く~にゃん雑記帳

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<法華寺> 「七草絵巻」10年ぶりに特別公開

2021年05月12日 | メモ

【カキツバタが咲き誇る名勝庭園も同時に】

 法華寺(奈良市法華寺町)の文化財収蔵庫「慈光殿」で、江戸時代初期に制作された「七草絵巻」が10年ぶりに特別公開されている。慈光殿は例年、正倉院展に合わせ秋に公開されているが、今年は長年にわたって寺の復興に尽力し晩年絵巻の修復にも関わった故久我(こが)高照門跡(1921~2011)の没後10年に当たることから春にも特別に開館し、絵巻も展示することになった。会期は4月8日~6月10日で、同時に国史跡・名勝庭園も公開している。

 法華寺は奈良時代に光明皇后の発願により〝総国分尼寺〟として創建された。本尊は皇后のお姿を写したといわれる十一面観音菩薩立像(国宝)。2011年に表具や箱が修復された「七草絵巻」は全長約10mで、正月の七草粥にまつわる伝承が詞書と色鮮やかな絵画で描かれている。中国・楚の国で「大しょう」という若者が21日間山にこもって「年老いた父母を再び若返らせてください」と帝釈天にお願いする。すると帝釈天の使いの天童が現れ、七草を集めて玉椿の枝で叩き羹(吸い物)にして服するとたちまち10年若返ると伝えた――。

 慈光殿では絵巻のほかに、江戸初期の僧・仏師で生駒・宝山寺の中興の祖といわれる湛海律師(1629~1716)作の厨子入り不動明王坐像や鎌倉時代の阿弥陀如来立像、四臂不動明王坐像、五重小塔(本堂の古材で海龍王寺の国宝五重小塔を写して1979年に復元)なども展示されている。慈光殿北側に位置する名勝庭園は江戸初期に造られた池泉回遊式庭園。京都の仙洞御所から客殿や庭園の石や庭木を移して作庭されたといわれる。客殿前の水辺にはカキツバタが群生する。

 法華寺は門跡寺院として皇室や公家出身者が代々門跡を継いできたが、2013年、民間出身者として初めて樋口教香尼が門主として就任した。先代の久我高照尼は明治天皇のお后、昭憲皇后の姪に当たる。15歳のとき法華寺に入寺し1939年に第45世門跡となって華道法華寺小池御流の家元も務めた。門跡在任中には本堂の修復をはじめ月ケ瀬地区からの旧東谷家住宅(現「光月亭」、県指定文化財)の移築、庭園「華楽園」の整備、「からふろ」(国指定重要有形民俗文化財)の解体修理などに取り組まれた。

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