡くなったときもう87歳だった。
子供のころから、なぜか好きになれなかったおじさんだ。ちょっとがさつで、
いつも日焼けしていて、乱暴に人に話しかけるようなおじさんだった。
僕は子供で、どちらかというと複雑な性格で、変なところで繊細で、
そんな僕は、そのおじさんから乱暴に、がさつに声をかけられるのがとても嫌だった。
もっとうちの親にみたいに、自分のことを大切に扱ってもらったのかもしれない。

8年ほど前に、おじさんに会いに行った。相変わらず種子島に住んでいるおじさん。
そのころにはわだかまりも解けて、ただ、僕の昔の風景の中にいたおじさんを
確認できたのがうれしかった。
種子島のおじさんの庭は相変わらず、ソテツや亜熱帯の植物が生えていて、
放し飼いになっている鶏がいて、懐かしさでいっぱいになる空間だった。

何かの本で、どこかの作家が言っていた。親しい人の訃報にせっして、一番つらいのはなんだろう。
人間は多かれ少なかれ、他者の不在には耐えられるものだ。
一番つらいのはもう新しい思い出をあきらめること。
今度、種子島に行くことがあっても、あの笑っていた、がさつなおじさんには会えないのだ。
思い出をあきらめないといけないんだなあ。
あの庭に行って、空に伸びるようなソテツや、バナナの木や孟宗竹をみても。
もうおじさんはそこにはいないのだ。

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