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日々の泡盛(フランス編)

フランス在住、40代サラリーマンのどうってことない日常。

アンダルシア後遺症

2005-07-04 04:47:44 | スペイン
セビリヤから戻ってきてもう一週間が過ぎた。
なのにいまだにアンダルシア地方を旅行している
気持ちがしてならない。なんか心をあっちに置いてきた
みたいだ。いまだに脳裏にセビリヤの街角とか、
あの乾いた空気や抜けるような青空が浮かび
上がってくるもんなあ。すっかり依存症になってるよ、アンダルシアの。

久しぶりに日本の高校のときの同級生と国際電話で話す。
アンダルシア旅行がどれだけよかったか、を話したいんだけれど、
あまりよく伝わらない。ひとつには言葉と表現力の限界なんだろうけど、
そもそもアンダルシアに行ったことのないやつにはいくら
説明してもこのよさは分かってもらえないのかも。


ふと高校の同級生から、「自分自身のことを好きな気持ちと
嫌悪する気持ちの割合はどのくらいか?」などと心理学的な
質問を電話でされる。僕は「8対2ぐらいで自分のことが好き」と答える。
彼は120パーセントぐらい自分ことが嫌いらしい。
僕も20代前半の頃は自分のことがほぼ100パーセントの割合で
嫌いだったんだけど、そのうちちょっとずつの割合で自分のこと
を好きになれてきた。
まあ、もともと自分ことを嫌いな人間に恋愛なんてできないもんなあ。

買ってきた絵葉書にはセビリヤの堂々とした大聖堂と白い旧市街。
「いろんな街角でいろんな人に出会う」というのは種ともこの
歌詞に出てくるけれど、まさに人生はその真っ最中なんだと思う。
セビリヤですれ違った人々、カフェやバルで言葉を少しだけ
交わしただけの人々。これからどんだけの人とすれ違っていくんだろうかな。

セビリヤ三日目

2005-06-30 07:02:12 | スペイン
三日目のセビリヤ。というかフランスに戻る日。
名残惜しさもあって、なんだか朝早く目が覚めてしまう。
そそくさと準備。泊まっていたホテルはサンタクルス街の
ひっそりとした界隈にある、質素だが清潔なホテル。
高い天井とか、赤茶の壁の色とか、ぼんやり眺める。

チェックアウトを済ませて、昨日と同じホテル近くの
バルにまたずかずか入っていき、カフェオレを頼む。
またもやコップに入ったカフェオレが。今日はちょっと
余裕もあって、バルの内装など眺めながらカフェオレを
味わう。壁の黒板にはタパスのメニューがチョークで殴り書き
されている。そのほかに、闘牛や万博の、古いポスターが。
こういう大ざっぱなインテリアもセビリヤぽいなあ、などと思う。

バルから駅までサンタクルス街の白い街角を抜けて、
ゆっくり歩く。朝早いのに、あちこちでもう人々は
働き始めている。工事中の道路、内装工事中のアパート、配達のトラック。
そういえば平日のセビリヤを見るのは今回の旅行で初めてだった。
こんな美しい街に暮らせて幸せだろうな、などと思う。
住民はもう馴れてしまって、そんな感覚ないんだろうけど。

サンタクルス街と並行して走る通り、アヴェニダ・レカレドは
セビリヤの大動脈のひとつ。低層の商店やホテルが立ち並ぶ
交通量の多い通り。昨日の夜、10時ぐらい酔って朦朧とした
頭で通りを歩いていたんだけど、こんな美しい光景は見たこと
ないってぐらい印象的な夕映えの街が広がっていた。
日はもうほとんど沈みかけているんだけれど、空は
深いオレンジ色がまだ残っている。街灯は少しずつ瞬き始めている。
そして道路の両脇のカフェやバル、
時々現れるシャッターの下りた商店、ブティック。
どこか郷愁を誘うような光景だ。
またセビリヤに戻れるように。その日まで今の自分であるように。


セビリヤ二日目

2005-06-29 04:25:48 | スペイン
セビリヤ二日目は早起きする。朝、7時には
日曜だと言うのに、カテドラルの鐘楼が響いていて
僕のホテルの部屋までその音が届いてくる。とっとと着替えをして外へ。
ホテルのすぐ近くにある、おそらくサンタクルス街でもっとも
有名でないかと思われるバルに直行。朝早いこともあって
カウンターにたむろするおじさんもそんなに多くない。

「ウン・カフェ・コン・レーチェ」
と元気よく頼む。するとガラスのコップに入ったカフェオレが。
そうそう、スペインじゃカフェオレ、ガラスのコップで飲むんだよね。
これがまたうまいのだ。

朝のカフェオレ後はセビリヤのサンタフスタ駅へ徒歩で移動。
もともとこの旅の目的は、セビリヤとグラナダ間の鉄道の旅だったのだ。
駅に行くと、実はセビリヤとグラナダ間の電車は一日4往復しかない
ことが発覚。無茶苦茶不便やんか。カウンターで、グラナダまで
一枚、というと「どの電車?」などとスペイン語で聞かれる。
わ・・・、わからん。今日の午前中の電車、なんて言ったっけ?スペイン語で。
などとしどろもどろしているうちに、英語で「NEXT TRAIN?」などと
言われてしまった自分。

電車は午前11時50分にセビリヤ駅を発車した。
グラナダまでの三時間は本当に目の保養、というか、視界の幸福。
最初に荒れ果てた荒野が現れる。そのあと、ひまわり畑がときどき
現れる。そして地平線まで続く一面のオリーブ畑。畑というより森か。
オリーブ畑の後、月面のクレーターのような乾ききった、ごつごつとして
肌触りのアンダルシアの谷間を鉄道は横断する。これがアンダルシア
なんだ。ざらざらの手触りの国なんだ。
本当にすばらしい。いろいろ説明してもいいのだけれど、本当にこれは
行った人にしか分からない風景だと思う。

グラナダでは真っ先にバルに入って生ビールを注文。
グラナダでは無料でタパスがついてくるらしく、
ビールを注文するたびに、生ハムサンドイッチとポテトチップス
が皿に運ばれてきた。こりゃ、太るよ、スペインのおじさん。


セビリヤ一日目

2005-06-28 06:26:20 | スペイン
オルリー空港から二時間たらず、飛行機の窓の下には
赤茶けた、乾ききった大地が広がっているのが見える。
七年ぶりのアンダルシア地方、セビリヤ。よく考えると、
飛行機でアンダルシア入りするのはこれが初めてかも。

空港を出たとたん、むっとするような熱気に包まれる。
午後三時、もっとも太陽の高い時間。
路線バスを待とうとするが、週末であることもあって、
午後五時まではバスが来ない・・・。さて、どうしたものか。
おそるおそるタクシー乗り場に行って、料金を聞く。
「市内まで21ユーロ」
そんな馬鹿な。空港バスだと、2.3ユーロしかかからない
んだぞ。十倍近いじゃないか。
驚いた顔をする僕に、タクシーの運転手があれを見ろ、
と張り紙を指差す。張り紙を読んでみると、非労働日の
空港ー市内間のタクシー料金を21ユーロと定める、
旨の当局の規定が・・・。労働日でも17ユーロだから
ぼったくりなんだけどね。

しぶしぶ21ユーロ払い、市内中心部にあるムリーリョ公園
までタクシーで運んでもらう。15分ぐらいで着いてしまう。
なんだ、やっぱ空港と市内は近いんじゃんかよ。
さて、ホテルは旧市街のサンタクルス街の中。
アドレスを頼りに、迷路のような、車も通れないような街をぶらぶら歩く。
ひどい気温だ。しかし、両側のアンダルシア風の建物は白く、時には黄色く、
と様々な色で、僕の目を楽しませてくれる。
それぞれの建物には美しい文様の門扉やバルコニーがあって、
つい立ち止まって、うっとり見とれてしまう。
運がよければ、扉が半開きになっていて、中にある、
外の喧騒からも、高温からも遠い、別世界のパティオが垣間見れる。

ふと視界が開けて、教会の前の、名もない広場に迷い込む。
空が高くて、青い。このアンダルシアの空を眺められただけでも幸せ。
くー、にしても暑い。早く、バルにいって生ビールを飲まなければ・・・。